82 / 869
82:は・み・が・き・じょうずか・なーぁ
しおりを挟む彼女が先に寝入ったため、軽く体を”きれい”にし、
寝床には入らず、台所に行った。
明日のパンをの仕込みをし、焼くだけの状態で、食品庫に入れておく。
これだけあれば当分大丈夫であろう。
目が冴えたので、そのまま、外に移動した。
扉君にはよろしく頼むと声だけ掛ける。
ちょうど月が昇ったあたりだ。
2つの月もだいぶ離れてきた。
空に浮かび、高く高く昇る。
遠くに森が見える。手前に見えるのがタロスの木だろうか?
そのさらに向こうがティータイの街、ティータイに領主館はあるが、
ティータイと同じ規模の街があと、2つ、
辺境の村が草原もいれて4つ。
セサミナが納める辺境領土コットワッツは辺境といえど大きい。
グラシオル大陸、最大の国、ニバーセル国としては中堅規模で
砂漠に面している領土の一つ。
街に行き草原に行き、海に面している北の国ジットカーフに行こう。
この国に留まっていたのは、国のこと弟のこともあったが、
彼女が来るのをまっていたんだ。
下で彼女の気配が動く。
戻らなければ。
寝床に移動すると、また頭をぐりぐりと枕に押し付けている。
そっと、私の胸元に抱き寄せた。
彼女は鼻をひくひく鳴らし
「外の匂いがする・・・」
そういうと私の胸元をぐりぐり頭を押しつけて来た。匂い付けだったのか?
額に口づけを落とし、眠りについた。
「ご飯を炊くよ~、それをおにぎりにしてお昼にしよう。
おかずはこの前の肉巻きがいいです。」
朝飯は焼き立てパンにたっぷりの乳酪、
サボテンの葉と、ハムだ。卵はいらないという。
食べ終わり片付けを済ますと、そう彼女が宣言した。
おかずは私が作るようだ。
米を見て、またなにか呟いている。
ぬかいらない?
白くなった米を洗い、水につけておくという。
「卵つかっていい?んーと、2つ。」
「いいぞ?」
四角い浅い鍋を作り、溶いた卵を入れて器用に撒いていく。
「料理はできない、おとっつあんじゃなかったのか?」
なぜか噴き出す彼女。
「そう、おとっつあん、余計なことは言わなくていい。
料理はしないよ、まったくできないわけでもない。
ご飯を炊くのと卵焼きぐらいはできる。
それに火加減がプロなんだもの、何でもできるよ。」
よこで、サボテンの肉巻きを作る。
「あー、お醤油欲しい。」
「それはなに?」
「んー大豆から作った調味料?大豆って食べる?豆。」
「豆か?こう、薄い豆は食べるな。スープに入れたりする。
丸い豆は絞って油を出す。食用油だ。
小粒の豆はお前には出したことないが、チャクとおなじで湯でふやかして食べることある。」
「そういえばそのチャクって食べたことないね。おいしい?」
「小麦があるなら食べない。米があるなら使わない。」
「・・・なるほど。いや、その大豆っていうのをね、発酵させたべるの。
これは作れんね。もし見つけたら買占めよう。」
「そうだな、どこかにあるだろう。食文化はにているんだろ?」
「うん、だいだいね。こっちのほうが大ぶりのいい加減さはあるかな?」
「そうか、、、ん、ほら味見。」
肉巻きの切れ端を口に入れる。
「んーおいしいね。じゃ、マティスも。はい」
焼いた卵の端を口に入れてくれた。
「ほう、うまいな。」
「卵焼きね。冷めてもおしいよ。
んじゃ、もう少し水に浸してから炊くから
マティスは先に鍛錬しておいで?わたしはここで、歯ブラシ作りながら炊くよ。
火のそばは離れられないから。」
「そうか?手合わせ前に先にすることをしておくとしよう。」
「うん、おにぎり作って持っていくよ。」
「ではよろしくたのむ。」
「あいあーい」
久々に作った卵焼きはうまく巻けました。
さすが火加減名人。
ブラシの材料、ただの毛束と平たく細長くした砂漠石に
植毛していく。お願いしただけだけど。
横で、鍋が吹いている。火を落とす。
鍋でご飯も炊ける。でももうできることはないな。
半分は食品庫にいれ、残り半分で5つつくる。
おにぎりはラップがあれば握れる。
梅干しって作れないかしら?
というか、有るんじゃないの?後で聞いてみよう。
マティスに喜んでもらいたいな。
はぁー、乙女だね~
逆さ木の蔓で籠をつくり、
おにぎりと卵焼き、肉巻き、サボテンの酢漬けを詰める。
・・・お酢あるじゃん、、、、
植物油もあるんだよね?
マヨネーズだよ。これも作れる。
ポテトサラダも。
もう一度食材のチェックだ。
ああ、卵がもう残り少ない。
いや、半分をマヨネーズにしてよう。
明日はサンドイッチだ。
運動場に行くと、槍で型をおさらいしていた。
はじめのころより自然に両手を使っている。
「マティスお疲れ~。お昼にしよう。とりあえず、お水ね。
はい、これはタオル、冷たいよ?汗拭いて?」
冷たい水と冷やしたタオルを渡した。
「ありがとう、お、これはいいな!気持ちがいいい、
汗が引くようだ。」
「そうでしょ?湿らせてラップにくるんで冷蔵庫に入れてるから、
呼び寄せればいいよ。さ、お昼ご飯にしよう。」
おにぎりは気に入ってもらえたようだ。
不思議とご飯の用意をするとおなかはすかない。
味見ばかりしているからか?
マティスが3つ、わたしが2つ食べた。
ご飯の魅力を十二分にかたり、
夜は焼肉丼を作ることになった。
調味料系のことを聞くと、
お酢
油
辛子
があるとのこと。
うん、やはりサンドイッチですね。
マティスに甘くないパンを焼いてもらうことにする。
食後は歯ブラシのお試しだ。
うまくいったと思ったが、マティスはえずいていた。
そりゃ、そんなとこに突っ込んだらダメだろう。
拡張した鏡付きの洗面所の床で
膝枕で、は・み・が・き・じょうずか・なーぁ、をやった。
よろこんでいた。
「なるほど、歯の表面がすっきりするな。」
「どこのCMだよ?あ、あんまり強くこすると
歯のエナメル層が傷つくからね?さっきぐらいの強さで。
塩を付けて磨けばいいよ。ガムの後がいいかな?
苦みも取れるし。」
「そうしよう。これからどうする?手合わせできるか?
今は外は月が昇っている。狩りでもいいぞ?」
「いや、鍛錬しよう。ジャージも作ったしね。」
「じゃあじ?」
「うん、運動服みたいなの。着替えて来るよ。先にもどっていて?」
「わかった。」
ジャージは着ていたスエットのぴったりサイズ版。
からだのラインがしっかりでる。
上はファスナーがないのでかぶりで、裾はちょっと長め。腰のベルトで絞める。
カンフー服風。
動きやすい。
学校の上履きもどきをゴムで作った。うん、良し。
「おまたせー」
「・・・・ますます高原の民のようだな。」
「お、さすが戦闘民族。動きやすさを追求すればこうなるよ。
ちょっとストレッチ、準備体操するね。」
柔軟と軽く型を流して、動きに無理が出ないか確かめた。
体が動くのが素晴らしい。胸はきつめに締めている。
「さ、どうしようか?わたしが攻撃してもマティスは避けれるよね?
わたしは避けれない。」
「ははは、いいさ、受けるだけで。私からは手は出さない。」
「うん、そうして。あ、槍はダメよ?間合いが取れない。」
「わかった。」
こけてもいいように柔らかい床の上で
2人向かい合った。
13
あなたにおすすめの小説
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
異世界からの召喚者《完結》
アーエル
恋愛
中央神殿の敷地にある聖なる森に一筋の光が差し込んだ。
それは【異世界の扉】と呼ばれるもので、この世界の神に選ばれた使者が降臨されるという。
今回、招かれたのは若い女性だった。
☆他社でも公開
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
大和型戦艦、異世界に転移する。
焼飯学生
ファンタジー
第二次世界大戦が起きなかった世界。大日本帝国は仮想敵国を定め、軍事力を中心に強化を行っていた。ある日、大日本帝国海軍は、大和型戦艦四隻による大規模な演習と言う名目で、太平洋沖合にて、演習を行うことに決定。大和、武蔵、信濃、紀伊の四隻は、横須賀海軍基地で補給したのち出港。しかし、移動の途中で濃霧が発生し、レーダーやソナーが使えなくなり、更に信濃と紀伊とは通信が途絶してしまう。孤立した大和と武蔵は濃霧を突き進み、太平洋にはないはずの、未知の島に辿り着いた。
※ この作品は私が書きたいと思い、書き進めている作品です。文章がおかしかったり、不明瞭な点、あるいは不快な思いをさせてしまう可能性がございます。できる限りそのような事態が起こらないよう気をつけていますが、何卒ご了承賜りますよう、お願い申し上げます。
コンバット
サクラ近衛将監
ファンタジー
藤堂 忍は、10歳の頃に難病に指定されているALS(amyotrophic lateral sclerosis:筋萎縮性側索硬化症)を発症した。
ALSは発症してから平均3年半で死に至るが、遅いケースでは10年以上にわたり闘病する場合もある。
忍は、不屈の闘志で最後まで運命に抗った。
担当医師の見立てでは、精々5年以内という余命期間を大幅に延長し、12年間の壮絶な闘病生活の果てについに力尽きて亡くなった。
その陰で家族の献身的な助力があったことは間違いないが、何よりも忍自身の生きようとする意志の力が大いに働いていたのである。
その超人的な精神の強靭さゆえに忍の生き様は、天上界の神々の心も揺り動かしていた。
かくして天上界でも類稀な神々の総意に依り、忍の魂は異なる世界への転生という形で蘇ることが許されたのである。
この物語は、地球世界に生を受けながらも、その生を満喫できないまま死に至った一人の若い女性の魂が、神々の助力により異世界で新たな生を受け、神々の加護を受けつつ新たな人生を歩む姿を描いたものである。
しかしながら、神々の意向とは裏腹に、転生した魂は、新たな闘いの場に身を投じることになった。
この物語は「カクヨム様」にも同時投稿します。
一応不定期なのですが、土曜の午後8時に投稿するよう努力いたします。
召喚失敗!?いや、私聖女みたいなんですけど・・・まぁいっか。
SaToo
ファンタジー
聖女を召喚しておいてお前は聖女じゃないって、それはなくない?
その魔道具、私の力量りきれてないよ?まぁ聖女じゃないっていうならそれでもいいけど。
ってなんで地下牢に閉じ込められてるんだろ…。
せっかく異世界に来たんだから、世界中を旅したいよ。
こんなところさっさと抜け出して、旅に出ますか。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる