いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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マティスはすぐに皆に連絡している。
イリアスでの話もすべて。
ガイライはニックさんに確認を取るようだ。
あの宿屋の兄さんが強盗団と護衛団をやっているのは間違いないが、
あの何とか様かどうかはわからない。
信仰の対象のような言い方だった。
しかし、守衛は強盗団の親玉だと言った。
首輪のことも報告。マティスは絵にかいて飛ばしていた。

(兄さんたちが移動ができることは知らない。
人が移動できるなんて。しかし、わたしが領主の力でできるという話は
隠していない。姉さんもオート殿とルカリ殿を運んでいる。
石を使ったとしても、その力、欲するはずです)
(実際石を使えばできるんだからすればいいのにね)
(それは無理でしょう。あの情報は月が沈む少し前に入りました。
イリアスの港の方が速い。各地にわざと流してますね。
それを聞いて、コットワッツか王都に来るのを待っているということですよ)
(そうか、なるほど。じゃ、問題なくこのまま、間の砂漠
ピクト、山脈と行ってくるね)
(モウ、無理はしないで)
(ガイライ、心配しないで?ちゃんと呼べたでしょ?
何かあったらまた呼んで?いつでもいいからね?)
(はい、モウ、ありがとうございます)
(うふふふ。楽しんでるから。
そうそう!予告だよ!おいしいチーズを仕入れたんだ。
魚料理もいいけどこれはピザだね!薄いパンに熱々のチーズ!
ピザだよ!とろけるよ!!)
(いつ!いつ戻るんですか!!)
(決まってるのは来月の混合いはじめにボルタオネ。
会合前にルポイドだけ。うまくできたら届けますよ。
お楽しみに!)

心配して呼んでくれたけど、
話終われば皆の頭の中は、ピザでいっぱいだ。
生ハム、チーズ、じゃがいも!
わたしも楽しみだ。

それにしても懸賞金とは。

「しかし、本物だったら最後まで分からないんでしょ?
仕留めたとして、お金はいらないんじゃ損じゃない?」
「だから本物だったら最後までわからないんだ。
それで、ガセなら必ず報復される。
金を払わないと自分が殺されるからな。」
「へー。マティスと赤い塊は気を付けないとね。
ティスとモウはまずは海老を食べよう!!」

小さなエビというが。わたしにしてみればイセエビ級だ。

が、表面は焦げているけど中は生だった。
仕方がない、半分に割って、窯にいれる。
すでにキッチンは展開しているのだ。

これがおいしい!!


「おいしい!これはいいね!
大きな海老もおいしいけど、これぐらいがいいね。
味が濃い!」
「そうだな!
ここの魚は白身だな。ジットカーフは赤身だった。イリアスも。
これも半日干せば臭みが抜けるか?」

炙っただけのものはダメだった。
完全に火を通さないと食べれない。
火を通しても生臭い。

「たぶんね。おいしいのに、この臭みがダメだ。
ムニエルはきっとこっちのほうがおいしいよ。
魚のフライにしようか?臭みも飛ぶかな?」


牛乳に浸せば取れるという話も聞いたことがある。
しかし、その後の牛乳の処理は?
小学校時のあの給食にでた牛乳瓶の残りを、
一本にまとめる作業というのがあった。
これがいやでいやで。
家には牛乳がなかった。
母も嫌なのだ。
単独で飲むなんてとてもとても。
牛乳パックを洗ってゴミに出すという作業も嫌だった。

ここではそんなことはない。
いつでもきれいにできるから。
勝手なもんだ。
いや、実際おいしいと思う。
濃いのだろう。



「ここでは、海老と塩だね。それとお魚。この近くで取れるのかな?
情報を買わないと。」

ウニは同じような感じだ。
そう言えば、エビフライを食べていない。
余りにも大きいので思い出さなかった。

「マティス!おいしいもの作ってあげる!」

揚げ物はもう大丈夫。
火加減がプロフェッショナルだから。
海老の下準備もできる。
魚の切り身もフライにしよう。


タルタルソースもマティスは気に入っていた。
師匠と2人で作ったからね、といえば、
この世の終わりのような顔をした。
ふふふ。師匠は卵の殻を剥いただけだよ。


トマトとモッツアレラを交互に挟んだ奴、なんていうんだっけ?
結局2人で料理をする。
海の見える部屋で2人で料理。いいな!これ!!

味見しながら、冷やしたワイン。
どこの世界の料理ショーだ?

「さ、召し上がれ。」


さっくり、プリプリ。

「うまいな!!」
「おいしい!!」


天丼もいいかもしれない。


「もっと小さい海老があればいいね。
子供とかじゃなくて、小さい種類。」
「大きいほうがいいだろ?」
「いや、小さいのは小さいのでいいのよ。
大きいと切って炒めてってことになるか、焼くかでしょ?
かき揚げとか、天ぷらとかね。これも聞いたら教えてくれるかな?
お金をたくさん持っとかないとね。」

教えてもらうことをかき出しておこう。
後だしで聞いてもお金を取られるから。

・塩の売っているところ
・化粧水、油の売っているところ
・小ぶりな海老が売っているところ、もしくは取れるところ
・ダカルナの流行り
・ピクトとの交流関係



「最後の2つは必要か?」
「一応ね。お金で買える情報で、どこまで有意義かは分からんけどね。
きっと懸賞金の話もここから来てるんだよ。
聞いてみる?賞金稼ぎティスとモウの誕生だよ?
追うのは剣のマティスと赤い塊だ。」
「それは面白いな。
追うものがいるという話が広まれば、
その話を流したものが接触してくるかもしれんな。」
「接触されても困るけどね。」
「ははは!それもそうだ。」

月が昇るまで、海を見ながらこれからのルートを確認したり、
海老料理のいろいろ、ピザの話、
賞金稼ぎの名乗りのセリフやポーズも練習した。

「必要なのか?」
「もちろん!しどろもどろだと、嘘だってばれるよ?」

ま、これを名乗ることはないだろう。
わたしだって人前でいうのは恥ずかしい。





ここは船を利用する客も、陸路で移動する客も両方相手にするので、
いわば、24時間型の街だ。
だから情報も入りやすいのだろう。

下に降りていくとここの女将さんに、
さっそく話を聞くことにする。

「女将さん!おいしかったです。
これ、隣に返してくればいいんですか?」
「・・・あんた、あの小エビどうしたんだい?」
「え?食べましたよ?」
「あの半生の物は?」
「もちろん!おいしかったです。」

油で揚げれば臭みも飛んだ。
タルタルソースがよく合う。

「そうかい。皿はこっちで返しておくよ。お金はいらないから。」
「そうですか?おいしかったと伝えてください。」
「ははは!なるほど。嫌味だね。わかった、伝えておくよ。」
「?」
「それで?荷支度しているが、泊まらないのかい?」
「ええ、ちょっと休憩したかっただけなんで。
このまま、仕入れるものを仕入れたら出発します。」
「宿賃は返さないよ?」
「もちろん。それで、ここの街は初めてなんで、いろいろ教えてもらいたいんですが?
お金は払います。」
「へー、わかってるんだね、情報価値が。
なんでも先に仕入れるのがいいのさ。それをあたしに聞くってのが、
賢い選択だ。では、そっちに行こう。
たったまま話すようなことを聞くわけでもないんだろ?」
「はい。6項目ほど。」
「まとめてきたんだね。ますます、賢いね。」

なぜか、小さな部屋に通された。
「さ、聞かれたことを金で答えるが、その話を外部に漏らしたくなければ、
石を使えばいい。
こっちも他に聞かれたくない内容なら石を使うから。」

本格的だ。

「えーと、最初2つは、そんなに問題ないかな?
塩、海水から作った塩を買えるところを教えてください。
女将さんおすすめのところ。
それと、化粧水、髪に付ける油を売っているところ。
これは出来たら女将さんの使ってるものを売ってるところがいいです。
素敵ですよね?その髪に艶。肌もぷりぷりですもん。」
「・・・あんた、それに金を払うのかい?」
「ええ。街で探してもいいけど、時間の無駄でしょ?その時間を買うと思えば。」
「時間を買うか。いい考えだよ。それらまとめて、1銀貨だ。いいかい?」
「ええ。」
「塩はこの街で売っているのは一カ所だよ。
ふふ、損したね。しかし、金を出して買う情報だ、海の塩は3種類売っている。
仕入れる場所が違うのさ。そこで、一番高いものを買えばいい。
これは騙そうとかじゃないよ?全て買って味を比べればいいが、
それこそ無駄だ。一番高いものが甘味があってうまいのさ。
大抵は一番安い塩を買う。岩塩より安いからね。
しかし、それは間違いだ。それをよそでダカルナの海の塩だなんて
売るのは許せないね。」
「なるほど。料理に使うのはそのお高いのが一番だと?」
「そうさ。で、化粧水と、カメリの油だね。ふふん。
これもあたしに聞いたのは正解だ。
これはあとで地図を書いてやろう。
櫓宿のミフィルに聞いたと言えばいい。
一見さんには売ってくれないのさ。」
「おお!それは貴重な情報!!ありがとうございます!!」

こういう話はうれしい。
マティスがあきれているが、うるさい!
きっといいものに違いない。

「さ、次は?」
「これもわたしは聞かれても問題ないかな?
さっきの小ぶりな海老の仕入れ先、もしくは取れるところをおしえてほしいです。」
「・・・ああ。先に教えてやればよかったよ。
あの小エビは売り物じゃない。知らない客にああやって売りつけているのさ。
ここではだれも食べない、くずエビなんだよ。
小さいし、焼いても中は生だ。生でなくなるまで焼けば、身は丸焦げになるか
さらに小さくなってだべれたもんじゃない。
あんたたちは海のものは初めてなんだろ?
だからおいしかったって言えるんだよ。」
「そうなんですか?じゃ、売ってるところもないと?」
「網にかかるもんだからね。港に行けば売ってることは売ってるね。
海から戻る船から直接買えばいい。
隣は知り合いからタダで引き取ってるよ。
あんたたちみたいな世間知らずに売りつけるために。」
「おお!タダなんだ。」
「あんたたたちが売ってくれっていえば、そうだね、一山1リングぐらい
吹っ掛けてくるんじゃないか?それでもいいなら買えばいい。
どこで取れるかってのは、湾の真ん中あたりだ。あれを食べる魚を捕るんだから。」
「素晴らしい情報です。これも1銀貨?」
「ああ、いらないよ。これは。」
「いや、わたしには勉強料も含みます。納めてください。」
「そうかい?じゃ、次だ。」
「これも聞かれてもいい話です。
いまのダカルナの流行はなんでしょうか?」
「1銀貨だ。」
「どうぞ。」
「ドレスだね。青の。青い服が売れる。」
「へー。流行の色ってことですか?」
「フレシアの絹は知っているだろ?その青色を使ったドレスが、
ニバーセルの懇親会で素晴らしいものだったらしい。
なんでも、トックスという人の作だとか。
その人はジットカーフの人間だが、今はコットワッツにいる。
なかなか、その人の服がこっちまで出回ることはないから、
青いものだったらいいということだ。」

「ビンゴ!」

マティスが叫ぶ。
ああ、いいタイミングだね。

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