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275:税
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3日目。
今日の月が昇る前までに街つくだろうとのこと。
半分になる前に、豚を狩りまくることにする。
少し歩いて、近くの林に入る。
「ん?少しすくないか?寒くなるからな。巣穴から出ないものもいるのかもしれんな。」
「あのコロコロ動いてる気配だよね。
うん、気配が分かる。林のずっと外にいるのが馬車の人だよね?」
「そうだ。やはり近づいては来ないな、では行くか!」
「アイアイサー!」
コムの近くの狩ったときより少し少なめだが、
必要なものは狩った。10匹と20匹をなんとか背負子にくくりつけ
残りは収納。
「どうだ?持てるか?」
「うん、大丈夫。わたし強くなってるね!」
「なってるだろうさ。」
「うふふふ。じゃ、このまま、街に行こう。なんて名前なの?」
「確か、デイだったかな?」
「ふーん。また入り口で守衛さんが立ってるかな?」
「立ってるだろう。イリアスに近いからな。」
「近いから?なんで?」
「税を払うのは街、村単位だ。ティータイは領主館があるから、領主が集める。
他では村長か、その街の長が集める。
村で商売をして、税を納める時期に村から出ていかれると税を回収できないだろ?
旅人が泊るだけならいいが商売をするには届け出がいるからな。
人の出入りの把握は王都と同じだな。」
「え?またこっぱずかしい問答があるとか?」
「それはないな。しかし、なんらかのことはしているだろう。」
「ティータイも?わたしたちが街道にでるとき誰もいなかったよね?」
「あの道の手前、街の入口はいたぞ?飛び越えただけだ。」
「そうか。今回、わたしたちはどうする?
これだけの豚を卵とかに交換するのは量が多すぎるけど?てなる?
足が速いので、このままイリアスに行きますっていう?」
「そうなるかな。それだと、やはり商売か。守衛に聞けばいいだろ。
そのための守衛だ。ややこしいことを言うようなら、そのままイリアスに入ろう。」
「うん。砂漠の民、ティスとモウ?」
「そうだ。マティスの手配は解除されているはずだ。
帝都の衛兵がきちんと仕事をしていれば、マティスとティスは別人だとなっているだろう。
その砂漠の民が実は、残念ながらワイプの弟子だということだ。」
「おお!ちゃんとつじつま合うね!さすが、わたしのティスだ!」
「もちろん、愛しいのモウの夫だからな!」
そう話しながら進んでいくと、後ろの馬車がやっとわたしたちを追い越していく。
若い男だ。馬はコム産なのだろうか、赤馬が一頭。
小さな幌馬車を引いていく。
「結局なんだったんだろうね?」
「わからんな。ああ、いまのは子供だったな。」
「え?そうなの?いくつ?」
「そうだな、コムの村長の息子より上、12,3かな?」
「見た感じ立派な男だよね?女の人もそうなの?」
「ああ、背はそうだな、やはり10歳ぐらいで大人と同じだな。
でも、肉付きは、子供だ。それは男も同じだ。」
「ん?おっぱいは小さいってこと?男も?ああ、ブツは子供のままか。」
「また!そんなはっきり女性が言うものではない!」
「ああ、そうだね。いまのは下品だった。
じゃ、子供か大人かわからなければ、そこを見ればわかるね。」
「見る?え?脱がすのか?え?」
「いや、なんとなくふくらみはわかるでしょ?」
「!!!」
「ああ、これも下品だね。ごめん。んー、脅してみる?
”てめぇ!毛が生えてんのか!”って。それでうろたえたら子供だ。」
「・・・すまない。私でもうろたえる。」
「・・・そうか。難しいね。いや、別に脅さなくてもいいのか。あはははは!」
コムと同じような木の柵で囲まれたところに、守衛さんがいる。
そして、さっき追い越していった馬車と少年。
思わず股間に目が行ってしまう。んー?わかんないや。
小さすぎるから?子供ってことだよね。
守衛さんも、うん、大人だ。
マティスはもっとはっきりわかるのに。あれ?常に臨戦態勢?
「モウ?いま、いやらしいことを考えているな?」
「え?なんでわかるの?」
「そういうのはすぐにわかる。」
「いやーん。」
恐るべし、マティスセンサー。気をつけねば。
「止まれ!!お前たちはどこのだれで、どこからきてどこに行く?」
「俺たちは砂漠の民、ティスとモウ。夫婦だ。
ニバーセルが一領国、コットワッツの砂漠、サボテンの森から来た。
いろいろ各地を廻り、ジットカーフからイリアスに向かっている。
その途中だ。」
「ここ、デイには泊るのか?その豚はどうした?」
「泊まれるところがあれば泊まりたい。
この豚は向こうの林で狩ってきた。これで乳と卵、チーズと交換してもらいたい。
それをイリアスに運ぶつもりだ。」
「これだけの豚と交換すればものすごい量になるぞ?
チーズはいいが、乳と卵はすぐに腐るぞ?」
「我らは砂漠の民。足の速さと力には自信がある。腐る前にイリアスの村で売るさ。」
「そうか。しかし、それでは商売の類になる。仕入れだからな。一定の税は納めてもらうぞ。」
「どれぐらいになる?」
「そうだな。豚3頭分ぐらいだな。」
「豚で納めてもいいのか?どこに?村長か?」
「ああ、そうだ。今から行こう。「ちょっとまって!俺の豚だ!盗まれたものなんだ!」
うわー、そうきたか。
「お前、いい加減にしろよ?俺がなんで守衛をやってると思うんだ?
嘘を見抜けるからだ。だいたい、お前、どうやってこれだけの豚を仕留めたんだ?」
「そ、それは3日掛けてわなを張って、追い込んで、槍でついたんだ!俺の豚だ!」
「槍ね。お前の槍の腕は村一番だ。だが、嘘だ。
テムローザ、お前がなんでそんな嘘をつくかは知っている。隣村のコムの村長の息子が
盗賊を捕えて手柄を立てたからだろ?嘘をついてまで手柄が欲しいのか?
そんなので張り合ってどうするんだ?お前はお前で頑張ればいいんだ。
だが、嘘はいけない。」
「嘘じゃない!!」
あれだよね、子供ってこういうところでむきになるよね。
なるほど、子供だ。うん、わかった。
「守衛殿?どいうことだ?この豚は盗まれたものだというのか?」
「そうだ!俺から盗んだんだ!!」
「お前は?」
「おまえ?失礼だぞ!おれはここのデイの村長の娘で、テムローザだ。」
コムと同じパターンだ。ん?娘?
「ぶははははは!そりゃないわな!!!!」
「モウ!」
「あ!失礼しました。」
うわ、すごいにらまれてる。ごめんなさい。
「お前!なんで笑った!!」
「え?いえ、思い出し笑い?」
「嘘つけ!俺のことを笑ったんだ!胸がないって!」
「え?そっちじゃなくて、男の人だと思ったんだけど、
子供だっていわれて、じゃ、下の膨らみ見たらわかるよねって、
でも、うちの主人のは大きくて、でも、お宅のは全然なくて、
こどもってやっぱりちいさいのねって納得したんだけど、そしたら女の子っていうから、
そりゃ、ないよねって、笑ってしまったの。ごめんね?」
「モウ!やめろ!守衛殿がけいれんを起こしている。」
「ひー、やめて、そんなこと、ぶふ、ぶはははははははは!」
「覚えてろ!!」
娘さんは顔を真っ赤にして馬車を操り、村に入っていった。
守衛さんは、ひーひー言っている。
「モウ、なんでも正直に答えればいいというものでもないぞ?」
「うん、そうだね。やさしい嘘ってあるものね。」
「うちの主人というくだりはよかったぞ?」
「え?もう!ティス!」
「あはははは!」
「あー、わらった、わらった。
あれは男の言葉を使って、男のようにふるまうが、胸にかんしては女なんだよ。
しかもコムの村長の息子と張り合ってる。
ほっとけばいい。嘘をついてまで手柄が欲しいとはな。村長が聞けば嘆くだけだ。
あんたたちのことは聞いてるんだ、コムの守衛からな。
もし訪ねてくれば、豚を仕留めてもらえって。傷のない豚が食べられるってね。
あんた、達人なんだろ?この豚だって、血の匂いなんかしない。
なのに槍でついたなんてよくあんな嘘をいうもんだ。」
「いえ、豚のことをおいといて、年頃の娘さんにひどいことを言いました。」
「いいんだよ、嘘つくほうが悪いんだ。」
「コムの守衛殿には世話になったんだが、彼から?」
「ああ、手配書のマティスと間違えられたんだろ?その話も聞いたよ。
後から、そのマティスとやらの手配書は取り消しの伝令書も廻ってきてるがな。
だからあんたたちは堂々としとけばいいさ。」
「そうか、よかった。な?モウ!」
「うん、よかったね、ティス!」
村長の家の前に来ると、村長と思しき人とテムローサがいた。
「村長!」
守衛さんがわたしたちのことと、娘さんのことを話していく。
村長さんの顔色がどんどん蒼白になっていく。
最初は娘さんの話を信じたんだろうな。
豚に傷はなく、コムの守衛が話していた2人だと言えば、
逃げようとした、娘の腕をつかめを、無理矢理に頭を下げさそうとする。
「すまない。砂漠の民よ。これ!テム!謝れ!」
「いーやーだー!!」
「あの、村長さん、その辺で。わたしもさっき娘さんにとても失礼なこと言ってしまたんです。
それを思えば、うそをついたことを謝りたくても謝れないと思います。
テム、テムローサ、ごめんね。わたしほんと疎くて子供と大人って見分けがつかないの。
それにすごく勇ましいからてっきり男の人だと思ったのよ。ごめんね。」
「勇ましい?俺が?」
「うん、そう。だから村長さんの娘さんって名乗るから、びっくりして余計に笑ってしまったの。ごめんね。」
「ふん、なら間違ってしまうのはしかたがないな。俺は勇ましいから。」
「うん、馬も一人で操るしね。そういえばコムの村長の息子さん、馬に乗れるようになったのかしら?
字も読むのも苦手みたいで、それでうちのティスを手配書の人だって間違ったのよ?」
「ふふふふふ。あいつはまだ馬にも一人で乗れないし、字も苦手のままなんだ。」
「こら!そんなことは今はいい!謝れ!この2人を泥棒扱いしたことを!嘘をついたことを!
地下牢に入ってくるか!」
「!!」
「村長さん!まって!ね?勇ましいテムローサ?なんで、そんな嘘ついたの?」
「・・・あいつが盗賊6人捕まえたって、それで、俺もなにかでっかいことをって。
別れの月のあとだから、豚の数は一気に減る。
それで、たくさん取ってくればすごいだろ?
なのに全然狩れなかった。そしたら、前に2人の気配がして。
おれは気配を読むのはうまいんだ。
そしたら歌が聞こえてきて、それで、どんな奴らか気になって、
月が昇って2人が寝てからテントの近くまで行ったんだ、
寝ずの番をしていたら、話しかけようっておもって。
なのに2日とも2人とも寝てて。
そしたら、3日目で林にはいって、それだけの豚をしとめただろ?
すごいって思うのと、なんか悔しくて!
それで!それで!ごめんなさい!」
かわいい!
思わず抱きしてしまった。子供が自分の行動を説明するのは難しいと聞く。
それを一生懸命してくれたんだしかも正直に。なんてかわいいんだ!
「モウ、離せ!」
「女の子相手に焼餅なんか焼かないで!」
「いや、死ぬから。」
「え?」
そうか、真正面からだと窒息するか。ごめん、ごめん。
テムローサを放すと、息が出来なくて顔が真っ赤になっていた。
「ごめん!あまりにもかわいいから。
勇ましいテムローサじゃなくて、かわいいテムローサだったから。
これからそう呼んでもいい?」
かわいいテムローサはまた顔を真っ赤にして逃げていった。
かわいいねぇ。
今日の月が昇る前までに街つくだろうとのこと。
半分になる前に、豚を狩りまくることにする。
少し歩いて、近くの林に入る。
「ん?少しすくないか?寒くなるからな。巣穴から出ないものもいるのかもしれんな。」
「あのコロコロ動いてる気配だよね。
うん、気配が分かる。林のずっと外にいるのが馬車の人だよね?」
「そうだ。やはり近づいては来ないな、では行くか!」
「アイアイサー!」
コムの近くの狩ったときより少し少なめだが、
必要なものは狩った。10匹と20匹をなんとか背負子にくくりつけ
残りは収納。
「どうだ?持てるか?」
「うん、大丈夫。わたし強くなってるね!」
「なってるだろうさ。」
「うふふふ。じゃ、このまま、街に行こう。なんて名前なの?」
「確か、デイだったかな?」
「ふーん。また入り口で守衛さんが立ってるかな?」
「立ってるだろう。イリアスに近いからな。」
「近いから?なんで?」
「税を払うのは街、村単位だ。ティータイは領主館があるから、領主が集める。
他では村長か、その街の長が集める。
村で商売をして、税を納める時期に村から出ていかれると税を回収できないだろ?
旅人が泊るだけならいいが商売をするには届け出がいるからな。
人の出入りの把握は王都と同じだな。」
「え?またこっぱずかしい問答があるとか?」
「それはないな。しかし、なんらかのことはしているだろう。」
「ティータイも?わたしたちが街道にでるとき誰もいなかったよね?」
「あの道の手前、街の入口はいたぞ?飛び越えただけだ。」
「そうか。今回、わたしたちはどうする?
これだけの豚を卵とかに交換するのは量が多すぎるけど?てなる?
足が速いので、このままイリアスに行きますっていう?」
「そうなるかな。それだと、やはり商売か。守衛に聞けばいいだろ。
そのための守衛だ。ややこしいことを言うようなら、そのままイリアスに入ろう。」
「うん。砂漠の民、ティスとモウ?」
「そうだ。マティスの手配は解除されているはずだ。
帝都の衛兵がきちんと仕事をしていれば、マティスとティスは別人だとなっているだろう。
その砂漠の民が実は、残念ながらワイプの弟子だということだ。」
「おお!ちゃんとつじつま合うね!さすが、わたしのティスだ!」
「もちろん、愛しいのモウの夫だからな!」
そう話しながら進んでいくと、後ろの馬車がやっとわたしたちを追い越していく。
若い男だ。馬はコム産なのだろうか、赤馬が一頭。
小さな幌馬車を引いていく。
「結局なんだったんだろうね?」
「わからんな。ああ、いまのは子供だったな。」
「え?そうなの?いくつ?」
「そうだな、コムの村長の息子より上、12,3かな?」
「見た感じ立派な男だよね?女の人もそうなの?」
「ああ、背はそうだな、やはり10歳ぐらいで大人と同じだな。
でも、肉付きは、子供だ。それは男も同じだ。」
「ん?おっぱいは小さいってこと?男も?ああ、ブツは子供のままか。」
「また!そんなはっきり女性が言うものではない!」
「ああ、そうだね。いまのは下品だった。
じゃ、子供か大人かわからなければ、そこを見ればわかるね。」
「見る?え?脱がすのか?え?」
「いや、なんとなくふくらみはわかるでしょ?」
「!!!」
「ああ、これも下品だね。ごめん。んー、脅してみる?
”てめぇ!毛が生えてんのか!”って。それでうろたえたら子供だ。」
「・・・すまない。私でもうろたえる。」
「・・・そうか。難しいね。いや、別に脅さなくてもいいのか。あはははは!」
コムと同じような木の柵で囲まれたところに、守衛さんがいる。
そして、さっき追い越していった馬車と少年。
思わず股間に目が行ってしまう。んー?わかんないや。
小さすぎるから?子供ってことだよね。
守衛さんも、うん、大人だ。
マティスはもっとはっきりわかるのに。あれ?常に臨戦態勢?
「モウ?いま、いやらしいことを考えているな?」
「え?なんでわかるの?」
「そういうのはすぐにわかる。」
「いやーん。」
恐るべし、マティスセンサー。気をつけねば。
「止まれ!!お前たちはどこのだれで、どこからきてどこに行く?」
「俺たちは砂漠の民、ティスとモウ。夫婦だ。
ニバーセルが一領国、コットワッツの砂漠、サボテンの森から来た。
いろいろ各地を廻り、ジットカーフからイリアスに向かっている。
その途中だ。」
「ここ、デイには泊るのか?その豚はどうした?」
「泊まれるところがあれば泊まりたい。
この豚は向こうの林で狩ってきた。これで乳と卵、チーズと交換してもらいたい。
それをイリアスに運ぶつもりだ。」
「これだけの豚と交換すればものすごい量になるぞ?
チーズはいいが、乳と卵はすぐに腐るぞ?」
「我らは砂漠の民。足の速さと力には自信がある。腐る前にイリアスの村で売るさ。」
「そうか。しかし、それでは商売の類になる。仕入れだからな。一定の税は納めてもらうぞ。」
「どれぐらいになる?」
「そうだな。豚3頭分ぐらいだな。」
「豚で納めてもいいのか?どこに?村長か?」
「ああ、そうだ。今から行こう。「ちょっとまって!俺の豚だ!盗まれたものなんだ!」
うわー、そうきたか。
「お前、いい加減にしろよ?俺がなんで守衛をやってると思うんだ?
嘘を見抜けるからだ。だいたい、お前、どうやってこれだけの豚を仕留めたんだ?」
「そ、それは3日掛けてわなを張って、追い込んで、槍でついたんだ!俺の豚だ!」
「槍ね。お前の槍の腕は村一番だ。だが、嘘だ。
テムローザ、お前がなんでそんな嘘をつくかは知っている。隣村のコムの村長の息子が
盗賊を捕えて手柄を立てたからだろ?嘘をついてまで手柄が欲しいのか?
そんなので張り合ってどうするんだ?お前はお前で頑張ればいいんだ。
だが、嘘はいけない。」
「嘘じゃない!!」
あれだよね、子供ってこういうところでむきになるよね。
なるほど、子供だ。うん、わかった。
「守衛殿?どいうことだ?この豚は盗まれたものだというのか?」
「そうだ!俺から盗んだんだ!!」
「お前は?」
「おまえ?失礼だぞ!おれはここのデイの村長の娘で、テムローザだ。」
コムと同じパターンだ。ん?娘?
「ぶははははは!そりゃないわな!!!!」
「モウ!」
「あ!失礼しました。」
うわ、すごいにらまれてる。ごめんなさい。
「お前!なんで笑った!!」
「え?いえ、思い出し笑い?」
「嘘つけ!俺のことを笑ったんだ!胸がないって!」
「え?そっちじゃなくて、男の人だと思ったんだけど、
子供だっていわれて、じゃ、下の膨らみ見たらわかるよねって、
でも、うちの主人のは大きくて、でも、お宅のは全然なくて、
こどもってやっぱりちいさいのねって納得したんだけど、そしたら女の子っていうから、
そりゃ、ないよねって、笑ってしまったの。ごめんね?」
「モウ!やめろ!守衛殿がけいれんを起こしている。」
「ひー、やめて、そんなこと、ぶふ、ぶはははははははは!」
「覚えてろ!!」
娘さんは顔を真っ赤にして馬車を操り、村に入っていった。
守衛さんは、ひーひー言っている。
「モウ、なんでも正直に答えればいいというものでもないぞ?」
「うん、そうだね。やさしい嘘ってあるものね。」
「うちの主人というくだりはよかったぞ?」
「え?もう!ティス!」
「あはははは!」
「あー、わらった、わらった。
あれは男の言葉を使って、男のようにふるまうが、胸にかんしては女なんだよ。
しかもコムの村長の息子と張り合ってる。
ほっとけばいい。嘘をついてまで手柄が欲しいとはな。村長が聞けば嘆くだけだ。
あんたたちのことは聞いてるんだ、コムの守衛からな。
もし訪ねてくれば、豚を仕留めてもらえって。傷のない豚が食べられるってね。
あんた、達人なんだろ?この豚だって、血の匂いなんかしない。
なのに槍でついたなんてよくあんな嘘をいうもんだ。」
「いえ、豚のことをおいといて、年頃の娘さんにひどいことを言いました。」
「いいんだよ、嘘つくほうが悪いんだ。」
「コムの守衛殿には世話になったんだが、彼から?」
「ああ、手配書のマティスと間違えられたんだろ?その話も聞いたよ。
後から、そのマティスとやらの手配書は取り消しの伝令書も廻ってきてるがな。
だからあんたたちは堂々としとけばいいさ。」
「そうか、よかった。な?モウ!」
「うん、よかったね、ティス!」
村長の家の前に来ると、村長と思しき人とテムローサがいた。
「村長!」
守衛さんがわたしたちのことと、娘さんのことを話していく。
村長さんの顔色がどんどん蒼白になっていく。
最初は娘さんの話を信じたんだろうな。
豚に傷はなく、コムの守衛が話していた2人だと言えば、
逃げようとした、娘の腕をつかめを、無理矢理に頭を下げさそうとする。
「すまない。砂漠の民よ。これ!テム!謝れ!」
「いーやーだー!!」
「あの、村長さん、その辺で。わたしもさっき娘さんにとても失礼なこと言ってしまたんです。
それを思えば、うそをついたことを謝りたくても謝れないと思います。
テム、テムローサ、ごめんね。わたしほんと疎くて子供と大人って見分けがつかないの。
それにすごく勇ましいからてっきり男の人だと思ったのよ。ごめんね。」
「勇ましい?俺が?」
「うん、そう。だから村長さんの娘さんって名乗るから、びっくりして余計に笑ってしまったの。ごめんね。」
「ふん、なら間違ってしまうのはしかたがないな。俺は勇ましいから。」
「うん、馬も一人で操るしね。そういえばコムの村長の息子さん、馬に乗れるようになったのかしら?
字も読むのも苦手みたいで、それでうちのティスを手配書の人だって間違ったのよ?」
「ふふふふふ。あいつはまだ馬にも一人で乗れないし、字も苦手のままなんだ。」
「こら!そんなことは今はいい!謝れ!この2人を泥棒扱いしたことを!嘘をついたことを!
地下牢に入ってくるか!」
「!!」
「村長さん!まって!ね?勇ましいテムローサ?なんで、そんな嘘ついたの?」
「・・・あいつが盗賊6人捕まえたって、それで、俺もなにかでっかいことをって。
別れの月のあとだから、豚の数は一気に減る。
それで、たくさん取ってくればすごいだろ?
なのに全然狩れなかった。そしたら、前に2人の気配がして。
おれは気配を読むのはうまいんだ。
そしたら歌が聞こえてきて、それで、どんな奴らか気になって、
月が昇って2人が寝てからテントの近くまで行ったんだ、
寝ずの番をしていたら、話しかけようっておもって。
なのに2日とも2人とも寝てて。
そしたら、3日目で林にはいって、それだけの豚をしとめただろ?
すごいって思うのと、なんか悔しくて!
それで!それで!ごめんなさい!」
かわいい!
思わず抱きしてしまった。子供が自分の行動を説明するのは難しいと聞く。
それを一生懸命してくれたんだしかも正直に。なんてかわいいんだ!
「モウ、離せ!」
「女の子相手に焼餅なんか焼かないで!」
「いや、死ぬから。」
「え?」
そうか、真正面からだと窒息するか。ごめん、ごめん。
テムローサを放すと、息が出来なくて顔が真っ赤になっていた。
「ごめん!あまりにもかわいいから。
勇ましいテムローサじゃなくて、かわいいテムローサだったから。
これからそう呼んでもいい?」
かわいいテムローサはまた顔を真っ赤にして逃げていった。
かわいいねぇ。
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出版社: アルファポリス
ご購入はこちらから:
Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/
楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/
【作者より、感謝を込めて】
この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。
そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。
本当に、ありがとうございます。
【これまでの主な実績】
アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得
小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得
アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞
第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過
復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞
ファミ通文庫大賞 一次選考通過
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
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※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
貧民街の元娼婦に育てられた孤児は前世の記憶が蘇り底辺から成り上がり世界の救世主になる。
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【完結しました】捨て子だった主人公は、元貴族の側室で騙せれて娼婦だった女性に拾われて最下層階級の貧民街で育てられるが、13歳の時に崖から川に突き落とされて意識が無くなり。気が付くと前世の日本で物理学の研究生だった記憶が蘇り、周りの人たちの善意で底辺から抜け出し成り上がって世界の救世主と呼ばれる様になる。
この作品は小説書き始めた初期の作品で内容と書き方をリメイクして再投稿を始めました。感想、応援よろしくお願いいたします。
クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双
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クラスで最底辺――。
「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。
教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。
友達もなく、未来への希望もない。
そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。
突如として芽生えた“成長システム”。
努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。
筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。
昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。
「なんであいつが……?」
「昨日まで笑いものだったはずだろ!」
周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。
陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。
だが、これはただのサクセスストーリーではない。
嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。
陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。
「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」
かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。
最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。
物語は、まだ始まったばかりだ。
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