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213:蒟蒻問答
しおりを挟むあれは無言問答というもので、血殺し、決闘、無言問答と
昔からある決まり事らしい。
何を問うてるかは問うてる本人しかわからない。
とにかく、身振り手振りで、問うてくる。
心持の強いものが勝つという。
負ければ、決闘と同じでなにか1つ要求してくる。
これに拒否はできない。
受けたくなければ無言を貫けばいい。
それを恥だとはだれも言わない。ここが決闘と違うところ。
こんなこともできないのかと、嫌味を言われるぐらいで終わる。
しゃべってもダメらしい。
大抵は師匠と呼ばれる上位者のもと、修業の一環として行われる。
「では、知らずに?」
「マティスがしゃべるなっていうから。
それに、故郷にあるのよ、無言で始まる問答の話。」
「それは興味深い。どのようなものか聞いても?」
「いいけど、これ、一気に話すから途中の質問無しね。
で、途中で笑っちゃだめだよ?」
仕方がなく、忘年会でやった蒟蒻問答を披露した。
お囃子は自分で。
ちゃかちゃんりんちゃんりん。
えー、毎度ばかばかしいお話を一席、、、
「・・・途中から無言の行と気付き、こちらも無言で問いかけたのでございます。
『胸中は』と問うと『大海のごとし』。
『十方世界は』と問えば『五戒で保つ』。
最後に『三尊の弥陀は』と問うたところ、『目の下にあり』とのお答えだった。
とても、とても拙僧の敵う相手ではございません、
平に、平にご容赦を、と去っていく・・・
・・・するってーと、10個でいくらかって聞いてくるんで、銀貨5枚だと答えたら、
銀貨3枚に負けろ言ってきた。かーっ、何言ってやがるこんちくしょうめ!
それで、あっかんべーってしてやったのよ。ざまーみやがれ!
・・・これが世にゆうプリン問答でございます。」
こんにゃくをプリンに変えて、こんな話。
ああ、無言の行だ。
誰もしゃべらない。なんて罰ゲームなんだ。忘年会では大うけだったのに!
「あははははははは!!!」
あ、おかみさんが笑ってくれた。
「えへへへへ。お間抜けな話でしょ?」
笑うおかみさんを見て、お互いの顔見比べている。
「愛しい人、それだと思ったのか?あの状況で?」
「いや、あの人も同郷なのかなって?渋いところついてくるなとは思ったんだけどね。」
「震えが止まりません。」
「寒気もします。」
「モウ殿・・・。」
「姉さん、いや、この場合なにも教えていなかった兄さんが悪い!」
「なにあんたたち怒ってんだい?こんなおかしい話はないよ?
あー、わらった、わらった。ぷりんっていうものがどんなものかわからなかったけど
十分だよ。面白い話があったもんだ。」
「あ、これがプリンです。コットワッツ、ティータイで流行ってます。
よかったらどうぞ。」
そっと、最初からありました的におかみさんに渡す。
「あらいいの?これで食べるのね?
ま、あまいわ!おいしい!あはははは!これを作ってるってことね、あははははは!
それで、、負けろって?あはは、その僧侶の下りはよかったわ。
いつもわけのわかんないことを言って勝手に納得してるの、よく似てたわ。
ぶふ、あ、だめ、思い出したらまた。あはははははは!!」
僧侶の馬鹿さ加減がこっちも同じようでそこでも受けているようだ。
「う、ふ、そうですね。
怒ることないですね。うまく切り抜けたんだから。うぐふ、はははははは!」
セサミンが笑い出すと、みんなもやっと笑ってくれた。よかった。
「愛しい人、これからは先に教えるから。
今回はこれでよかったが、もし、しくじっていたら何を要求されていたことか。」
「そうなんよ、もし、10本の指がさ、1晩10リングでどう?みたいな話だったら
自分から5リングだった言うことになるでしょ?ほんと、よかったよ。そうじゃなくて。」
「愛しい人、ここで待ってて?すぐ戻るから。」
「ん?どこに行くの?」
「チャルガを始末しに。なに、すぐだ。」
「まって!まって!兄さん!待って!!」
「マティスはすぐそんなことを言う。離れないでって。」
「そうだな。そばにいたほうがいいか。」
「うん、そばにいて。でさ、セサミンはえらい低姿勢だったね。なんで?」
「兄さんのことを頼んでいましたから。」
「うん、それさ、何もしてないんじゃないかな?
だって、そうなら、師匠がマティスのところに行くことを止めてるはずでしょ?
師匠の人柄を見抜いての行動ってのは考えにくいよ?
それに、あのじいちゃんの部下があれだよ?なんかなーって。
みんなでさ、持ち上げているだけで、実際そんな力もないんじゃないかな?
最後まで震えてただけだし。最初からちょっといやらしい目だったよ?」
「やはり、待てって?」
「もう!いいから。わたし、褒められてもいいと思うんよ?
心持がわたしのほうが強いから勝ったんでしょ?褒めて?」
「そうだ!えらいぞ!愛しい人。さすが私の半身だ。」
「そうでしょう、そうでしょう。」
「さすが、我が一番弟子です。おかげで、鍛練場は新しくなりますよ。」
「あはは!あれは天秤院に知らせるとまずいんですね。
誠意を見せろって奴ですね。」
「奥方様?それはどういう意味ですか?」
「ん?こうさ、直接的にお金を要求しちゃうと、こっちはどうかわかんないけど、
恐喝罪になるのね、だから、こういうのが定番。
『あんちゃん?な?何もこっちは金を要求してるわけやない、それはわかるやろ?
誠意を見せろ、ゆーてるだけや、な?わかるやろ?』
って肩を組みもって、薄く笑いながら言うわけよ。
そしたら相手はビビッて、ゆってないのにお金を出すと。
ほな、あんちゃんが言う誠意をもろときましょかってなるの。」
「おお!!奥方様!これ、どこかで使っていいですか?」
ドーガーが食いつく。
「いや、これは完全に悪役側だからね、ダメだよ?
逆に言われたら、
『ええ、誠意をもってお話を聞いておりますよ?もう、よろしいですね?失礼いたします。』
って、終わらしてしまうと。」
「おお!これもどこかが使います!!」
「あはははは!もう!お好きにどうぞ。」
一通り食べ終わると、お店をでて買い物。
おかみさんに食器屋さんを教えてもらって、近い形のものを12個買った。
2種類のどんぶりを食べることが出来る。
少しだけお醤油を絞っておこうかな。いくらをつけておかないと。
お風呂に入って、ごそごそ作業をして、
髪を結ぶゴムを作って今日は終わった。
あー、よく笑った。
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