いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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330:夜の招待状

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「失礼します。これをお届けに上がりました。」


届いたものはカボチャだった。
あのハロウィンの時に重量を競うような。
それが3つ。
余っているのか、次の会合にでることがうれしいくての祝いなのか?
それを2人が係りで運んでくれた。申し訳ない。

「これはモウ様に。」


お手紙ももらう。
封筒ではなく、丸めている。なんか、かっこいい。内容を別にして。
夜の招待状だ。いろいろお話がしたいとのこと。
うん、師匠に行ってもらおう。

「ワイプ、ヤッてこい。」
「はははは!いいですね。少しはなしも聞きたいし、
ちょうどいい。行ってきましょう。」
「師匠?無理はダメです。」
「ええ、大丈夫ですよ。」
「ほんとですよ?わたしたちは家に帰ってこれの研究してます。
明日は領主さんと一緒に領主館でしょ?
ここで、何かあるとは思わないですが、昨日のこともあります。
師匠になにかあれば、この領国が無くなると思ってください。」
「愛しい人?なぜ?」
「師匠に何かあれば、わたしは、嘆き悲しむ。
そうなるとそれを見てマティスがその原因を作った、師匠か、
その大元の原因を無くしてしまうでしょ?」
「もちろん、そうなるな。
できれば、ワイプを葬り去ることで解決してほしいな。」
「ね?師匠?気を付けてください。」
「そうなりますね。ええ、気を付けます。」




扉君の家に戻って、台所にカボチャ、キトロスを置く。
もちろん、扉君は気配を消してもらっている。
誰かが来ても部屋には誰もいない。
師匠が戻ったら教えてほしいと、それだけお願いした。

「これ、ちょっと洗うの大変だけど、洗うね。
あ、もう、きれいに!でいいか。
でだ、とりあえず半分に切って?」

筋に沿ってナイフを入れるとスコンと切れた。
桃太郎が出てきても納得する切れっぷりだ。

「ああ、いい匂いだ。逆さ木の実より甘い匂いだね。うん、オレンジだ。」
「おれんじ?そういう名前なのか?故郷では?」
「姿はカボチャだけどね。房もきれいに分かれているね。
種もでかいね。ん?房の外に出てるんだ。
これは菜園で育てよう。
カボチャの種は炒ってもおいしいけどこれはどうかな?
ちょっとあとで炒ってみよう。
で、この房がすごいね。おお!白いところはすぐ取れる。
ハサミで切るかな?うん。あれだね、いくらっぽいね。
ん?これって果物だよね?」
「そういっていたぞ?」
「うん、よかった。これをね、んー、ちょっとこれ、
同じようにこの薄皮を剥いてて?
絞り機つくるから。」
「しぼりき?」
「うん。砂漠石先生に頑張ってもらうよ。」
「そうか。」

挟み込んで、ぎゅっと絞り出すタイプ。握力がいるけどね。

剥いた実は半分は冷やして収納。
半分は絞る。オレンジジュース。

きれいなオレンジ色。
「この色ってなんていう?」
「黄色?」
「あ、まんまだね。氷入れて、飲んでみて?」
「甘い!うまいな!そうか、絞り汁か!」
「これを凍らせて、氷にしておけば、薄まらないよ。
あとは皮の裏についてる、白っぽいの、これ削いで?」

薄皮とここにも栄養があるのだが、今回はいいだろう。

あとは、一度湯がいて、千切り。
搾りかすと合わせて、砂糖少な目、マーマレードの出来上がり。
あ、これとお醤油を合わせたものにスペアリブを漬けて焼こう。
今度の焼肉の時に振舞える。


出来立てのジャムはガラス瓶があれば入れれるけど、
ガラスは普及していないから、小分け用の器に入れておく。
それを収納。

さっそく、バケットに軽くバターを塗り、ジャムを塗って焼く。

「うまい。」
「ね?柑橘類、こういう奴の砂糖煮をマーマレードっていうの。
なんでかは知らないけど。
で、ちょっと豚のあばらのところのお肉、骨付きのところね、それを・・・」


準備だけしておく。
これの味見は明日しよう。
それからパイシチューのシチューを作ってもらう。
ポトフ風かビーフシチュー風か。
やっぱり砂漠の民なので、しっぽ煮、汁多目に。
それを窯焼き用の器に入れて、パイ生地でフタをする。
薄く卵を塗って、窯に。
まずは2つ、2人で味見。

「こうね、パイを崩して、中に沈めてそれごと食べるの。どう?」
「ああ、これもうまいな。しっぽ煮はもうすこし味を濃いめにしよう。」
「あ、そうか、そうだね。この中身はほかに何でもいいんだよ。
クリーム煮でも、エビでもね。
でも、味は濃いめの方がいいか。さすが!」


明日の朝ごはんはフレッシュジュースと
パイシチュー。と、ちょっとスペアリブも食べよう。
あっさりなのか、ボリューミーなのかわからないけど、問題なしです。

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