いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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ふらふらに成りながら、肌触りのいい
木綿のシャツと、ゴムの入った下ばき、下着もセミナに渡した。
「これはいいですね。綿ですよね?これがゴム。なるほど。」
「ああ、靴はこれを」
たおるでできたすりっぱだ。裏はゴムを使ってる。
「これは?」
「部屋履き?すりっぱと呼んでいた。風呂上がりに靴を履くのはいやだろ?」
「そうですね。ああ、これも素晴らしい。あ、兄さん、水をもらえますか?」
「まてまて、台所に行こう。風呂上りはビールだ。」
 「!!びーる。あの冷たい酒ですね。あれはうまかった。
あの作り方も教えてもらえるでしょうか?」
「それは無理だそうだ。バッカスの石で出したものだからな。
酒造りに携わっているものが飲めば
製法が分かるんじゃないのか?それまでは自分で出すんだな。」
「そうか!わたしも飲んだんだ。あの石から出せるんですね!!」
「あの石はどうした?」
「宝物殿にいれています。あの石の使い時を間違えないようにしなければ。」
「普段使いにすればいいのに。」
「そんな、もし1回や2回で消えたらどうするんですか?あれは強力な切り札になる!!」
「そうか、そうだな。じゃ、帰りにあと2つほど持って帰れ。」
「え?まだあるのですか?」
「ああ、あれは私がつくったんだ。」
「作る?」
「最初に酒が出るように定めたんだ。紫の海峡石を。」
「定めた?」
「ああ、詳しくはやはり彼女に聞け。とりあえず、ビールだ。行こう。」

台所に行くと、凍ったグラスにビールをいれて彼女が待っていた。
その姿はまさに新妻。料理人が掛ける前掛けだが、袖ぐりにふわとしたものがある。
かわいい。

「はい、ビールでしょ?これね。あてはパリパリチーズで。」
「頂こう。」
「セサミンもどうぞ?」
「姉さん?言葉と口の動きが違う?」
「ああ、口元の外したからね。それもおいおい。ビール飲んで?」
「あ、はい。ありがとうございます。」

「「ふはーっ」」
「はは、さすが、兄弟だね、おんなじ飲み方だ。白いひげもできてるよ?」
「?あ、ほんとですね。ははは。あ、これは?チーズ?あ、おいしい。」
「これは簡単だぞ?鉄の鍋で焼けばいい。」
「ああ、溶かしてるんですね。おもしろい。この酒とよく合います。」

「さ、のんびりできないよ。セサミンは時間が取れるのは今日だけっぽいね?
サクサク進めないとね。先に料理から教えるよ?
はい!2人ともこれ着て。」
おそろいの前掛けを渡された。2人で黙って身に着ける。必要なのか?
「あ、かわいいね。
とりあえず、プリンとアイスクリームね。
この辺では牛乳は日常で使わないの?」
「ぎゅうにゅう?乳ですね?はい、あまり流通していません。
チーズは保存がきくので日常で食べます。この食べ方は初めてです。」
「そうか、牛乳は草原でメーウーだったけ?その動物から取ってるんだね?
流通方法は後で考えるとして、牛乳、卵、これは必要だから。あと樹脂蜜ね。これ必須。
あ、メモしていきな。紙と鉛筆。はい。」
紙を数枚束ねたものの裏に薄い木があててある。なるほど、書きやすそうだ。
「あ、これもいいですね。」
「そうなの?いままでどうしていたか聞き出すとまた大脱線するから、サクサクいくよ!」
「はい!」

プリンとアイスクリーム
乳からバターを作る方法
樹脂蜜の必要性
後は白ご飯の炊き方、卵焼き、カレー、ハンバーグ、お好み焼き、マヨネーズ。
・・・
紙を足さなければならないほどの量だった。

作りながら説明する。
もはや講義だ。それがおわって、コーヒーを飲んだ。
彼女の淹れるコーヒーが一番おいしい。

「ああ、おいしいです。これのコツというのは?」
「んー?こう、細い口からお湯を少しずつ?蒸らすようにしてね。
で、最後までドロップさせないで、外すと。この布はネルっていう布の種類だから
これはネルドリップ。ま、何でもいいとおもうけどね、濾せれば。
こだわる人はこだわるらしい。」
「ほー、なるほど。」
「そこはコーヒー豆をどこかから買ってるんでしょ?その本場で聞いといで?
だからね、国から使者を派遣するってのは大事なんよ?国のお金でね。
そのことに専念できるから。あ、まじめな人を派遣しないといけないよ?
国の金で遊び惚ける人もいるからね。」
「なるほど。」
「で、牛乳の流通ね。ま、揺らすと勝手に脂肪分が分離するのは、
ゆっくり運ぶか、揺れないように台を工夫するとかね。
卵屋のご主人がそこらへん詳しそうだったよ?あの揺れでも卵は一つも割れなかったんだって。」
「それは素晴らしい。」
「それで、冷やしながら運ばないと腐るでしょ?そこで、冷蔵庫です。
中は冷たい。ほら手をいれてみ?」
「あ、冷たい。氷の冷気ですか?」
「いや、氷はこっちで作る。冷凍庫。こっちもいれてみ?」
「あ、冷たいどころではないですね。どうやって?」
「ここからだよ?領主殿。
これは砂漠石を使ってる。
砂漠石は願いを叶える石ではなくて、
わたしの認識は変幻自在の素材だ。
また、賢い。
賢者という言葉があるのならまさに彼らがそうだ。
彼らこそ賢者でこの世界でのわたしの師だ。」
「・・・」
「もう気付いているだろ?わたしはこの世界の人間ではない。
妖精たちがいずれ帰る世界だというような妄想でもない。別の次元の別の世界だ。
そこで、76億人の人が住み196の国がある。これは妄想でも何でもない。
口の動きと理解できる言葉の動きと違うだろ?
理解してもらってるんだ。言葉を。外そうか?」
『言葉の理解を外して』

「****** マティス、セサミン?」

「姉さん!」
「名前を呼ばれた事しかわからない。」

『彼女を理解する。』

「あ!上書きしたな!もう!」
「一時でも理解できないのは耐えられないからな。」
「兄さん!姉さんの言葉がわかるの?どうして?」
『わたしの言葉を理解して』
「これで、どう?わかる?」
「はい、わかります。石の力ですか?言語を理解するときに使うことができます。
ただ、莫大な量を使う。」
「んー??石は使ってないよ。マティスもわたしも。そう願ったんだ。
この世界は願えば叶う。でも、そんな恐ろしいことはできない。
だから石があるんだ。石があるから願いが叶う。大きな石を使ったからできる。
そう教え込まれてる。ずっと昔から。」
「・・・国の根底が崩れる。」
「そうだろうね?引き継がれる領主の力でも含まれてないんだね。
でも、セサミンはたぶん使えない、石がないと。」
「どうして?兄さんも石無しで使えている!」
「ははは、それは、あれだよ?マティスは何も持ってなかったから、
わたしのこの考えをすべて受け入れてるから。わたしの半身になったから。
でもセサミン、セサミナは領主だ。持っているものも守るものも桁が違う。
でも、安心して?
石は賢い、石に頼めばいい。
冷たく冷やして?
凍るぐらいの温度を維持して?
これで冷蔵庫も冷凍庫も作れる。」
「そんな、そんなこと、、、」
「ははは、防音や気配を消すことを石に頼むのに、どうして温度管理はできないと思うの?
一緒だよ?ただ、できないと思っていただけ。」
「石の価値がなくなってしまう!!」
「マティスと同じことを言うね。願いが叶う価値?違うよ?
石の価値は変幻自在に姿を変えること、
こちらの思うとおりの動きをすること、そこだよ?」
「・・・・」
「あとね、良いことばかりでもない。
見てて?」
彼女は銃らしきものを取り出し、壁に撃ち込む。それも連射で。
「!!!」
「こちらにも銃はあるね?火薬はあるのかな?先込め?
今のは空気の玉。こんな人を殺せる武器も簡単にできてしまう。
どこかで、誰かかが制御しないとね。」
「・・・・」
「じゃ、なんでも石でつくっちゃえってなるとまずいよ?
今回みたいにすべてなくなる可能性もあるしね。資源は無限ではない。
工業国はそこら辺を気付いたのかもしれないね。
石を利用しつつ、石を使わないものを作ってる。
わたしの世界もこんな石なかったもの。科学ってのが発展しててね。
水を沸かす、水蒸気が出る、
その勢いで歯車をまわす、車輪をまわす、車を走らす。
そんな感じ。あーして、こーして、こうなるからこう?ってね。
そうなるまでに何百年もかけてる
。わたしはそれが落ち着いてなにもしなくてもその恩恵が受けられる時代の人間なの。
だから詳しい仕組みは知らない。
でも、この世界にきたら、こんな感じなんだけど?っておねがいすれば
方向性が間違っていなければ、物がなんとか頑張ってくれる。
ゴムも鏡も鉛筆も頑張ってくれたの。
タオルもね、最初に来ていた服の襟ぐりがそうだったのから、
まねしてもらったの。綿花にね。」
「・・・・」
「だから英知なんてもんはわたしはもってないの。
ごめんね。でも、物はあるからそこから試行錯誤して?
きっと、この国にあったものができる。ね?ごめんね?
期待を裏切って。ごめんね。」

セサミナが声もなく涙を流している。
これからのことを思ってだ。その重圧の涙だ。
私は彼女さえいればいい。セサミナは違う。

「姉さん。」
「ん?まだ姉さんって呼んでくれるの?なーに?」

セサミナが抱き付いて胸に顔をうずめるが、、、
彼女も優しく髪をなでている。

「もう、いいだろ。」

2人を引きはがす。そこは私だけの場所だ。

「男の嫉妬は見苦しいですよ?兄さん。」
落ちついたのか、軽口を言う。見苦しくてもいい。ダメなものはダメだ。

「姉さん、姉さんは姉さんです。兄さんの奥方でなくてもね。」
「なんだそれは!!」
「ははは、そう思ってもらえるのはうれしいよ。」
「姉さん、兄さんも聞いて?
・・・領主の力というのは、800年に一度起こる変動の事、王都と歴史、
石の力をある程度無効にできること、鉱石が取れるかどうかある程度分かること
水を掘り当てること、水の浄化ができること。ここら辺は山師ですね。それが特化しています。
それで、砂漠を開拓し、草原を作り、今に至っています。」
「おお!すごいね。水関連はさすがだね。人は水がないと生きていけない。
人類の歴史は治水の歴史だよ?水を制する者が王だ。鉱石もこれからは必要になる。」
「そうでしょうか?父の前の代から、発展するすることがなかった。
それでも、石だけは少しずつ蓄えていたのです。それが20年分です。
20年後にはなくなってします。火をおこすことも明かりをつけることもできなくなる。
それだけではなく、大きな石がないと進まない事業もある。」
「あー、不思議に思ってたんだけど、、スパイルの人たちはどうやって火をつけてるの?明かりは?」
「明かりは油を利用していると聞きます。火をつけるのは知りません。」
「んー、やっぱり誰か派遣しないとね。」
「そう思っていたんですが、向こうに利がないと受け入れもしてもらえません。」
「あーそうか。オイルランプはわかるよね?菜種油とかそういう植物の油、なんでもいいけど
それに芯材を付けて火をつけるの。火はさ、こう、石と金属がガツンと打ち合うと火花が出るでしょ?
それかな?いや、手間だな。んー、海峡石使ってるんじゃないの?」
「海峡石を?え?」
「ん?台所の火口は海峡石だよ?薪じゃなかったでしょ?」
「!!」
振り返り、鍋を外して火口を見つめる。
真ん中に小さい赤い石が有るだけだ。
「スパイルはここではなくて北の国ジットカーフと取引してるんじゃないのかな?
明かりは黄色い海峡石、青いのは水、赤は火。紫はここではお酒にしたけど、
よそは違うかもしれないね。」
「それでは支配国がニバーセルからジットカーフになるだけだ。」
「いやいや、そこは対等でいこうよ?スパイルは工業製品と海峡石を対等に取引してると思うよ?
便利なものはどこにいっても便利だし、一度使うともとには戻れないでしょ?」
「・・・はい。」
「はい!そこでお客様、この商品ですよ?冷蔵庫に冷凍庫にポットですよ。
どれも、薄い砂漠石を使っているだけ!内部に貼って、お願いしますと依頼するのみ!
どうですか?お客様!!今なら3つセットでさらに吸水性のいいタオルをお付けします!」
「なにをやってるんだ?お前は?」
「え?通販ごっこ?こういうふうになんとなくお得感をだして売るのよ。
今買わなくちゃ損しちゃうっておもうでしょ?」
「!!なるほど!!」
「セサミナ?彼女の話は6割は真実だが、4割は嘘がはいってるぞ?」
「え?」
「失礼な、3割だけだよ、、、、真実が。」
「!!!あははははは。さすがですね、姉さん!!」
「ふふふ、あんまり深く考えちゃだめよ?あ、こうすると楽だなーとか便利だなーとか
もちろん、これって売れるんじゃね?って考えかたでいいのよ。
一人で考えないでね、そうね、例えば賞金を出して石を使わないアイデアを募集するの。
で、よいアイデアは商品化するとかね。みんなで考えたらいろいろ出てくると思うよ?
学校で課題にしてもいい。お母さんが困っていることはないですか?とかね。」
「姉さん、学校での食事提供は姉さんの話だったんですね。
あれはうまくいきそうです。ありがとうございます。」
「そ?うちのところでもさ、それ、給食っていうんだけど、
普段はパン食でね、月に1回ご飯が出るの。それ楽しみだったんだ。
カレーなんて争奪戦だよ?
いろいろメニューを変えるのもいいよ?
それでね、それを作る専門の人を雇うの。雇用が生まれるでしょ?
お金はかかるけど、それは国としては仕方がないね。先行投資だ。
教える先生も雇ってね。
元のいたところもね、子供の貧困なんて言葉が最近できたんだけどさ、
子供たちだけで生活していることはまずないのね、でも、貧困だって。
ということはその親が養っている人たちが貧しいってことでしょ?
子供を助けるのはもちろんなんだけど、それ以上に大人たちを豊かにしないとね。
あ、子供の虐待なんて論外だよ?」
「姉さん!!」

またセサミナが抱き付く。なぜだ!
「離れろ!!」
「兄さんは向こうに行って!!姉さん!姉さんこそ先生になりませんか?
わたしのそばにいてください。」
「なに!!」
「そういえば、ここのお金ってどんなの?」
「金貨と銀貨、銅貨です。これは大陸共通です。」
「そうか、鋳造技術は有るんだね。じゃ、まず石での売り買いを制限していきな?
石をできるだけ回収するの。お金の価値は、この領土内だけでも保証してね。
石はあくまで、道具なんだってことを浸透させていかないと。
んー、反発が出るかな。領主は石を独り占めしてるって?
ま、そういわれても仕方がないね。そこは我慢だ。
領主主導の産業を展開していけば反発もなくなるよ。
さ、どれから説明していこうか?」
「姉さん!そばにいてくれないんですか?」
「はははは、無理でしょ?北に行くっていったじゃん、海の幸だよ?
ポン酒と海鮮!!これは譲れない。あ、あとで、日本酒の飲ましてあげるね?」
「・・・姉さん、、、」
「ふん、あきらめろ、それより、時間がないんだ、教えてもらえるだけ教えてもらえ。」
「・・・はい。」
「んじゃ、さっき作ったの食べてから作業部屋にいこう。あ、これは保温庫。ポットの箱型。
 温度を保つからあつあつだよ?」
「これも石にお願いしてるんですよね?誰かが勝手にそれを解除できるんですか?」
「あー、なるほど。そういうこともあるよね。
 そうね、例えば冷蔵庫を商品化するとして。温度設定はうーん、10度くらい。水は凍らないぐらいね。
それを維持してもらう。そこから、これを解除できないようにお願いすればいい。
解除したくなったら、お店に持っていくとか、お店の人しか調整できないとか。そこらへんはスパイルも使ってる石の力でしょ?」
「そうか、なるほど。」
「商品にはね、付加価値を付けたら売れるのよ。
あすこの店で買ったら、いつでも温度調整をしてくれるとかね。
冷蔵庫と、冷凍庫を2つ買わないで、しょっちゅう変更を頼む客が出て来るかもしれない。
そうなると3回まで無料とかね。
そのときはそれ以上は金をとるってのを前面にださないで、こういうの。
”今なら3回まで無料で変更できます。あなたに必要な温度設定をお気軽にお試しください”ってね。
で、4回目から、お金を取ると。そうなると、2つ買ったほうが便利じゃんてなるのね。
で、ちょっと経ったら、冷蔵庫と冷凍庫をくっつけた奴を売り出すの。
”お客様のご要望にお応えして、一家に一台。
冷たい飲み物も、凍えるアイスクリームもいつでもお楽しみいただきます。
お値段はなんと!!2台買うよりこんなにお得!そして今ならこのポットをお付けします”
ってね。2つとも持ってる家でも、
あ、便利じゃんって買うかもしれない。どう?」

私とセサミナは、
お好み焼きを頬張りながら、無言で拍手していた。


「箱の色を変えるだけでも買い替える人はいるよ?
新色でました。あなたの家にぴったり!とかいってさ?」

「詐欺師だ、詐欺師がいる。」
「!そうですね、よく考えると詐欺師っぽいですね、兄さん。」

「なんで!失礼な!」
「でも、そんな売り方をどうやってしていくのですか?一軒一軒見せて回るのですか?」
「あーそうか。店先でさ、実演販売とかは?事前に予告して人を集めてね。
白々しく、”まぁ、なんて便利なの?うちもいただくわぁ””って客の振りした人を紛れ込ましてね。
そしたら、我先に買うんだ、みな。限定販売とか、今日だけ、とかそんな言葉を使ってね。」

「詐欺師だ、詐欺師がいる。」
「!そうですね、まさしく詐欺師ですね、兄さん。」

「はははは、ここで、ま、客の振りってのはさくらっていうんだけど、これはまずいね。バレると。
ほんとに便利なものは売れるよ。時間がかかっても。
ターゲット、誰を対象に売るかってことを間違ったらだめだけどね。
冷蔵庫なんかは毎日料理をしてる奥様連中だね。
あ、旦那連中に奥様が喜びますよって売るのも手だ。
大型の冷蔵庫なんかも料理人、食堂なんかでも売れるとおもうよ。同じものはだめなんだ。
業務用はそれこそ、自分で温度調整ができるとかね。そのかわり頑丈でお高く売るの。
じゃ、自分で砂漠石を加工してくれば安上がり?ってならないように、
ばらしたら、石は砕けるとか、なくなるとかね。
仕組みがばれてはいけないよ?最初に仕組みを考えた人が泣きを見ないようにね。
国がお墨付きを出すとかね。でも、ある程度競合しあわないといいものができないから、
そこらへん辺の駆け引きは難しいかもね。あ、このカレーおいしいね。」

彼女の話を、セサミナは、逐一書き留めている。

「さ、こんな雑談よりもその根本となる商品開発をしないとね。
 先に作業部屋にいって準備してくるね。悪いけど片付けお願いできる?」
「もちろんだ。」
「わたしも、兄さんを手伝って、すぐに行きます。」
「うん、了解。」


彼女が作業部屋に向かい、2人で洗い物を済ませていく。
「・・・兄さん、姉さんが別の世界から来た人だとは理解できました。」
「そうか。」
「まったく違う文明だったということも。」
「まったくではないようだぞ?鉱物も植物もだいたい同じだといっていた。
植物はすこしいい加減だとも言ってたがな。名前も似ているようで違うとも。
そして月が1つなんだと。なぁ、月が出てない時はなんで明るいと思う?なにが光ってるんだと思う?」
 「え?なんでって?あれ?どうして?」
「なんでって聞かれるまで疑問もなかっただろう?彼女はそれこそがおかしいといった。
昔から制御されているって。真名の宣言も昔からの石の誓約みたいなものだと。」
「兄さん!!それ以上は!!」
「わかってる。我々にとって真名の宣言は絶対だ。でも、彼女には効かない。
ある程度石を使わなくても願いが叶うようになって、彼女を私のものだと宣言したんだ。」
「え?兄さん、それでは姉さんの今の状態は?」
「いや、効かなかった。鼻で笑われた。そんなものは効かないと。
なんで、わたしがそばにいるのか考えろといわれた。」
「・・・姉さんはどうして?」
「・・・ふふふ、愛しているからなんだと。」
「!!!!兄さんをいままでにないくらいむかつきました!!」
「ははは。そうか、そうか。なるほど。ひとの惚気話は聞くのは嫌だが、聞いてほしくなるものだな!はははは」
「・・・兄さん、僕は兄さんが幸せになってくれてうれしいですよ。むかつくけど。」
「ははは、そういうな。私もお前と、風呂に入って、飯を作って、こうして話ができることをうれしく思う。」
「ふふふ、そうですね。」
「・・・彼女な、48歳なんだ。」
「あ、そうなんですか?不思議な感覚だったんです。物のとらえ方や、知識はかなりの年功者だと思ったんですが、
容姿は若い。わたしよりもっと若いのではないかと思っていました。48歳と言われれば、そうなんですね。」
 「彼女の世界の平均寿命は80歳で、彼女年齢では余程のことがない限り子供は望まないらしい。
 いわゆるおばさんと言われる年齢だそうだ。」
「そんな!か、数の概念が違うとかでは?」
「いいや、10進法は同じだ。1年の長さは違う。彼女はあと30年で寿命だといい、
こちらの時間にすれば10年ちょっとになるらしい。
・・・似たり寄ったりの世界で、文明も彼女がいたところよりも100年遅れているだけだと。
でも、生きる時間の長さが違うんだ。3度の飯を食べるし、必ず寝る。今回は興奮しているから起きているが、
横になったらずっと寝てると思う。それにあの体力のなさだ。だいぶましになったが、なさすぎる。」
「・・・姉さんはそれを理解できてるんですね。」
「ああ、子をなすのは雨の日だけだろ?彼女は年に12回機会があると。
それで、子ができなければ、血を流すそうだ。そろそろここに来て1月立つが、
その血が流れない、体がこの世界に順応しているから、同じ時間を生きられるといってくれた。」
「なんだ、じゃあ、心配することないじゃないですか!びっくりさせないで下さい!」
「どうして、それを鵜呑みにできるんだ?それこそわからないじゃないか!
分かってるのは彼女がここで生まれた人ではなく、違う世界から来たこと、
いつか戻るかもしれないってことだ!!
そうでなくても、体が順応していなければ確実に私より先に死ぬ、たった10年で!!」
「・・・兄さん、だから姉さんは死ねばいいといったんですね。」
「ああ、そうだ。そう、死ねばいい。だけど、彼女とともに生きていたいんだ!
「兄さん?姉さんはその努力をすると言ってます。先のことを憂いてもしかたがないでしょ?
今を生きてください。先のことを憂いて、姉さんを悲しませないで?ね?」
「・・・お前は彼女と同じことをいうな。そうなんだ、わかっている。すまない。
誰かに、聞いて欲しかったんだ。
聞いてくれてありがとう。」
「いいえ、その相手に選んでいただけて光栄です。大丈夫ですよ。姉さんは。
あの人の根本は詐欺師ですよ?きっと。
寿命もうまく言いくるめてしまいそうですよ?」
「ははは、そうだな?でも、それをいうなよ?殺されるぞ?」
「そうですね。それと、3度の食事はいいとして、体力のなさは誰と比べて?兄さんと?」
「そうだ。組手をするんだが、すぐにばてる。」
「・・・かわいそうに。兄さんと、両腕になった兄さんと互角に渡り合える人など、
我が領内にはいませんよ?」
「え?そうなのか?・・・それはそれで問題だぞ?もしかしてあの2人はそこそこの腕なのか?」
「・・・そこそこ、、、筆頭です。だから私の護衛です。
石を使って気配を消すことができるのはあの2人だけです。」
「・・・・彼女が来てる服な。重さが変えれるんだ。たぶん今日も重いままだ。
軽くなったら蹴りも軽くなるが、動きはもっと早くなる。彼女はそこそこ強いのかな?」
「わたしの配下だとすれば、筆頭です。」
「・・・そうか。」
「兄さん、少し世間を勉強したほうがいい、心配です。」
「そうか。」


「おーいい?まーだー?こっちは準備できたよー?」

彼女の声が聞こえ微妙な心持で作業部屋に向かった。
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