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139:おさかな
しおりを挟むありがとうっと手を振って、次は野菜屋さんに寄る。
目新しい野菜はないが、約束の新鮮野菜を馬さんに買った。
あとレモンとじゃがいも。日持ちししそうなもの。
白菜っぽい赤い葉ものと白ネギっぽい赤いものもあった。大きい。
これは馬の餌だよと言われたが、
珍しいのでほしいと、もの知らずのように買えるだけ買った。
馬君は赤い大根のようなものがしゃくりしゃくりとしておいしそうに食べている。
わたしたちも買う。これも餌。おろしハンバーグならできそうだ。
野菜は食べないようだ。お茶のビタミンで補ってるのかな?
魚も買いたかったが、魚屋というものはなく、家で食べすに店で食べるものだそうだ。
まだ海が遠いから、家庭の中まで手軽に食べるものでもないようだ。
干物もなんだそれ?とここで八百屋というかどうか知らないが
そこの主人に言われた。
馬と別れ、4リング返してもらった。
馬は1頭大体10リングだそうだ。
お茶屋に顔を出し、良くしてもらったと礼を言い、
宿屋に戻る。
植木鉢に受け皿を引き砂漠石から作ったおいしい水をあげて、
赤い布で鉢を飾った。クリスマスカラーだ。
外に食べに出るので、宿のおかみさんに魚料理が出るおすすめのお店を聞くと
はす向かいの食堂が結構な割合で魚を出しているとのこと。味もいいよと教えてくれた。
さっそく行ってみた。
ちょうど月が昇るころなのでご飯時なのかにぎわっていた。
いい匂いもするが、少し生臭い。
あいたテーブルに座り、おすすめを2人前たのんだ。エールも。
メニューがないのは当たり前らしい。
「おもしろいな。だせる料理の名前が書いてあるのか?」
「うん。それと金額と。書いてないのもあるけどね。
で、それをみて選ぶの。もちろん、おすすめもあるよ?」
「それは字が読める、数字が読めるというのが大前提だな。」
「そうか、そこか。おすすめだけだと、何がでるか、
聞けばいいけど、座ってから聞いて、それ、昨日食べた、ならがっかりしない?」
「ああ、あるな。でも、座ったんだ、そのまま食べるな。」
「いや、わたしもそうだよ。ただ、がっかりだなって話。」
「はいお待たせ!魚のスープ煮だよ」
「やった!おさかな!初めて!!」
「あははは!よそから来たんだね?昨日たくさん入ったんだよ。
肉と魚を交代で出してるけど、当分魚料理だよ。」
草原が近いから肉料理の肉は草原サイかと聞けば
この頃入ってこないらしい。少し前に草原の民が持ってきたが
いつもの3倍の金額だったので断ったと。
一度その金額で買うとこれから先ずっとそうなるからだと言っていた。
「じゃ、肉は何のお肉ですか?」
「肉は豚だよ?」
「豚ですか?」
「そうさ、知らないかい?毛の長いね。野生の豚。近くの森にいるのさ。
狩らなきゃどんどん増えるからね。
あんたたちも腕に覚えがあるなら狩っておいで。村で買い取りもしてくれるよ?ごゆっくりー」
さかなのスープはうまみがあっておいしかった。
ただ、生臭さはいただけない。ハーブか何かで臭みを消してほしい。
エールも飲んだ。うん、もういい。
これで、2人分6銅貨。600円?安い。
「それで、聞きましたか?」
「もちろん。」
「ここでの収穫は大根もどきとお茶だけかと思ったけど、豚。
わたしの中では太ったウサギ。狩らねば。」
そんな話をしていると、横のテーブルに着いた2人組が
今日も魚かと文句を言っている。
味は違うんだ!文句があればよそに行けと、けんかしている。
味は塩か胡椒かどっちかだろうが!と。今日は塩味でした。
店先にさかなの絵か豚の絵をかいとけばいいのにと思ったが言わない。
魚だとわかったら来ない客がいるかもしれないし、
結局文句を言ってる客も座ったから、食べている。
触らぬ神に祟りなしだ。
「いいのか?」
「なにが?」
「なにか言いたそうだった。」
「そう?」
「お前がいいのならいいさ。」
「うん。」
宿に戻り、おかみさんにおさかなを初めて食べたんだと報告し、
いいところを紹介してくれたと礼を言った。
あらーっとにこにこ驚いていた。
階段を上りかけると、
「あ、2人に客が来てるのよ。部屋の前で待ってるわ。」
え?と思っていると耳元で、一人はややこしいの。
気を付けてね、と忠告をもらった。
マティスも首をかしげる。王都?帝都?
そういった張りつめる空気もない。ワイプ以上の手練れだと少し面倒だと。
「少し?」
「少しだ」
「ティス格好いい!!」
飛びつきながら上がりきると茶畑にいた息子と村長の息子がいた。
ややこしいのはどっちだ?
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