いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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327:領主の仕事

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「お茶を飲んでる場合じゃなかったね。ちょっと準備するよ。
お風呂入ってくる。」



愛しい人が、扉君の家に帰った。
いつもと違う美しさを纏った姿を見れるのだな。楽しみだ。

さて。


「で?なにがあった?」
「ああ、本当に助かりましたよ。あれ、一人なら死んでましたね。」
「私たちがいるから、多少無理したんだろ?
彼女が気持ちが悪いといったぞ?この旅の間は彼女は
お前の弟子だというつながりがある。不本意だがな。
お前になにかあれば、彼女にいく。スーとホーにもだ。二度目はないぞ?
有ればつながりごと消すからな?」
「ええ。申し訳ない。」
「で?」
「メジャートの領主館と弟、あの土地の管理者の館と調べて、
ナソニールに。先に調べて、通知を渡すだけにしておこうとね。
そこで、ごみ処理場をみてきました。
5年であの広さの湿地が埋まるわけがない。
メジャート以外のごみも受け入れていたはずです。」
「ナソニールの?」
「ええ、もちろん、全領土ではないですよ。
メジャートは一手にゴミを引き受けています。それがワンカ州の仕事です。
ナソニールは3ヵ所に分散している。2ヵ所の浄化は譲渡で、
その地の管理者が行っている。
あとの1カ所は本人が行う。
その本人が行うゴミ収集場が機能していなかった。
モウにも言いましたが、領主の仕事をしているからこそ領主なのです。
浄化の力が使えないということはその時点で領主ではない。
領主だから使えるのではなく、領主の仕事をしているから使えるのですよ。」
「ああ、それは理解できる。」
「だから、ワンカ州の管理者は5年前ですか?そこから力が使えていない。
譲渡された力が使えないということは、譲渡の時に誓った
領主への忠誠心が揺るいでるんですよ。
ま、野心をもった、そんなところでしょうか?
領国に誓っていれば使えていたのかもしれませんがね。
ナソニールは領主そのものに力の衰えが出てきている。
実質ナソニールを管理しているものはあのツイミという人物だ。
管理していなくても領民の支持があれば別ですが、それも薄らいでいる。
メジャートの処理方法を見て、自分の分も廻していたんでしょうね。」
「ふん、そんなことはどうでもいい。
どこで、どうしてお前はあれだけズタボロになったんだ?
受け身もとれていない。」
「だから、そのゴミ処理場ですよ。ゴミは搬入されていないのに、
何十人かは働いていましてね。なにかを混ぜてるような?
それがまた、弾丸工場にいた人間のように精気がない。
糸かと思って、目を凝らしていたら、いつの間にか、ね。
気配を完全に消していなかったのも問題でした。
殴られ、蹴りを入れられている間、痛みは感じないんですよ。
冷静に、骨がいった、内臓が破裂した、と考えるだけで。
痛みつけられるということをすべて受け入れていました。
5人ほどでしょうか?投げ捨てられましたよ、ゴミ捨て場に。」
「・・・途中で呼ぶことはできなかったのか?」
「ダメですね。私ができることは、痛みを受けることと考えていましたので。
痛みを通り越して体がどんどん冷たくなっていくんですよ。
恐怖はないんですね。冷静に自分の終わりを考えるんですよ。
そしたら、懐にいれたカイロ?それが暖かくて、
それで、朝ごはんのことを思い出しましたよ。
それからモウとあなたのことを考えた。」
「呼べ!すぐに!」
「考えるだけで精一杯だったんですよ。呼ぶまでの思考がない。」
「・・・糸か?」
「来ていた服についてますか?元通りにはなってますが。」

『風よ、ここにある糸を紡いでおくれ』

右手をくるりと廻す。
少ないが糸になった。


「ほう!どうしてそうなるんですか?」
「わからん、彼女がそう言って紡いだ。同じしぐさ、同じ言葉を言えば
同じことが出来る。私はな。呼び寄せと彼女の力だろうな。
呼び寄せだけなら、お前にもできる。逆に移動もできたはずだ。
それを紡ぐまではわからんが。」
「はー、言われてから気付くのでは遅いですね。」
「そういうことだ。」


彼女が真っ赤なドレスを身にまとい、ゆるやかに流れる髪であらわれた。
ああ、その髪を一日中触っていたい。



「・・・・あ、これで耳飾りつくって。あと靴も!」
「わかった。なにかあればすぐ呼べ。」
「はーい。」


耳飾りか、金と組み合わせるか。


「あの姿を皆に見せるのですか?」
「問題か?」
「あくまでもあなた方2人はわたしの弟子だ。
聞かれれば、砂漠の民の夫婦でいいでしょう。
しかし、権力者は美しいものを欲しがる。」
「愛しい人を欲しがると?欲しがるのはかまわない。それだけだ。」
「そうですね。剣のマティスが戻ったということは皆が知るところです。
何かあれば、そう名乗ればいい。」
「ああ、わかった。」
「そうなると剣のマティスもわたしの弟子だということですね?」
「!!!」
「あはははは!そういうことですよ。わたしはロープを羽織るだけですが、
あなたは着替えなさい。それで、迎えに。
その時にセサミナ殿に伝言を。
トックスさんにこの糸を調べてもらってください。」
「わかった。」




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