150 / 869
150:海
しおりを挟む海はひろいな、なんて歌を歌いながら、海を目指す。
マティスは海から月は昇らないといっている。そうなの?
潮の香りがする。おなじだ。生臭くはない。
帝都だけなんだ。
なんでだ?氷不足?なにかもっと臭いものをごまかすため?え?それ怖っ!
「なにを考えている?なにが怖い?」
「あ、聞こえた?いや、海の匂い、潮の匂いはおなじなのね。
で、なんで、帝都だけ匂ったのかなって。別の匂い?
氷不足か、なにかもっと臭いものをごまかすため?って考えたら怖いなって話。」
「あの生臭い匂いよりも臭いもの?腐乱臭?死臭?」
「うわー、やめて、また違うパターンに入りそう、却下です。
きっと氷不足なんだよ、うん、ストップ温暖化!」
「?」
「あ、また囲いが見えて来たよ?あれ?」
「ああ。そうだ。ここは漁業で栄えている。お前の言う、干物や、コンブがあればいいな。」
「そうだよ、カニとウニとコンブ。あと貝類。魚はいいや。あ!エビも。昨日はなかったね。」
「えびはなかなか取れないぞ?」
「え?季節的に?」
「ああ、違う。大きさ的にだ。」
「大きいの?小さいの?」
「大きいな。」
「そうか、大きいか。なるほど。エビをさー半身にしてね、そこにマヨとウニを乗せて窯で焼くの。
好みでチーズを掛けてもいいかな?どう?エビに合う?」
「!合うな!ものすごく合う!」
「じゃ、大きさは問題なくエビだね。問題なし!!あと、貝類。これは?」
「あるぞ。しかし、貝は装飾に使うものだ。」
「前に話した、アサリの酒蒸しのアサリって貝なんだよ。」
「食べるのか?あれを?」
「中身をだよ?」
入るに定番の問答はなく、自由に出入りできるようだ。
ザ・漁港という感じで、遠くに見える船の形状は大体同じ。少し大きいかな?
大きな魚と呼ばれるトドやエビをまさしく狩るからなのか。
道沿いに進んでいくとどこもかしこも魚屋さんだ。
でも、魚臭いが、それこそそんなもんだ。やはり帝都がおかしいのだ。
威勢のいい女の人が掛け声をかけている。
帝都からも買いに来ているのだろう、ここに来る途中
何台かは馬車が追い抜いていった。
カニは新鮮そのもので、生きてる!
「お姉さん!お姉さん!これってやぱり生で食べるのはダメ?」
「あん?あたしのことかい?お姉さんなんてどれぐらいぶりだろうね?」
「うそーん、うつくしい人は皆お姉さんだよ?わたしもそうなりたいと思う。
その見本だよね、お姉さんは!」
「あははは、うれしいね、あんたもなれるさ!」
「ほんと?あ、また脱線してるね、生で食べらるかって話なんだけど、どう?」
「もちろん、大丈夫さ。しかし、あんたたち帝都から?」
「ううん、もっと遠く。で、帝都でカニたべて、これは本場で食べねばなるまい!ってことでここに来たの。
帝都は海の幸の都っていうけど、
ここのほうが海の幸の宝石箱やでーって奴でしょ?」
「あははははは!なんだいそれ?うまいこというね!
その言葉気に入ったよ!使ってもいいかい?」
「わたしも聞いた言葉なんだけどね。
使っても問題ないとおもうよ。むしろ喜ぶよ?」
「そうかい。そうだね、ここで、とれたてを食べるんなら問題ないね。
氷をたくさん使えば帝都までも大丈夫だろう。
でもそこから向こうはだめだね。氷があってもダメだ。最初の氷が溶けるまでだね。
あとは、必ず火は入れなきゃいけないよ?」
「わかった!じゃ、仲間が外でまってるんだ。ここにあるカニ全部買ってもいい?」
「全部かい?それはいい。ほかには?」
「あんまり名前はわからないんだけど、エビとウニは?貝類とこう、なんか、あしの長い奴?」
「エビはあれだよ。さっき入った。ウニはそれ。タコイカのことかな?それはこれ。
貝はそれ。なんだ、食べるだけじゃないんだね。それは土産?」
「んー、これって、そのキラキラしたものを使うんだよね?」
大きなハマグリの大きさで内側ではなく外側がキラキラしていた。
もちろん、エビはマグロぐらいで、ウニはドッチボールぐらい。身が詰まっていることを望む。
「そうさ、その材料だ。手先が器用な人はこのまま買っていく。
出来上がりは、王都で人気の土産だよ。」
「へー初めて見た。これって生き物ですよね?」
「あはは、もちろんそうさ。」
「食べないの?」
「え?これを?あはははははは!今日一番、いやここ最近で一番笑ったよ?
これを?食べない食べない!!」
「毒があるからとか?」
「いや、それはないよ。カニの足と同じで撒き餌に使うからね。
ちょいと、後ろの旦那!この子にちゃんと食べさせてやってるのかい?
こんなのを食べたがるなんて!!」
「いや、なんでも興味を持つんだ。ちゃんと飯は食べているぞ?」
「そうかい?ならいいけどさ。ま、これは食べるもんじゃないんだよ。」
「そうなんだ、知らなかった。じゃ、海藻?こう、海の中ある植物みたいなのは?」
「また変なものをしってるね。それは売り物じゃないからここにはないよ?
船着き場にいってみな?櫂に絡まるからその都度引き揚げてる。
戻るとき投げ捨ててるが、それでも絡んでいるものさ。厄介なんだよ。
欲しいっていえば、勝手に持って行けって喜ばれるよ!あははははは!」
「へー、厄介者なんだ。やっぱり現地できかないとわかんない話ばっかりだ!
お姉さん勉強になったよ!!ありがと!!」
それから、店にあるものをほぼ全部買って、店の裏側に運んでもらった。
仲間がほかの店を廻ってるから、ここで待ってると。
おかみさんは店があるからといって戻ていった。
生きてるものは入らないから、一瞬の真空状態にして、即殺。
姿が見えなくなると、海鮮専用の収納袋にいれて、船着き場に向かう。
「おもしろいね、食べないんだね。干物のことも聞けなかったよ。
今度は生まれてから一番笑ったって言われそうで。」
「私はあの時、3度の飯はわたしが作ると誓った。
お前にちゃんと不自由なく食べてもらっているだろうか?」
「へ?ああ!さっきの?あははは!それこそ、ここ最近の爆笑ものだよ?
ああいう話はおばちゃんになったらみんなするよ?ちょっとやせてる子を捕まえて
ちゃんと食べてるの?とかいって、飴ちゃん握らしたり。
あははは、おばちゃん、ああ、お姉さまの話し方はどこの世界もおなじだな。わたし、違和感なかったでしょ?」
「なかった。なじんでいた。」
「ね?あれぐらいの年齢なのよ。あ、落ち込むなよ?そうだったって話。
いまはマティスのかわいい奥さんだよ?」
「そうだ、そうだな。」
「もう!すぐ凹むから!!さ、今度はコンブだよ!珍しいってことでもらって帰ろう!
で、海見て、それで帰ろうか。」
同じように、戻ってきた船に絡まるコンブと思しきものを
珍しい!!といってもらってきた。
一応海の向こうってどんなの?って聞いたら、死にたいのかって心配された。
黙ってるマティスにちゃんとしてやってるのかって怒ってた。
ここでは海の向こうイコール死にたいってことみたいだ。
海峡石のこと聞いたら、昔は網にひっかかることは有ったが、今はないと。
帝都ので大型船を出して、海の底をすくいあげて回収するようだ。
時々、向こうの砂浜に打ち上げられることもあるそうなので
毎日捜して歩く人もいるそうな。ヒスイ海岸みたいだね。
それでもここ最近は見ない。砂漠石があるから別に構わないって笑っていた。
静かな砂浜。夕日が落ちていくならさぞかしロマンチックだろう。
違和感なく海と認識できる。
母なる海というのは同じなのかどうかはわからないが、
海はしょっぱかった。塩田はないようで、塩は山から岩塩を取ってくるらしい。
貝殻らしきものはなく、砂と青い海。
海水浴は?と聞くと、海では泳がない。それこそ死ぬのかといわれるらしい。
波打ち際に入るのは、変人扱いだそうだ。
変人結構!
靴を脱ぎ、ズボンをたくし上げて入ってみる。
海だ。何十年ぶりだろうか。
「おい、あまり入るな。」
マティスが心配そうに見ている。
「想像してみ?あのベビードールの服着て波と戯れてるところを。
で、こんなポーズ。どうだ?」
ちょっと胸を寄せてみるポーズをとってみた。
「ぶはっ!!」
マティスが盛大にむせている。
「あはははは!海っていうのはそういうところなんだよ、向こうでは。
みんな、そんな恰好で海であそぶの。
でも、ここは太陽がないしさみしいね。」
やはりお前の居たところは羞恥心が壊れているといわれた。間違いではないかもしれない。
海から上がると月無し石が騒いでる。海に入りたいらしい。
袋から出すと、
全部の石がじゃぶじゃぶ入っていく。いいのか?と思いながら
砂浜に座り、すこし遅いお昼を食べた。おにぎり。あー、のりもないのか。
「なんだかさ、向こうの世界の食べ物をさ、無理に再現しなくても
こっちはこっちでおいしいもの沢山あるよね。
でもさ、捨てたりするものを利用するぐらいいいよね?」
「なぜそんなことを聞く?」
「ん?毛皮のこともそうだけど、あんまり、こうすればこうなるってしないほうがいいのかなって。」
「どうして?」
「だって、いらんことしいみたいでさ。うまく言えないけど。」
「お前ができる範囲でする分はいいだろ?それに私も楽しい、だれにも迷惑はかけていない。」
「でも牛乳のことは迷惑かけてない?」
「あれは遅かれ早かれそうなってる。あの毛皮屋も豚の毛をある程度まで研究していたようだ。
それにいつか誰かが気付く話だろ?」
「うん、そうだね。」
月無し石はまたじゃぶじゃぶ帰ってきた。またここにいくつか残るという。
タオルでひとつずつふきふきしてると、これはまたしてほしいとリクエストがあった。
水浴びとセットがいいようだ。いつでもどうぞと約束をする。
足元のは礼だというので下を見ると、そこだけきれいな半透明な砂がこんもりあった。
波にさらわれる前に、慌てて廻りの砂ごと収納した。
砂時計にするのもいいかもしれない。
大量買いしたお店の前は通らずに、街を抜けていく。
貝細工があったので、買ってもらった。
ガムが入っているタロスさんの箱に似た化粧箱だ。
「タロスさんもここで買ったのかもしれないね。」
「そうだな。そう考えるとあの人は謎だな。父上と交流があったことも知らなかったから。」
帝都に近づくにつれてまた鼻を付く匂いがしてくる。
変な言い方だが、本物の魚臭い、生臭い匂いを嗅いだ後では
この匂いは別のものだと思ってしまうが、あまり考えないように
ガムを噛みながら、トックスさんの店先に移動した。
13
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる