マグナムブレイカー

サカキマンZET

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第2章 魔導使い襲来。

第57話 パーマ、坊主の一般人ならではの受け入れられない状況。

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 吹雪と南雲が輝に修行を頼み、一ヶ月は余裕で過ぎた。二人がやっている修行内容は肉体作りしながらガタイを良くする内容だった。
 吹雪は黒い普通のジャージ。南雲は黄色で胸の中心に白いロゴで『YES天才? NO天災?』と書かれた独特なジャージを着ていた。
 二人は運動で出た汗を流しながら腕立て伏せを頑張っていた。

「…南雲、何回やった?」

「まだ、百も行ってない。五十回付近だ。」

「俺もだ…これってさ『覇気』を完璧に扱うのに必要な修行か?」

「黙ってやってろ、今の俺達に足りねぇのは品川修二に殴られても、簡単に気絶しない精神力と肉体を作るって柏木さんが言ってただろ?」

「でもさ、一ヶ月これだぜ? 流石に飽きてきたよな?」

 二人が筋トレしている場所は、白く何もない空間で文句を吐きながら鍛練していた。

「まあな。一日で輝さんが出すノルマで鍛えるって意味分かんねぇのは確かだな。このまま体の調子を見て体を作れば良いのによ。」

 二人は一ヶ月も腕立て伏せ、腹筋、背筋、スクワットという一般的な鍛練しかやらせてもらえなかった。
 最初の修行を始める際、輝に『覇気』を見せて、難しそうな表情が浮かび、暫くは筋トレで我慢してと指示されながら渋々やっている感じだった。

「絶対、『覇気』の使い方に問題があったからこうなってんだろうな。」

「だろうな。」

 そして一心不乱に腕立て伏せを続けていると扉が上へ開き、誰かが近づいて来た。

「…吹雪雅人と南雲暖人か?」

 二人は自分の名前が呼ばれると顔だけ上げ、腕立て伏せは続けながら見ていた。

「今から、お前等の師匠になる鬼塚弘人だ。戦い方を教えてやれと聞いているから、今すぐ腕立て伏せを止めて構えろ、時間がない。」

 教官が来たと分かると二人は腕立て伏せを終了させ、ようやく出番かという感じで立ち上がり、鬼塚を見た。

「オッサンさ、どんな『覇気使い』なんだ? もしかして神崎忍みたいに強いのか?」

「忍を知ってんのか? 忍みたいじゃなくて忍以上に強いっていうのが正しいんだよ。」

 二人は言葉の意味が理解できなかった。この世で忍に勝てる人物は、修二ぐらいしか思っていなかったので、悪い冗談で言っている感覚だった。
 だが、その考えは改めさせられる事になる。

「先ずは構えて、俺を…殺す気で掛かって来いよ。ケツの青い小僧共。」

 鬼塚は人差し指を向けて数回曲げ、掛かって来いという分かりやすい挑発だった。

「南雲、手ぇ出すなよ? このオッサンは俺がやるぜ。」

 鬼塚の挑発に対して我慢にならなかったのか、南雲には手を出すなと念押し、一人で特攻した。
 置いてきぼりを喰らった南雲は仕方ねぇなというばかりに、座り込み、ゆったりと見物していた。
 手始めに吹雪は長年培った技術、右足払いで相手の力量を測った。が、それは見事に看破され距離を鬼塚に取られていた。

「ふざけた真似しねぇで、二人で真っ直ぐ来い。テメェ等に足りない物を教えてやるからよ。」

「へっ! そう言って油断してのはそっちじゃねぇのか?」

 吹雪はニヤリと不気味な微笑みを見せて、足下へ指差していた。
 鬼塚は言われた通りに目線だけを下へ向けて確認する。と、吹雪の汚く不意討ちな右膝蹴りが迫っていた。
 鬼塚は咄嗟の反射神経で両手を使い、防御した。

「げっ! マジかよ、大体の奴はコレでノックアウトなのによ。」

「鍛え方が違うんだよ。」

「じゃあ、これはどうだ!」

 吹雪は鬼塚へ体を使い飛び掛かり、頭をガッチリと掴んだ。そして素早く勢いよく自分の頭を引き、頭突きで攻撃した。
 南雲は吹雪の攻撃に対して痛そうな顔をしていた。が、それはすぐに否定された。

「今、何かやったか?」

 鬼塚はなんとも無かったように平気な様子で、呆然としていた。

「嘘だろ…!」

「人間なら猛烈な痛みで、暫くは悶絶するだろうが俺には通用せんさ。それより…邪魔だ。」

 鬼塚は首を徐々に動かし、力のみで高速回転させた。
 吹雪は遠心力で振り回され、掴む力が維持できず南雲の所まで吹っ飛ばされた。

「お前等に与える課題は三つだ。一つ、俺と二ヶ月は遊んで貰う。二つ、遊んでいる最中に死んでも責任は取らん。三つ…二人で本気で掛かって来い、そうじゃないと本当に死ぬぞ?」

 鬼塚から犇々と伝わってくるドス黒い殺意の波動は二人を支配した。
 そして二人は思った。コイツは確かに忍以上だと…。

「…なあ? あのオッサンの言われた通りに協力してやるか?」

 これでは鬼塚に勝てないと思った、吹雪は渋々と南雲へ協力を提案した。

「…しゃあねぇな。息を合わせろよ、天才が凡人に手を貸してやるんだからな!」

 南雲は歓喜の表情を浮かべて立ち上がり、青い静電気を体へと全身に走らせた。

「そうじゃないとな。やっぱ人間はーー最高な存在だな。」

 鬼塚も自分の望みが、叶うと狂気的な笑みを二人へ浮かべていた。
 そんな鬼塚に二人は頬を引き吊らせ、愛想笑いしていた。が、二人はなんとか目前にいる敵へ集中していた。

「どうする? 相手の動きを止めつつ、マウント取ってボコるか?」

「さっきの耐久力を体験しただろ。あの程度の攻撃で倒れてんなら俺なんか出ねぇよ。ここは『覇気』を使って一日を凌ぐ。」

「それってリスク高過ぎねぇか? 今日、生きられたとしても明日は生き残れる可能性ってあるか?」

 お互いは思考錯誤して相談しながら鬼塚の対策を練っていた。

「お前等! 今日、生きるとか明日、生き残れる話とかしてるけどよ!? 今、戦わねぇと今日も明日も来ねぇぞ!」

 鬼塚の言葉に二人は納得し、アレやコレや考えるのを止めて、突如と飛び掛かった。

「おいおい。考えなしで突っ込むって…!」

 鬼塚は二人が何も考えず、真っ直ぐに突っ込んで来ると呆れて思っていた。が、吹雪の両手から目眩ましの冷気を放った。
 鬼塚の眼球は一瞬で冷えきり、瞬時へ目を閉じた。
 その隙に南雲が背後へ回り、親指と人差し指で間を作り、スタンガンの要領で発電させていた。そして南雲は、がら空きな鬼塚の背中に気絶させられる程の電流を流した。
 マトモに電流を喰らった鬼塚は感電し、体は全体へと伝わり痺れた。

「やったぜ!」

 吹雪と南雲は猛烈な反撃をされないよう、鬼塚から遠く離れて様子を見ていた。

「あ~マジかよ。こんな俺ってこんなに弱くなってたのか……楽しくなってきた。」

 これだけダメージを受けても戦意損失等せず、楽しく気持ちの悪い笑顔を見せていた。

「…マゾかよ。」

「マゾよりタチ悪いぞ。ここまでやっても倒れないし、諦めない…どうする? 毎日、全力出して尽きるまで戦うか。今日は休ませてもらうかだ。」

「後者が良いな。でもよ、できるなら強くなりてぇから…お互いに休みながら戦うっていうのはどうだ?」

「…どうすんだ? 策でもあんのか?」

「アイツを疲れさせて生き残るのは?」

 吹雪の妙案に対し、南雲は暫く考えた。が、鬼塚を見て、何か閃いたのか吹雪の案に乗ることにした。

「じゃあ、お前が先に休め。俺がなんとして、一時間交代だ。」

「オッケー、じゃあ一時間交代を六回だな。」

 そう言うと吹雪は息を整え、じっくりと座り込んで休んでいた。

「次は俺が相手だ。」

「さっきまでの話を聞いていなかったのか? お前等、二人で掛かってこねぇと釣り合いが合わねぇだろ?」

「それはテメェの加減だろうがオッサン。確かに神崎忍より強いが、力に溺れる奴は俺みたいなチンピラに負ける事になるぜ!」

 南雲は更に体へ電流を流した。バチバチと電気が鳴り響き、南雲は準備するように深呼吸をしていた。

「俺はよ。品川修二に負けてから、この五年間何もしなかった訳じゃねぇ。どれだけ雷を操れて、何処まで攻撃できる範囲があるのか独自に調べて…そして見つけた。雷を遠くまで飛ばし、吸収してくれる物…避雷針だ。」

 南雲はポケットからゲージメーター数が表示されている。小さくて細い、避雷針を取り出した。
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