いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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212:無言問答

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通称Gは封印された。
では、以前やった施主殺しMAXで。これを採用。

「モウ殿、これで行きましょう。
じいは事前に聞いてください。わたしかマティス君に。これは師匠命令です。
いいですね?マティス君も、状況判断を。」
「はい、師匠。」
「わかった。これを出すような状況を作らなければいい。」
「そうですね。お願いします。」


「さ、ルグもドーガーも。これは気だけなんですから。
所詮気合です。これで、人が死ぬわけでは、ないですよね?
対戦する度に気を練っていては遅い。
練ってる間があるなら行動です。威嚇で放つ相手がいると思いますが、やはり威嚇止まりです。
油断を誘う程度ですよ。何度も言いますが、これで倒せる相手は、どうでもいいのです。」
「「はい!」」

「明日は前半でおさらい、後半で辻試合だ。
今日はこれで上がろうか。」
「あ!街に行きたい!卵がない、乳も!食材が乏しい!!
あと食器類が欲しい。明日はね、本格海鮮丼だよ?
お揃いのどんぶりが欲しい。こんなお椀型。」
「海鮮丼?ラルトルガで食べたものですよね?」
「あれはね、いくらがなかったからお肉だったでしょ?
うふふふ、いくらを我が夫が調達したのよ。さすがでしょ?
あ、ドーガーはいくらがなにか知ってるけど、いっちゃだめだよ?」
「食べるのですね?あれを?はい、いいません。」
「ん?いらない?やめとく?」
「いえ、そんな、大丈夫です。奥方様を信じておりますので。」
「大丈夫。見た目は変わってるから。と、いうことで、買い物いい?」
「ではそうしましょうか。」

いったん戻るのも面倒なので、”きれいにして”から街にでる。
鍛練場は資産院敷地のはずれにあるので、そこからゾロゾロと芋ジャー軍団。
わたしは口布を付ける。ちょっと異様かな?と思たけど、気にしない。
外壁がさっきの振動で崩れている方が気になった。

「師匠?外壁崩れてます。さっきのでかな?」
「もともとぼろいですしね。使うのもわたしか暗部あがりだけなので、
修繕の予算が廻らないのですよ。維持費だけですね。んー、わたしが無役になったから
取り壊しかもしれませんね。あの高地とれーにんぐはいいと思うのですが。」
「師匠の家の地下に作りましょうか?」
「ほうほう。それは素晴らしい。お願いします。」
「愛しい人!どうしてワイプにそんなに甘いんだ!」
「ん?だって、それがあればいつでも鍛錬できるし、
広いところがあればマティスもいつでも師匠と対戦できるよ?
師匠と対戦出来てマティスすっきりしてるもの。
たまには発散しないとね。師匠には悪いけど、相手してやってください。」
「そうか、それなら仕方がないな。」
「ええ、マティス君、いつでもどうぞ。」


外に出ると軍隊が整列していた。
その前に副隊長がいる。横の小柄な老人が隊長だろうか?

師匠を見上げると、ああ、という。
「横が軍部の鍛練場なのですよ。ここを抜けるほうが街へは近道です。」


「マティス!ワイプ!」

後ろをこそり通り抜けようとしたのだが、気づかれたようだ。
こちら側見ている軍部の人が笑っていたからであろう。
芋ジャーはおかしいか。すまぬ、せめて違う色にすればよかったか。
わたしの高校は紺色だった。そっちの方がよかったか。
それにしても、師匠をいきなり呼び捨てするのが気に入らん。

「鍛錬をしていたのか?さっきの地響きは驚いたな?
資産院の鍛練場は崩れたんじゃないか?」
「いいえ、軍部のように毎年増築改築はできてませんが、
骨組みは丈夫ですので。では。」
「まて、マティス!隊長に挨拶もしないのか?」
「・・・」
「兄さん!仮入隊時にわたしの方から兄さんの近辺を守るようにお願いしていた方は
チャルガ様です。無礼はしないで!」
「・・・」

セサミンが小さな声でマティス言ってる。
でもさ、何してくれてたんだろう?結局暗部の師匠と手合わせすることになってるし、
うんうん、って聞いてただけで何もしてなかたんじゃないかな?
例え先代領主の願いだとしても一地方の子倅の安否を心配するかな?
師匠の後の行動を読んで?
槍術を教えてくれた人ならわかるけど、この人でそれはないな。
部下を見ればどういう上司かわかるっていうし。
わたしも師匠の名に恥じないようにしなければ。


「マティスよ、久しいな。息災か?」
「・・・」
「チャルガ様、お久しぶりでごさいます。
その節はいろいろとお世話になりました。
兄は今、わたしの護衛として付いております。返答はご容赦を。」
「ああ、その話は聞いている。ではこの女性が嫁御か?名は?」
「・・・」

わたしもマティスも答えない。
だっていまはセサミンの護衛。王にも礼は不要と言われる立場だ。

「ほう?嫁御も護衛か?」
「はい。名を2人で赤い塊と名乗っております。
2人でわたしの護衛についております。」

セサミンはなんで下に行くんだろ?
力関係が分からんな。
師匠を見れば黙って見てくれているから間違った対応はしていないんだろう。

下から覗き込むように見上げられる。
なんだ?

「お待ちください!」

師匠が珍しく大声をあげる。
マティスもセサミンも蒼白だ。
(なにもしゃべるな!)

が、この小さなおじいちゃんは、にやりと笑うと、
一歩引いて、胸の前で両手の指を付けて輪を作る。

え?なにそれ?蒟蒻問答?この人も同じところから来たの?
とりあえず、腕も使って大きな輪を作る。
隊長は、さらに一歩引いて10本の指を示す。
ちょっと、これが卑猥なハンドジェスチャーだったらどうする?一晩10リングでどうとか?
春風亭師匠!お願いします!
片手を突き出し5本の指を突き立てた。
また一歩引いて、3本指を立ててくる。
片目の下に指を置いてあっかんべー。

隊長は土下座状態で震えてる。うそ?ワイプ師匠!!


「チャルガ殿、このモウは我が一番弟子です。
夫のマティス君もね。師匠に無断で問答をするのはどうかと思いますよ?
先に聞いてくれれば何も失うこともなかったのに。残念です。
後のことは、ブラナダ殿が処理してください。
このことは天秤院に報告します。」
「お、お待ちください!まさか、ここまでのものとは。
隊長は冗談で問答を仕掛けただけです。本式ではない。」
「ほう?では、モウがしくじれば笑ってすましていたのですか?
それはそれは。なるほど。この無言問答、おふざけで行うものになっていたとは。
知りませんでした。しかし、報告は義務ですよね?」
「そこをなんとか!」
「そうですか。モウ、この始末、師匠のわたしが預かってよろしいか?」
(頷け!)

マティスの言うように、うなずく。

「わかりました。あくまでもおふざけだと。なら、天秤院に報告しても
報告された方が困るでしょう。まぁ、鍛練場があたらしくなるとか?
これはうれしいですね。そうなったらすっかり忘れてしまいそうです。
では、急ぎますので、これで失礼します。」

師匠を先頭にまるでわたしが護衛対象者の立ち位置で、軍部の練習場を抜けていった。

敷地の外に出ると、皆がへたり込んでしまう。
マティスはわたしにしがみつく。

「愛しい人。私の半身。よかった、よかった。」
「姉さん。よかった。さすが、わたしの賢者です。ええ、いまだけはそう呼ばせてください。」
「奥方様、すばらしい!見てください、いまだ震えが止まりません!」
「見ましたか?軍部の奴ら、わたしたちを最初は笑っていたのに!最後は尊敬のまなざしだ!」
「やっぱり笑ってた?ごめんね、色がまずかったかな?」
「え?違いますよ!ルグさんとわたしは元は軍部なんです。
派遣組といって、地方に飛ばされたんですよ。
それで、いつもあいつらはそれを笑うんですよ。」
「おお!そいういのどこでもあるんだね。ぱっとみ、ドーガーはあの並んでる人より強いよ?」
「はい!」
「それにしても、モウ殿。よく無言問答を知っていましたね。
とにかく、移動しましょう。」

師匠のよくいくお店第2弾ということで、街のはずれまで行った。
6人座るといっぱいで、貸し切りとなった。
ここは資産院の食堂で働いていた人が、首になったのでここで店を出したそうだ。
紹介者は師匠ということで王都の中に住んでいる。

お酒は持ち込みと可ということで、ビールで乾杯。
口布は外している。旦那がOK出したらいいということにしよう。

適当に、という注文で、次から次と出てくる。
優しい味だ。えぐみもない。下処理をしっかりしているのだろう。

「はー、よかった。本当に良かった。姉さん、本当に。」
セサミンが嬉しそうだ。
「で、結局なんだったの?あれ?」
「「「「「え?」」」」」

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