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第2話
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オーレンス様と継母が共謀して私を陥れようとしていたなら許せない。
そうでなくとも継母が私を虐げたことは許せないし、オーレンス様が私を裏切ったことも許せない。
二人はきっと重要なことを見落としているに違いない。
私に興味も関心もないのだから、私の誕生日がいつなのかも知らないのだろう。
明日は私の15歳の誕生日。
15歳になれば爵位を継ぐことができるのだから、私がアラベリー伯爵となれる。
そうなれば継母を追い出すこともできるし、継母を好きだと言ったオーレンス様も一緒に排除できる。
まさかとは思うけど爵位を継いだ私に復縁なんて申し込んだりはしないだろう。
もう後には退けない。
こうなったら速やかに私が爵位を継いで正式なアラベリー家当主として継母もオーレンス様も排除するしかない。
もうこれ以上好き勝手にはさせない。
そのためには王都に行って手続きをしないといけない。
私がすべきことは決まったし覚悟もできた。
* * * * * * * * * *
帰宅した私を待っていたのは馬鹿にするようにニヤついた継母だった。
「オーレンス様に婚約破棄されたの?残念だったわね」
「……そうですね」
このタイミングで知っているなんて耳が早すぎる。
むしろ最初から婚約破棄されることを知っていたと考えるほうが自然。
それは継母とオーレンス様が繋がっていることの証明でもある。
「アンジェの魅力なんて、そんなものなのよ。婚約者なんて分不相応だわ」
「………本当にそう思います」
私を嵌めるための婚約者なんていらない。
そんな相手が私の婚約者なんて分不相応にも程がある。
そもそもオーレンス様はオンネル男爵家の人間だから、私とは釣り合いが取れていない。
両家の結びつきを深めるメリットは当家には無いように思えるし。
でもそれすらも継母が仕組んだことなら腑に落ちる。
「あら、随分と殊勝なのね」
「自分が間違っていることに気付きましたから」
信じていた私が間違っていた。
継母にもお父様が選んだ相手だからと甘く対応したのが間違いだった。
間違った対応をしてきたことを後悔するけど、もう後悔しないように振る舞うと決めた。
「ふーん、そうだったの。そんなことより今日の分の掃除を早くしなさい」
「はい」
だからもう私は容赦しない。
いい気分になれるのも今のうちだけ。
* * * * * * * * * *
私は掃除するように見せかけ、必要な物を調達した。
何よりも忘れてはいけない物がアラベリー伯爵だと証明する指輪。
お父様が亡くなる前に私に隠し場所を教えてくれたので、継母は指輪の存在すら知らないだろう。
忘れずに回収しないと私の身分を証明できず、王都へ行く意味がなくなってしまう。
王都へ向かうための資金も忘れてはいけない。
アラベリー伯爵領から王都までは馬車で三日ほどの距離になる。
馬車代も、それに宿代も必要になる。
その程度の資金ならこっそり頂いてもバレないだろうし、そもそもアラベリー伯爵家の財産なのだから私が使っても問題はない。
法で決められているから継母が管理しているけど、私のために適切にお金を使わないのは大問題。
その辺も含めて後で追及することにする。
でも今は王都へ向かって私がアラベリー伯爵位を継ぐ手続きをしなくてはならない。
さすがにボロボロの服で王都に向かうわけにもいかないので唯一のまともな服を着る。
指輪もお金も持ったし、後は継母に気付かれないように家を出るだけ。
こういう時に使用人が最低限すらいないことは有利に働いた。
きっと使用人に支払う給金をケチったからだと思うし、私を虐げる理由にもなるのだから継母にとっては都合が良かったのだろう。
こうして私は秘かに家を出て王都へ向かう馬車へと乗り込んだ。
今頃継母は私がいないことに気付いて慌てているかもしれない。
今度会うときには私がアラベリー伯爵となっているだろう。
文句を言うようなら排除すればいいし、そもそも義理とはいえ親子関係も清算したほうがいい。
今まで私にしてきたことを後悔させてあげる。
それにオーレンス様にも。
たかがオンネル男爵家の人間でしかないオーレンス様が私の婚約者だったことは不自然でしかない。
今になって思えば継母だけの考えでオーレンス様と婚約なんてできるはずがない。
きっとオンネル男爵も継母と共謀したのだろう。
そこも事実関係を調べて真実を明らかにしないと。
もし悪意があってのことなら制裁してあげないと。
そうでなくとも継母が私を虐げたことは許せないし、オーレンス様が私を裏切ったことも許せない。
二人はきっと重要なことを見落としているに違いない。
私に興味も関心もないのだから、私の誕生日がいつなのかも知らないのだろう。
明日は私の15歳の誕生日。
15歳になれば爵位を継ぐことができるのだから、私がアラベリー伯爵となれる。
そうなれば継母を追い出すこともできるし、継母を好きだと言ったオーレンス様も一緒に排除できる。
まさかとは思うけど爵位を継いだ私に復縁なんて申し込んだりはしないだろう。
もう後には退けない。
こうなったら速やかに私が爵位を継いで正式なアラベリー家当主として継母もオーレンス様も排除するしかない。
もうこれ以上好き勝手にはさせない。
そのためには王都に行って手続きをしないといけない。
私がすべきことは決まったし覚悟もできた。
* * * * * * * * * *
帰宅した私を待っていたのは馬鹿にするようにニヤついた継母だった。
「オーレンス様に婚約破棄されたの?残念だったわね」
「……そうですね」
このタイミングで知っているなんて耳が早すぎる。
むしろ最初から婚約破棄されることを知っていたと考えるほうが自然。
それは継母とオーレンス様が繋がっていることの証明でもある。
「アンジェの魅力なんて、そんなものなのよ。婚約者なんて分不相応だわ」
「………本当にそう思います」
私を嵌めるための婚約者なんていらない。
そんな相手が私の婚約者なんて分不相応にも程がある。
そもそもオーレンス様はオンネル男爵家の人間だから、私とは釣り合いが取れていない。
両家の結びつきを深めるメリットは当家には無いように思えるし。
でもそれすらも継母が仕組んだことなら腑に落ちる。
「あら、随分と殊勝なのね」
「自分が間違っていることに気付きましたから」
信じていた私が間違っていた。
継母にもお父様が選んだ相手だからと甘く対応したのが間違いだった。
間違った対応をしてきたことを後悔するけど、もう後悔しないように振る舞うと決めた。
「ふーん、そうだったの。そんなことより今日の分の掃除を早くしなさい」
「はい」
だからもう私は容赦しない。
いい気分になれるのも今のうちだけ。
* * * * * * * * * *
私は掃除するように見せかけ、必要な物を調達した。
何よりも忘れてはいけない物がアラベリー伯爵だと証明する指輪。
お父様が亡くなる前に私に隠し場所を教えてくれたので、継母は指輪の存在すら知らないだろう。
忘れずに回収しないと私の身分を証明できず、王都へ行く意味がなくなってしまう。
王都へ向かうための資金も忘れてはいけない。
アラベリー伯爵領から王都までは馬車で三日ほどの距離になる。
馬車代も、それに宿代も必要になる。
その程度の資金ならこっそり頂いてもバレないだろうし、そもそもアラベリー伯爵家の財産なのだから私が使っても問題はない。
法で決められているから継母が管理しているけど、私のために適切にお金を使わないのは大問題。
その辺も含めて後で追及することにする。
でも今は王都へ向かって私がアラベリー伯爵位を継ぐ手続きをしなくてはならない。
さすがにボロボロの服で王都に向かうわけにもいかないので唯一のまともな服を着る。
指輪もお金も持ったし、後は継母に気付かれないように家を出るだけ。
こういう時に使用人が最低限すらいないことは有利に働いた。
きっと使用人に支払う給金をケチったからだと思うし、私を虐げる理由にもなるのだから継母にとっては都合が良かったのだろう。
こうして私は秘かに家を出て王都へ向かう馬車へと乗り込んだ。
今頃継母は私がいないことに気付いて慌てているかもしれない。
今度会うときには私がアラベリー伯爵となっているだろう。
文句を言うようなら排除すればいいし、そもそも義理とはいえ親子関係も清算したほうがいい。
今まで私にしてきたことを後悔させてあげる。
それにオーレンス様にも。
たかがオンネル男爵家の人間でしかないオーレンス様が私の婚約者だったことは不自然でしかない。
今になって思えば継母だけの考えでオーレンス様と婚約なんてできるはずがない。
きっとオンネル男爵も継母と共謀したのだろう。
そこも事実関係を調べて真実を明らかにしないと。
もし悪意があってのことなら制裁してあげないと。
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