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412:奮発
しおりを挟む門を出るときに守衛に声を掛けられた。
「なんだ?もうしまいか?売れたわけではないだろう?」
「いやー、張り切ったんですが、やはり新参者。
売り方を勉強してなかたんでさっぱりでした。
あと2日頑張っても一緒でしょう。
今回はこれで退散します。」
2度と来ないと思うが。
「なんだ。行商は売りが終わったらここで、
遊んでいくのがお決まりなんだがな。
男も女も関係なく楽しめるぞ?」
女も楽しめるってどうやって?
ホストクラブがあるとか?
いや、それはないだろう。
ああ、買い物と食事ね。
食事はちょっと残念だが仕方がない。
じゃ、ここは服飾に優れてるってこと?
仕入れる人も買うんだから。
聞けば、ナルーザ、デルサトール、ニバーセル、これはタフトのことだ。
そこからいいものが入るとか。
ふーん。そのいいものを見る目を持ってる人が
トックスさんの商品を買わなかったんだ。
たかが知れてるね!!
酸っぱい葡萄だな。
いや、逆に売れなくてよかった。
へたに真似されても困る。
「そうなんですか。毎月?こんな感じなんですか?」
「そうだ。合わさりの月以外はもっと静かだな。
この騒がしさを嫌がる行商はこの日を避けるぐらいだ。」
先に聞いとけばよかった。
「そうですかー。では、また機会があれば。」
それでも、ないな。
客が値切るの前提というのはいただけない。
お蚕様のお布施方式とは違う。
あの、安くするのが当たり前というのが嫌だ。
あの親子はなん癖つけて安く買うつもりだったんだろうか?
そういう風に考えてしまうのも嫌だな。
「しっぱいはっさくはなづまりーだ。」
「なんだそれ?」
「ん?失敗したときに言う言葉?
あれ、失敗だったかな?酸っぱい八朔?
んーわかんないや。」
「あはははは。たまには失敗もいいな。
反省会を開こうか?」
「イエス!」
今回はマティスが進行していく。
「まずはなにが問題だった?」
「その土地での買い物の方法です。いや、土地柄?
女将に聞いたのはその次の話だ。
そもそもここでの買い物の仕方何ぞ聞いていない!
向こうも知ってるものだという前提か、
聞かなかったから言わなかったか?
あれ?でも、ピクトのことをわかる範囲で、
先に教えてもらえればっていったよね?
で、1銀貨払ってる。
教えてくれてもいいよね?」
「そうだな。」
「なんだ、ちょっとがっかりだ。」
「ワイプの話だと手堅い情報を売る女で有名らしいぞ?」
「ん?いつ師匠と話したの?」
「愛しい人が少し寝たときだ。
マトグラーサの砂漠には行くなと念押しがあった。」
「行かないよ?どうにもできないもの。
いや、できるけど、しない。
・・・そうか、自分の範囲ってのをあの女将は分かってるんだ。
勉強になったよ。」
「愛しい人?やっぱりきちんと寝ていないからではないか?」
「あー、そうか。それもあるね。
ご飯食べたら寝ようか?
うん。先にイリアスの櫓宿に行こう。」
「そうするか?とにかく人の気配がないところまで歩こう。
ニバーセルの方に。」
「あ!竹!ブラス!近くだよね?」
「近いな。少しそれるが。そっちに行くか?
ガイライに話を通しておこうか?
そこに行って、刈り取ればいい。」
(ガイライ?いまいいか?)
(マティス!何かあったか?モウは?)
(ガイライ、いるよ?今いい?家に帰ってる?)
(今はまだ軍部です。)
(家に戻んないの?)
(ああ、この時期は一日が短いので、眠くなったら帰ります)
(うわ、不規則だね。ごはんは?食べてる?)
(ええ、食べていますよ?ニックとルカリが作ってくれたり、
ワイプのところで呼ばれたり)
(ああ、そうなんだ。ちゃんと食べてるようで安心だよ。)
(それで?どうしました?飯の誘いですか?)
(ああ、来れる?大人数なほど用意してないけど、
ガイライだけならすぐ用意するよ?)
(ぜひ!)
(今、ブラス狩りのところ)
(着替えてすぐ行きます)
ブラスに囲まれたところで鍋の用意をしたのだ。
みんなを誘うほどの量は用意してないけど、
ガイライだけならいいだろう。
ニックさんにはワサビのお土産を持っていってもらおう。
あとプカプカの和え物も。
もちろんおいしいほう。
ルカリさんにはおいしい塩で味付けしたポップコーンだな。
美味しい塩も小さな魚袋にいれよう。
あとはクッションも。
「モウ!」
「こっち!!」
少し離れたところにガイライが出てきたので手招きをする。
モモの時期はそろそろ終わりで、手土産に卵と牛乳を買てきてくれた。
いつもありがとうね。遠慮なく。
「ささ、とりあえず食べよう。水炊きね。
鳥がおいしいよ。」
こたつだして、そこで。
なんでここにいるか、ピクトでの大失敗の巻きを
愚痴りながら話した。
「それはモウにしては珍しい話ですね。」
「いや、当たり前の話だ。儲け主義に走ったからね。
なのに、商売をしなかったんだ。売れて当然と思ったんだよ。」
「愛しい人、それを今回勉強したんだ。」
「うん。そうなんだよね。」
「その櫓宿の女将、ニッケのミフィルですね。」
「みんな知ってるんだね。師匠も知ってるみたいだしね、ね?マティス?」
「そうだな。あのレタン村の村長の母君も知っていたぞ?」
「え?幅が広いな。」
「・・・・愛しい人、そうではない。彼女も情報屋だったそうだ。」
「なんだ。」
「愛しい人はすぐにそっちに結び付けるな。」
「いや、普通はそうだよ?ね?ガイライ?マティスの武勇伝知ってる?
道を歩けば両脇には男の屍、後ろには女の行列。
遠征に行けば、成人前にもかかわらず、
必ず女が10人ほどそばにいたって!」
「ぶは!!」
ガイライが思いっきり咽る。
あれ?まじもんなの?
「・・・。」
「え?ほんとの話?ガイライ公認だったの?」
「ガイライ!愛しい人を悲しませたな!死ね!!」
「待て!違う!その話は、その・・・。」
「?」
「・・・軍部で流した話だ。」
「「へ?」」
当時の剣のマティスはほんとにすごい人気だった。
宿営地にマティス見たさに何人か女がやってくる。
それを言葉巧みに誘う心根のよろしくないものもいた。
だから、マティスは女を侍らせていると。
自分こそはとおもうものはそれを聞いたらやってこない。
その中に入りたいと思うものは、
別の男に誘われてもかまわない女だ。
それで、訓練の邪魔になる女どもを牽制した。
「なるほどな。街で男に喧嘩を売られなくなったのはそのためか。」
「?」
「その屍のなかの一人にはなりたくないからですよ、モウ。」
「それまで、誰かれかまわずだったんだ。
ある時期から一定の腕以上の物だけだったからな。
女も来なくなったと記憶しているな。」
「・・・なんというか、んー、いや、何とも言えんね。」
どうなのそれ?
いや、昔の話だから、もうどうでもいいんだけど。
「その話が、いまだ、
剣のマティスの話として上がってくるというのが驚きです。」
「んー、だって、その話から次は片目片腕の話、
そこから30年以上何もなくて
次は武の大会の話になる。
マティスの説明をしようと思えばそうなるんじゃない?」
「そうですね。砂漠での生活はそこで生きているということだけで、
何も変化がなかった。ああ、軍部にも話は入ってるんですよ?」
「・・・どういう意味で?」
「・・・害にならないのならそれでいい、
害になるのなら今のうちに。」
「ああ。そうだね。」
「・・・軽蔑しますか?」
「ん?どうして?当然だ。
害にならなければそのままというところに逆に甘さを感じるぐらいだよ?」
「モウ。」
「ふふ。そこは、ガイライやニックさん、
セサミンや師匠の根回しだろうね。」
「・・・。」
「!私はワイプにも感謝しなければいけないのか?」
「マティス、今以上にしなくていいよ。十分だ。」
「今もしていない!」
「うん。そうだね。それでいいよ。」
「・・・。」
「でも、また剣のマティスは狙われる。
女将の話だと西方諸国の王ではないかって。」
「え?ミフィルの見解ですか?」
「うん。」
「その情報、いくらで買いました?」
「ん?見解を聞きたいということで5。」
「5?5000リング?それは奮発しましたね。」
「へ?5リングだよ?懸賞金の話は20リングだよ。」
「!!!マティス!最初から!!時系列箇条で!!」
「・・・ワイプにした説明と同じだぞ?」
師匠にもしたんだ。
うん、そうそう。
「・・・・わかりました。
その宿屋の男についてワイプは?」
「?宿に着いたら連絡しろと言われたぞ?」
「また!!いや、今回は仕方がないか。」
「なに?」
「いえ、何でもないですよ。
今の話、ワイプには10リングで売ったんですね?
わたしも払いましょう。」
「いいよ、そんなの。マティスもそういってるだけだから。
それより、ブラスを刈りたいんだ。
便利な素材だからね。前回のはみんな竹炭にしたの。
またおんなじだけ欲しいんだけど、ここのを狩ると
雨の日の後の筍に影響出るかもしれないから、
どっか別のところで採ってもいいところないかなって、
それを聞こうと思って。」
「愛しい人?情報を売るのも商売だぞ?」
「ん?そう?じゃ、師匠には10リングもらっとこうか?
ガイライはブラスのことをお願いできる?」
「ええ。お安い御用ですよ。ここはニバーセルから近いので
刈っているだけです。ここから向こう、
ピクト側も一応範囲の中に入ります。
それに誰が刈ってもいいんですよ。
ただ、だれも狩らないだけだ。
同じように刈ってもらっても問題ないですよ。」
「おお!それはいいね。
じゃ、締めのおうどん食べたら刈ってしまおう。」
ズゾーと食べた後は、わたしはお土産の用意。
マティスとガイライは競って竹を刈っていた。
斧で。うん、鍛錬だね。
「はははは!甘いな!マティス!」
「おかしい!体力も腕力も私の方が上のはずなのに!」
「マティス、経験値だよ。」
ガイライが勝ったようだ。
よく見ればマティスは節に斧をあてている。
そこは固いよ。
まとめて収納。
乾燥は使うときにしようかな。
砂浜での乾燥具合を覚えたから。
「ガイライ、これ、ニックさんとルカリさんにお土産ね。
いつもご飯作ってくれてありがとうって、
母に持たされたっていいなさい。
ガイライにもお酒で味付けしたポップコーンだから。」
「はい!」
ハグしようとしたら、汗をかいたからいいと言われた。
ん?じゃ、きれいにしてからね。
「いつでも呼んでください。
それと、ミフィルは金以上の信用は不要ですよ。
が、買った情報は信用できる。」
「うん。わかってる。」
「ん!おなか一杯なったし、後は宿に帰って寝ようか?
はい!マティス!だっこ!」
「汗をかいてるぞ?」
「ん!あ!ほんとだ!」
くんくんと匂いを嗅ぐ。
「嫌ではない?」
「ん?なんで?ああ、ガイライはガイライが嫌がったからね。
マティスは嫌?」
「いいや。愛しい人がいいのなら
私はかまわない。」
「うふふふふ。逆だったら?」
「愛しい人の汗のにおいも好きだ。
それに私に匂いを嗅がれるのを嫌がってはいないからな、いつも。」
「もう!そうだけど!そういうことは言っちゃダメなの!」
月が沈み、船が出発した後に宿の前に移動した。
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