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2019年10月15日。『大人ルパン』と『洗練』された絵

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 10月15日。

 今回は話題を2つに分けよう。

 まず、昨日はレンタルしてきたルパン三世の『次元大介の墓標』を観た。以前には今作の続編にあたる『血煙の石川五ェ門』も観たことがある。

 50分程度の中編映画なのに、レンタルDVDにすると何故か前後編に分かれて25分×2本で観なければならないのが少々気に食わないが(レンタルでも1作品なのに2本借りた扱い。出費がかさむ)……さすが原作が世に出てから50年続く名作。素晴らしいクオリティーだ。

 今作は小池健監督が務める通称『大人ルパン』『小池ルパン』シリーズのひとつだ。全体に原作の危険な魅力を持ったハードボイルドな雰囲気が漂う。

 アニメのルパン三世のPart2以降のコミカルで子供も観るような明るい内容のルパン三世も好きだが、先に観た『血煙』や、まだちょっと齧った程度だが『峰不二子という女』のような危険でハードボイルドな雰囲気のルパンも大好きになった。

 まず、作画に男臭さとダーティーな魅力に溢れている。これは原作のテイストを重んじたからとどこかで聞いた気がする。

 そして人を滅多に殺さない『義賊』としてのルパンではなく、障害となるものは容赦なく殺したり、仲間が窮地に陥っても時と場合と相手によっては『何もしない』という選択を取る場面などに、大人の渋さやドライさが溢れている。

 宮崎駿が監督を務めたアニメ映画以降『義賊』としての優しいルパンのイメージが定着していたが、原作のモンキー・パンチ氏は『俺のルパンは後ろから撃つぞ!』と簡単には認めなかった。自らが監督を務めた作でも、ルパンが敵を後ろから刺すシーンを作ろうとしたが、脚本家に止められたという。


 それは、創作者としては悪い意味で堪らない仕打ちだろうな、と思った。原作者の意図しない表現や脚本の改変は今や珍しくはない。珍しくはないが、原作者にとっては嫌なことこの上ないだろう。ましてや原作者が監督としてメガホンを執っているのに別の脚本家に却下されるなど、道理が合わないではないか。


 そういうモンキー・パンチ氏の想いも含めて、通称『大人ルパン』シリーズは氏にとっての大きな餞ではないだろうか。

 俄然『ルパン』を知りたくなってきた。何とか原作を読み集めよう。勿論アニメシリーズも全て観る気概で。


 話題性や人気のある作品は、人に支持され続ける『何か』がある。50年以上支持され続ける『ルパン三世』なら尚のことだろう。

 モンキー・パンチ氏の没後間もなく、実はデジタル作画のパイオニアであったことが話題になった(氏をよく知る人なら一般知識だったろうが)。氏も常に新しい力と要素を模索し続けた作家人生だったに違いない。故人に敬意を表して、自分も精進しよう。


 そして話は変わるが、作画といえば、最近実に15年振りかと思われるほど久々に週刊少年ジャンプを手に取った。

 高校生ぐらいまでは毎週定期購読していたのだが、段々毎週290円、月にして毎月1160円も出して漫画雑誌を買うのが億劫になってしまった(僕が高校生の当時で230円だったからそれでも毎月920円。学生当時小遣い5000円でよく頑張った!)。

 高校生以降はアニメ誌や月刊のジャンプSQ、ウルトラジャンプなどを買っていた時期もあったが、やはり目当ての漫画やコラム以外を読むのに定期購読は辛くなり単行本派となった。


 そして最近は学生時代バレーボール部だった母がどハマりしている『ハイキュー!!』を単行本で付き合って読んでいた訳だが……母がどうしても単行本より先の展開が気になったので、本誌を買ってきてしまった。それで高校生ぶりに手に取ったという訳だ。

 今をときめくジャンプ漫画がどんなものか、まだ熟読はしていない。

 熟読はしていないが、パラパラとページを捲って絵を見ていっただけで解ったことがある。



 ――なんだ、この絵のレベルの高さは。10年20何前では『なんでこんなのが載ってるの?』というレベルの絵が必ずあったものだが、画力が及第点に達してない作品がひとつもない。


 漫画文化も長く続き、時代は進み……それこそデジタル作画も多くなり、数々の教則本や参考書も簡単に手に入る御時世。そして漫画家たちは皆、途方もない努力を続けている。

 故に、『ジャンプ』はもはや洗練され切った。


 だが、最も惜しく、最も難しい問題もある。

 沢山勉強して洗練されてくれば、絵は整った作画になる。ストーリーテリングや演出も磨かれる。確かなロジックとセオリーに従って漫画が描けるようになってくる。この時点で僕も含めて凡百の作家には真似出来ないレベルにまで達している!


 だが――――それゆえ、その作家が原始的な創作の欲求に従って創る『個性』が埋もれてしまうと思うのだ。


 洗練されつつも『個性』が埋没してしまった漫画は、高級ブランドの工芸品の如く扱われる。高い技術と知識で創られているが、それ以上の『唯一無二』な芸術品にはなかなかなれない。


 何らかの手段や経験、はたまた才能を真に開花させないと『個性』を前面に出しつつ『洗練された』作品はなかなか生まれないのだ。そこさえ限界突破出来れば『唯一無二』の作品が創れる!!


 そういう意味では今の『ジャンプ』は非常に惜しいと共に、大いなる可能性を感じた。


 もしも、限界突破し『唯一無二』となった作家がこのまま現れ続ければ……かつての『ジャンプ黄金期』を超えることも夢ではないかもしれない…………。


 まあ、こうして知った風な口を利く僕だが、プロの、それも『ジャンプ』に携わるような人たちは皆、雲の上の人たちだ。逆立ちしても到達出来る気がしない。


 自分には自分なりの『挑戦』があると信じて創作に勤しみたいものだ。まずは創作を楽しみ切ること。そこからだ。
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