いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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318:樹石と湿地の研究

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「さ、赤い塊殿戻りましょう。」

まだ柵の向こうで騒いでいる声は聞こえるが、無視するようだ。
さすが、領主さまだ。


戻る道中で、宿に戻った後の話を聞いた。
母親たちは4500リングで売ったと金額を聞いた瞬間は喜んだが、
やはりグダグダと文句を言ったそうだ。
兄弟たちには3000で売ったことにするという入れ知恵は母親だ。
4500リングはすべて、自分たちの懐に。
宿代はアバサネ君が払ったそうだ。
領地に戻り、3000で売ったと報告。
その金でここをでて事業を始めるといったが、そうかとだけ。
母親も何も言わなかった。
それはルコール君のところも同じ。
宣言の為に境界にコットワッツ領主が来るというと、喜んだ。
あんなことを言うとは思わなかったらしい。

「いやいや、逆の立場ならわたしもそういいますよ?」

これには2人とも驚いた。わたしもだ。そうなんだ。

当日、領主がやって来たことは知っている。
父親とフリー、レンジと話をしていたが内容はわからない。
少しの蓄えと少しの荷物だけを鞄に詰め込んだ。

半分になるまでに近隣の領民に説明をした。
湿地がコットワッツの領土になること。すぐに柵ができること。
フリーはなにかあればこれからコットワッツに言えとだけいい、
今から来るらしいので、直接言えばいいといった。
領民はやっとだと、涙を流して喜んでいた。
その時初めて、申し訳なかったと思ったそうだ。


そんな話を聞きながら、櫓の操り方も教えていく。
なんでも自分でしていかなければならないと思ったのだろう、
いや顔もせず、操り方を覚えていく。


「アバサネ、ルコール?お前たちはすでに我が領民だ。
領民は一人だいたい月に15リングで生活している。
2人で30リングだ。逆に月に30リングを稼がねばいけない。
樹石を取って、領主館に売りに来い。
北のイリアスではバケツ1杯、銀貨1枚だ
わかるな?300杯は取らないといけない。持ってくれば必ず買ってやる。
ここから、4半分もあるけば街だ。守衛には話はしてある。
残りの500リングだ。家と、馬と馬車を買うんだ。
無駄遣いはするな。
そこで、別の働き口があるのならそれでもいい。
商売するなら税は売り上げの1割だ。」
「「はい。」」

今までも館には帰らず、街で生活はしていたらしい。
ただ、金を稼いだことがない。

『さあさ、着いたね。アバサネ殿、ルコール殿。
この乗り物、筏というのだが、これはここに置いておく。
良ければ使っておくれ。』
「いいのですか!すごい!」
『中央の板が外れる。そこから水をまけばいいだろう。
ああ、水か、水がいるな。』
「いえ、水は湿地から取れます。桶に泥をすくって、側面を叩くのです。
泥は沈みます。上澄みの水をまけばいいのです。」
『なるほど。それはいいな。なぁ?セサミナ殿?』
「ええ、それはメジャートやナソニールではみなが知っていることなのか?」
「どうなのでしょうか?子供のころの遊びのなかで気付いたことなので。」
「うむ。もう少し研究してほしいな。
えっと、赤い塊殿、例の家、まだありますか?」
『まだあるな。簡単には改造はしているがな。ここにか?なるほどいいな。
しかし、井戸もいるぞ?ここに水脈はあるか?』
「ええ。あります。が、飲み水かどうかまではわかりません。」
『あるなら、軽石で浄化できるな。イリアスはそうしていた。』
「そうですか。お前たち、街ではなくここに住め。
家はこちらで用意する。」
『ならすぐに出そう。約束のラーメンもここで食えるしな。
ああ、アバサネ殿、ルコール殿。我ら赤い塊は異国の石使いなのだ。
先程の柵もそれでな。ささ、家を出そう。』


家を出し、井戸を作る。
驚いてはいるが、先に柵を作ったのだ。異国の石使いはすごいということで
納得している。

台所でマティスがラーメンを作る。
あとは便所か。穴を掘り、従来の方法で。
家をもらえたことがよほどうれしかたんだろう。
それでも家財道具は買わないといけない。
テーブルと椅子、寝床はサービスだ。

あれやこれやを言い出す前に、2人をテーブルに座らせ、
セサミンが話を進めていく。
この家は樹石と湿地の研究をするという条件だからだ。



「ほかに樹石に関して知っていることはあるか?」
「はっきりしないのですが、燃えずに暖かくなることがあります。
寒い時に樹石をこすっていたら暖かくなりました。
しかし、なるときとならない時がありました。
な?アバサネ?」
「そうだな。本当に寒い時には暖かくなったきがするな。」

2人は昔を思い出しながら話していく。それだよ、樹石の価値は。

『あはははは!物事の価値というものは、
価値があると決めるからこそ価値があるのだな。』

「お前たち、どうしてそれは先に言わない?
いや、それはほかに知っているものは?」
「いえ、いないとおもいます。
湿地近くで遊ぶのはわたしたちだけだったので。」
「そうか。その暖かくなるというのが樹石の価値だ。
わたしも赤い塊殿に聞いて初めて知ったんだがな。」

樹石の効果もここで説明しておく。
より一層の研究成果がでてくればいい。


『セサミナ殿?飯ができた。』
「ぶっ」

『・・・笑うな。』
「申し訳ない。ぶ、ふ、ふふ。えーっと、アバサネ、ルコール?
こちらも赤い塊殿だが、料理が得意なんだ。さ、よばれようか。」



ズゾー。
皆が啜っていく。
アバサネ、ルコールも見よう見まねだ。


「・・・コットワッツ特有の食べ物ですか?ものすごくうまい!」
「いや、違う。に、赤い塊殿、これもおいしいですね。
昨日のもおいしいかったのですが、こちらもおいしい。」
「赤い塊殿の故郷のですか?」
『そうだな、うまいとおもうのならよかったな。
さ、これは時間がたつと冷めるし、伸びる。
はやくお食べ。温かいものは温かいうちにな。
故郷ではな、我は食したことはないが、
食べ終わるまで、しゃべってはいけないという決まりがあるところもあるそうだ。
しゃべるとそこの主人が帰れというらしい。
恐ろしいな、我ならうまかったなのならうまいと言ってしまうな。』
「そんな店がやっていけるのですか?」
『並んでまでも食べるものが沢山いたらしいぞ?』
「はんばあぐのときのような?」
『そうなのだろうな。』
「はんばあぐ!知っています!
コットワッツが発祥でいまは王都でしか食べれないとか!」
「いつか王都に食べに行こうな!ルコール!」
「ああ、これからは自由なんだ。旅に出るのもいいな!」
『はははは!まずは、稼がなくてはな。樹石と湿地の研究もな。
コットワッツの領主の仕事だ、手は抜くな?
ささいなことでも書き出していけばいい。
子供のようにな、遊びからいろんなことが見えることもある。』
「「はい!」」
「家はあるが、やはり食料や家具などは買わなくてはいけないからな。
料理はできるのか?ルコールが?それはいいな。
とりあえず、離れはじめの月の日に領主館にこい。ティータイだ。わかるな?」
「はい。あの、何から何まで、このご恩は」
「恩ではない。勘違いするな?お前たちは領民なんだ。コットワッツのな。
領民が生活できるようにするのが領主の仕事。そこから利益を上げるのもな。
今回は樹石のこともあるが、逆に言えば、
樹石の研究内容はまずはこちらに報告してほしい。
恩を感じるというならそれを守ってくれればいい。」
「はい!必ず。」
「では、月が昇る前に一番近い街、
イルネに行ってこい。歩きで行かねばならんからな。
帰りは駱駝馬を買えばいい。服は、ま、それでもいが、替えの服も買って来いよ?
わたしたちはこのまま帰るからな。」
「ティータイまで?馬はいませんでしたが?」
「ああ、領主の力というのは知っているだろう?そのなかに目的地に
移動するというものがあるんだ。それで帰る。」
「領主の力!浄化のほかに様々なものがあると。
コットワッツは移動なのですね。」
「あまり言うなよ?浄化以外はたいてい秘密だからな。」
「わたしの父も当主として浄化の力を譲渡されていました。
ただ、ここ5年、施したことはありません。」
「そのようだな。湿地をもらったのもその時分だな?」
「ええ。」
「ま、悪いが、他領国の話だ。いろいろ事情があるのだろうがな。
さ、我々はこれで引き上げだ。」


話し込んでいる間に、マティスは片付けまでやっている。
ルグとドーガーは風呂廻りと便所を作っていた。

わたしたちもこれでタロスの家にもどる。
戻る前に柵の大絶賛は忘れない。国境を守るのだ。時々見に来ると約束もした。
月無し石もここに残るそうだ。
セサミンはルグに気配を消し、1日そばにいるように指示を出していた。
危うくなったら姿を出してもいいと指示も出していた。
なので、手軽に食べれるおにぎりを渡しておく。
移動があるからいつでも戻れるが、一応だ。

樹石の効果の発表でイリアスの樹石の価値が上がるだろう。
買占めがあるかもしれないな。端の村の人たちには教えておこうか。




夕方にラーメンを食べたが、
それはそれ。
晩御飯のチーズフォンデュは入る。別腹である。


マティスはわたしの作業をテーブルで見つめている。
なので、パンとお肉、エビ、野菜類を一口サイズにカットしてもらう。

鍋は3つ用意した。
チーズの組み合わせがわからないからだ。
あとは飲みやすい白ワインと牛乳を用意。
先に溶かして伸ばしておく。
カセットコンロのように樹石と軽石を組み合わせたものも作る。

「できたよ~。」
「・・・軽め?」
「うーん、そうだね。これだけだと足らないけど、ラーメン食べたしね。
ちょうどいいかな。」

火を入れ、温まったら、串にさし、チーズを絡めて食べる。
おいしい!
お肉との組み合わせがいいな。

「面白いな。」
「ちょっと大蒜はいれてるの。お酒が進んじゃうね。エビもおいしい。」
「いろいろチーズを入れたんだな。味が違う。」
「ね。あ、ちょっと焦げて来たね。そこを食べたい。
紙ではできないね。あー、おいしい。」


結局これだけでは足りなくて、お肉を焼いてもらった。
うん、食べすぎだ。明日は一日鍛錬をしようと思う。


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