いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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275:税

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3日目。
今日の月が昇る前までに街つくだろうとのこと。
半分になる前に、豚を狩りまくることにする。

少し歩いて、近くの林に入る。
「ん?少しすくないか?寒くなるからな。巣穴から出ないものもいるのかもしれんな。」
「あのコロコロ動いてる気配だよね。
うん、気配が分かる。林のずっと外にいるのが馬車の人だよね?」
「そうだ。やはり近づいては来ないな、では行くか!」
「アイアイサー!」


コムの近くの狩ったときより少し少なめだが、
必要なものは狩った。10匹と20匹をなんとか背負子にくくりつけ
残りは収納。
「どうだ?持てるか?」
「うん、大丈夫。わたし強くなってるね!」
「なってるだろうさ。」
「うふふふ。じゃ、このまま、街に行こう。なんて名前なの?」
「確か、デイだったかな?」
「ふーん。また入り口で守衛さんが立ってるかな?」
「立ってるだろう。イリアスに近いからな。」
「近いから?なんで?」
「税を払うのは街、村単位だ。ティータイは領主館があるから、領主が集める。
他では村長か、その街の長が集める。
村で商売をして、税を納める時期に村から出ていかれると税を回収できないだろ?
旅人が泊るだけならいいが商売をするには届け出がいるからな。
人の出入りの把握は王都と同じだな。」
「え?またこっぱずかしい問答があるとか?」
「それはないな。しかし、なんらかのことはしているだろう。」
「ティータイも?わたしたちが街道にでるとき誰もいなかったよね?」
「あの道の手前、街の入口はいたぞ?飛び越えただけだ。」
「そうか。今回、わたしたちはどうする?
これだけの豚を卵とかに交換するのは量が多すぎるけど?てなる?
足が速いので、このままイリアスに行きますっていう?」
「そうなるかな。それだと、やはり商売か。守衛に聞けばいいだろ。
そのための守衛だ。ややこしいことを言うようなら、そのままイリアスに入ろう。」
「うん。砂漠の民、ティスとモウ?」
「そうだ。マティスの手配は解除されているはずだ。
帝都の衛兵がきちんと仕事をしていれば、マティスとティスは別人だとなっているだろう。
その砂漠の民が実は、残念ながらワイプの弟子だということだ。」
「おお!ちゃんとつじつま合うね!さすが、わたしのティスだ!」
「もちろん、愛しいのモウの夫だからな!」

そう話しながら進んでいくと、後ろの馬車がやっとわたしたちを追い越していく。
若い男だ。馬はコム産なのだろうか、赤馬が一頭。
小さな幌馬車を引いていく。

「結局なんだったんだろうね?」
「わからんな。ああ、いまのは子供だったな。」
「え?そうなの?いくつ?」
「そうだな、コムの村長の息子より上、12,3かな?」
「見た感じ立派な男だよね?女の人もそうなの?」
「ああ、背はそうだな、やはり10歳ぐらいで大人と同じだな。
でも、肉付きは、子供だ。それは男も同じだ。」
「ん?おっぱいは小さいってこと?男も?ああ、ブツは子供のままか。」
「また!そんなはっきり女性が言うものではない!」
「ああ、そうだね。いまのは下品だった。
じゃ、子供か大人かわからなければ、そこを見ればわかるね。」
「見る?え?脱がすのか?え?」
「いや、なんとなくふくらみはわかるでしょ?」
「!!!」
「ああ、これも下品だね。ごめん。んー、脅してみる?
”てめぇ!毛が生えてんのか!”って。それでうろたえたら子供だ。」
「・・・すまない。私でもうろたえる。」
「・・・そうか。難しいね。いや、別に脅さなくてもいいのか。あはははは!」


コムと同じような木の柵で囲まれたところに、守衛さんがいる。
そして、さっき追い越していった馬車と少年。
思わず股間に目が行ってしまう。んー?わかんないや。
小さすぎるから?子供ってことだよね。
守衛さんも、うん、大人だ。
マティスはもっとはっきりわかるのに。あれ?常に臨戦態勢?

「モウ?いま、いやらしいことを考えているな?」
「え?なんでわかるの?」
「そういうのはすぐにわかる。」
「いやーん。」

恐るべし、マティスセンサー。気をつけねば。



「止まれ!!お前たちはどこのだれで、どこからきてどこに行く?」
「俺たちは砂漠の民、ティスとモウ。夫婦だ。
ニバーセルが一領国、コットワッツの砂漠、サボテンの森から来た。
いろいろ各地を廻り、ジットカーフからイリアスに向かっている。
その途中だ。」
「ここ、デイには泊るのか?その豚はどうした?」
「泊まれるところがあれば泊まりたい。
この豚は向こうの林で狩ってきた。これで乳と卵、チーズと交換してもらいたい。
それをイリアスに運ぶつもりだ。」
「これだけの豚と交換すればものすごい量になるぞ?
チーズはいいが、乳と卵はすぐに腐るぞ?」
「我らは砂漠の民。足の速さと力には自信がある。腐る前にイリアスの村で売るさ。」
「そうか。しかし、それでは商売の類になる。仕入れだからな。一定の税は納めてもらうぞ。」
「どれぐらいになる?」
「そうだな。豚3頭分ぐらいだな。」
「豚で納めてもいいのか?どこに?村長か?」
「ああ、そうだ。今から行こう。「ちょっとまって!俺の豚だ!盗まれたものなんだ!」


うわー、そうきたか。

「お前、いい加減にしろよ?俺がなんで守衛をやってると思うんだ?
嘘を見抜けるからだ。だいたい、お前、どうやってこれだけの豚を仕留めたんだ?」
「そ、それは3日掛けてわなを張って、追い込んで、槍でついたんだ!俺の豚だ!」
「槍ね。お前の槍の腕は村一番だ。だが、嘘だ。
テムローザ、お前がなんでそんな嘘をつくかは知っている。隣村のコムの村長の息子が
盗賊を捕えて手柄を立てたからだろ?嘘をついてまで手柄が欲しいのか?
そんなので張り合ってどうするんだ?お前はお前で頑張ればいいんだ。
だが、嘘はいけない。」
「嘘じゃない!!」

あれだよね、子供ってこういうところでむきになるよね。
なるほど、子供だ。うん、わかった。


「守衛殿?どいうことだ?この豚は盗まれたものだというのか?」
「そうだ!俺から盗んだんだ!!」
「お前は?」
「おまえ?失礼だぞ!おれはここのデイの村長の娘で、テムローザだ。」

コムと同じパターンだ。ん?娘?
「ぶははははは!そりゃないわな!!!!」
「モウ!」
「あ!失礼しました。」

うわ、すごいにらまれてる。ごめんなさい。




「お前!なんで笑った!!」
「え?いえ、思い出し笑い?」
「嘘つけ!俺のことを笑ったんだ!胸がないって!」
「え?そっちじゃなくて、男の人だと思ったんだけど、
子供だっていわれて、じゃ、下の膨らみ見たらわかるよねって、
でも、うちの主人のは大きくて、でも、お宅のは全然なくて、
こどもってやっぱりちいさいのねって納得したんだけど、そしたら女の子っていうから、
そりゃ、ないよねって、笑ってしまったの。ごめんね?」
「モウ!やめろ!守衛殿がけいれんを起こしている。」
「ひー、やめて、そんなこと、ぶふ、ぶはははははははは!」
「覚えてろ!!」

娘さんは顔を真っ赤にして馬車を操り、村に入っていった。
守衛さんは、ひーひー言っている。

「モウ、なんでも正直に答えればいいというものでもないぞ?」
「うん、そうだね。やさしい嘘ってあるものね。」
「うちの主人というくだりはよかったぞ?」
「え?もう!ティス!」
「あはははは!」


「あー、わらった、わらった。
あれは男の言葉を使って、男のようにふるまうが、胸にかんしては女なんだよ。
しかもコムの村長の息子と張り合ってる。
ほっとけばいい。嘘をついてまで手柄が欲しいとはな。村長が聞けば嘆くだけだ。
あんたたちのことは聞いてるんだ、コムの守衛からな。
もし訪ねてくれば、豚を仕留めてもらえって。傷のない豚が食べられるってね。
あんた、達人なんだろ?この豚だって、血の匂いなんかしない。
なのに槍でついたなんてよくあんな嘘をいうもんだ。」
「いえ、豚のことをおいといて、年頃の娘さんにひどいことを言いました。」
「いいんだよ、嘘つくほうが悪いんだ。」
「コムの守衛殿には世話になったんだが、彼から?」
「ああ、手配書のマティスと間違えられたんだろ?その話も聞いたよ。
後から、そのマティスとやらの手配書は取り消しの伝令書も廻ってきてるがな。
だからあんたたちは堂々としとけばいいさ。」
「そうか、よかった。な?モウ!」
「うん、よかったね、ティス!」


村長の家の前に来ると、村長と思しき人とテムローサがいた。
「村長!」

守衛さんがわたしたちのことと、娘さんのことを話していく。
村長さんの顔色がどんどん蒼白になっていく。
最初は娘さんの話を信じたんだろうな。
豚に傷はなく、コムの守衛が話していた2人だと言えば、
逃げようとした、娘の腕をつかめを、無理矢理に頭を下げさそうとする。

「すまない。砂漠の民よ。これ!テム!謝れ!」
「いーやーだー!!」
「あの、村長さん、その辺で。わたしもさっき娘さんにとても失礼なこと言ってしまたんです。
それを思えば、うそをついたことを謝りたくても謝れないと思います。
テム、テムローサ、ごめんね。わたしほんと疎くて子供と大人って見分けがつかないの。
それにすごく勇ましいからてっきり男の人だと思ったのよ。ごめんね。」
「勇ましい?俺が?」
「うん、そう。だから村長さんの娘さんって名乗るから、びっくりして余計に笑ってしまったの。ごめんね。」
「ふん、なら間違ってしまうのはしかたがないな。俺は勇ましいから。」
「うん、馬も一人で操るしね。そういえばコムの村長の息子さん、馬に乗れるようになったのかしら?
字も読むのも苦手みたいで、それでうちのティスを手配書の人だって間違ったのよ?」
「ふふふふふ。あいつはまだ馬にも一人で乗れないし、字も苦手のままなんだ。」
「こら!そんなことは今はいい!謝れ!この2人を泥棒扱いしたことを!嘘をついたことを!
地下牢に入ってくるか!」
「!!」
「村長さん!まって!ね?勇ましいテムローサ?なんで、そんな嘘ついたの?」
「・・・あいつが盗賊6人捕まえたって、それで、俺もなにかでっかいことをって。
別れの月のあとだから、豚の数は一気に減る。
それで、たくさん取ってくればすごいだろ?
なのに全然狩れなかった。そしたら、前に2人の気配がして。
おれは気配を読むのはうまいんだ。
そしたら歌が聞こえてきて、それで、どんな奴らか気になって、
月が昇って2人が寝てからテントの近くまで行ったんだ、
寝ずの番をしていたら、話しかけようっておもって。
なのに2日とも2人とも寝てて。
そしたら、3日目で林にはいって、それだけの豚をしとめただろ?
すごいって思うのと、なんか悔しくて!
それで!それで!ごめんなさい!」

かわいい!

思わず抱きしてしまった。子供が自分の行動を説明するのは難しいと聞く。
それを一生懸命してくれたんだしかも正直に。なんてかわいいんだ!


「モウ、離せ!」
「女の子相手に焼餅なんか焼かないで!」
「いや、死ぬから。」
「え?」

そうか、真正面からだと窒息するか。ごめん、ごめん。
テムローサを放すと、息が出来なくて顔が真っ赤になっていた。
「ごめん!あまりにもかわいいから。
勇ましいテムローサじゃなくて、かわいいテムローサだったから。
これからそう呼んでもいい?」

かわいいテムローサはまた顔を真っ赤にして逃げていった。
かわいいねぇ。
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