いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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136:勘違い

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「「せーのっ」」
2人で国境の赤いレンガを飛び越えた。
この赤いレンガが、国境沿いにあるわけではない。
道幅に有るだけだ。看板もない。こういうものなのだろうか?
「戦争をしているわけではないしな。行き来も自由だ。
その土地がどこに属して、税をはらい、その払った国が自分達を
さまざまな脅威から守ってくれるかどうかだ。
タロスといた砂漠はコットワッツの領地でもない。
だから税なぞ払っていない。草原もそうだろう。
ただ、そこにいてるだけだ。でも、交流はある。
税を納めていくのなら、道の整備もするだろうしな。」
「・・・あの人たちが、税を納めるかな?」
「どうだろうな?ああ、お前が寝ている間にセサミナにサイは2頭届けたぞ?」
「え?行ってきたの?セサミン元気だった?ルグとドーガーは?」
「ああ、皆元気だ。お前がいないとわかると露骨にがっかりされたぞ?」
「起こしてくれてもよかったのに。」
「今回はサイの土産とワイプのことを念押ししに行っただけだ。
必ず同席させるようにと。先にワイプが手配したようだったがな。」
「そうだよね。今回は緊急だものね。ワイプさん、仕事早いね。」
「あいつは副院長らしいぞ?」
「え?えらいさん?あれで?いいの?資産院?」
「兄2人への通知も本来は直接渡すのだが、セサミナに頼んだらしい。
本当に、私のことは抜きにして、はんばあぐが目的だったみたいだ。」
「あははは!」


そこからの道のりは快適だった。平坦な登山道を歩くようなもので、
ラーゼムへの道より整備されているようだった。
遠くに同じような木の柵が見える。
ここまで来るとちらほら森も見える。向こうにも。
草原、森、それから海なのだろうか。

見張りではない、こちらはいかにも守衛が1人槍を構えていた。
おお!冒険ファンタジー!!

「止まれ!!お前たちはどこのだれで、どこからきてどこに行く?」
「俺たちは砂漠の民、ティスとモウ。
ニバーセルが一領国、コットワッツの砂漠、サボテンの森から来た。
このまま、北に、海近くの街にいく。」
「何しに?」
「砂漠に住めなくなった。だから今度は海がいいと、国を出たんだ。」
「住めなくなった?ああ!あの揺れか?ちょっと前にあった?」
「そうだ、砂漠のなにもかもが天に吸い上げられて、砂だけ戻った。
砂漠が本当に砂だけになったんだ。砂漠の民はトカゲを狩る。
そのトカゲがいなくなれば、別のものを狩るしかない。だから海だ。」
「あはははは、とかげってあのひょこひょこ移動する、小さいのだろ?
あれを狩っているのか?で、それがいなくなったから海?
あはははは!!いや、笑ってすまない。
海の生き物はそれはそれは大きい!それに獰猛だ。うん、頑張れとしかいえないな。」
「ああ、生きるためだ。」
「そうか、ではコムには?ここには滞在しないのか?」
「いや、宿があるなら泊まりたい。あるか?」
「ああ、もちろん。草原を抜けてきたんだろ?あの村で誰も泊まらない。
みな、ここコムで泊まるんだ。さ、歓迎しよう!!
旅の疲れを落としていってくれ。」


トカゲのことで笑われたが、ここのトカゲは小さいのかな?
宿!!やっと旅に出た感じがする。

少し行くと奥に広場が見え、それなりに活気はあった。
道に面したところが店で奥が家なのだろう。
観光客相手という感じではない。地域密着型商店街。
きょろきょろ田舎者丸出しで進む。
マティスも行軍で来ただけだといったから、
この大きな通りをザ、ザ、と進んだのかもしれない。
「ここが宿のようだな。いこうか?」
「はーい」
2人で宿屋を見上げ入ろうとすると馬が1頭、サイのように
土煙をあげて来た道からやって来た。
馬が嘶く。
さらに後ろから、さっきの守衛さんが走ってくる。なんだろう?
「あ!!ティス!街に入るときお金はらうんじゃなかったの?」
「ん?なら払えというだろう?」
「そうだね?」
なんだろう?2人で考えているのは馬に乗った人が、なかなか降りてこないのだ。
馬が暴れて、制御できてない。
このまま無視して宿に入るとややこしそうなので、待っている。
「あれだ、こう、名前を書いてないとか?名乗っただけだから。」
「ああ、それは有るかもしれないな?さっきの守衛が紙を持っている。」
「悪いことしたね。」
「そうだな。」
まだ、下りてこない。
「おい、まて、ここでいいんだ、おい!!」
とうとう向こうに見える広場の方に行った。馬は水飲み場で水を飲んでいる。
「?関係なかったみたいだな。」
「あははは、なんでも自分たちに関係あると思っちゃうね。」
宿に入ろうとすると、守衛さんが追い付いた。
「はぁはぁ、ちょっと!待って!どこ行った?ああ、あんなところに、
お前たち2人ちょっと待っててくれ。ああ、悪いことじゃない、あの人の勘違いだ。
いまここで解決しておかないとあとが面倒なんだ!すまん!待っててくれ!
エトリー様!!馬は手綱を引いて!!」

(勘違い?)
(うわ!なんだろ?ドキドキするね。)

「モウはいつでも楽しむんだな?」
「うん、ティスがいるもの、いつでも楽しいよ?」
「ああ、私もだ。いま、ものすごく楽しい。」
「ウフフフフ」

2人でおでこをくっつけて笑い合った。
バカップルだ。でも、いいのだ。
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