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169:ドレス
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彼女が元気よく声をあげるのに
男4人は焦りを顔に浮かべている。
「よかった、姉さん早めに戻ってくれて。
今すぐ私の館に戻りましょう。それで、妻たちの服を借りてください。
姉さんが女性であることがばれています。
武の祭りが御前試合という正式なものに変わっています。
その時はみな正装なのです。女性は女性らしく、男性は男性らしくと。
それ以外は不敬とされます。
姉さんたちが厩にいってから使いのものがそう伝えてきました。
正装なぞこの街、ティータイでもすぐには作れない。妻たちは持っています。
それを借りればいい。」
なるほど、彼女の美しさはやはり隠し切れないのだな。
「兄さん!!なに納得してるんですか!
不敬罪がどんな理不尽なものか知っているでしょう!!」
「正式な場で正式な姿をしないといけないってことだよね。
いまはこの格好でもいいんだ。ならよかった。ドレスはここの手癖の悪い娘さんが
おさげ渡し?してくれたよ。血みどろ、泥付きだけど。」
軽く厩でのことを説明してワイプを悪者にする。
「何もかもワイプが悪い。相手はお前の事を様付で呼んでいたぞ?
大方、弟子入りを断ったんだろう?その逆恨みだ。覚えがないか?」
「自慢じゃないがあるわけがない。
大体で志願をする男どもを断ったことはない。
向こうから逃げ出すのですよ?」
「あれは女性だよ?女の子。」
「そうなのか?そういわれれば骨格が違うか。」
「女性で弟子入り志願ですか?
んー、あのマティス君に2回蹴られた人ですよね?」
ワイプがない記憶を思いだそうとしている。無理だろう。
「ちょっとそんなことはいいから!こんなものは着られない!
はやく戻りましょう。先に館にもどって妻たちに準備させています。
針子も呼びます。
すぐに支度すれば間に合いますから!」
「これを着ろと言われたからこれにするよ。着てなかったら
それを理由に不敬になるかもしれんからね。
んー、きれいにして、胸は、きつそう。
そこは加工してもいいでしょう。ちょっと支度してくる。
あ、マティスの正式なものは?」
「兄さんは試合に出るので何でもいい。姉さん!」
「ふふふ、セサミン、大丈夫だから。
ちょっときれいにおめかししてくるよ。奥さんたちにはありがとうって、断っといて。」
「私も手伝う。」
「あー、マティスが手を加えるといやらしくなるかな、今回はいいや。」
「そんな!」
「想像してみな?マティスの考えたドレスを着たわたしを。で、みなのまえに出る。
どう?許せる?」
「・・!!駄目だ!!」
「でしょ?すぐだから。ルグとドーガーもおろおろしないの!」
『赤い塊の配下として情けないですよ?わたしくしの違う一面を見て今以上に尊敬なさい?』
「「はい!!」」
部屋に戻りドレスを新品の状態に戻す。
あれが一度でも袖を通したものを切るのは勘弁だ。
胸廻りは大きく。お、不二子状態。
髪はどうする。後ろに撫でつけるか。
化粧はしなくてもいい?いける!
しかしそのまま着るのはちょっと癪にさわる。
うーん。トックスさんに相談だ!!
「トックスさーん!!」
まだ店を開けていない店の中に移動。
あ、お茶の香りしかしない。よかった。
「ん?なんだ?うぉ!!どうした?え?その恰好は!!」
「えっと説明は省くけど、このドレスちょっと寂しいから華やかにしたい!どうしたらいい?」
「え?省くの?華やか?旦那はなんて?あいつもいい腕だぞ?」
「あれは今回はダメ、いやらしくなる。御前試合の正装なの。そこの娘のおさげ渡しのドレス。
胸は広げて着れるようにした。この服を何倍かにいいものにしたい!で、時間がない!」
「んー」
「愛しい人!どうした!」
「あ、来たの?ごめん、トックスさんに相談中。」
「うぉ、旦那も来てたのか?」
「愛しい人の気配が飛んだから驚いた。ああ、素晴らしいドレス姿だ。」
マティスが絶賛だけを送る。
「そうだな、こう、光物を裾に縫い付けるのはどうだ?ああ、時間がないのか。」
「それだ!!ありがとうトックスさん、このお礼と言っては何だけど、
コットワッツ領主に推薦してるから!いずれ話は来るからね!
マティス帰るよ。もらった砂を散らばめよう。
マティスは靴を作って。じゃね、トックスさん。」
「ご主人、今のことは内密に。では」
部屋に戻り、月無し石たちにもらった砂を裾に撒いた。
マティスは流れすようにしたほうがいいというので、それ採用。
靴もおなじ色目で作ってもらう。走れるパンプス、格闘技も可仕様。
このドレス、薄いレモンイエローの袖口にはふんだんにレースが使ってある。
マティスはそれに合うアクセサリーも色のついた砂漠石で作ってくれた。
耳飾りもマティスが付け替えるくれる。
ああ、素敵。
ふわりと回転して見せた。
「ああ、愛しい人。いままで見たどの女性のドレス姿でもここまで胸が高鳴ったことはない。」
「ふふ、ありがとう。この耳飾りも、首飾りも素敵。ありがとう。」
セサミン達のまえに出ると、
ルグとドーガーは片膝を付いた。大げさな。
師匠はほぉほぉといっている。
「姉さん、ああ、あなたを姉と呼べるのがわたしの誉れとなるでしょう。
妻たちに何とかなりそうだと言いに戻りました。
そしたら、逆に怒られました。前もって用意していないわたしの不手際だと。
せめて紅だけは使ってくれと持たされました。」
「うれしい。あ、色も何種類かあるんだ。」
「ドレスの色と顔色とで紅の色が違うと。わかりますか?」
「あははは、さすがだね。うーん、といってもわたしも疎いから、マティス、どれがいい?」
「紅?そうだな、この薄い色がいい。」
「じゃ、これね。」
これで準備万端。
いざ、御前試合へ。
・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…━…‥・‥…
あれは何だったのだろう。
どこの貴族のご令嬢かと思ったが、あの話し方は紛れもなくこの前の砂漠の民だ。
旦那もいつのまにか現れた。
マティス?マティスと呼んだな?
あの隣国の手配書の男か?それとティスは別人だと注意書も廻っていた。
同じ人物なんだ。で、コットワッツの領主に推薦?
まあいい。
茶を焚いているおかげで、店の中での商談は今まで以上にある。
新作も売れ、万々歳だ。
ああいう、ドレスも似合うのなら、どれ、少し作ってみとこうか。
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