いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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399:護衛団

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奥にも人がいるんだろう、ちょっと出かけてくると声を掛けて、
裏手に廻っていく。
お店から見えた港だ。そこに抜ける道は結構細いから、
マティスはカニ歩きだ。


「おい!だれかいるか?」
「ニングか?どうした?」

倉庫だろうか?その中に入っていく、チーズ屋ニングさん。
磯臭い。

(聞こえる?)
(ゴミ処理を任されそうだぞ?)
(なるほど。ここの人たちはあんまりよろしくないね)
(そうだな)
(騙される方がわるいって奴かな?)

「おーい!入ってきてくれ!」

中に入ると、山積みのビニール袋?
いや違うな、なんだろ?

奥に行くほど乾燥しているのか?
ああ、くらげ?


「うわ!これなんですか?」
「プカプカっていうんだ。ダカルナでは人気なんだよ。
向こうには流れ着かないからな。
こっちでは売れないが、向こうに持っていけば売れる。
そういう奴なんだ。」
「えー、この乾燥しているもの?触ってもいいですか?」
「もちろん。軽いだろう?海から引き揚げると乾燥して軽くなるんだ。
これだと軽いし、そんなにかさばらない。」

(向こうで笑っている。
どうやら、乾燥したものを積み込んで山に埋めているようだな)
(めんどくさいことするんだね。捨てるなら、海に捨てればいいのに)

「面白いのはな、これを水に付けると元に戻る。」

(おもしろい!!買っていい?)
(もちろんだ)

「へー。このプカプカ?ダカルナではなにに使ってるのかな?」
「それは教えてくれないんだよ。でも売れる。」
「いいですね!じゃ、20リング分!売ってください!」
「20!!いいね!好きなだけ詰め込めばいいよ。」
「え?押し込んだら結構入りそうですよ?
もしかしたらここの全部入るかも。
ここの背負子、もう一回り大きくなるんです。」
「ああ、いいよ。だが、内緒だぞ?荷はなんだって聞かれたら
チーズっていえばいい。上においておけば、
底まで調べないから。」
「あ!見つかったらえーとニングさんに迷惑かかるんですね?
わかりました!けっして言いません!ありがとうございます!!」
「いいよ、いいよ。じゃ、一様、20リングの購入分は
印をいれてやろう。これはチーズだ、いいな?」
「はい!じゃ、これ、20リング!ほんとにありがとうございます。
あ、詰め込みは頑張ってみますので、お手伝い不要ですよ?
ほんとにいいんですね?」
「もちろんだ。何だったら全部でもいいんだから。」
「わ!頑張って詰めてみます!」


「じゃーな。」

ここでさぼってたんだろうな、
数人の男と出ていった。

防音を張る。

「どうするんだ?」
「これ?クラゲかな?臭くないのがいいね。」
「食べるのか?」
「乾燥させたものは食べられる、はず。
けど、このぷよぷよがいい。
これ、クッションにしたらいいとおもわない?
ほら、表面が濡れてるわけじゃない。座っても、うん、いい感じだ。」
「ほんとだな!」
「後は乾燥してるものを水に入れたら元に戻るんでしょ?
湿地に入れたらどうなるだろ?
雨の日に外の出したら?ふふふふ。実験しないとね。」
「しかし、これはなんだ?」
「んー海の生き物だね。ほら、ひっくり返すと、ここにくちっぽいのがある。
触手はないのか?毒は?ないよね?」
「ないな。生き物?これが?」
「ま、これ、全部収納しよう。
あの人たちはもういないでしょ?チーズは半分持つよ。」
まだ、嫌な視線はある?」
「チーズ屋たちは帰ったが、いるな。ずっと同じだ。」
「強盗関係だよね?」
「そうだろうな。」
「マティスが、一太刀浴びせたから?」
「はは!気付いていたか?」
「もちろん。手伝いたかったけど、あの速さで、後ろに戻るのは無理だもん。
どうやったの?」
「移動だ。」
「?」
「走るだろ?アヒルが振り落とす、これは音でわかる。
その地点に戻る、打つ、で、愛しい人のところに移動。」
「あーそうか。」
「すべて打ってからは、走りは移動なぞ使っていないからな。
あの勝負は愛しい人の勝ちで間違いない。」
「駆けっこでかったのは初めてだよ?」
「そうか!ではもっとお祝いをしないとな!」
「ふふふ。うれしいな。」

一応歩いて宿に帰ることにする。


「お戻りかい?飯はどうだった?」
「そこで出たチーズを仕入れてきましたよ。」
「そうかい!うまいのはチーズだから正解だ。
が、チーズ屋のおやじに変な話を言われなかったか?
あの女がいなけりゃ、ちゃんと言っとくのに。」
「重さで船賃が変わるって親切に教えてもらいましたよ?」
「え?あれが親切?ま、それならいいさ。
あの女はチーズ屋の娘なんだよ。あの女の村で作ったチーズをここで売ってるのさ。
しかも、ここでは幅を利かせてるからな、
気を付けろなんて言えなかったんだ。
だけど、チーズがうまいのは本当だからな。
しかし、強盗に襲われたんだろ?その、大丈夫だったんだな?
荷を取られただけ?」
「ええ。足の速さには自信があるので。
助かりましたよ。お金が無事でよかった。
でも少しでも節約したいので、
重さと大きさで運賃が違うらしいから、もっと小さくならないか
頑張ってきます。」
「風呂の水は?」
「大きい桶でもらえますか。運びますから。」
「そうか?樹石はおまけだ。じゃ、月が沈む、少し前には下りてきてくれ。
鐘が3回なったら搬入がある。沈むとすぐに出発だから。」
「ありがとうございます。」

背負子はギリギリ。桶は結構大きいが、何とか。
腰までの湯には浸かれるかな?使わないけど。


10階の部屋はわたしたちの部屋だけ。
下の階も誰もいないようだ。なのに、人の気配。

(3人だな)
(泥棒?)
(いや、座って待ってるぞ)
(気付いてる?)
(そうだろうな。お、一人増えたな。さっきまでつけ廻してた奴だ)
(おお!10階まで外から?)
(よじ登ったわけではないぞ?櫓の点検用の梯子があったから)
(なんだ。屋根を伝って飛んできたのかと思った)
(がっかりしてるな?)
(うん。もう、10階に付いたら気配して、部屋に入ろう
(それで?)
(待てど暮らせど来ないから焦る姿を見て笑う?)
(それは楽しいな)

「うんしょ!ついた!はーしんど。」
「ははは。頑張ったな。」
「うん。」

ここで、部屋に移動。
荷物は全て収納している。

入り口扉の横に一人。
ベットに一人。
窓際にさっきの人かな?若干息があがってる。
で、正面に王様のように座っている。
お揃いのネックレス?チョーカー?
首輪か?
アヒルとお揃い。

みんなでお揃いの首輪をつけようぜ!って盛り上がったのかな?

にやりと笑っているが、入ってこない。
その顔を長時間維持するのも疲れるものだ。

扉の横の人に、開けろと目配せした。

ドン

剣を構えてもいないわな。


「え?いません!」
「気が付いて下りたか?見てこい!」
「はい。」

かわいそー、1階までダッシュだ。

「外に見張りはいるんだな?」
「裏にはいます。」
「表は?」
「目立ちますよ。それに、クスナが気付きます。」
「ちっ!」

(クスナって?)
(ここの宿の主だな。なかなか強いぞ?)
(わかんなかったよ)
(気配だけでなく、指先や、足さばきを見ればいいぞ?)
(指か!んー?でもマティスの指先きれいじゃん!)
(剣当たりではなく、常に何かを握っているような感じだな)
(へー、観察してみよう。じゃ、ここの人たちは?)
(なんとも)
(わかんないな、やっぱり)

「いません!」

結構息が上がって戻ってきた男が言う。

「いませんじゃないだろうが!1階じゃなく下か?」
「見ましたよ!」
「クスナが庇ったか?」
「そうなると、わかりませんよ。」


「おい!!お前ら!ここの客人をどうした!!」

クスナさんが息も乱さず上がってきた。
おお!すごいんだ。

「どうもこうも、帰りを待ってるだけだ。」
「勝手に入りやがって!ここは1晩、10リングだ!
金を払ってもらおうか!」
「は!せこいこと言いやがって!
もともとここは親父の櫓だ。息子の俺が出入りしたって問題ないだろう?」
「ここは俺が引き継いだんだ!お前は護衛団と屋敷を選んだ。
俺は、屋敷に勝手に行かないし、護衛団とも縁を切ってる。」
「そこよ。クスナ?な?我が弟よ?
護衛団に戻れ。5人ほど使えなくなってな?
今待ってる行商の2人の男の方がやったらしいんだ。
女の方はアヒルを操ったと言っている。
いいだろ?でな、引き抜こうかと。
宿なんか、誰でもできるだろ?
お前も来い。護衛だぜ?人様の役に立つ仕事だ。
そうだろ?お前も親父が生きていたころは頑張っていたじゃないか!」
「は!よく言うぜ!雇わなかった行商を襲う強盗団のくせに!」
「それは仕方がないだろ?命まで取らないんだ、勉強料だよ。」
「いいから!帰れ!俺は櫓宿をやっていく。
これ以上居座るんなら、王都に連絡するぞ!
護衛団は強盗団ですってな!!」
「誰がそんな話信用するか?みんなに尊敬されている護衛団だぞ?」
「・・・あの行商の2人。密偵だ。」
「あ?どこの?」
「コットワッツだよ!!
最近のイリアス王はコットワッツと頻繁に連絡を取り合ってる。
それは知ってるだろ?
コットワッツといえば、剣のマティスだ。
あの男はそのマティスだよ。弟と和解したんだ。
女の方は噂の赤い塊だ。
懸賞金の話も来ているんだ。各地を回っているらしいとな。
あんたのところにも時期に話がいくだろうさ!
探りを入れてるんだ。
いまが潮時なんだ、護衛団はいいさ、強盗はもうやめとけ。
ばれてるんだよ!今ならまだ間に合う!!」
「ふん。情報はお前のところの方が速いからな。
しかし、よくそんな嘘が言えるもんだな?どうせお前が匿ったんだろ?
剣のマティスか?へー。ちょっと腕に覚えがあるだけで、
あの2人はこれから剣のマティスとして、狙われるんだ。
お前がそんな嘘を言うから。交渉のしようもないな。
おい!見つけ次第始末しろ!!」
「!!」
「ではな。ああ、悪いが中から帰らせてもらおう。
櫓の梯子を降りるのは得意じゃないからな。
あははははは!!」



扉から堂々と出て行った。


「ちくしょう!ちくしょう!!
あああ、あの2人はどこだ?逃がさなきゃ。」



「いや、すごいね!もう、どきどきもんだね!」
「ああ、なんというか、あいつは憎たらしいな!」


「うわー!!!」

防音はしてるけど、静かにね。


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