いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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182:雉

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お迎えの馬車は乗り合い馬車のようで
お偉いさんだけが乗る。
やあやあ、ご無沙汰しておりますとか、
ラルトルガのお話聞きましたか?とかだ。
セサミンは久しぶりの出席なのでみなが声を掛ける。
笑顔だが、心の中では駆け引き真っ最中なんだな。
頑張れ!セサミン!

従者組はその後ろを歩く。4人も多くない?と思ったが少ないほうだ。
ニバーセルには王都以下、9つの領国があるそうで、その9人の領主がいる。
ラルトルガは抹消されたので8つの領国、8人の領主だ。
この領国抹消は結構頻繁にあるらしい。
落ち着いたら、王都資産院は手を引いてふさわしい人物に
領主をお願いするらしい。そのとき、領主の力も引き継ぐ。
ファンロが頑張ればまた元に戻れることもできる。
おいしいもの食べて、寝て、ちょっと勉強すれば大丈夫のような気がする。
もちろん我らがコットワッツは長い歴史をもつ、らしい。

一つの領国に7人から多いところは20人ほどいる。
女性も結構いる。
領国ごとの固まっての移動。

大分進んでから、わたしだけ館に戻り、
何もかも収納した。
だって、誰もいない間に取り壊されてもいやだし、
中に入ってなにかされても嫌だ。
土中の基礎となる石まで収納したので
ぼこんと地面がへっこんで締まった。
更地にする場合ここは埋めるのだろうか?
ちょっとわからないから廻りの土で張りぼてを作っておいた。
何もなければ謁見後元に戻せばいいしね。
すぐにマティスのもとへと移動した。



かなり真上に月が出ているので暗くない。
パカラと馬車が進み、その後ろを数十人の集団が動く。
結構だらだらと、おしゃべりしながら。
わたしたちは最後尾だ。
マティス、わたし、ドーガー、ルグ。
退屈なので、遊ぶことにした。
まずは、ドーガーの歩調、手の角度を合わせる。
ドーガーは?となりながら、二人でシンクロ。
で、わたしが右足、右手を同時に出す。
すると、つられてドーガーも右手右足を出すが、
意識していないとがくんとなる。

「ぶふふふふ!」
「ドーガー!」
「え?わたしが悪いのですか?」
「愛しい人はかわいいな。」

わたしを睨むドーガーに目でルグを示す。
ドーガーはすぐにわたしの悪だくみを察するので、
同じようにルグの歩調に合せていった。
私は今度はマティスと合わせる。

ルグもすぐにがくんとなったが、マティスはならない。
どこまでもわたしに合わせてくる。
しまいにはわたしがマティスにつられて、がくんとなった。
「くやしい!!」
「はははは、演武と同じだ、上位の者につられるものだ。」
「え?ではわたしが筆頭になるのですか?」
「ドーガー!貴様は!!」
「あははは、それはまだまだ早いな。
ドーガーのほうが柔軟性があっただけだ。
それはどんなときにも役に立つ。
ルグはもっと臨機応変に対応できるようになればさらに良くなる。」
「「は!」」

「貴様ら!うるさいぞ!お前たちが参加したから俺たちはかなりの距離を
歩かされているんだぞ!!」

前を歩いてる集団の一人に言われてしまった。
そうか、一番遠くの離れにみんなで迎えに来てくれたんだもの。
ぐるーっとまわって来たのかな?
それなのに後ろで馬鹿をやってたら怒るよね。
それは悪いことをしたな。

ルグが前に出てたくれた。

「申し訳ない、久しぶりの王都ではしゃいでしまったようだ。」
おお!ルグ!大人だ!

ちなみにこういうときにマティスは何も言わない。
わたしに関連していないから。緑の目は伊達じゃない。
わたし以外は興味がない。わたしが興味あるものにだけ、感情が動く。

なので、貴様ではなく、わたしを示してしまうと、彼は遠くに行っている。
精神でも、物理でも。

赤い服、黒い面布、黒髪の女は口元を隠している。
コットワッツの同行者。

誰かが小さい声で赤い塊だとささやいた。
「おい、こいつらが赤い塊だ。衛兵にも名乗っていた。」
そう、2人で1つ、赤い塊とは我らの事!

あ!問答の事を思い出してしまった!
どんなことを考えてしまっていたんだろう?
自分でもわからない。

「ハニー?どうした。」
ここではダーリン&ハニーだ。マティスがえらくお気に召したからだ。
「ダーリン、なんでもない。問答のことを思い出しただけ。」
「そうか。私は得したな。そのように恥じらう姿を見ることが出来たのだから。」
「もう!」
すぐにイチャイチャモードになってしまう。
「赤い塊殿、ここではそれぐらいで。
ほら、セサミナ様がお待ちだ。行きましょう。」
「そうか、わかった。」
「はーい」
「では失礼する。」

ドーガーはそこの従者達と、ヤンキーのようにメンチ切りをしている。
「ドーガーもいくよー。」
「はい!」

4人で、馬車から降りてくるセサミンの方に向かうと
後ろからまた小さな声が聞こえてきた。

「ふん、人数合わせでどこぞの夫婦を雇ったわけか?」
「赤い服と黒い面布を付ければ誰でも赤い塊になるものな。」
「しかし、見たか?あの女?あれだったら手合わせしてやってもいいな。」
「あははは!俺もだ!」

あーあ、雉も鳴かずば撃たれまい。
総勢79人の従者(護衛も含む)は謁見前に75人なった。

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