400 / 869
400:懸賞金
しおりを挟む
「どこにいたんだ?
・・・さっきの話聞いていたのか?」
「なんか、変な話声が聞こえてきたから隠れてたんですよ。」
時系列なんかこの人にはわかるまい。
部屋に入る。
窓の外から変な声。
ベットの下に隠れる。
で、兄弟のモロモロを聞いちゃった。
こんな感じで。
「無事ならよかった。
すまない。あんたたちのことを剣のマティスと、赤い塊だと。
嘘だとわかっていても殺しにかかる。
懸賞金がかかってるんだよ。」
「え?なんで?」
「理由なんかないよ。剣のマティスは10万、生死を問わずだ。
赤い塊はなんでも優秀な石使いだから、生け捕りで30万。」
「その単位ってペソ?誰が出すの?そのお金?」
「なんだ?異国の通貨か?リングだよ!
誰かってのはまだわからない。
本物だったら最後まで分からない。ガセなら誰が流したかはわかる。」
「へー、面白いね。それはいつ入った話?」
「昨日だよ!!ここは港町なんだ。
なんでも入る、情報も!!だから兄貴は手練れを囲いたいんだよ!」
「マティスより赤い塊の方がお高いのはなぜ?」
「石使いだってところだろうな。」
「へー、石使い不足なのかな?」
「なに暢気なこと言ってんだ!いや、違う、悪いのは俺だ。
ここでそのまま隠れてろ。
今日の船に乗ると思ってるはずだから、
2,3日したら、送ってやるから。な?
いいな?俺は下に行かなきゃならない。出航の準備だ。
他の客が出てくるだろう。いないと余計怪しまれる。
隠れててくれ!!」
ダダダアっと下りていった。
リーン リーン リーン
月無し石が一斉に鳴りだす。
かしこい。2人になるまで待っててくれたのかな?
「セサミン?師匠?ガイライ?」
「全員だろうな。」
(なんだ?)
(兄さん、まずい、こっちに戻ってください!姉さんは?)
(マティス君、問題ですよ。こっちにこれますか?モウは?)
(マティス、軍部に来い。モウは?)
(大丈夫だ。懸賞金のことだろ?陽動だ。
今から船が出る。ダルカナに着いたらまた連絡する。
それまで呼ぶな)
(モウの方が上だね。くふふふふふ)
(姉さん!!)
(セサミン、師匠に、ガイライも。大丈夫だから。ね?)
(連絡がなければ強制的に呼びますよ?あなた方は弟子なんですからね)
(必ず連絡する)
「船に乗るでしょ?」
「もちろんだ。」
「ぷよぷよじゃなくてプカプカの検証できなかったね。
あ!お弁当作って持っていこう。海の上でたべたら、さらにおいしいよ!」
水筒と竹かごのお弁当箱。
風呂敷で包むようにして持っていこう。
「あんたたち!」
クスナさんが驚いてるが、こっちも予定があるのだ。
「世話になったな。桶の水は使っていない。
上にそのままだ。掃除かなにかにつかうだろ?」
「水なんかどうでもいい!!どうして!」
「予定があるんだ。なに、腕に多少の覚えがあるからな。
逆に海の上のほうが安心だろ?」
「・・・・。」
「また機会があれば寄らせてもらおう。」
「しかし!」
「大丈夫ですよ?また、寄せてもらいます。
今度はゆっくり泊まりますね。」
「あ、ああ。そうしてくれ。待ってるから!」
愛しい人の大丈夫はほんとに安心するな、
とマティスが感心してくれた。
実際大丈夫だからでしょ。
そこから、皆が歩くほうに進む。
荷車も積み込んでいる。
この船は昨日の半分にはついていたはずだが、
それからいままで何をしていたんだろうか?
先に積んでおけばいいのに。
効率が悪いように思う。働き方改革?
「みんな何を仕入れたのかな?メイガかな?」
「チーズか。豆類。魚の皮。やはり、メイガもあるな。」
「魚の皮は北の方がいいのかな?」
「同じだろ?」
「寒いからより防寒性能がいいとか?」
「なるほどな。しかし、鞣し具合で良しあしが決まるからな。」
「次!」
「2人だ。」
「荷は?」
「これです。」
お弁当とタンス級の背負子。
「思ったより軽いな?チーズ?
2人で18リング、荷は、大きいのが1つ4、小さいのは1だ。
全部で、19、20,21,22,23。23リングだ。」
時間を知らせる鐘がなるなら、
時ぞばできそうだ。
鉄の船だが、乗る場所は木だ。
荷車は船底に。
背負子は上に置いてもいいとのこと。
ものすごく寒いのでみな魚の上着を着こんでいる。
中も来ているのだろうか、コロコロだ。
カイロがあったかい。
ダウンコートとトックスコートで十分だ。
縁近くの方が風が防げるのか、皆がそこに座っている。
タイタニック席は先客が。船乗りさんだ。
真ん中しかあいていないが、そこでいいか。
帆がないので、人力かと思ったが違う。
砂漠石らしい。
「砂漠石でこれそのものを動かしてるの?」
「そうだろう?ほかにどうやって動かす?」
風の力とか、空気を押し出して進むとか?
説明はできん。
「お風呂で試してみるよ。」
「そうか。」
「お弁当食べようか?昨日からあんまり食べてないから。」
「半分には着くらしいぞ。陸路より早い。」
「それは便利だね。結構大きな石使うんだろうね。」
「一人9リングとるんだ。十分賄える。」
100人ぐらい乗っている。
荷物も空でも大きさで取られる。
「急ぎの用事がある者たちだろうな。」
「陸路なら?」
「今なら2日だ。盗賊も出るだろうな。」
「海賊はいないんだね?」
「ああ、あの歌の?ビッケか?それはないな。
海の上で生活できるわけではないからな。」
いや、ビッケたちも拠点はあったと思うけど。
「櫓見えるね、両方。ダカルナにも櫓の宿ってあるのかな?」
「あれば泊まるか?」
「うん。」
静かに進む船。
いいね。
「船のおうち作ろうか?」
クルーザーみたいな。
「?」
「船は本職さんに作ってもらって、んー、こんな感じ?」
ちょっとした絵を書いてみる。
「面白いな。キンルガンに行かないと。
そしてよっぽど稼がないと買えない。」
[だろうね。ちなみにこれ、おいくら万円?」
「?値段だな?これは安いと思うぞ?荷を運ぶ専用だから。
500ぐらいか?王族専用のものは1万以上はするんじゃないか?」
「おお!稼がねば。
賞金稼ぎでもしようか?あんな感じで懸賞金かかってる人っているの?」
「怖いことを言うな。犯罪者を捕まえれば国から報奨金が出ることもあるが、
今回のようにどういった理由で金を出すのかわからんようなものは、
それ自体が犯罪だ。
今回のは陽動だろうな。セサミナたちもわかっている。
しかし、そうだな、賞金稼ぎか。
100年近く前になるが、ニバーセルが王殺しに懸賞金をつけた。」
[おお?前の王様は殺されたの?」
「大抵の王は殺される。」
「ぶは!物騒ですな!!」
「そうか?」
[え?こう揶揄的なものじゃないでしょ?実際誰かに殺されると?」
「そうだ。それが王だからな。」
「ん、なるほど。なのに懸賞金を付けたの?なんで?」
「誰が殺したかわからなかったからだ。
引継ぎ無しだったから、今の王は中央院のいいなりだ。」
「いやいや、突っ込みどころ満載だよ?
引き継いでから殺されるの?」
「ああ、そうなるんだ。その引継ぎされる力が王だ。
だから誰でもいいんだよ。」
「それは皆が思ってるの?」
「そうだな。」
「はー、やりがいのない話だね。」
「そう思うか?」
「うん。いや、そういうシステム、仕組みだっていうのなら
逆に安定してるのか?んー。で、その王殺しは捕まったの?」
「いや、捕まっていないな。私も話で聞いただけで
詳しくは知らないな。」
「ちなみにおいくら?」
「1億リングだ。」
「おお!」
「実際に捕まえても払ったかどうかはわからんぞ?」
「あははは!そうか、そういうフリか。」
こんな話を廻りには聞こえないように、話している。
ボソボソという声しか聞こえないだろう。
視線を感じるのだ。
強盗さんたちか、それとも、
お弁当を広げているのを見ているのか。
途中で同じような船とすれ違う。
対象物があればかなりの速さで進んでいることが分かる。
「おーい!プカプカが来るぞ!!!」
プカプカってホントの名前なんだ。
進行方向、ダルカナから、大群となって泳いでる。
うん、生き物だ。
船に当ったらまずいのか、
砂漠石が動力なのに何するんだろうと思っていた船乗りさんが、
槍でついて沈めている。
「手の空いてるものも手伝ってくれ!」
というので、お手伝い。
手伝わない人は真ん中に集まっていった。
ほぼ全員だ。
「あの、これ、なんですか?プカプカって?」
「嬢ちゃんいい腕だな!
これはプカプカ。海の底から湧いて流れてくる。
船底に付くと、そこから穴が開く。
ダカルナの嫌われ者だ。
もちろんイリアスでもだ。この死骸が流れ着く。」
「・・・嫌われ者。これ、生き物ですよね?」
「そうだろ?動いてんだから。
船が港に着いたら船底すべて確認しなくちゃいけない。」」
「それでか。あの、これ、食べられないんですか?」
「どこを?水の塊みたいなんだ。
お、減ったな?良し!一匹見せてやろう。」
棒先を返しの付いたものに変え、ぐさりと付き、
引き上げる。お座布団サイズ。
乾燥しても大きさは同じのようだ。
乾燥していないものはまさにぼよんぼよん。
あの倉庫にあったものより弾力がある。
丸いウォーターベットのよう。
「ほら、これが吸い口。
毒とか牙とかはないのに。
船底にくっつくと、そこから穴が開く。」
鉄を食べる?
齧って穴が開いて水が入る?さびてくるとか?
「初めて見ました。ありがとうございます。」
海に投げ捨てようとするので、もらうことにする。
「いいけど、金が要るぞ?
水を含んでるから重い。」
「いかほどで?」
「・・・いいよ。1匹だけだし、手伝ってくれたからな。
旦那はそのままこき使われてるぞ?」
え?あ、ほんとだ。
方向転換は人力だ。
進行方向は一手なのか。
プカプカは平たい桶に入れてもらい、
わたしも手伝うことにする。
「チャークガーン!」
?ああ、着岸。
船の上では襲われることもなく、無事につきました。
なかなか快適でした。
桶は3銅貨で譲ってもらい、船を降りた。
何を持っているのかと、桶を除き、
皆、顔をしかめて去っていく。
すごく嫌われてるね。
「さ!宿でゆっくりしよう!
そこで、ここでの買い物を考えようね。」
海鮮は過度の期待は厳禁。
やはり生臭い匂いはする。
塩を仕入れることが一番の目的になっている。
化粧水とあのオイルも買おう。
「外から街に入ったら
守衛さんがいるから税のことはわかるけど、
船から来た人はどうするのかな?」
「宿で聞いてみよう。櫓だ。ここも宿だな。」
半分ごろに着くので、そのまま陸路で移動するのだろう。
着いた途端泊る客はわたしたちぐらいか。
ここも同じような構造で、一番上の部屋が12リング。
月が沈むまで。
ここに泊る人はそのまま船に乗る。
今は皆が船に乗ったのか、泊まり客はほかにはいなかった。
水は自分で運ぶか、別料金。
こちらの方が、一つ一つに別料金がかかる。
その代わりと言ったらなんだが、
商売での税はかからない。
外部から来た人には税は取らない。
ここに住んでいる人が払う税が高いのだ。
なので、外部から来た人たちからは、
できるだけお金を取るようにしている。
が、情報も、売っている品も、
良いものだからと税のつもりで出してくれという。
ただ、商品を売るのなら、
広場で5リング先に払うとのこと。
今の時期、丸1日歩いたところにダカルナの王都があるので、
商売はそこでしよう。
ここで、泊まることもないだろう。
仕入れるものを仕入れたら、早々に出発だ。
だって何も持ってないからね。
桶入りのプカプカをみて、宿の女将も顔をしかめる。
1銅貨でももらえれば、そんなのは役に立たないって教えたのにって。
んー、この数十倍の量の乾燥プカを
20リングで買ったと言えば卒倒しそうだ。
すこしここのことを教えてあげよう。
と、女将が言う。
ここは半分でも、船で来たもの相手に
店が開いている。
上まで上がって、また下りてきて食事、
そしてまた上がるのは面倒だろ?
隣の店は持って帰れる。
皿は後で返せばいい。
はい、5銅貨の情報です。
大皿1枚、1リング。
さっそく隣の店に行く。
塩だけで焼いたものだ。その方がいいな。
海老は小ぶりなものが入ったそうでどうだと勧められた。
もちろん、お願いします。
10匹焼いて、10匹は生で買うことにした。
宿の部屋で焼くぐらいはできるだろう。
ウニも焼いている。貝はここでも食べない。
魚は切り身。串に刺して焼いている。
生はあるかと聞くと、軽く炙ったものを出してくれた。
これは2串だけ。
ワサビをつけて食べよう。
わたしはプカプカのはいった桶。
マティスは大皿。
12階分の階段はなかなかの鍛錬だ。
「じゃ、部屋に行こう。」
「すいません、桶見てもらって。
おいしそうなの買えました。」
桶を持って買いに行けないから見ててもらったのだ。
誰もとらないが、捨てられたら困る。
12階の部屋は、結構大きめで
イリアスの櫓が見える窓と、東側の海が見える窓があった。
さっそく食事にしよう。
その前に皆に連絡だ。
・・・さっきの話聞いていたのか?」
「なんか、変な話声が聞こえてきたから隠れてたんですよ。」
時系列なんかこの人にはわかるまい。
部屋に入る。
窓の外から変な声。
ベットの下に隠れる。
で、兄弟のモロモロを聞いちゃった。
こんな感じで。
「無事ならよかった。
すまない。あんたたちのことを剣のマティスと、赤い塊だと。
嘘だとわかっていても殺しにかかる。
懸賞金がかかってるんだよ。」
「え?なんで?」
「理由なんかないよ。剣のマティスは10万、生死を問わずだ。
赤い塊はなんでも優秀な石使いだから、生け捕りで30万。」
「その単位ってペソ?誰が出すの?そのお金?」
「なんだ?異国の通貨か?リングだよ!
誰かってのはまだわからない。
本物だったら最後まで分からない。ガセなら誰が流したかはわかる。」
「へー、面白いね。それはいつ入った話?」
「昨日だよ!!ここは港町なんだ。
なんでも入る、情報も!!だから兄貴は手練れを囲いたいんだよ!」
「マティスより赤い塊の方がお高いのはなぜ?」
「石使いだってところだろうな。」
「へー、石使い不足なのかな?」
「なに暢気なこと言ってんだ!いや、違う、悪いのは俺だ。
ここでそのまま隠れてろ。
今日の船に乗ると思ってるはずだから、
2,3日したら、送ってやるから。な?
いいな?俺は下に行かなきゃならない。出航の準備だ。
他の客が出てくるだろう。いないと余計怪しまれる。
隠れててくれ!!」
ダダダアっと下りていった。
リーン リーン リーン
月無し石が一斉に鳴りだす。
かしこい。2人になるまで待っててくれたのかな?
「セサミン?師匠?ガイライ?」
「全員だろうな。」
(なんだ?)
(兄さん、まずい、こっちに戻ってください!姉さんは?)
(マティス君、問題ですよ。こっちにこれますか?モウは?)
(マティス、軍部に来い。モウは?)
(大丈夫だ。懸賞金のことだろ?陽動だ。
今から船が出る。ダルカナに着いたらまた連絡する。
それまで呼ぶな)
(モウの方が上だね。くふふふふふ)
(姉さん!!)
(セサミン、師匠に、ガイライも。大丈夫だから。ね?)
(連絡がなければ強制的に呼びますよ?あなた方は弟子なんですからね)
(必ず連絡する)
「船に乗るでしょ?」
「もちろんだ。」
「ぷよぷよじゃなくてプカプカの検証できなかったね。
あ!お弁当作って持っていこう。海の上でたべたら、さらにおいしいよ!」
水筒と竹かごのお弁当箱。
風呂敷で包むようにして持っていこう。
「あんたたち!」
クスナさんが驚いてるが、こっちも予定があるのだ。
「世話になったな。桶の水は使っていない。
上にそのままだ。掃除かなにかにつかうだろ?」
「水なんかどうでもいい!!どうして!」
「予定があるんだ。なに、腕に多少の覚えがあるからな。
逆に海の上のほうが安心だろ?」
「・・・・。」
「また機会があれば寄らせてもらおう。」
「しかし!」
「大丈夫ですよ?また、寄せてもらいます。
今度はゆっくり泊まりますね。」
「あ、ああ。そうしてくれ。待ってるから!」
愛しい人の大丈夫はほんとに安心するな、
とマティスが感心してくれた。
実際大丈夫だからでしょ。
そこから、皆が歩くほうに進む。
荷車も積み込んでいる。
この船は昨日の半分にはついていたはずだが、
それからいままで何をしていたんだろうか?
先に積んでおけばいいのに。
効率が悪いように思う。働き方改革?
「みんな何を仕入れたのかな?メイガかな?」
「チーズか。豆類。魚の皮。やはり、メイガもあるな。」
「魚の皮は北の方がいいのかな?」
「同じだろ?」
「寒いからより防寒性能がいいとか?」
「なるほどな。しかし、鞣し具合で良しあしが決まるからな。」
「次!」
「2人だ。」
「荷は?」
「これです。」
お弁当とタンス級の背負子。
「思ったより軽いな?チーズ?
2人で18リング、荷は、大きいのが1つ4、小さいのは1だ。
全部で、19、20,21,22,23。23リングだ。」
時間を知らせる鐘がなるなら、
時ぞばできそうだ。
鉄の船だが、乗る場所は木だ。
荷車は船底に。
背負子は上に置いてもいいとのこと。
ものすごく寒いのでみな魚の上着を着こんでいる。
中も来ているのだろうか、コロコロだ。
カイロがあったかい。
ダウンコートとトックスコートで十分だ。
縁近くの方が風が防げるのか、皆がそこに座っている。
タイタニック席は先客が。船乗りさんだ。
真ん中しかあいていないが、そこでいいか。
帆がないので、人力かと思ったが違う。
砂漠石らしい。
「砂漠石でこれそのものを動かしてるの?」
「そうだろう?ほかにどうやって動かす?」
風の力とか、空気を押し出して進むとか?
説明はできん。
「お風呂で試してみるよ。」
「そうか。」
「お弁当食べようか?昨日からあんまり食べてないから。」
「半分には着くらしいぞ。陸路より早い。」
「それは便利だね。結構大きな石使うんだろうね。」
「一人9リングとるんだ。十分賄える。」
100人ぐらい乗っている。
荷物も空でも大きさで取られる。
「急ぎの用事がある者たちだろうな。」
「陸路なら?」
「今なら2日だ。盗賊も出るだろうな。」
「海賊はいないんだね?」
「ああ、あの歌の?ビッケか?それはないな。
海の上で生活できるわけではないからな。」
いや、ビッケたちも拠点はあったと思うけど。
「櫓見えるね、両方。ダカルナにも櫓の宿ってあるのかな?」
「あれば泊まるか?」
「うん。」
静かに進む船。
いいね。
「船のおうち作ろうか?」
クルーザーみたいな。
「?」
「船は本職さんに作ってもらって、んー、こんな感じ?」
ちょっとした絵を書いてみる。
「面白いな。キンルガンに行かないと。
そしてよっぽど稼がないと買えない。」
[だろうね。ちなみにこれ、おいくら万円?」
「?値段だな?これは安いと思うぞ?荷を運ぶ専用だから。
500ぐらいか?王族専用のものは1万以上はするんじゃないか?」
「おお!稼がねば。
賞金稼ぎでもしようか?あんな感じで懸賞金かかってる人っているの?」
「怖いことを言うな。犯罪者を捕まえれば国から報奨金が出ることもあるが、
今回のようにどういった理由で金を出すのかわからんようなものは、
それ自体が犯罪だ。
今回のは陽動だろうな。セサミナたちもわかっている。
しかし、そうだな、賞金稼ぎか。
100年近く前になるが、ニバーセルが王殺しに懸賞金をつけた。」
[おお?前の王様は殺されたの?」
「大抵の王は殺される。」
「ぶは!物騒ですな!!」
「そうか?」
[え?こう揶揄的なものじゃないでしょ?実際誰かに殺されると?」
「そうだ。それが王だからな。」
「ん、なるほど。なのに懸賞金を付けたの?なんで?」
「誰が殺したかわからなかったからだ。
引継ぎ無しだったから、今の王は中央院のいいなりだ。」
「いやいや、突っ込みどころ満載だよ?
引き継いでから殺されるの?」
「ああ、そうなるんだ。その引継ぎされる力が王だ。
だから誰でもいいんだよ。」
「それは皆が思ってるの?」
「そうだな。」
「はー、やりがいのない話だね。」
「そう思うか?」
「うん。いや、そういうシステム、仕組みだっていうのなら
逆に安定してるのか?んー。で、その王殺しは捕まったの?」
「いや、捕まっていないな。私も話で聞いただけで
詳しくは知らないな。」
「ちなみにおいくら?」
「1億リングだ。」
「おお!」
「実際に捕まえても払ったかどうかはわからんぞ?」
「あははは!そうか、そういうフリか。」
こんな話を廻りには聞こえないように、話している。
ボソボソという声しか聞こえないだろう。
視線を感じるのだ。
強盗さんたちか、それとも、
お弁当を広げているのを見ているのか。
途中で同じような船とすれ違う。
対象物があればかなりの速さで進んでいることが分かる。
「おーい!プカプカが来るぞ!!!」
プカプカってホントの名前なんだ。
進行方向、ダルカナから、大群となって泳いでる。
うん、生き物だ。
船に当ったらまずいのか、
砂漠石が動力なのに何するんだろうと思っていた船乗りさんが、
槍でついて沈めている。
「手の空いてるものも手伝ってくれ!」
というので、お手伝い。
手伝わない人は真ん中に集まっていった。
ほぼ全員だ。
「あの、これ、なんですか?プカプカって?」
「嬢ちゃんいい腕だな!
これはプカプカ。海の底から湧いて流れてくる。
船底に付くと、そこから穴が開く。
ダカルナの嫌われ者だ。
もちろんイリアスでもだ。この死骸が流れ着く。」
「・・・嫌われ者。これ、生き物ですよね?」
「そうだろ?動いてんだから。
船が港に着いたら船底すべて確認しなくちゃいけない。」」
「それでか。あの、これ、食べられないんですか?」
「どこを?水の塊みたいなんだ。
お、減ったな?良し!一匹見せてやろう。」
棒先を返しの付いたものに変え、ぐさりと付き、
引き上げる。お座布団サイズ。
乾燥しても大きさは同じのようだ。
乾燥していないものはまさにぼよんぼよん。
あの倉庫にあったものより弾力がある。
丸いウォーターベットのよう。
「ほら、これが吸い口。
毒とか牙とかはないのに。
船底にくっつくと、そこから穴が開く。」
鉄を食べる?
齧って穴が開いて水が入る?さびてくるとか?
「初めて見ました。ありがとうございます。」
海に投げ捨てようとするので、もらうことにする。
「いいけど、金が要るぞ?
水を含んでるから重い。」
「いかほどで?」
「・・・いいよ。1匹だけだし、手伝ってくれたからな。
旦那はそのままこき使われてるぞ?」
え?あ、ほんとだ。
方向転換は人力だ。
進行方向は一手なのか。
プカプカは平たい桶に入れてもらい、
わたしも手伝うことにする。
「チャークガーン!」
?ああ、着岸。
船の上では襲われることもなく、無事につきました。
なかなか快適でした。
桶は3銅貨で譲ってもらい、船を降りた。
何を持っているのかと、桶を除き、
皆、顔をしかめて去っていく。
すごく嫌われてるね。
「さ!宿でゆっくりしよう!
そこで、ここでの買い物を考えようね。」
海鮮は過度の期待は厳禁。
やはり生臭い匂いはする。
塩を仕入れることが一番の目的になっている。
化粧水とあのオイルも買おう。
「外から街に入ったら
守衛さんがいるから税のことはわかるけど、
船から来た人はどうするのかな?」
「宿で聞いてみよう。櫓だ。ここも宿だな。」
半分ごろに着くので、そのまま陸路で移動するのだろう。
着いた途端泊る客はわたしたちぐらいか。
ここも同じような構造で、一番上の部屋が12リング。
月が沈むまで。
ここに泊る人はそのまま船に乗る。
今は皆が船に乗ったのか、泊まり客はほかにはいなかった。
水は自分で運ぶか、別料金。
こちらの方が、一つ一つに別料金がかかる。
その代わりと言ったらなんだが、
商売での税はかからない。
外部から来た人には税は取らない。
ここに住んでいる人が払う税が高いのだ。
なので、外部から来た人たちからは、
できるだけお金を取るようにしている。
が、情報も、売っている品も、
良いものだからと税のつもりで出してくれという。
ただ、商品を売るのなら、
広場で5リング先に払うとのこと。
今の時期、丸1日歩いたところにダカルナの王都があるので、
商売はそこでしよう。
ここで、泊まることもないだろう。
仕入れるものを仕入れたら、早々に出発だ。
だって何も持ってないからね。
桶入りのプカプカをみて、宿の女将も顔をしかめる。
1銅貨でももらえれば、そんなのは役に立たないって教えたのにって。
んー、この数十倍の量の乾燥プカを
20リングで買ったと言えば卒倒しそうだ。
すこしここのことを教えてあげよう。
と、女将が言う。
ここは半分でも、船で来たもの相手に
店が開いている。
上まで上がって、また下りてきて食事、
そしてまた上がるのは面倒だろ?
隣の店は持って帰れる。
皿は後で返せばいい。
はい、5銅貨の情報です。
大皿1枚、1リング。
さっそく隣の店に行く。
塩だけで焼いたものだ。その方がいいな。
海老は小ぶりなものが入ったそうでどうだと勧められた。
もちろん、お願いします。
10匹焼いて、10匹は生で買うことにした。
宿の部屋で焼くぐらいはできるだろう。
ウニも焼いている。貝はここでも食べない。
魚は切り身。串に刺して焼いている。
生はあるかと聞くと、軽く炙ったものを出してくれた。
これは2串だけ。
ワサビをつけて食べよう。
わたしはプカプカのはいった桶。
マティスは大皿。
12階分の階段はなかなかの鍛錬だ。
「じゃ、部屋に行こう。」
「すいません、桶見てもらって。
おいしそうなの買えました。」
桶を持って買いに行けないから見ててもらったのだ。
誰もとらないが、捨てられたら困る。
12階の部屋は、結構大きめで
イリアスの櫓が見える窓と、東側の海が見える窓があった。
さっそく食事にしよう。
その前に皆に連絡だ。
13
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
異世界からの召喚者《完結》
アーエル
恋愛
中央神殿の敷地にある聖なる森に一筋の光が差し込んだ。
それは【異世界の扉】と呼ばれるもので、この世界の神に選ばれた使者が降臨されるという。
今回、招かれたのは若い女性だった。
☆他社でも公開
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる