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第3話

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散々な休日が終わり、再び学園での日々が始まった。
あのようなことがあったのだからミハイ殿下が私を避ける気持ちも理解できる。
そのほうが不愉快にならずに済むので私はミハイ殿下を放っておいた。

それが悪かったのかもしれない。
いつしか私が妹のウルーナに嫌がらせしているという噂が広まっていたのだ。
タイミングを考えるとミハイ殿下が関わっているように思える。
もっとミハイ殿下の行動に注意を払っておけばミハイ殿下が犯人なのかすぐにわかったはず。
過去のことを悔やんでもどうにもならないので、私はどう対処すべきかを考える。

ミハイ殿下を問い質したところで正直に答えてくれるはずがない。
必要なものは客観的な証拠。
あるいは…誰が犯人なのか特定せずに対処すること。

私はウルーナに嫌がらせなんてしていないのだから、噂を否定し事実を広める。
後は誰の言い分を信じるかの問題。
根も葉もない噂を信じるか、ベルネスク公爵家の信用を背負っている私の発言を信じるか。

…もしかしたら犯人が尻尾を出すかもしれないし。

私は困らないし、困るのは犯人とミハイ殿下くらいだろう。
ミハイ殿下だって自分がしたことの結果なのだから文句があっても受け入れさせる。

私は根も葉もない噂を否定して回った。

* * * * * * * * * *

噂の否定のためには真実を明らかにする必要があった。

ウルーナは昔からわがままだったこと。
ウルーナはミハイ殿下の婚約者になりたいと望んでいたこと。
ミハイ殿下がウルーナのことを好きだと言ったこと。
ミハイ殿下から婚約破棄されたこと。
国王陛下のたっての願いでミハイ殿下に一度だけチャンスを与えてやり直すこと。

正直に丁寧に真実を伝えたことで、私がウルーナに嫌がらせしているという噂は誰も信じずに、噂自体が消えていった。
その代わり、ウルーナがわがままだということが広まってしまったし、噂の犯人はウルーナかミハイ殿下が怪しいという新たな噂が広まる結果になってしまった。
だって怪しいのはその二人だもの。
私の名誉を貶めて婚約破棄しウルーナと婚約するという筋書は安易だけど、状況から推測すれば妥当なもの。

みんなが私を信じてくれて良かったし、私は悪くないとも言ってくれたし、悪いのはミハイ殿下のほうだと言ってくれたことも嬉しかった。
今ではもうすっかりミハイ殿下が犯人だとされている。
ウルーナも共犯なのかは意見が分かれているけど、擁護するような声は聞こえてこない。
お似合いの二人だから共謀している可能性も十分に考えられる。

ウルーナは学園では大人しいし存在感も薄い。
そのこともあってか、共謀していないという意見のほうが優勢だ。
そうなるとミハイ殿下が犯人だという説が最有力となる。

こうもミハイ殿下の問題が広まってしまうと王家としても放置できないはず。
王家の威信にかけて犯人を探してくれるだろうし、不名誉な噂が広まってしまい、しかもみんながミハイ殿下を犯人だと思うような事になってしまったのだから、私との婚約は無かったことにできるのではないだろうか。

ミハイ殿下がもっと適切に対処していれば噂が広まらずに済んだかもしれない。
ミハイ殿下のことだから言い訳しそうだけど、適切に対処できなかったことは事実。
今度こそ国王陛下も婚約関係を解消することに同意するはず。

誰が犯人なのかは知らないけど、私にとっては都合の良い結果になりそう。
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