いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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398:舌が肥えている

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「うふふふふ。好き好き大好き?」
「好き好き大好きだ。」


かわいいな。


そんな感じで、月が昇るまでを過ごした。
ここは東側。
どんどん暗くなり、街の明かりが瞬くさまは、
星とはまた違った美しさがあった。

飛行機から見下ろす東京の明かりは白いが、
大阪な明かりは黄色いと何かで読んだ。

ここは何色だろうか?
砂漠石の色。火の色。
温かい色だ。

少し前に漁の船を呼び戻す鐘が鳴り響いた。
戻ってくる漁師相手の店が開く。

わたしが寝ている間に聞いてくれたようだ。

わたしたちも下に降りよう。

宿の主がニマニマしてる。
声は遮断していたが、マティスが下りたときに、
風呂はいいのか?と聞かれ、
そのとき、風呂よりもすることがあると言ったらしい。

要らんこと言うな。


月が沈むと同時に船が出るので、
それまで店は開いている。
夜型の街のようだ。
合わさりの月の日はさすがにおやすみだとか。

宿の中でもそうだが、
下に降りたときから、いやな視線を感じる。

「あなた方が、レタンにきた行商?」

「主、なにかうまいものが食える店を紹介してくれないか?
こういうのは宿の主人に聞くのが一番良いからな。」
「そうりゃそうだな。
海鮮は、ダカルナと同じものが入る。
向こうの方がいいなんて言うがちがうね。こっちはそれにチーズを合わせる。
毛長ポットだ。しってるか?メイガも使う。
好みだけどな、俺はもちろん、こっちが好きだ。
通りをすすんで、おおきなアヒル屋がある。
その裏手に、ノコロルって店がある。俺のおすすめだ。」
「そうか、行ってみよう。」
「お魚とチーズ!楽しみだね。」

「ちょっと!聞いてるの?」

「・・・その人、さっきから待ってたんだよ?」
「しかし、名乗りのあげない人間は信用できない。
主の知り合いか?」
「ちょっとな。昨日か今日来た、2人連れの男と女はいるかって。
じゃ、あんたたちだなって。10階の部屋だっていったら、
呼んで来いときた。断ったら、下りて来るまでまってるとさ。
その間文句ばかり。あんたの知り合いじゃないんなら追い出せばよかったな。」
「いまからでも遅くはないぞ?」
「いうね!」
「「あははははは!!」」

2人で笑っている。
どこに気が合う要素があったんだろう?
いや、違う。
先に降りたときにきっと下ネタ系で盛り上がたんだ!


「ちょっと!」

「愛しい人、行こうか?」
「はーい。」

「あなたたちでしょ!男と女で、女は黒髪。
色鮮やかな服を着てるって!」

しかし、ここの人はほんと服で見分けるんだね。
着替えもしないと思ってるんだろうか?とマティスに聞いたことがある。
持っている服が皆同じだからだろう。
だから、作るたびに違う服を着るタロスは着道楽と言われてたと。


「さ、いくら?」
「あの?どちら様ですか?」
「は?客よ?誰だっていいでしょ?」

「あの、わたしたちはたしかに行商です。
でも、イリアスの港町に入る手前で強盗に会ったんです。
荷物はそこでなくなりました。」

「・・・荷物はみんな?取られたのね?」
「ええ、一切合切。あの?もういいですか?
また、仕入れましたらお願いします。」
「ふん!もういいわよ!!」

宿屋の主人は何か言いたそうだったが、
まずはごはんだ。

「しかし、なんだろうね?」
「今の女は、村長の母君が言っていた隣の村の女だろう?
追いかけてまでも買いに来ると。俊足馬だな。
さ、先に飯を食おうか?まだ、船が着いた鐘が鳴っていないからな。
すいているだろう。」
「うん!」

おおきなアヒル屋はほんと大きかった。
レンタル馬のように、王都まで貸してくれるそうだ。
あの、ケチなアヒル屋さんの支店というところか。

「街道で強盗に襲われましたよ?
わたしたちは脚に自信があって、走って逃げ切りましたけど、
アヒルさんたちは大丈夫なんですか?」

店の前で、スゲー!と大声をあげてしまったので、
店の人が声を掛けてくれた。客ではないので、それを謝り、
強盗の話をする。

「ああ、それは災難だったな。
護衛を付けないとやはり襲われるな。だから貸すときは護衛がいるかいないかで
金額が違う。ここで、10倍の金を出すんなら、護衛を雇うほうが安いからな。」

それはアヒルを守るためだそうだ。

驚いたことに、さっき別れたアヒルはここにいた。
首輪は外されてはいる。

「ああ、これ?守衛が売りに来た。
強盗に襲われて捕まってたんだろうな。
こんなに毛が薄くなっている。かわいそうに。」

クエーと、アヒルたちは、

はぁ?仕事だろ?何言ってんだ?と怒っていた。



アヒル屋もグル?
ここの人はアヒルを大事にしているようだけど。

ノコロルのお店は?と聞くと、裏だが行くのかと驚かれた。
宿屋に紹介されたというと、ああ、とだけ。

「おいしくないとか?」
「いや、そこそこだ。俺も毎日行ってる。
やってるやつが問題なんだよ。
紹介したってんならいいんだろうけどな。」

なんだそれは?
しゃべるんじゃねーって店主なのか?


「やめておくか?」
「おいしいって紹介されてるのに?行くよ。
食べられなかったら、なんか作ってね?」
「もちろん。」
「ああ、大丈夫だな。混む前にいくほうがいいよ。」


普通の店だ。ここの。ちょっとゴテゴテしてるかな?

「2人だ。おすすめのものを2人分。酒もだ。」
「いらっしゃーい!あら!いい男が来たわ!!素敵!!」
「席はどこでも?」
「ここよ、ここ。わたしのそばに!」
「港が見えるな、裏手はすぐに港か。ここにしようか?」
「うん。」
「ちょっと!聞こえないの?味の好みは?」
「それも任せる。」
「聞こえてるんじゃない!どこから来たの?」
「先につまめるものをくれ。」
「聞いてないね!」

「マティスは、すごいね。」
「?」
「ああ、いいよ。あ!船だね!おおきい!
うわー!あれが鉄の船!造船所ってどこ?」
「キンルガンだ。船は大体がそこだな。」
「場所的にどこ?」
「ダルカナの海を挟んだ東側だ。」
「んー、うん。また教えてね。」
「ふふふ。わかった。」

わからんよ。なんせ、ずっと遠くだというのはわかった。

「はい、お待たせ。前金だから。
お酒込みで、一人1銀貨ね。
毎日来れば割引よ?あなたなら半額でもいいわ!」
「では2銀貨だ。」
「・・・・。」

「これは?」
「やだぁ!やっと見てくれたわ!
これは、魚のオイル付け。チーズであえてるの。
これは、エビね。ウニってしってる?それをのせた焼いてるの。
メインは魚のチーズ焼きよ。
全部私が作ったの!すごいでしょ?」
「チーズは毛長ボット?」
「あら!詳しいのね!趣味が合うわ!店は月が沈むまでやってるので
そのあとうちに来ない?」
「仕入れはどこで?」
「うちの家の近くよ?アヒル屋の2軒隣。
うふ。だから、すぐそこなの、わたしの家は!」
「後で行ってみよう。」
「・・・・。」

店に海帰りの漁師さんが入ってくる。
わたしたちの様子を見て、大笑いした。
ノコロルがまたやっていると。


お姉さんはこの後ガンガン攻めてきた。
マティスは料理のことのみ聞いたり、答えたり。
お姉さんは皆に料理を配りながら、
こっちに来て、一言二言。



「よぉ!この店ははじめてだよな?」

隣に座った客がわたしに話しかけた。

「ええ、船乗り場近くの宿のご主人がここを教えてくれました。」
「ああ!じゃ、大丈夫だな。」
「それ、アヒル屋さんにも言われましたよ?」
「ノコちゃんは男がいれば、それしか見えない。
旦那だろ?嫁さんがいようといまいとな。ここに来るのはみな、
料理がそこそこだから来るだけなんだよ。
迫られてもなんとも思わない奴らばかりだ。
大丈夫って言ったのはそれが分かったからってことだろ。」
「なるほど。」
「ちょっと!今のは聞き捨てならないね!
料理がそこそこなのはいいわ!
わたしが声を掛けるのはいい男限定だよ!!
あんたに声を掛けた覚えはないね!!」
「嘘つけ!最初に来た時は迫ってきたじゃないか!」
「ふん!一人だけ声を掛けないとかわいそうだと思ったからだよ!!」
「なに!!」

がはははは!!!
とみなが笑ってる。

・・・料理がそこそこってのはいいんだ。
店も混んできたので、帰ることにする。


「チーズがおいしかったね。あの村で食べたのと
同じチーズの種類かな?」
「騒がしい店だったな。
愛しい人はあまり食べていなかったな。
私もだが。」
「んー、マティスの料理で舌が肥えているから。」
「舌が肥える?太る?」
「おいしい味に慣れてるから、そんなにおいしくなかたってこと。」
「ああ、そうだな。やはり臭みは取らないんだな。
あの村の料理の方がうまかった。」
「膜を張るほどでもないんだけどね。困ったね。贅沢すぎる。」
[しかし、質素な干し肉とチーズだけでもお前はうまそうに食べているぞ?」
「そりゃおいしいから。」
「そうか、おいしいものはおいしいな。」

アヒル屋さんはしめる準備をしている。
こんな遅くにアヒルは借りないな。

「よう!どうだった?迫られただろう?」
「?いや?うまいチーズの仕入れ先を教えてもらったぞ?」
「え?旦那なら絶対しつこく迫ると思たんだけど。
ん?奥さんどうした?」

わたしがあきれてマティスを見ていたからだ。
ほんとうに何とも思ってないんだ。

「いや、ことごとく無視してたなーと。
それはそれはものすごい迫り具合でしたよ?
それで、店のお客さんも大盛り上がりでした。」
「ははは!それはいいな。俺も今から行くんだ。
そこのチーズ屋はうまい。
おすすめってのはチーズのことだからな。」

なるほど。それなら納得だ。
今度こっちに来た時は借りてくれよと、言われ別れた。


チーズ屋さん。
ハードタイプとか、樽の中に入れているものがある。
モッツァレラチーズ?
これかな?

「いらっしゃい。仕入れかい?」
「そうだ。これを見せればいいんだな?
これに入るだけ売ってほしい。」

一応背負子は背負ってる。


積み込みが始まる前に皆が買いに来るそうだ。
今の時間から買うのは少量の客だけ。

「そんなに入らんよ?。」
「広がるから大丈夫だ。」

タンス状態にして、
樽に入ってるものを樽ごと4つ。
ハードタイプを上に乗せれるだけ。
30リングでした。

「50リング買い物したほうがいいかな?」
「そうだな。魚を買っておくか?」
「いやー、それをここにいれて運ぶのはちょっとね。」
「そうだな。」

いまはマティスの背負子がいっぱい状態。

「塩売ってるかな?」
「海の塩だな?」

ここは岩塩と海の塩と両方買えると教えてもらった。
塩はダカルナ産だ。
だったら、ダカルナで買うとしよう。

「なんだい?先に5リング払ったから元を取ろうと?」
「あはははは。そうなんです。チーズはおいしかったら、即ね。
あとはなにも考えなかったな。力自慢なんで、重たいものでもいいんだけどね。」
「ここは初めてなんだな?船でダカルナだろ?
積み込む荷の重さで船賃が違うよ?」
「え?そうなんだ。」
「そりゃそうだろう。大きさと重さだよ?
その大きさとその重さだと、10リングはいく。人は一人9リング。
よく考えて仕入れないいけないよ。」
「じゃ、これでいいか。5リング、もったいないことしたね。」
「・・・だったら軽くて小さいものを教えてやろうか?」
「いいんですか?守衛さんに聞いたらそれを探すのが仕事だろって、
ここのおすすめも教えてくれなかったんですよ。」
「ははは!それは知らないからだよ。
海にぷかぷか浮いてるもんでな、潮の流れで、
なぜかこっちにだけ流れ着く。
それを引き上げて乾燥させたものがあるんだ。
あれはすぐに売れる。早い者勝ちだな。
いま、手が空いてるんだ。案内してやろうか?
俺が紹介してやったらすぐに売ってくれるぞ?」
「うわ!うれしい!はやくいきましょう!!」

(愛しい人、嘘を言ってるぞ?)
(わかってるよ。でも、なにか興味はある。)



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