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416:交渉決裂
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「すいませーん。」
今度は塩屋さん。
「おお!あんたたちか?塩の味はどうだった?
塩袋、持ってきてくれたか?」
いつの間にか塩袋という名前になっている。
「ええ。
ダルカナの食堂と宿をやっているご主人に味も確かめてもらいましたよ。
おいしいって。この一番お安いのが中くらいだって。
大袋は10袋ほど。小さいのも10ですね。手間は一緒なんで
2リングと、1リング5銀貨でどうでしょうか?」
「買うよ!」
35リングです。
タオルとゴムも買ってくれました。
歯ブラシは?
「塩をつけて磨くとすっきりしますよ?」
「ふーん。安塩の新しい売り方ね。
いいだろう。じゃ、60本買っておこうか。」
「毎度あり!!」
「いいね。お店屋さんに対して売るのは。」
「そうだな。そのほうがいいかもしれないな。」
こっちも利益が出えて、小売する店も利益が出ればそれでいい。
わたしたちが、個人相手に商売するのは所詮素人だ、無理がある。
あとはそこの地域で適した売り方をしてもらえればいい。
次は化粧水屋と櫓宿の女将のところだ。
どっちが先が正解か?
逆ルートで来てるんから化粧水屋さんが先だ。
だけど、ここは紹介で来たから、やっぱり櫓宿が先かな?
大きな背負子に今度は瓶と、クッション。
タオルと、ゴムと、18セットの魚のコート。
ミンクのコート、5着だ。
あの200のコートを出す出さないその時の状況次第。
そんなことを店の前でぼっけと突っ立て考えていると、
中の人、アガッターさんが気付いてしまった。
「あんたたち!モウだね?それとティスだ。さ、中に。」
名前を呼ばれた。
ん?名乗ってないよね?
マティスは少し警戒している。
「あ、えっと、ミフィルさんのほうに先に寄せてもらったほうが・・・。」
「いいのよ。どうせ、こっちに来るんだから。
呼んであげるよ。トリヘビが今こっちにいるから。」
情報屋さんは個人で持っているのだろうか?
奥からトリヘビ、この子は茶色だ。
その子を外に放り投げる。
お邪魔しますと、中に入ろうにも荷物が背負子が大きいので、
裏に回った。
裏はかなり手入れされた庭だ。
お茶会とかしてるのだろうか?
「ここは貴族のご令嬢たちも来るんだよ?」
おお!!ご令嬢!!
「さ、座って。お茶を飲みましょう。
聞いたよ?王都ではえらく儲かったって!
行商のティスとモウがあのエビを売り切ったってさ。
港でエビを売った奴らも自慢げに話している。
3銀貨のものを1リングで売ったっていうじゃないか?
今の時期はタダでもいらないものなのにね。」
王都から名前がばれてるんだ。
「それにしても脚が速いんだね。
それで?荷を取り寄せるって聞いたけど?
それが入ったから来たんだろ?先に見せてほしいわね。」
「あの?お店を広げるなら5リング?
塩屋さんの方から来たんで、門番も守衛さんもいなくて。
いいんでしょうか?」
「何を言ってるんだい?ここ!アガッターの裏庭だよ?
ああ、知らないのか。ここではアガッターがいいといえばいいのよ。
心配いらないよ?」
いや、違う意味で心配です。
このアガッターさんより、
実質、情報を売り買いしているミフィルさんのほうが上では?
姉妹で喧嘩はしないでよ?
が、ここは素直に。
200のミンクのコート以外すべて出した。
あの瓶もだ。
ゴムが付いている29セット。
アガッターさんはミンクのコートにくぎ付けですよ。
「考えたね。これは?いくらで作らせた?」
「聞いてもらえばわかると思いますが、1本1リングです。
権利はいまはわたしが持っています。
お気に召しましたら、こちらでそれも含めて買ってください。
ただ、これを作ってくれた器屋さん、
メジャートのメディケ陶磁屋さんていうところなんですが、
試作品として、その店の奥方が1本ずつ持っていますね。
それと、わたしも残り20本づつ。これはこのゴム、コットワッツ製なんですが、
この材料がなくなったので、こちらで作ろうかなと。
で、知り合いたちに渡そうかなって。
こんな感じで、贈り物に。結婚のお祝いとかにね。」
竹かごのセットも見せる。
「・・・。」
「いかがですか?」
「ダメだね。」
「そうですか。それは残念。では、わたしたちはこれで。」
片付けは簡単。掘り込むだけだから。
「!ちょっと!あんたたち商人なんでしょ?駆け引きしなさいよ!」
「ふふふふ。そんなのできていれば、ピクトでも大儲けしてますよ。
半分で撤収したんですよ?3日間の駆け引きを知らなくて。
初日に金額を書いて店に並べたんですよ。
一つも売れませんでした。
女の子たちが3日目まで品はあるのかと聞いてくれてやっと。
ピクトのことわかる範囲で教えてくれって言ったのに。
1銀貨じゃダメだったみたいですね。
知らないものは聞きようがないのにね。
それを知らなかったのはこちらの手落ち。
二度と来るものかと引き上げました。
ここでも同じですね。
ミフィルさんによろしく。あ、お茶、おいしかったです。」
交渉決裂だ。
行商ティスとモウに駆け引きは通じない。
作った瓶に詰めるぐらいの油と化粧水はある。
軍曹には申し訳ないが、違うことで儲けてもらおう。
「笑ってもいいのか?」
「待って!ここを出てから!」
笑いがこみ上げる。
ミフェルさんはどうするだろうか?
表通りに出る前に、一端コットワッツに戻ることにした。
まずは器屋さんに手紙だ。
書いてくれたのはマティスだが。
交渉が失敗したこと。
きっと、奥方が持っている1セットを見本にもう一度作れと言ってくるだろうと。
権利はわたしにあるが、多少意匠を変えろというはず。
そうなるとどうしようもない。
もともと奥方の考えが形になったものだから。
化粧水屋さんは結構権力をお持ちだから逆らうのは得策ではない、
遠慮なく作って売ってください。
また近いうちにお願いすることがあると思うので、
その時はよろしくお願いします。
「これ、トリヘビ屋さんに頼めばいいの?」
「いや、セサミナでいいだろう?ラーメンの鉢のことでやり取りしているはずだ。」
「そんなことしたら、セサミンとの関係を疑われない?
ちょっとした知り合いって程度の認識だよ?」
「トリヘビがどこ経由できたかはわからんだろ?」
「あ、そうなんだ。じゃ、ティスとモウよりってかいておけばいいか。」
「わかりました。送っておきましょう。
しかし、姉さん?やってしまいましたね?」
いまはセサミンの執務室。
結構頻繁に戻ってきてるよね。
お土産は塩とクッションです。
エビフライも保温庫に。
「ん?まずい?」
「いえ、ピクトのアガッターは中央の社交界で有名ですよ?
化粧水、髪油はそこが一手に販売してますから。」
「え?大陸全部で?」
「ええ。」
「うわー、それはすごい。コットワッツに迷惑がかかる?」
「いえ、それはないでしょう。ティスとモウがコットワッツ出身だとわかったとしても、
ある意味相手にされなかったので売らないなんて、恥ずかして言えませんね。
入荷を少なくするとか、値上げするとかも、もしそんなことをして
どうしてだって話になれば、恥をかくのは向こうです。
悪い嘘を流しても、審判に掛ければすぐわかる。」
「じゃ、問題ない?」
「こちらにはね。しかし、行商ティスとモウはにらまれることになる。
仕事はしにくくなりますよ?」
「ほうー。わたしに喧嘩を売ろうってのか?よーし!
半値八掛け3割引きで買ってやろうか!!」
「え?いくらですそれ?」
「ん?1リングだと、えーと2銀貨8銅貨?」
「・・・格安ですね。」
「あははは!そんだけ安けりゃ買うよってことだね。
「化粧瓶はもうちょっと改良したら、奥さんたちに贈るからね。」
「それはうれしいですね。楽しみにしています。」
「セサミンが楽しみになるの?」
「ええ?姉上からの頂き物があるというと、
機嫌が格段に違いますので。」
「なるほど!」
「もちろん、ルグの奥さんにもドーガーの母上と妹ちゃんにも用意するから。
ペリーヌとフローネにも持っていこうね。」
「「はい!」」
それからゴムを切りだしたり、例の土でできないかと考えた。
この瓶も白いっちゃ白い。
が、思っているのはあの祭りの時にもらえる奴だ。
強化ガラスでできてるらしい。
49、49の瓶を、さらに薄く、ゴムもパッキン式に。
透かしは上から下まで、唐草模様で。
底には少し足をつけて、小さな砂漠石を光らせれば
その透かしから光が出るように。
これはお願いで変形してもらった。
それをこの土に高質化して入れ替わってもらう。
焼くことで高質化になるという条件だ。
あとあと軍曹、あの奥さんのところで作ってもらうから。
5種類の土。
完全に吸い口部も分解されているものが3袋。
あとの2つは吸い口があるもの、まだ原型があるもの。
「どうだ!!」
若い土はダメだ。2セットダメにした。
3番目もダメ、柔らかい。
一番古いのも。ホロホロに崩れる。
4番目。程よい粘り気。
爪ではじくと、チーンとなる。
「あれは・・・ いいものだ!」
このセリフが出てくる。
いや、これは死ぬ前か。
45セット!完成です。
さっそく竹かごとタオルと歯ブラシのセットに。
化粧水も油も詰めます。
竹かごの裏に小さな砂漠石を入れて劣化を止めてもらう。
開ければなくなるように。
薄くできたのか結構入る。
油の樽と2つと、化粧水の樽は1つ。これが残る。
予備ですね。
あ!香炉も作っておこう!
呪いの森の水滴入れも!!
ここは安全なサボテンの森。
マティスはさらに膜を張っている。
マティスがお出かけだからだ。
クーちゃんのところに。決して師匠のところとは言わない。
あれ?いま、師匠はルカリアに行ってるよね?
クーちゃんは留守番?
お風呂で話しをしてた時は、出かけるのもいいねって言ってたから、
ついていってるんじゃないの?
んー?
晩御飯の用意をしておこう。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「クーはいないのか?」
「ええ、先生。ワイプ様と一緒に。送ったらわたしを呼寄せて、
ライガー殿と帰ってきます。
ワイプ様はすぐ戻ると思いますが?」
「いつ?」
「ここからルカアリアだと今なら、5日ですか?
強行ではないと思いますよ?
あ!クーからは先生が来たら渡すようにって。
最近、言ってることが分かるんですよ。」
カップから糸をもらう。クー、素晴らしい!
「カップも偉いぞ!その調子で女心も理解できる!!」
「はい!」
エビフライとエビピラフ,ピザを補充しておく。
炒めるだけ、揚げるだけ、焼くだけの状態だ。
「トックス!」
「旦那?あれ?旦那だけ?」
「これを。」
「!!!」
光る糸を見せる。
検分している間に、ここの食料庫にエビピラフとエビフライを補充。
ピザではなく刺身を入れておく。
すぐに食べられるように、
ピラフはテーブルに出しておく。
「なにができるか考えておいてくれ。
私も考える。飯はテーブルだ。温かいうちに食えよ?」
後簡単にピクト、化粧瓶の話はした。
「わかった。ああ、奥さんに200のコートは作らないって言っといてくれ。」
「?」
そう伝えればいいのか?では、戻ろう。
ん?扉君の家か?
「戻った。」
「おかえりなさい。今日は、違うな、今日もお鍋ですよ?」
彼女が前掛けをつけて出迎えてくれた。
飯の用意も。
素晴らしい!!
「今日は豚ね。ごまだれと、ポン酢と。
あとはちょこちょことね。」
瓶の製作はうまくいったようだ。
寝室にあるから後で見てくれと、うれしそうだ。
新しい料理ではないけれど、とてもうまく感じた。
彼女も瓶の製作過程を面白おかしく話してくれる。
そしてこれからあの姉妹はどうするのかな?とうれしそうに話す。
「しかし、なぜ交渉しなかたんだ?」
「それね。だって、あれが売れないとどうにもできない状態じゃないでしょ?
軍曹、ああ、あの器屋の奥さんは軍曹なんだ。あだ名ね。
軍曹が損をするわけでもない。
なんか、わたしの思いのままっていう態度が気にいらなかったの。
あのトリヘビだって、ほんとに知らせを運んだかどうかもわかんない。
あの瓶はきっとは発注するよ?
で、あのミンクのコートもトックスさんのところに買いに来る。
あの後、わたしが取引の手段に使うって言っちゃったから
トックスさんは200コートはもう作らない。きっとね。」
「ああ、そう言付かっていたな。
200のコートは作らないって。
ピクトと化粧瓶の話はしたんだ。」
「うふふふ。さすがだ。さすが、悪徳商人だ。」
「?」
「わたしたちが発注すれば作ってくれる。
それを取引材料にしてもいいってこと。
一般の客に売るよりも、わたしたちに売る方が儲かるし、いいってことだよ。
別にお金の為じゃないよ。そのほうが楽しいって思ってくれたんだ。」
「ああ。なるほど。」
寝室に行くと、かわいい、いや、きれいな瓶が2つ。
淡く輝いていた。
「すごい。」
「あ、久々に聞くね、マティスのすごい。いいでしょ?
熱を持つわけじゃないからね。ちょっとした飾りに。
45セット作ったよ。タオルも入れて。
アガッターさんがどう出るか。落ち着いたらこれのお披露目だ。」
「すぐではないんだな。」
「うん。あとから出すほうがいいんだよ。」
「そうか。」
それから数日、山越えの為の食料を作った。
もちろん鍛錬もだ。
ピクトの王都のはずれから山に向かう。
今度は塩屋さん。
「おお!あんたたちか?塩の味はどうだった?
塩袋、持ってきてくれたか?」
いつの間にか塩袋という名前になっている。
「ええ。
ダルカナの食堂と宿をやっているご主人に味も確かめてもらいましたよ。
おいしいって。この一番お安いのが中くらいだって。
大袋は10袋ほど。小さいのも10ですね。手間は一緒なんで
2リングと、1リング5銀貨でどうでしょうか?」
「買うよ!」
35リングです。
タオルとゴムも買ってくれました。
歯ブラシは?
「塩をつけて磨くとすっきりしますよ?」
「ふーん。安塩の新しい売り方ね。
いいだろう。じゃ、60本買っておこうか。」
「毎度あり!!」
「いいね。お店屋さんに対して売るのは。」
「そうだな。そのほうがいいかもしれないな。」
こっちも利益が出えて、小売する店も利益が出ればそれでいい。
わたしたちが、個人相手に商売するのは所詮素人だ、無理がある。
あとはそこの地域で適した売り方をしてもらえればいい。
次は化粧水屋と櫓宿の女将のところだ。
どっちが先が正解か?
逆ルートで来てるんから化粧水屋さんが先だ。
だけど、ここは紹介で来たから、やっぱり櫓宿が先かな?
大きな背負子に今度は瓶と、クッション。
タオルと、ゴムと、18セットの魚のコート。
ミンクのコート、5着だ。
あの200のコートを出す出さないその時の状況次第。
そんなことを店の前でぼっけと突っ立て考えていると、
中の人、アガッターさんが気付いてしまった。
「あんたたち!モウだね?それとティスだ。さ、中に。」
名前を呼ばれた。
ん?名乗ってないよね?
マティスは少し警戒している。
「あ、えっと、ミフィルさんのほうに先に寄せてもらったほうが・・・。」
「いいのよ。どうせ、こっちに来るんだから。
呼んであげるよ。トリヘビが今こっちにいるから。」
情報屋さんは個人で持っているのだろうか?
奥からトリヘビ、この子は茶色だ。
その子を外に放り投げる。
お邪魔しますと、中に入ろうにも荷物が背負子が大きいので、
裏に回った。
裏はかなり手入れされた庭だ。
お茶会とかしてるのだろうか?
「ここは貴族のご令嬢たちも来るんだよ?」
おお!!ご令嬢!!
「さ、座って。お茶を飲みましょう。
聞いたよ?王都ではえらく儲かったって!
行商のティスとモウがあのエビを売り切ったってさ。
港でエビを売った奴らも自慢げに話している。
3銀貨のものを1リングで売ったっていうじゃないか?
今の時期はタダでもいらないものなのにね。」
王都から名前がばれてるんだ。
「それにしても脚が速いんだね。
それで?荷を取り寄せるって聞いたけど?
それが入ったから来たんだろ?先に見せてほしいわね。」
「あの?お店を広げるなら5リング?
塩屋さんの方から来たんで、門番も守衛さんもいなくて。
いいんでしょうか?」
「何を言ってるんだい?ここ!アガッターの裏庭だよ?
ああ、知らないのか。ここではアガッターがいいといえばいいのよ。
心配いらないよ?」
いや、違う意味で心配です。
このアガッターさんより、
実質、情報を売り買いしているミフィルさんのほうが上では?
姉妹で喧嘩はしないでよ?
が、ここは素直に。
200のミンクのコート以外すべて出した。
あの瓶もだ。
ゴムが付いている29セット。
アガッターさんはミンクのコートにくぎ付けですよ。
「考えたね。これは?いくらで作らせた?」
「聞いてもらえばわかると思いますが、1本1リングです。
権利はいまはわたしが持っています。
お気に召しましたら、こちらでそれも含めて買ってください。
ただ、これを作ってくれた器屋さん、
メジャートのメディケ陶磁屋さんていうところなんですが、
試作品として、その店の奥方が1本ずつ持っていますね。
それと、わたしも残り20本づつ。これはこのゴム、コットワッツ製なんですが、
この材料がなくなったので、こちらで作ろうかなと。
で、知り合いたちに渡そうかなって。
こんな感じで、贈り物に。結婚のお祝いとかにね。」
竹かごのセットも見せる。
「・・・。」
「いかがですか?」
「ダメだね。」
「そうですか。それは残念。では、わたしたちはこれで。」
片付けは簡単。掘り込むだけだから。
「!ちょっと!あんたたち商人なんでしょ?駆け引きしなさいよ!」
「ふふふふ。そんなのできていれば、ピクトでも大儲けしてますよ。
半分で撤収したんですよ?3日間の駆け引きを知らなくて。
初日に金額を書いて店に並べたんですよ。
一つも売れませんでした。
女の子たちが3日目まで品はあるのかと聞いてくれてやっと。
ピクトのことわかる範囲で教えてくれって言ったのに。
1銀貨じゃダメだったみたいですね。
知らないものは聞きようがないのにね。
それを知らなかったのはこちらの手落ち。
二度と来るものかと引き上げました。
ここでも同じですね。
ミフィルさんによろしく。あ、お茶、おいしかったです。」
交渉決裂だ。
行商ティスとモウに駆け引きは通じない。
作った瓶に詰めるぐらいの油と化粧水はある。
軍曹には申し訳ないが、違うことで儲けてもらおう。
「笑ってもいいのか?」
「待って!ここを出てから!」
笑いがこみ上げる。
ミフェルさんはどうするだろうか?
表通りに出る前に、一端コットワッツに戻ることにした。
まずは器屋さんに手紙だ。
書いてくれたのはマティスだが。
交渉が失敗したこと。
きっと、奥方が持っている1セットを見本にもう一度作れと言ってくるだろうと。
権利はわたしにあるが、多少意匠を変えろというはず。
そうなるとどうしようもない。
もともと奥方の考えが形になったものだから。
化粧水屋さんは結構権力をお持ちだから逆らうのは得策ではない、
遠慮なく作って売ってください。
また近いうちにお願いすることがあると思うので、
その時はよろしくお願いします。
「これ、トリヘビ屋さんに頼めばいいの?」
「いや、セサミナでいいだろう?ラーメンの鉢のことでやり取りしているはずだ。」
「そんなことしたら、セサミンとの関係を疑われない?
ちょっとした知り合いって程度の認識だよ?」
「トリヘビがどこ経由できたかはわからんだろ?」
「あ、そうなんだ。じゃ、ティスとモウよりってかいておけばいいか。」
「わかりました。送っておきましょう。
しかし、姉さん?やってしまいましたね?」
いまはセサミンの執務室。
結構頻繁に戻ってきてるよね。
お土産は塩とクッションです。
エビフライも保温庫に。
「ん?まずい?」
「いえ、ピクトのアガッターは中央の社交界で有名ですよ?
化粧水、髪油はそこが一手に販売してますから。」
「え?大陸全部で?」
「ええ。」
「うわー、それはすごい。コットワッツに迷惑がかかる?」
「いえ、それはないでしょう。ティスとモウがコットワッツ出身だとわかったとしても、
ある意味相手にされなかったので売らないなんて、恥ずかして言えませんね。
入荷を少なくするとか、値上げするとかも、もしそんなことをして
どうしてだって話になれば、恥をかくのは向こうです。
悪い嘘を流しても、審判に掛ければすぐわかる。」
「じゃ、問題ない?」
「こちらにはね。しかし、行商ティスとモウはにらまれることになる。
仕事はしにくくなりますよ?」
「ほうー。わたしに喧嘩を売ろうってのか?よーし!
半値八掛け3割引きで買ってやろうか!!」
「え?いくらですそれ?」
「ん?1リングだと、えーと2銀貨8銅貨?」
「・・・格安ですね。」
「あははは!そんだけ安けりゃ買うよってことだね。
「化粧瓶はもうちょっと改良したら、奥さんたちに贈るからね。」
「それはうれしいですね。楽しみにしています。」
「セサミンが楽しみになるの?」
「ええ?姉上からの頂き物があるというと、
機嫌が格段に違いますので。」
「なるほど!」
「もちろん、ルグの奥さんにもドーガーの母上と妹ちゃんにも用意するから。
ペリーヌとフローネにも持っていこうね。」
「「はい!」」
それからゴムを切りだしたり、例の土でできないかと考えた。
この瓶も白いっちゃ白い。
が、思っているのはあの祭りの時にもらえる奴だ。
強化ガラスでできてるらしい。
49、49の瓶を、さらに薄く、ゴムもパッキン式に。
透かしは上から下まで、唐草模様で。
底には少し足をつけて、小さな砂漠石を光らせれば
その透かしから光が出るように。
これはお願いで変形してもらった。
それをこの土に高質化して入れ替わってもらう。
焼くことで高質化になるという条件だ。
あとあと軍曹、あの奥さんのところで作ってもらうから。
5種類の土。
完全に吸い口部も分解されているものが3袋。
あとの2つは吸い口があるもの、まだ原型があるもの。
「どうだ!!」
若い土はダメだ。2セットダメにした。
3番目もダメ、柔らかい。
一番古いのも。ホロホロに崩れる。
4番目。程よい粘り気。
爪ではじくと、チーンとなる。
「あれは・・・ いいものだ!」
このセリフが出てくる。
いや、これは死ぬ前か。
45セット!完成です。
さっそく竹かごとタオルと歯ブラシのセットに。
化粧水も油も詰めます。
竹かごの裏に小さな砂漠石を入れて劣化を止めてもらう。
開ければなくなるように。
薄くできたのか結構入る。
油の樽と2つと、化粧水の樽は1つ。これが残る。
予備ですね。
あ!香炉も作っておこう!
呪いの森の水滴入れも!!
ここは安全なサボテンの森。
マティスはさらに膜を張っている。
マティスがお出かけだからだ。
クーちゃんのところに。決して師匠のところとは言わない。
あれ?いま、師匠はルカリアに行ってるよね?
クーちゃんは留守番?
お風呂で話しをしてた時は、出かけるのもいいねって言ってたから、
ついていってるんじゃないの?
んー?
晩御飯の用意をしておこう。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「クーはいないのか?」
「ええ、先生。ワイプ様と一緒に。送ったらわたしを呼寄せて、
ライガー殿と帰ってきます。
ワイプ様はすぐ戻ると思いますが?」
「いつ?」
「ここからルカアリアだと今なら、5日ですか?
強行ではないと思いますよ?
あ!クーからは先生が来たら渡すようにって。
最近、言ってることが分かるんですよ。」
カップから糸をもらう。クー、素晴らしい!
「カップも偉いぞ!その調子で女心も理解できる!!」
「はい!」
エビフライとエビピラフ,ピザを補充しておく。
炒めるだけ、揚げるだけ、焼くだけの状態だ。
「トックス!」
「旦那?あれ?旦那だけ?」
「これを。」
「!!!」
光る糸を見せる。
検分している間に、ここの食料庫にエビピラフとエビフライを補充。
ピザではなく刺身を入れておく。
すぐに食べられるように、
ピラフはテーブルに出しておく。
「なにができるか考えておいてくれ。
私も考える。飯はテーブルだ。温かいうちに食えよ?」
後簡単にピクト、化粧瓶の話はした。
「わかった。ああ、奥さんに200のコートは作らないって言っといてくれ。」
「?」
そう伝えればいいのか?では、戻ろう。
ん?扉君の家か?
「戻った。」
「おかえりなさい。今日は、違うな、今日もお鍋ですよ?」
彼女が前掛けをつけて出迎えてくれた。
飯の用意も。
素晴らしい!!
「今日は豚ね。ごまだれと、ポン酢と。
あとはちょこちょことね。」
瓶の製作はうまくいったようだ。
寝室にあるから後で見てくれと、うれしそうだ。
新しい料理ではないけれど、とてもうまく感じた。
彼女も瓶の製作過程を面白おかしく話してくれる。
そしてこれからあの姉妹はどうするのかな?とうれしそうに話す。
「しかし、なぜ交渉しなかたんだ?」
「それね。だって、あれが売れないとどうにもできない状態じゃないでしょ?
軍曹、ああ、あの器屋の奥さんは軍曹なんだ。あだ名ね。
軍曹が損をするわけでもない。
なんか、わたしの思いのままっていう態度が気にいらなかったの。
あのトリヘビだって、ほんとに知らせを運んだかどうかもわかんない。
あの瓶はきっとは発注するよ?
で、あのミンクのコートもトックスさんのところに買いに来る。
あの後、わたしが取引の手段に使うって言っちゃったから
トックスさんは200コートはもう作らない。きっとね。」
「ああ、そう言付かっていたな。
200のコートは作らないって。
ピクトと化粧瓶の話はしたんだ。」
「うふふふ。さすがだ。さすが、悪徳商人だ。」
「?」
「わたしたちが発注すれば作ってくれる。
それを取引材料にしてもいいってこと。
一般の客に売るよりも、わたしたちに売る方が儲かるし、いいってことだよ。
別にお金の為じゃないよ。そのほうが楽しいって思ってくれたんだ。」
「ああ。なるほど。」
寝室に行くと、かわいい、いや、きれいな瓶が2つ。
淡く輝いていた。
「すごい。」
「あ、久々に聞くね、マティスのすごい。いいでしょ?
熱を持つわけじゃないからね。ちょっとした飾りに。
45セット作ったよ。タオルも入れて。
アガッターさんがどう出るか。落ち着いたらこれのお披露目だ。」
「すぐではないんだな。」
「うん。あとから出すほうがいいんだよ。」
「そうか。」
それから数日、山越えの為の食料を作った。
もちろん鍛錬もだ。
ピクトの王都のはずれから山に向かう。
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