24 / 869
24:無意識
しおりを挟む砕けた砂漠石のコップを元に戻し、
穴の開いたテーブルは、なぜかそのままにしておくといった。
「なるほど、そのタンサンスイを作るのに空気の弾が出る銃を作ってしまって、
自分の足に撃ち込んだと。」
「いや、そうなんだけど、ちょっと違うような?」
「・・・完全に治したのか?」
「ん?穴が開いたからね。
体は動き出してるから、血を止めるだけじゃだめだと思って塞いだつもり。」
「動きがぎこちないのは?」
「いや、床にこけたときの打ち身ぐらい甘受しとこうかなって。
母さんにあんたはすぐ痛みを忘れるって言われてたから。
ここでこれまで治しちゃうとまたおんなじことしそうで。」
「打ち身?痛いのか?」
「いや、あおたんが出来てる感じじゃない?」
「見せてみろ?」
「え?なんで? 驚かしたのは悪いかったけど、見せるほどでもないし、
大丈夫だよ?」
『・・・見せろ』
「えーっと、マティス君?さっきから言霊っていうか力使ってんだけど、
気づいてる?」
抵抗できるが、素直に受け入れたい欲求のほうが大きい。
怖いなこれ。
シャツをたくし上げ、ズボンを絞めているひもを緩めて下に下した。
なんの罰ゲームだ。
貫通した形跡は残ってないが
腰骨あたりを強打したのかかなりの面積で内出血していた。
おパンツも上に引っ張る。範囲が広い。
あらら、これは痛いな。
マティスが顔をしかめる。
あんた、槍で刺した時でもそんな顔しなかったのに。
要約すれば自分の足を造った銃で撃ちました、と、言うことだ。
話の中で彼女の母君も出てきたが、苦労がしのばれる。
話しぶりでは母君はもう存命していないようだ。
結果を想像するというのは子供のころから常日頃行っていたようだ。
結果が違うだけと主張しているが、この世界ではその想像した結果が現れているのか?
血も何もか戻す力はすごい。
しかし、椅子に腰かける動作がぎこちない。
まだどこか怪我しているのか?
見せろといったが、嫌がった。もう一度力強く言うと、先ほどから力を使っているという。
そうなのか?
そういいつつも、シャツを上げズボンを下す。
白く肉付きのいい足が現れその下着の下に青紫の内出血の後を見た。
彼女も驚きながら下着を上まで上げる。手のひらより大きい。
痕になるのではないか?いやだ。
そう思うと彼女の前に跪き、腰を抱き寄せその箇所に口づけをした。
治って。
彼女が息をのむのが聞こえた。
マティスが跪き打ち身の個所にキスを落とした。
見る間に痛みと青紫に変色した肌が消えていく。
ああ、力を無意識に使っている。
「マティス、マティス。
だめよ、これはたぶんだめだ。無意識すぎる。
わたしも力を使うけど、意識している。声色を変えている。
そうしないと際限がなくなる。それは怖いことよ。
ね?石を使わなくてもどこかでブレーキをかけないと。
ああ、だから統治者は石を使うようにしてるんだ。
そう思い込ませている。たぶん昔から。
ね?わたしも気を付ける。だからマティスも気を付けて。意識して。ね?」
マティスは青ざめ泣きそうになった。
ことの重大さに気付いたのだろう。わたしもだ。
おもうままになってしまったら、それはある意味地獄だ。
なにも希望も持てない。
「あ、あとが残ると思った。いやだった。きれいな体に傷が残るのは嫌だったんだ」
「うん、うん、ありがとう。わたしのためにしてくれたんだね。
治してくれるのはうれしいよ。でもこれからは意識して。言葉に出して。
それだけできっと大丈夫。ね?」
泣きながら頷いた。
震えるマティスを抱きしめたが、冷たい。風呂上りなのに?
そんなに時間はたっていないだろう?
「からだ冷たいよ?どうして?ぬるいまま入ってたの?」
「水を浴びた。」
「え?なんで?熱かった?」
「いや、違う。・・・あんたと一緒にいたいと思った。
いろんなものを知らないものを作ってくれるからじゃない。
でも、それがないとは言い切れない。
でも、そんなことより抱きたいと思った。ずっと思っていた。それが恥ずかしくて、水を浴びたんだ。」
「・・・おお、そう。正直ね。そういうのゆっちゃうんだね。」
「?言葉にしろといった!!」
「ふふ、そうね。無意識力を使われたら困るもの。たぶん、いやだと思わないから抵抗できないよ。」
「嫌じゃないのか?同意してくれるのか?」
「はは、うん、そうね。うん、抱いてほしいな。
あ、でも、お風呂に先に入りたい。マティスも一緒にはいろうか?どうだった?お風呂?よかった?」
「いっしょに入るのか?え?それはお前の世界では普通なのか?え?」
「普通というか、家族風呂とかあるし、そこまで珍しいことでもないよ?」
「契を交わした夫婦でも一緒に湯あみはしない。手伝うことは有るが。」
「うーん、お風呂が一般的じゃないからじゃないの?んじゃ、やめとく?」
「いや、入る。」
「即答だね。あ、石鹸貸してね。」
「・・・また、そんなこと。夫婦でも同じ香りはまとわない。」
「いや、そうなの?でも、わたしもってないし、
その香り?違うのある?石鹸の原理を中途半端にしってるから逆に作れない。」
そうなのだ。漠然としたものは想像通りになるが、
へたな知識があるとこれは違うって思ってしまう。なので作れない。
「・・・この香りだが嫌ではないか?」
そういうとわたしの方を抱き寄せ自分の首元に押し付けた。
あ、ベットの香りだな。いい香りだ。
というか、抱き寄せるのがなんか、スムーズだな。
「うん、好きな匂い。マティスのベットの匂いだね。」
「なっ!!そういうことは言ってはいけない!!」
「・・・基準が分からんよ。とにかく入ろう。けどさ、大体もう寝てる時間じゃないの?」
カレンダーをみれば日付が変わって3時である。
「ああ、月の光を見ないから間隔がつかめないがあと少しで月が沈む。」
マティスは暦を見てそういった。暦の光具合はわたしにはわからない。
「眠くないの?」
「眠くない。風呂にこう、一緒に。」
「はいはい、風呂に行こう。着替え取ってくるよ。」
部屋に戻り作った寝間着とおパンツを出す。
寝るときにはくおパンツはゆったりサイズ。
ちいさく切った布も。タオルってないのね。
部屋を出るときに姿見に映ったわたしは、知らずに微笑んでいた。
当分一緒に住むのだからそうなるかもしれないとはおもったけどね。
うん、わたしも彼を求めている。
12
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる