17 / 95
2019年10月17日。『感傷のゾーン状態』
しおりを挟む
10月17日。
昨夜は母と気まずい雰囲気のまま一日が終わってしまった。お互いに気持ちの余裕がないのに会話をしようとしてしまったためだ。反省。
その反動なのかは分からないがドラゴンボールの夢を見た。別にドラゴンボールだからと言って悟空たちが闘っていたわけではないのだが、何となく『勇気を持て』と心の底から呼びかけられているような気分になった。
幼少の頃の体験として、僕の場合は闘争心や勇気の象徴がドラゴンボールらしい(世代さえ合えばそういう人はかなり多そうだが)。好きな話はセル戦での親子かめはめ波と劇場版のメタルクウラ戦だ。同率で去年公開されたドラゴンボール超ブロリー。いずれも絶妙なタイミングでベジータのアシストが無ければ勝てない闘いだ…………。
特別気持ちが荒れているわけではないが、何だか涙を流して泣きそうな気分が今朝はあった。『静かに高揚している』。ドラゴンボールの世界の中の熱く切実な魂に感化されていたのだろうか。
こういうのも『ゾーン状態』と言うのだろうか?
少し前にスポーツなどで話題になった極度の集中状態であるゾーン状態。主にスポーツや格闘技の分野で極限と言えるパフォーマンスが可能となる理想の精神状態だ。
僕はこれをスポーツや格闘技などの運動能力やそれに伴う五感が研ぎ澄まされる状態かと思っていたのだが、もしかしたら創作活動をしている最中でも『ゾーン状態』か、それに類するような精神状態があるのではないかと思うようになった。
僕がまだ作業所に通っておらず、専門学校も中退して茫漠と、鬱々とした気持ちで過ごしていた時期……そんな精神は勿論、肉体の生活リズムも取れていなかった時期に『その状態』はよく起こった。
そして、『その状態』に入っていると、魂の底から豊かで湿った言葉と情感が溢れるほど湧いてきて、周囲から『ちょっと、凄いね』と思われるほど詩的な文章表現が出来たのだ。
ネガティブな、鬱状態でありながら、感傷に浸り、高度に情感豊かで繊細な創作表現が可能な状態。
僕はのちにそれを『感傷のゾーン状態』と呼ぶようにした。
そうして書き上げたのが処女作『暁が教えてくれたもの。』だ。文章としての纏める力や技巧はサッパリでめちゃくちゃなのだが、登場する中学生たちの繊細な心理描写や風景の描写ををある程度美しく表現出来たのだ。
今は作業所に通っているお陰か、生活リズムが安定し、精神的にも安定し……やがて『感傷のゾーン状態』に入る頻度は少なくなった。生活リズムが満足に取れないと創作より先に日常生活がままならないのでこれは仕方の無いことだろう。
そんな『感傷のゾーン状態』に久々に入った気がした。『弱い自分に負けず勇気を持って生きなければ!』……そんな自分の中の無意識下にあった想いが静かに、しかし強く響いた気がした。そして涙が出そうになった。
ちなみに、今でも『感傷のゾーン状態』に入ったまま創作活動に入れないこともない。
作業所に通う前のふにゃふにゃの弱い精神から起きるゾーン状態にはなかなかなれないが、自分が創ろうとしている作品に合う音楽などを聴いたり、別の作家の作品を鑑賞して自分の気持ちを高める。
具体例を言うと、繊細な心理描写の切ないシーンを書く時はとことん切ない音楽を聴きまくり、既存の漫画や動画などで感傷的な気分になる場面を反芻する。
逆に、闘争心漲る戦闘シーンなどを書く時はゲーム音楽の戦闘曲やオーケストラアレンジを聴き込んだり、それこそドラゴンボールなどのアクションシーンをなどを観て戦意を高揚させ、なるべく戦っている登場人物の心情に近づく。
こう書いてみると、意外に普通に作家が皆やっていることである。
だが、こういった月並みな方法でも、完璧とまではいかずとも、微弱なゾーン状態へ持っていける。調子が良ければそれこそ『感傷のゾーン状態』へ至ることもある。とにかく音楽や映像などを取り入れて気持ちを高めるのだ。
そうして作者自身の気持ちを高めて、作者の中から嘘のない過程で登場人物を創作したり心理描写出来れば、僕にとっては占めたもの。自分のインナースペース、根源から生まれいずる登場人物をイメージ出来れば……いかようにもその登場人物の心理に嘘のない行動を取らせることが出来る。
作家の中には登場人物もストーリーも完全に管理統制したい、という人もいるだろうし、それも人によるからどれが正解とは言えない。言えないが、少なくとも僕のように登場人物が自分の精神と共に在り、自由に出入りしたり物語を動かすように委ねれば、後は彼らの為に何をしてあげられるかを考えて手を動かすだけだ。親心に近いかも。
逆に、自分の気持ちのままに書いているとキャラが暴走して、描きたいシナリオが大きく乱れるからそういうのは矯正したい、という人もいるだろう。僕の場合は自分の気持ちに素直に書くだけだが、中には徹底した合理主義で私情を排除して作劇をする方が納得解である人もいる。自分の生理に合うやり方を模索すべきだ。
話が逸れたが、要するに創作活動をしている作家にもスポーツなどで発揮されるような創作的なゾーン状態があるのではないか、という僕なりの体験を伴った仮説のようなものだ。
「そんなもんありませんよ……」という人も失望するなかれ。人間の精神は訓練出来るものだし、自分の日常で感じる感情もゾーン状態に近い状態へと至る素材のひとつだ。
案外、物語の世界において作者と作品内のあらゆる気持ちの在り方を意識し続ければ、『感傷のゾーン状態』はある時来るかもしれない。
少なくとも、自分で物語を創作したり、漫画を描いたり、絵を描いたりするほとんどの人には、それだけで『才能』であり、高度な精神集中状態へ至る素養があるのだから。
昨夜は母と気まずい雰囲気のまま一日が終わってしまった。お互いに気持ちの余裕がないのに会話をしようとしてしまったためだ。反省。
その反動なのかは分からないがドラゴンボールの夢を見た。別にドラゴンボールだからと言って悟空たちが闘っていたわけではないのだが、何となく『勇気を持て』と心の底から呼びかけられているような気分になった。
幼少の頃の体験として、僕の場合は闘争心や勇気の象徴がドラゴンボールらしい(世代さえ合えばそういう人はかなり多そうだが)。好きな話はセル戦での親子かめはめ波と劇場版のメタルクウラ戦だ。同率で去年公開されたドラゴンボール超ブロリー。いずれも絶妙なタイミングでベジータのアシストが無ければ勝てない闘いだ…………。
特別気持ちが荒れているわけではないが、何だか涙を流して泣きそうな気分が今朝はあった。『静かに高揚している』。ドラゴンボールの世界の中の熱く切実な魂に感化されていたのだろうか。
こういうのも『ゾーン状態』と言うのだろうか?
少し前にスポーツなどで話題になった極度の集中状態であるゾーン状態。主にスポーツや格闘技の分野で極限と言えるパフォーマンスが可能となる理想の精神状態だ。
僕はこれをスポーツや格闘技などの運動能力やそれに伴う五感が研ぎ澄まされる状態かと思っていたのだが、もしかしたら創作活動をしている最中でも『ゾーン状態』か、それに類するような精神状態があるのではないかと思うようになった。
僕がまだ作業所に通っておらず、専門学校も中退して茫漠と、鬱々とした気持ちで過ごしていた時期……そんな精神は勿論、肉体の生活リズムも取れていなかった時期に『その状態』はよく起こった。
そして、『その状態』に入っていると、魂の底から豊かで湿った言葉と情感が溢れるほど湧いてきて、周囲から『ちょっと、凄いね』と思われるほど詩的な文章表現が出来たのだ。
ネガティブな、鬱状態でありながら、感傷に浸り、高度に情感豊かで繊細な創作表現が可能な状態。
僕はのちにそれを『感傷のゾーン状態』と呼ぶようにした。
そうして書き上げたのが処女作『暁が教えてくれたもの。』だ。文章としての纏める力や技巧はサッパリでめちゃくちゃなのだが、登場する中学生たちの繊細な心理描写や風景の描写ををある程度美しく表現出来たのだ。
今は作業所に通っているお陰か、生活リズムが安定し、精神的にも安定し……やがて『感傷のゾーン状態』に入る頻度は少なくなった。生活リズムが満足に取れないと創作より先に日常生活がままならないのでこれは仕方の無いことだろう。
そんな『感傷のゾーン状態』に久々に入った気がした。『弱い自分に負けず勇気を持って生きなければ!』……そんな自分の中の無意識下にあった想いが静かに、しかし強く響いた気がした。そして涙が出そうになった。
ちなみに、今でも『感傷のゾーン状態』に入ったまま創作活動に入れないこともない。
作業所に通う前のふにゃふにゃの弱い精神から起きるゾーン状態にはなかなかなれないが、自分が創ろうとしている作品に合う音楽などを聴いたり、別の作家の作品を鑑賞して自分の気持ちを高める。
具体例を言うと、繊細な心理描写の切ないシーンを書く時はとことん切ない音楽を聴きまくり、既存の漫画や動画などで感傷的な気分になる場面を反芻する。
逆に、闘争心漲る戦闘シーンなどを書く時はゲーム音楽の戦闘曲やオーケストラアレンジを聴き込んだり、それこそドラゴンボールなどのアクションシーンをなどを観て戦意を高揚させ、なるべく戦っている登場人物の心情に近づく。
こう書いてみると、意外に普通に作家が皆やっていることである。
だが、こういった月並みな方法でも、完璧とまではいかずとも、微弱なゾーン状態へ持っていける。調子が良ければそれこそ『感傷のゾーン状態』へ至ることもある。とにかく音楽や映像などを取り入れて気持ちを高めるのだ。
そうして作者自身の気持ちを高めて、作者の中から嘘のない過程で登場人物を創作したり心理描写出来れば、僕にとっては占めたもの。自分のインナースペース、根源から生まれいずる登場人物をイメージ出来れば……いかようにもその登場人物の心理に嘘のない行動を取らせることが出来る。
作家の中には登場人物もストーリーも完全に管理統制したい、という人もいるだろうし、それも人によるからどれが正解とは言えない。言えないが、少なくとも僕のように登場人物が自分の精神と共に在り、自由に出入りしたり物語を動かすように委ねれば、後は彼らの為に何をしてあげられるかを考えて手を動かすだけだ。親心に近いかも。
逆に、自分の気持ちのままに書いているとキャラが暴走して、描きたいシナリオが大きく乱れるからそういうのは矯正したい、という人もいるだろう。僕の場合は自分の気持ちに素直に書くだけだが、中には徹底した合理主義で私情を排除して作劇をする方が納得解である人もいる。自分の生理に合うやり方を模索すべきだ。
話が逸れたが、要するに創作活動をしている作家にもスポーツなどで発揮されるような創作的なゾーン状態があるのではないか、という僕なりの体験を伴った仮説のようなものだ。
「そんなもんありませんよ……」という人も失望するなかれ。人間の精神は訓練出来るものだし、自分の日常で感じる感情もゾーン状態に近い状態へと至る素材のひとつだ。
案外、物語の世界において作者と作品内のあらゆる気持ちの在り方を意識し続ければ、『感傷のゾーン状態』はある時来るかもしれない。
少なくとも、自分で物語を創作したり、漫画を描いたり、絵を描いたりするほとんどの人には、それだけで『才能』であり、高度な精神集中状態へ至る素養があるのだから。
0
あなたにおすすめの小説
百合ランジェリーカフェにようこそ!
楠富 つかさ
青春
主人公、下条藍はバイトを探すちょっと胸が大きい普通の女子大生。ある日、同じサークルの先輩からバイト先を紹介してもらうのだが、そこは男子禁制のカフェ併設ランジェリーショップで!?
ちょっとハレンチなお仕事カフェライフ、始まります!!
※この物語はフィクションであり実在の人物・団体・法律とは一切関係ありません。
表紙画像はAIイラストです。下着が生成できないのでビキニで代用しています。
あるフィギュアスケーターの性事情
蔵屋
恋愛
この小説はフィクションです。
しかし、そのようなことが現実にあったかもしれません。
何故ならどんな人間も、悪魔や邪神や悪神に憑依された偽善者なのですから。
この物語は浅岡結衣(16才)とそのコーチ(25才)の恋の物語。
そのコーチの名前は高木文哉(25才)という。
この物語はフィクションです。
実在の人物、団体等とは、一切関係がありません。
どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~
さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」
あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。
弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。
弟とは凄く仲が良いの!
それはそれはものすごく‥‥‥
「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」
そんな関係のあたしたち。
でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥
「うそっ! お腹が出て来てる!?」
お姉ちゃんの秘密の悩みです。
中1でEカップって巨乳だから熱く甘く生きたいと思う真理(マリー)と小説家を目指す男子、光(みつ)のラブな日常物語
jun( ̄▽ ̄)ノ
大衆娯楽
中1でバスト92cmのブラはEカップというマリーと小説家を目指す男子、光の日常ラブ
★作品はマリーの語り、一人称で進行します。
ママと中学生の僕
キムラエス
大衆娯楽
「ママと僕」は、中学生編、高校生編、大学生編の3部作で、本編は中学生編になります。ママは子供の時に両親を事故で亡くしており、結婚後に夫を病気で失い、身内として残された僕に精神的に依存をするようになる。幼少期の「僕」はそのママの依存が嬉しく、素敵なママに甘える閉鎖的な生活を当たり前のことと考える。成長し、性に目覚め始めた中学生の「僕」は自分の性もママとの日常の中で処理すべきものと疑わず、ママも戸惑いながらもママに甘える「僕」に満足する。ママも僕もそうした行為が少なからず社会規範に反していることは理解しているが、ママとの甘美な繋がりは解消できずに戸惑いながらも続く「ママと中学生の僕」の営みを描いてみました。
天才天然天使様こと『三天美女』の汐崎真凜に勝手に婚姻届を出され、いつの間にか天使の旦那になったのだが...。【動画投稿】
田中又雄
恋愛
18の誕生日を迎えたその翌日のこと。
俺は分籍届を出すべく役所に来ていた...のだが。
「えっと...結論から申し上げますと...こちらの手続きは不要ですね」「...え?どういうことですか?」「昨日、婚姻届を出されているので親御様とは別の戸籍が作られていますので...」「...はい?」
そうやら俺は知らないうちに結婚していたようだった。
「あの...相手の人の名前は?」
「...汐崎真凛様...という方ですね」
その名前には心当たりがあった。
天才的な頭脳、マイペースで天然な性格、天使のような見た目から『三天美女』なんて呼ばれているうちの高校のアイドル的存在。
こうして俺は天使との-1日婚がスタートしたのだった。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる