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137:手配書
しおりを挟む「そこの2人!!観念しろ!!」
「エトリー様!違いますって!!」
守衛の人が馬を引きながらまたこちらにやってきた。
「あの、なにか?」
「コットワッツのマティスだな!帝都からの拘束命令が出ている!観念しろ!」
「帝都?ジットカーフの?なにかの間違いでは?俺の名前はティスだ、こっちはモウ。俺の妻だ。」
マティスが嬉しそうに紹介する。照れる。
「マティスだろ!!おい!どういうことだ?」
「だーかーらー。違うと言ってんのにあんたが飛び出したんだ!乗れもしない馬に乗って!!
すまないね。この人、この村の村長の息子なんだ。
あんたのことを入村記録に書いてたんだ。コットワッツのティスとね。それを読んで
手配の男だって。文字を覚えないといけませんよ?エトリー様!」
「文字は読める!帝都の手配書を寄こせ!名前なんて何とでもいえる!!
さばくのたみ、なまえまてぃす ほら!!」
「その下もよくお読みください。」
「かため、がんたい、ひだりうでうごかず。?」
マティスは左腕でさっきからわたしのこしをさわさわしている。
もちろん両目で眼帯もしていない。
「治したんだ!!コットワッツは砂漠石の産地!治したんだ!!」
おお、するどいね。
「いい加減にしてください!!名前を変えてたとしても、砂漠石で治すなんて無理だ。
どれだけ大きな石がいるんですか!石使いだって無理ですよ!
第一追われている犯罪者が、砂漠の民の服装なんてそんな目立つもの着てくるわけがないでしょ!!」
そういわれて、廻りを見れば、なるほど、わたしたちの服装は浮いている。
「しかし!!」
「あの、マティスさんがどうかしたのですか?」
「え?知ってるのか?ああ、砂漠の民だものな、知ってるか。
お前はどこまで知ってるんだ?」
守衛さんが鋭く聞いてくる。
「ええ、砂漠の端に住んでる方で、そこに前からいた方とは交流があったんですが、
だいぶ前にその方が亡くなってからはとんと疎遠に。その方がマティスさんかと。」
「その程度か、そのマティスというのは隣国ニバーセルでの犯罪者だ。
その通知がここジットカーフの帝都にも来たんだ。
で、エトリー様が張り切って。はぁ。」
「その、何をしたんですか?」
「ああ、この手配書によると、エトリー様!もう読めないんでしょ?貸して!!
えーと、
コットワッツ領主の殺人未遂
街の人々への詐欺行為
ああ、領主の部下への暴行
だな。」
「殺人未遂!!」
思わず声が出てしまった。
「そうだ、領主は否定しているがな。
片目片腕に自分の部下をやられては、いい笑いの種だ。
街への詐欺行為は、なんでも結婚するからといって祝いの品々をせしめたらしいぞ?
人の気持ちをなんだと思っているんだ!こんなやつが一番許せねぇ!」
(うーわー、見事にやれたね、感服、感服)
(それだけか?)
(ハゲチャビンあたりが、王都に売ったネタかな?)
(始末すればよかった)
(それはそれで手配されるね)
「ええ、街の人はいい人たちばかりでした。砂漠に住めなくなった俺たちを
迎えてくれて、しかし、街には住めない。砂漠の民は狩りで生きる。
だから、海に出る。」
「そうか、そうだな。すまないさっきは笑ったりして。頑張ってくれ。」
「ああ、ありがとう。」
なぜか、がっちり握手している。
その間エトリー様とやらはマティスとわたしをしげしげと観察している。
わたしは馬と話をしていた。声は出さずに。
(え?ほんとに乗れないの?でも、こっちに向かってきたじゃん?
ああ、あなたが水を飲みたかったから?あははは、いつもこんな感じなの?
ああ、期待の次期村長様なのね。で、手柄を立てたいと。
ああ、ジットカーフにはいればここは必ず通るはずだものね。なるほど。
それで、ここの特産品てなに?
あ、お茶あるの?で、あなたたちが?ああ、納得、いい体だもの!へーおもしろいね。)
「モウ、聞いたか?怖いな、人は見かけによらないな。」
「そうだね、ティス、怖いね。」
((あははははは!!))
「手間を取らせた、今度こそ、旅の疲れを落としてくれ!
ほら、わたしが引いて送りますから、乗って!!」
ぽっくりぽっくり帰っていった。
宿はなにも驚くことはなく、5日分の宿代前払い3リング。
食事はなし、風呂もなし。桶は部屋にあるから砂漠石で出せとのこと。
やはり砂漠石は生活に必要なのだ。
ジットカーフは海峡石を使うと思っていたと、田舎者のように言うと
おかみさんは笑って答えた。
「あははは、今は砂漠石が主流だよ?
海峡石もここ最近取れないらしい。取れても装飾としての価値が高すぎて
使えないね。砂漠石は便利だろ?砂漠石が出回るとあっという間に砂漠石を使いだしたのさ。」
「ああ、便利なものは手放せないですものね。なくなるなんて考えられませんものね。」
「そうだよ!暴動が起きちまうよ!あはははは!!」
うれしいことにお茶葉が部屋についている。
それを見つけて喜ぶと、草原に泊まらず、ここで泊まるのは
このお茶があるからだと、しかも飲み放題だからだと言っていた。
草原は客でも誰でも乳酪茶に金を取るらしい。あーあ。
カップに茶葉を入れ、沈んでから飲むのだといっておかみさんは下りていった。
「海峡石は使わないんだね?」
「そうみたいだな。かなり前からのようだ。」
ここは2階の角部屋。ベットは2つ。家庭的な少し狭いツインルームだ。
トイレは各部屋にある。
おかみさんに教えてもらったが、急須、もちろん茶こし付きで、それと湯のみを作り
マティスと飲んだ。ウーロン茶に近い。
「うまいな。茶葉が口に入らないのもいい。
コーヒーも、今の淹れ方がいいな。」
「これ、うすい茶色でしょう?これがもっときれいな緑色の緑茶で
それが欲しいんだ。なかったら絶対苗を買おう。」
「しかし、無料で置いておけば、商売にならないだろ?」
「ふふ、これはきっとそんなに高くない茶葉だよ?
でも、ただで、疲れた状態で飲めばおいしく感じる。旅の人がね。
じゃ、お土産に買って帰ろうか?って。
で、このお茶よりおいしい茶葉を、ちょっと高いの買って、
旅から戻って飲めば、はー、コムのお茶はおいしいな、また買おう、ってなる。」
「ああ、そうか。」
「誰も損していない商売はいいね。」
「そうだな。」
「さっき、お馬さんに聞いたけど、ここの特産品はやっぱりお茶となんと馬なんだって。」
「そうか、あの馬はいい馬だったな。」
「でね、馬を貸してくれるんだって。マティス馬乗れる?」
「もちろんだ。」
「馬に乗って街の探索に行こう」
「ああ、楽しそうだ。」
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