『万物異転、猫が世界の史を紡ぐ【出会い編】 ~出会ってすぐにモフられる~』

メイン君

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第27話 毒をもって……

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 巨大ムカデに遭遇した辺りまでやってきた。
 口の中にはマグマを含んでいる。

 今度は上にも気をつけながら進んできた。

『いたいた……』

 全身黒い巨大ムカデは普通に地面にいた。相手との距離は三十メートルといったところだろうか。
 相変わらずの大きさだ。トラック並の大きさと迫力で、ちょっと大きい猫程度の俺の物理攻撃ではびくともしないだろう。
 一応の救いは、頭部の大きさが大型冷蔵庫くらいで、そこさえ攻撃できればなんとかなりそうなところだろうか。頭部を破壊しても死ななかったら……もう知らない。

 巨大ムカデはこっちに気づいてる様子で、今にも飛び掛かってきそうだ。
 十メートルくらいの距離に近付いたところで、ムカデが素早い動きでこちらに向かってきた。

『足がモゾモゾしてて気持ち悪いな……』

 ムカデの動きに生理的な嫌悪を抱きつつも、チャンスを逃すまいとその動きを注視する。

 ムカデの射程圏に入ったのか、こちらに口を広げて飛び掛かってきた。

『頭から突っ込んでくるなんて、カウンターしてくれと言ってるようなもんだ』

 少し自分にも思い当たる所があるが、噛み付き等の頭部を使っての攻撃は急所を危険に晒す。

『ここだ!』

 一撃しか使えない必殺の攻撃、マグマ弾をムカデの頭部に向けて放つ。そしてその場から離れる為に横っ飛びする。

 タイミング的にはバッチリ、これは当たる……

 と思ってたら、ムカデはいっぱいある足をガサガサと動かし無理やり体勢を変えた。

『――!?』

 頭部にかすったものの直撃は避けられてしまった。
 ムカデの攻撃が俺の居た場所の地面をえぐる。ちょっとしたクレーターができてしまった。

 かわすことはできたが、あれを喰らったらひとたまりもないな……
 結構硬そうな地面だったのに、ショベルカーみたいにえぐりやがって。

『クソッ……』

 もっと引きつけて放つべきだったか……もしくは弱らせるために避けにくい胴体を狙うべきだったか……
 いや、過ぎたことはしょうがない。

 戦いを続けるか、逃げる方法を考えるか……あまり迷っている暇は無い。
 毒弾を口の中に入れられれば或いは……

『!?』

 ムカデが後部をこっちに向かって振ってきた。

 近場の岩を足場にして跳んで攻撃をかわす。
 かわすついでに毒弾を置くように放つ。

 通り過ぎるムカデの尾が激しく地面を削る。
 かすっただけでズタズタになりそうな威力に、冷や汗をかいた気分になる。

 毒弾は一応当たったはずだが、ムカデの動きは弱まる気配がない。
 やはり、あの硬そうな外殻の上からでは毒弾は効かないようだ。

 逃げるにしても、その前に色々試しておくためにムカデの正面に移動する。
 狙い通り再度の噛み付き攻撃。

 向かってくるムカデの前に毒霧を吹き出し、すぐさま横に避ける。
 口を開けたムカデが毒霧を通過する。
 これで効いてくれるといいのだが……

 しかし様子見しようと思ってた俺に、ムカデの尾を使っての連続攻撃がくる。
 多数ある足の為か、動きが変則的で読みづらい。
 しかもこちらを薙ぎ払うと同時に捕らえようとしてるようだ。

 あれに一度捕まったら……万事休すだろうな。
 毒霧が効いている気配はない。蜂とは大きさが違いすぎるからな。
 
 動く速度は同じくらいだが、なんとか避けられてるのは相手が大振りの攻撃ばかりだからだ。
 この速度差だと毒弾を口の中に放り込むのは至難の技だ。

 ムカデの攻撃を避けながら打開策を考える。
 打撃は効くはずがないから、やはり毒弾しかないだろうな。
 外殻が邪魔なんだよな、蜂の針みたいに差し込んで直接毒を入れられれば可能性はあるのだけど……

『――??』

 ムカデの噛み付き攻撃をかわした時にあるモノ・・・・が俺の目に入った。
 
「ニ゛ャッ」

 身体中を強烈な打撃が襲う。弾き飛ばされ地面を転がる感覚。
 気を取られてる隙に死角からの一撃をもらったのだと理解した。

 頭の中がチカチカするが、無理やり体を起こしてムカデの方を見る。
 ムカデの尾の先がビタビタと地面を叩いている。
 あれに死角から攻撃されたのだろうが、威力がやばかった。弾かれたからまだ良かったものの、壁に挟まれたらペチャンコにされてただろう。

 やばい、ダメージが残っている……逃げられないかも。
 フラフラしてる俺を見てチャンスだと思ったのか、ムカデがジリジリと迫ってくる。

 最後のチャンスになるかもな……
 中々に危機的状況だけど、不思議と乗り越えられる予感がする。

 ムカデの尾による攻撃が来た。
 それをなんとかかわす。
 かわされたことによるムカデの一瞬の硬直の間に、ムカデの背に飛び乗る。
 動くムカデに振り落とされないように、爪を使いなんとか耐える。

 落とされそうになりながらもムカデの黒い外殻をよじ登り、頭部まで来た。

『あった……』

 ムカデの頭部に外殻が剥がれて筋繊維?が見えている部分がある。
 さっきこれが目に入って気を取られたのだ。
 おそらく、初めのマグマ弾がかすった場所だ。

 振り落とされる前に終わりにしなければ……
 この攻撃が効かなければ俺は死ぬだろう。

 全力の毒をイメージする。

『今この一瞬の間にも一歩でも先に進化してくれ』

 毒の進化を願いつつ、外殻が剥がれている部分に毒弾を放つ。

 今までの毒弾と違う、黒い・・毒弾がムカデに吸収されていく。
 すぐに効果が現れ、数秒前まで動いていたのが嘘かのように、巨大ムカデはピクリとも動かなくなった。
 
 俺は強烈な脱力感に襲われた。ムカデを倒したという実感もあまりない。

『我ながらよく倒せたな……』

 巨大ムカデはこの洞窟の中ボスのような位置付けだろう。
 なんとか倒せたが、だいぶ危ない綱渡りだったと思う。

 なんとなく自己鑑定を発動させたのだが、いつの間にか追加されている新たな「称号」に俺は言葉を失った。まあ、そもそもしゃべれないけれど…… 

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称号:「毒ノ主アスタロト
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