いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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320:狩人の目

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トックスさんの家に勝手にお邪魔してラーメンの準備をするマティス。
わたしは一応きれいにとお掃除。

あとは、トカゲの皮とリンゴ飴も出しておく。
香木もお風呂に入れれるように丸くする。
ああ、樹石のアイロンも作っておこう。砂漠石とを組み合わせればいいだろう。
部屋の中央に陣取っている炬燵用の樹石も出しておこうかな。

あとはトイレとお風呂の不備がないか確認。
少しお風呂は広げておく。
樹石を入れる場所も作っておこう。
あ、スチームバスもできるね。これは研究案件だ。

トックスさんが戻ればすぐに食べられるようと、
準備が終わったマティスと一緒に炬燵に入る。

皆が入った炬燵なので大きい。
でも、前後ではいる。もちろんマティスがわたしの後ろだ。

「日に日に寒くなるね。
舞を見せるのなら外でしょ?早く見せてしまおう。
それでおひねりいっぱいもらおうね。
ガイライたちも呼ぼうか?稼いだお金でお米と小豆を買おう。
御餅作って、ぜんざいつくろうね。それで、餡子バターパンっていうの
作ってあげるね。おいしいんだよ~。始めた食べたときは衝撃だった。」
「あなたが?それはすごいな。」
「なに?その組み合わせ!って。
でも、餡子になれてないと、こんなもんかなって思うかもね。
どっちにしろおいしいから。」
「それは楽しみだな。」
「うん、楽しいね。
あのね、
・・・あの砂漠にいた人たちね、なにか悪いことしたなのかな?
おいしいもの食べられないのはつらいね。」
「・・・。あなたが寝ている間に、ガイライにも報告している。
ワイプとガイライが対処するから、
あなたは気にする必要はないとのことだ。」
「そうなの?そ、よかった。師匠だけでも大変だと思ったけど、
軍部、ガイライも知っててくれればそのほうがいいね。
なにも解決してくれとは言わないよ?自分たちだけ知ってるっていうのは苦しい。
誰かが知ってくれてるだけで安心する。無責任だけどね。」


それからトックスさんが戻るまで、餡子の多様性を力説した。
いちご大福も作ってみたい。

「戻ったようだな。」

マティスはすっとおこたから出ると、台所に向かった。
わたしとトックスさんにラーメンを食べさせてくれるためだ。
ありがとう。

「いやー、まいった、まいった!!」
「おかえりー。勝手におこたでくつろいでますよ。」
「かまわないよ。あー、あったかい。外はやっぱり寒いな。旦那は?」
「台所。ラーメン作ってるよ。すぐ食べられる?」
「もちろん。あのあと、旦那はどこだって質問されて、先に帰ったっていったら、
まー、あとは旦那のことを根掘り葉掘り。
嘘つくのもおかしいから、ジットカーフで知り合ったっていったよ。」
「嘘じゃないね。あのお店の人はトックスさんのことしってるの?」
「いや、知らないな。最近ティータイに来たぐらいしか。
名乗ってもいない。店は品物を下ろしてるだけだしな。」
「へー。あの服装飾を手掛けてるって知らないんだ。」
「俺の服が売れればいいんだから。
ありがたいことに、宣伝は領主さんがしてくれたからな。」

「できたぞ。」

おこたでラーメンとは贅沢だ。

「ありがとう!マティス!」
「いい匂いだ。旦那!食べる前からわかる!これはうまいものだ!」
「さ、食べよう。」

お酒を飲んだ後のラーメンはなんでこんなにおいしいのだろうか?
さすがに食べるときは並んで食べる。

「うまい!!」
「はー、おいしいね。昨日のもおいしいかったけど、さらにおいしい。」
「昆布だしの量を変えた。食事をしたあとだからな。
おまえがいう、あっさりめという奴だ。」
「さすが、我が夫。素晴らしい。」
「ふふふふ。」
「ほんとうまいな。そういえば、旦那のことは聞かれたが、
奥さんのことは聞かれなかったぜ?
唯一の奥さんがいるって言ったんだけどな。最初にあったあの娘さんも、
奥さんのことはあまり記憶に残ってなかったようだ。」
「トックスさんは常連で、マティスも行ったことある店だったんでしょ?
わたしははじめて行ったからね、目立たないように意識はしたよ。」
「私もだぞ?」
「今の時期だからじゃないの?
いい男はどこ?ってハンター、狩人の目で見られてたらだめだよね。」
「・・・くだらんな。」
「あはははは!街で食事もできたから、雨の日までもう来ないでおこう。
へんに騒がれても面倒だからね。」
「そのほうがいいな。どこに住んでるんだ、今何してるんだって聞かれたから。
知らんで押し通したけどな。」
「すまんな、トックス。手間を掛けさせた。」
「いいさ、こんなことぐらい。それで?トカゲの皮は?」
「うん、これ。それとリンゴ飴。これは香木を丸めたの。
お風呂に入れて、上がるときに外に出して乾燥させればいいよ。
あー、コーヒー入れようか。あ、私がするよ。
マティスは座ってて。」

鉢を重ねて、台所に行き、お湯を沸かしてる間に、
洗い物も済ます。この台所はマティスが改造したから家と一緒だ。
コーヒーカップはこの前買ったものがあるから、3つ出す。


「おまたせ~。」

2人で、メイガの羽根のドレスを考えていたようだ。


「ああ、奥さんありがとよ。んー、やっぱり早く舞を見せてくれ。
いまいち旦那が言うことがわからん。」
「そうなの?いつがいいかな?砂漠の端、タロスさんの家があったところに
家を立てたから、そこにステージ作ろうか。
芸のお披露目が終わったら、焼肉だからね。
師匠とかガイライも呼んじゃおうか?」
「呼ぶのか?ま、いいだろう。ひれ伏す姿は見たいからな。」
「だれがひれ伏すんだ?」
「ラーメン食べたらワイプ師匠がひれ伏すって。」
「ああ!そうだろうな!じゃ、その時に蜘蛛の糸も手に入るな。
あー、やることが沢山ある。久しぶりに忙しい。」
「そうなの?ジットカーフだとこの時期は魚の毛皮作りで忙しいでしょ?」
「意匠は変えるが、やることは同じだからな。やはり、初めての素材を
扱うほうが忙しいし楽しいさ。タオルローブや宿屋の改修で金は入るんだ。
じっくり、楽しませてもらってるんだよ。」
「稼ぐために働くのは当たりまえだけど、余裕は欲しいよね。
マティス、そういう商売を探そうね。」
「そうだな。まずは大陸を廻ろう。トックスも廻ったのだろ?」
「ああ、新しい素材を探してな。
しかし、アヒルを見ても羽毛なんて思いつかなかった。
やっぱり、奥さんの考え方は面白いな。
また、なにか、見つけたら持ってきてくれ。
ああ、わからない物は、領主さんにな。」
「はーい。」

結局一番忙しいセサミンの都合に合わせるということで、
マティスに聞いてもらうと、離れはじめの月の日の次の日となった。
わたしはそれを師匠に連絡。


(もちろん行きますよ。領地移動の連絡も来てますしね。税の確定通知、
それを届ける名目もありますから。しかし、湿地ですか?
あまり、良い買い物だとは思いませんがね。)
(そうですか?師匠に言われると不安だな。勧めたのはわたしなんですよ。)
(おや?そうなんですか?それは面白いですね。また詳しく教えてください。
メジャートとナソニールを廻ってそちらに伺いましょう)
(移動で?)
(そうですよ?なので、数日は休めますね。)
(さすがです!)
(また!愛しい人は!)
(え?だって、自分の能力を使って時間を生み出すんだよ?すごいでしょ?)
(・・・。まぁ、いい。ワイプ?腹を空かせて来い。
私が作ったうまいものを食わせてやる)
(それは楽しみだ!)
(あ!トックスさんが糸はどうなった?って)
(持って行きますよ。ああ、蜘蛛も連れていきます。
抱きかかえれば移動できることが分かったので)
(あ、そうなんだ。うん。大丈夫。)
(籠にいれてますよ。では、準備ができ次第そちらに)
(はーい)

(ガイライ?いまいい?)
(モウ!もちろん。いまはコットワッツ?元気そうな声だ)
(うん。元気だよ。毎日おいしいもの食べてる)
(そうですか、それはいいですね。)
(でね、ま、いろいろあってね、わたしの舞をみなに披露することになったの)
(舞ですか?剣?)
(ああ、その舞じゃなくてほんとの舞。踊りの方)
(え?あなたが?)
(そそ。でね、ま、それを披露して、そのまま食事会の流れ。これそう?)
(もちろん。いつ?)
(離れはじめの月の次の日)
(伺います)
(移動できるのかな?)
(コットワッツの領主館は一度訪れたことがあります。かなり昔ですが)
(そうなの?ちょっと不安だね。その日呼ぶよ?)
(そうですか?お願いできますか?その日は休みを取ることにしましょう)
(うふふふ。無理しないでね。前の日にまた声かけるよ)
(ええ、そうしてください。いつでも)
(ニックさんにもいっといて)
(ええ、わかりました)
(じゃ、またね。無理せずがんばってね)
(ええ、母さん、また)







「トックスさん、離れはじめの月の日の次の日に。」
「ん?いま、黙ってたのはなんかやり取りをしてたのか?」
「うん。そういうのもできるのよ。師匠も来ますよ。」
「はー、便利だね。じゃ、糸も?」
「うん。蜘蛛ちゃんも。」
「あれも来るのか?そうか。虫を取っておくかな。」
「たぶん、何でも食べると思うよ。」
「そうか。じゃ、わざわざ虫を用意することもないか。」
「うん。」


次にここに来た時に虫がいたら嫌だ。




「・・・コーヒー入れようか。あ、私がするよ。マティスは座ってて。」

彼女が頑張っておこたからでてコーヒーを入れてくれる。
うれしい。
その姿が台所に消えてからトックスが小声で話す。


「旦那?」
「なんだ?」
「ちょっと気を付けたほうがいいな。奥さんがいようがいまいが
関係ない勢いで聞かれたからな。」
「ああ、なるほどな。」
「旦那、あんたたち2人が唯一無二だというのはわかるよ?
でも知らない奴らにはそれこそどうでもいい話なんだよ、特に女はな。」
「王都でもそんなことがあったな。思い込みで話を進める女がいた。」
「それだよ。雨の日が近いほど女は必至だ。
旦那がよくても奥さんになんかあったら嫌だろ?」
「愛しい人はわたしと同等に強いぞ?」
「違うよ、強い強くないの話じゃないんだよ、女は怖いんだ。」
「うむ。愛しい人もそういうな。」
「そりゃ、奥さんも女だからだよ。わかってるんだよ。」
「わかった、気を付けよう。
しかし、トックスは男なのによくわかるのだな?女の気持ちが?」
「当り前よ。装飾を気にするのは女だ。男もいるがな。
女の気持ちが分からなければ、この商売はできねぇ。」
「そうか。やはり、わたしは世間知らずだな。
セサミナにもあのワイプにもいわれた。」
「領主さんに言われるのはわかるが、ワイプの旦那にも?
・・・。
旦那、よっぽどだな。」
「・・・・。」
「ま、そいうことだ。で?メイガの羽根を使った服の案はあるのか?」
「そうなんだ、やはりな・・・」


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