いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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82:は・み・が・き・じょうずか・なーぁ

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彼女が先に寝入ったため、軽く体を”きれい”にし、
寝床には入らず、台所に行った。
明日のパンをの仕込みをし、焼くだけの状態で、食品庫に入れておく。
これだけあれば当分大丈夫であろう。

目が冴えたので、そのまま、外に移動した。
扉君にはよろしく頼むと声だけ掛ける。

ちょうど月が昇ったあたりだ。
2つの月もだいぶ離れてきた。


空に浮かび、高く高く昇る。
遠くに森が見える。手前に見えるのがタロスの木だろうか?
そのさらに向こうがティータイの街、ティータイに領主館はあるが、
ティータイと同じ規模の街があと、2つ、
辺境の村が草原もいれて4つ。
セサミナが納める辺境領土コットワッツは辺境といえど大きい。
グラシオル大陸、最大の国、ニバーセル国としては中堅規模で
砂漠に面している領土の一つ。

街に行き草原に行き、海に面している北の国ジットカーフに行こう。


この国に留まっていたのは、国のこと弟のこともあったが、
彼女が来るのをまっていたんだ。




下で彼女の気配が動く。
戻らなければ。



寝床に移動すると、また頭をぐりぐりと枕に押し付けている。
そっと、私の胸元に抱き寄せた。
彼女は鼻をひくひく鳴らし
「外の匂いがする・・・」
そういうと私の胸元をぐりぐり頭を押しつけて来た。匂い付けだったのか?

額に口づけを落とし、眠りについた。




「ご飯を炊くよ~、それをおにぎりにしてお昼にしよう。
おかずはこの前の肉巻きがいいです。」


朝飯は焼き立てパンにたっぷりの乳酪、
サボテンの葉と、ハムだ。卵はいらないという。
食べ終わり片付けを済ますと、そう彼女が宣言した。
おかずは私が作るようだ。

米を見て、またなにか呟いている。
ぬかいらない?

白くなった米を洗い、水につけておくという。
「卵つかっていい?んーと、2つ。」
「いいぞ?」

四角い浅い鍋を作り、溶いた卵を入れて器用に撒いていく。
「料理はできない、おとっつあんじゃなかったのか?」
なぜか噴き出す彼女。
「そう、おとっつあん、余計なことは言わなくていい。
料理はしないよ、まったくできないわけでもない。
ご飯を炊くのと卵焼きぐらいはできる。
それに火加減がプロなんだもの、何でもできるよ。」

よこで、サボテンの肉巻きを作る。

「あー、お醤油欲しい。」
「それはなに?」
「んー大豆から作った調味料?大豆って食べる?豆。」
「豆か?こう、薄い豆は食べるな。スープに入れたりする。
丸い豆は絞って油を出す。食用油だ。
小粒の豆はお前には出したことないが、チャクとおなじで湯でふやかして食べることある。」
「そういえばそのチャクって食べたことないね。おいしい?」
「小麦があるなら食べない。米があるなら使わない。」
「・・・なるほど。いや、その大豆っていうのをね、発酵させたべるの。
これは作れんね。もし見つけたら買占めよう。」
「そうだな、どこかにあるだろう。食文化はにているんだろ?」
「うん、だいだいね。こっちのほうが大ぶりのいい加減さはあるかな?」
「そうか、、、ん、ほら味見。」
肉巻きの切れ端を口に入れる。
「んーおいしいね。じゃ、マティスも。はい」
焼いた卵の端を口に入れてくれた。
「ほう、うまいな。」
「卵焼きね。冷めてもおしいよ。
んじゃ、もう少し水に浸してから炊くから
マティスは先に鍛錬しておいで?わたしはここで、歯ブラシ作りながら炊くよ。
火のそばは離れられないから。」
「そうか?手合わせ前に先にすることをしておくとしよう。」
「うん、おにぎり作って持っていくよ。」
「ではよろしくたのむ。」
「あいあーい」



久々に作った卵焼きはうまく巻けました。
さすが火加減名人。

ブラシの材料、ただの毛束と平たく細長くした砂漠石に
植毛していく。お願いしただけだけど。

横で、鍋が吹いている。火を落とす。
鍋でご飯も炊ける。でももうできることはないな。
半分は食品庫にいれ、残り半分で5つつくる。
おにぎりはラップがあれば握れる。
梅干しって作れないかしら?
というか、有るんじゃないの?後で聞いてみよう。

マティスに喜んでもらいたいな。
はぁー、乙女だね~


逆さ木の蔓で籠をつくり、
おにぎりと卵焼き、肉巻き、サボテンの酢漬けを詰める。

・・・お酢あるじゃん、、、、
植物油もあるんだよね?
マヨネーズだよ。これも作れる。
ポテトサラダも。

もう一度食材のチェックだ。

ああ、卵がもう残り少ない。
いや、半分をマヨネーズにしてよう。
明日はサンドイッチだ。





運動場に行くと、槍で型をおさらいしていた。
はじめのころより自然に両手を使っている。

「マティスお疲れ~。お昼にしよう。とりあえず、お水ね。
はい、これはタオル、冷たいよ?汗拭いて?」

冷たい水と冷やしたタオルを渡した。

「ありがとう、お、これはいいな!気持ちがいいい、
汗が引くようだ。」
「そうでしょ?湿らせてラップにくるんで冷蔵庫に入れてるから、
呼び寄せればいいよ。さ、お昼ご飯にしよう。」

おにぎりは気に入ってもらえたようだ。
不思議とご飯の用意をするとおなかはすかない。
味見ばかりしているからか?
マティスが3つ、わたしが2つ食べた。
ご飯の魅力を十二分にかたり、
夜は焼肉丼を作ることになった。

調味料系のことを聞くと、
お酢

辛子
があるとのこと。
うん、やはりサンドイッチですね。
マティスに甘くないパンを焼いてもらうことにする。

食後は歯ブラシのお試しだ。
うまくいったと思ったが、マティスはえずいていた。
そりゃ、そんなとこに突っ込んだらダメだろう。
拡張した鏡付きの洗面所の床で
膝枕で、は・み・が・き・じょうずか・なーぁ、をやった。
よろこんでいた。

「なるほど、歯の表面がすっきりするな。」
「どこのCMだよ?あ、あんまり強くこすると
歯のエナメル層が傷つくからね?さっきぐらいの強さで。
塩を付けて磨けばいいよ。ガムの後がいいかな?
苦みも取れるし。」
「そうしよう。これからどうする?手合わせできるか?
今は外は月が昇っている。狩りでもいいぞ?」
「いや、鍛錬しよう。ジャージも作ったしね。」
「じゃあじ?」
「うん、運動服みたいなの。着替えて来るよ。先にもどっていて?」
「わかった。」


ジャージは着ていたスエットのぴったりサイズ版。
からだのラインがしっかりでる。
上はファスナーがないのでかぶりで、裾はちょっと長め。腰のベルトで絞める。
カンフー服風。
動きやすい。
学校の上履きもどきをゴムで作った。うん、良し。


「おまたせー」
「・・・・ますます高原の民のようだな。」
「お、さすが戦闘民族。動きやすさを追求すればこうなるよ。
 ちょっとストレッチ、準備体操するね。」

柔軟と軽く型を流して、動きに無理が出ないか確かめた。
体が動くのが素晴らしい。胸はきつめに締めている。

「さ、どうしようか?わたしが攻撃してもマティスは避けれるよね?
わたしは避けれない。」
「ははは、いいさ、受けるだけで。私からは手は出さない。」
「うん、そうして。あ、槍はダメよ?間合いが取れない。」
「わかった。」

こけてもいいように柔らかい床の上で
2人向かい合った。




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