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第4話

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俺はイリアナから受けた屈辱を忘れない。
どうにかして仕返ししてやろうと考えていたところ、事情を知らないウルーナがイリアナから嫌がらせを受けて困っていると俺に相談を持ち掛けてきた。
それがイリアナの本性なら、暴露してやれば俺から婚約破棄することもできるだろう。
あの時は冗談で婚約破棄したが、今度は本気で婚約破棄してやる。

そう考え、俺はイリアナの噂を広めた。
もちろん俺の忠実な側近を通じてのことだ。

噂が十分に広まったはずが、今度はイリアナが俺とのことを暴露したことで俺が犯人扱いされるようになってしまった。
せっかくイリアナの名誉を貶めるようにしたのに俺の名誉が貶められてしまったではないか!
またしてもイリアナから受けた屈辱。
本気でイリアナを排除しなければならないようだ。

* * * * * * * * * *

ある夜、俺は父上に呼び出された。
父上は厳しい表情だったので嫌な予感がした…。

予感は的中した。

「犯人はお前だろう?」

何の犯人なのか言わずとも察した。

俺が犯人だと決めつけているのは証拠があってのことだろう。
父上なら情報収集は得意だし、裏付けもあっての発言だろう。
ここで下手に言い訳すると酷いことになりそうだ。

側近が勝手にやったと言っても俺の責任にされてしまうだろう。
ここでの最適な反応はこれしかない。

「そうです。俺が犯人です」
「お前という奴は…」

素直に認めることで父上は呆れたようだった。
怒られることを回避できた俺の判断は正しかったのだ!

「素直に認めたことは褒めてやろう。だがやったことの責任は取らなくてはならない。だが……イリアナ嬢が許すなら不問としよう。もし許されないようなら、お前は廃嫡だ」
「廃嫡ですか!?」
「そうだ。これは冗談ではない」

父上の目からは本気だと伝わってくる。
イリアナが許すなんてありえない。
これは事実上の廃嫡だ。

…だがまだ一縷の望みがある。
何としてもイリアナに許してもらうしかない。
廃嫡されるくらいなら土下座だって何だってしてやる。
俺は王太子だ。
王太子の身分を失いたくはない。
そのためには…不本意だがイリアナに従ってやろう。

とにかく今は廃嫡を回避しなくてはならない。

「まったくお前という奴は昔から変わっておらぬな。つまらない冗談を言ったり、言い訳して責任を認めようとしなかったり、小賢しい真似をして逆効果だったり…」
「は…はは……」
「いい加減理解しろ。今回という今回は厳しく対処する。もう後は無いと心しろ」
「はい」

そこまで脅されてしまえば素直に返事をするしかない。
これは…本気でイリアナのご機嫌を取るしかないな。
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