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423:砂漠巡り
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会わずの月の日まで間の砂漠、西の砂漠、
湿地と行き来した。
湿地組とイリアスのご一行はものすごく険悪になったようだ。
昔から樹石を使ってきた者と、
昨日今日使い始めたもの。しかも新しい使い方を次々提案してくる。
何も知らないくせに
これがお互いの認識となった。
筏も、ふーんとだけ。
セサミンが持ってきたゴムのツナギの方が、
反応は良かったそうだ。
イリアスの湿地は浅い。
そりゃそうだ。軍の鍛錬で、埋まってメイガを採るんだから。
20ほど作ってほしいと注文を受ける。
しかし、これは試作品、時間がかかるとやんわり断ったとか。
「どうして?がっぽり稼げるじゃん。」
いまはルーの手料理を堪能している。
コットワッツ組と湿地組。
そしてわたしたち。
「どう?順調?」
と突然やってきても、歓迎してくれた。
今は月が昇る直前の時間帯に、
人を雇っているそうだ。
少し離れたところに家を新たに建てよう。
最初の家は、休憩所にすればいい。
セサミンにその話をすると、
半分過ぎに、そっちに行きますということになった。
それで、いま、お昼ご飯を食べながら話をしている。
それまで、ご飯の用意や、鍛錬の成果、
家の移設などを行った。
今度は少し広い家だ。
空き家をセサミンに教えてもらい、そのまま移設した。
もちろん、囲いをしてからだ。
数日たってから外してもらえばいい。
が、ここも住んでいるものは少ないところ。
街から少し離れている。
いま、コットワッツはゴム、タオルと
あの兄さん2人が住んでいる街がにぎわいだしている。
ティータイはガラス、宝石類。それと食。
宝石類が出るのはナソニールとの境にある山だ。
金剛石の権利はコットワッツのみ。
ナソニールは放棄している。価値がないと。
事実、ガラスができれば価値がないのだろうな、いままでは。
よくぞ、権利を手放さなかったことだ。
ルーが作ってくれたものは、マティス仕込みの丁寧な煮込み料理だ。
野菜、肉とゴロゴロ入っている。ポトフっぽいもの。
うまい!
塩とクッションをお土産に。
あとはひょうたんで作った調味料入れ。
これはルグとドーガーが欲しがった。
セサミンは出された料理に味を足すということは
相手に対して失礼だからできない。
けど執務室でなにか食べるときは欲しい。
あっという間になくなった。買ったのは25だが、
中をきれいに削るのをいくつか失敗しているのだ。
ピクトに仕入れに行こう。仕方がない。
その後ご一行の話、ツナギの話になった。
「いえ、なんとなくなんですが、今すべきではないと思いまして。」
「嫌な感じがしたの?」
「いえ、嫌とかではなく、気を付けないと、というものですね。
正論過ぎるんですよ。まだ、4番目の方が清濁をわかっている。」
「あー、そうなんね。その気持ちは大事だよ。」
「それに、この2人を下に見ましたからね。
それもちょっと。」
「ははは!それはダメだね。可愛い甥っ子たちなんだもん。」
2人が照れている。
アバサの考えを取り入れて、湿地の廻りに柵を作った。
子供が手伝いに来るが、落ちたら危ない、という建前だ。
あとは2人の家。
大きな台所と、作業場。
一応寝室は2つ。一応ね。
風呂と便所は従来型。これは仕方がない。
樹石のお風呂で床暖房、かけ流しができるように。
ここが一番最新になった。
セサミンも2軒目の公衆浴場に取り入れようと言っている。
「じゃ、ドーガー、
混合いはじめの月の2日前ぐらいに出発だね?」
「お願いします!!」
ルグの奥さんのおなかも順調すぎるそうだ。
あの時も渡したクッションが役に立っていると。
なかなか座るのも大変らしい。
そろそろ手伝いの人たちが来るそうなので、
わたしたちも引き上げることにする。
5銅貨ぐらいでタオルを作ってほしいという依頼も。
染で店の名前を入れても元が取れるように。
ここで話すことはすべて楽しいことばかりだ。
心配をさせてもいけないから。
あとは、そんなことも知らないのかと、
甥たちに思われたくない見栄もある。
「アバサ、無理はダメだよ?」
「ええ、もちろん。ニック殿の鍛錬もしてますし、
人を雇ってからは、逆に怪しいものも来ていないようです。」
「それならよかった。」
ルーはマティスにさらなる料理の方法を聞いている。
ピザ、パンの作り方も。
あの甘いパンはおいしいからね。
今日のポトフもマティスが作ってくれる。
さらにおいしいんだろうな。
「姉さんも無理はしないでくださいね。」
「もちろん。寝不足が一番ダメってわかったからね。
きっちり眠るようにしてるよ。」
「寝不足・・・。」
「1日の長さが変わるから!」
「ふふふ。そうですね。」
「あ、それとわたしたち今は極悪兄弟で旅してるから。
セサミナ兄さんも、その兄弟の中に入ってるから。」
「かわいい!!」
セサミナがここぞとばかり抱き付いてくる。
領主の貫禄ナッシングだ。
「モウ様!声色も操れるんですね!」
ルーが感心してくれる。
「声変わり前ってところだね。
ん?人の気配がするね。あ、トウミギ!ヤンにもね。
これもおいしいから。」
「ええ、マティス様から聞きました。うれしいです。」
じゃ、ということで解散。
塀をパトロールして労いを。
それからピクトのブラスの森に移動した。
ここから街道に出れば、ニバーセルから来た風になる。
月が沈んだらピクトの王都に入って、
ひょうたんだけ買おう。
翌日、月が沈んでからピクトの王都に向かって出発。
「あ!おばちゃん!!来た!!」
ん?おばちゃん?それはわたしのこと。
王都の門前、かなり手前で声を掛けられた。
女の子が2人、うろうろしているなとは思っていたのだが、
あのときの女の子だ。
まだ肌になにも塗っていないから大丈夫。
そうか、ピクトは夫婦の行商だ。
マティスはハンサムだから記憶に残るってるか。
その連れ合いが奥さんだったり弟だったりするのはよくないな。
気付いてよかった。
「そうだな。私はどちらでもいいんだが。」
「そこだよね。わたしもどっちでもいいけど、
ちょっと無頓着すぎたね。」
さてどうするかと立ち止まっている間に
2人がやって来た。
「あれ?早いね?どうしたの?」
声を戻して普通に声を掛ける。
「ずっと待ってたの!」
「へ?合わさりの後から?」
「うん、行商だから、3日祭り以外に来るって守衛が言ったから。」
それはお愛想だ。
しかし、それを鵜呑みして待ってたのか?え?毎日?
「月が沈んでからちょっとだけだけど。」
「よかった。ずっとっていうから。どうしたの?」
「あの、あの時は母さんが、初日の言い値に買うのは騙されてるって。
安く買えるように話をしてくれるって。」
「ああ。あの日だけって言ったつもりなんだけど?」
「そんなの嘘だって。」
「あははは!そうなるか。
それで?通るかどうかわかんないわたしたちを待ってたの?
成人前でも仕事あるんでしょ?怒られなかった?」
「それは、大丈夫。仕事は半分からだから。」
「お!えらいね。普段の仕事もして、石狩りにも出てるんだ。」
「うん。でも、それをしてるのはわたしたちだけ。ね?デザー?」
「そうね。クリルとわたしだけ?カッタももうしないって。」
「あらら。どうしようもないね。と、わたしが言うことでもないか。
それで?」
「あの上着と、中の。売ってください!」
「へ?それの為に?」
「「うん!!」」
「うれしいね。よっぽど気に入ってくれたんだね。
んー、でもね。あの金額はあれ以上安くならないよ?
それと新たに条件というかわたしとの約束がをしてほしいな。
ああ、それとお使いもお願いしたい。このお使いはお金を払うよ?
その分安く買えるけど?どうかな?約束とお使いね。」
「約束とお使い?」
「そうそう、簡単だよ?石狩りだけしないってこと。ほかの仕事を必ずしてほしい。
ああ、結婚したり事情が変われば仕方がないよ?
石狩で月10リング。これだけ稼げばいいって思わないで。
できれば、これは出来ればよ?石狩は参加しないでほしいけど。
どうしてって?悪いがあんたたちは女の子で子供だ。
迷い除けでなにを施されてるかわからない。
掛けてもらったあとは、石狩りが終わった後だろ?で、10リングもらってる。
その2日間で何してる?もしかして10リングじゃ割に合わない仕事してるかもよ?」
禿げ頭の親父の頭を磨くとかさ?」
「「きゃー!!いやだー!!」」
笑いごとで済んでるならいいけど。
「で、お使い。ここってひょうたん、じゃなくて、アーリア?
それ売ってるでしょ?それを買ってきてほしんだ。
これくらいの一番小さいの。」
約束は大丈夫。
お店を持ちたいからお金を貯めているそうだ。
でも、10リングは使っちゃう。
アーリアのその大きさはひと箱、1銀貨だそうだ。
誰も買わない。よその国の人が物珍しく買うだけ。
やられた。しかし、それでもかまわない。
1箱100個ほど。使えるものは20ほど。
同じだな。
2箱買ってきてもらう。
で、1リング+1リング。お駄賃だ。
ちょうど持ってて良かったよ、と、
コートとダウンコートを出す。
おまけだよと、スカーフも好きな色を選んでもらった。
2人とも青を選ぶから、
赤とモモ色もおまけ。2枚合わせればいい。
それぞれで12リングもらう。
「ありがとう!」
「こっちこそ。ありがとうね。」
「また売りに来ますか?」
「んー、当分ピクトは来ないな。なんで?」
「きっとみんな欲しがるから。そのときなんて答えたらいいかなって。」
「ははは!親切だね。もともとはコットワッツで仕入れたんだ。
現地で買ったほうが安いよ?そう思うと、ちょっと高いか。
これもおまけ。ないしょだよ?」
髪飾りとタオルをプレゼント。
他の行商も来るだろう。
またニバーセルの方に戻る振りをして、
間の砂漠に入ることにした。
そりで回収作戦だ。
間の砂漠、西の砂漠と爆裂石を採取して過ごした。
明後日は会わずの月の日。
前日は食事関係を補充しておかないとね。
「砂漠巡りになるね。
コットワッツ、マトグラーサ、間に、西?」
「そうだな。今回は岩壁の家に行こうか?
真っ暗な海だが。夜の目で見ればまた違ったものが見えるかもしれないしな。」
「うふふふ。楽しそう!
結局月光浴した間の砂漠石はクーちゃんに糸にしてもらうの?」
「ああ、半分はあるぞ。光るかもしれないんだろ?」
「うん!試そうね。」
海老料理、熊煮込み、蛇鍋、うん、もつ鍋ね。
「会わずの月の日って、雨の日はあれだけど、
普段の日もやっぱり、恋人とか、夫婦とかはイチャイチャしてるの?」
「離れはじめからな。」
「なるほど。じゃ、いない人は?
会わずの月の日は40時間、真っ暗なまま一人?
その、師匠とかトックスさんとか?あー、いないとは限らんか。」
「ずっと家にいるな。
だから、今日あたりは私たちとおなじように、
食い物を確保しているぞ?街がにぎわう。
が、本来なら月が昇る少し前までな。」
「なんか、持っていく?」
「それをすると、毎回になるぞ?街で食料を買い集めるのも、
必要だ。そこで良き人と巡り合うかもしれん。」
「そっか!じゃ、いいね。邪魔しちゃ悪い。」
月無し石に挨拶。
コットワッツの砂漠はまだいない。
マトグラーサは元気なようだ。また、数個ついてくる。
間の砂漠。ここは?
『間の砂漠の月無し石よ!
いるのだろうか?
コットワッツの砂漠から来たんだ。爆裂石もかなりもらったよ。
知っているか?それを食した蜘蛛は光る糸を出したんだ。
面白いな!
欲望のまま、わたしの半身がなにかを作ろうとしているぞ!
実は楽しみなんだ!
さぁ、出てきておくれ!!』
さわさわと月無しい石が出てくる。
先にこちらの月無し石は飛び出して出かけているのだ。
コットワッツとマトグラーサでは大人しかったのに。
出てきた石はうちの子なんだろうか?
「こんばんは!砂漠の民のティスとモウだ。
先にうちの子たちとお話してるのかな?
じゃ、なんで光るかとか、海峡石があるとか、
鉱物がなんで沈むとか聞いてもいい?」
「なんと?」
「んー。鉱物、鉄とか、金とかね。
元からここにはないからいらないって。
光るのは、?、光るから?うん。
海峡石はいるの?
いないのか。
じゃ、ここはもともと砂漠石と月無し石だけだったんだね?
海ではなかったから?
そうか、海が隆起してできたところはあるんだ。
で、ここは?
作ったの?おお!すごいね!」
「?」
「なんか、砂がたまったから作たんだって。
まだ、若い砂漠ってことかな?」
「若いと言っても、何百年だよな?」
「・・・わかんないな。でも若いって。」
「そうか。砂とお前たちがいれば砂漠石ができるのか?」
「・・・時間と必要かどうか?だって。」
「コットワッツに砂漠石ができるのは?」
「・・・時間がいるって。」
「そうか、ありがとう。いつか、コットワッツの砂漠にも砂漠石が戻るんだ。
それが分かっただけでもいい。」
「600年ってのがやっぱり正しいのかな?」
「そうかもしれんな。」
「ありがとう、月無し石。えーと、来るのね?」
ここでも数個ついてくるそうだ。
あとは岩壁の家に戻って、ゆっくりと過ごそう。
湿地と行き来した。
湿地組とイリアスのご一行はものすごく険悪になったようだ。
昔から樹石を使ってきた者と、
昨日今日使い始めたもの。しかも新しい使い方を次々提案してくる。
何も知らないくせに
これがお互いの認識となった。
筏も、ふーんとだけ。
セサミンが持ってきたゴムのツナギの方が、
反応は良かったそうだ。
イリアスの湿地は浅い。
そりゃそうだ。軍の鍛錬で、埋まってメイガを採るんだから。
20ほど作ってほしいと注文を受ける。
しかし、これは試作品、時間がかかるとやんわり断ったとか。
「どうして?がっぽり稼げるじゃん。」
いまはルーの手料理を堪能している。
コットワッツ組と湿地組。
そしてわたしたち。
「どう?順調?」
と突然やってきても、歓迎してくれた。
今は月が昇る直前の時間帯に、
人を雇っているそうだ。
少し離れたところに家を新たに建てよう。
最初の家は、休憩所にすればいい。
セサミンにその話をすると、
半分過ぎに、そっちに行きますということになった。
それで、いま、お昼ご飯を食べながら話をしている。
それまで、ご飯の用意や、鍛錬の成果、
家の移設などを行った。
今度は少し広い家だ。
空き家をセサミンに教えてもらい、そのまま移設した。
もちろん、囲いをしてからだ。
数日たってから外してもらえばいい。
が、ここも住んでいるものは少ないところ。
街から少し離れている。
いま、コットワッツはゴム、タオルと
あの兄さん2人が住んでいる街がにぎわいだしている。
ティータイはガラス、宝石類。それと食。
宝石類が出るのはナソニールとの境にある山だ。
金剛石の権利はコットワッツのみ。
ナソニールは放棄している。価値がないと。
事実、ガラスができれば価値がないのだろうな、いままでは。
よくぞ、権利を手放さなかったことだ。
ルーが作ってくれたものは、マティス仕込みの丁寧な煮込み料理だ。
野菜、肉とゴロゴロ入っている。ポトフっぽいもの。
うまい!
塩とクッションをお土産に。
あとはひょうたんで作った調味料入れ。
これはルグとドーガーが欲しがった。
セサミンは出された料理に味を足すということは
相手に対して失礼だからできない。
けど執務室でなにか食べるときは欲しい。
あっという間になくなった。買ったのは25だが、
中をきれいに削るのをいくつか失敗しているのだ。
ピクトに仕入れに行こう。仕方がない。
その後ご一行の話、ツナギの話になった。
「いえ、なんとなくなんですが、今すべきではないと思いまして。」
「嫌な感じがしたの?」
「いえ、嫌とかではなく、気を付けないと、というものですね。
正論過ぎるんですよ。まだ、4番目の方が清濁をわかっている。」
「あー、そうなんね。その気持ちは大事だよ。」
「それに、この2人を下に見ましたからね。
それもちょっと。」
「ははは!それはダメだね。可愛い甥っ子たちなんだもん。」
2人が照れている。
アバサの考えを取り入れて、湿地の廻りに柵を作った。
子供が手伝いに来るが、落ちたら危ない、という建前だ。
あとは2人の家。
大きな台所と、作業場。
一応寝室は2つ。一応ね。
風呂と便所は従来型。これは仕方がない。
樹石のお風呂で床暖房、かけ流しができるように。
ここが一番最新になった。
セサミンも2軒目の公衆浴場に取り入れようと言っている。
「じゃ、ドーガー、
混合いはじめの月の2日前ぐらいに出発だね?」
「お願いします!!」
ルグの奥さんのおなかも順調すぎるそうだ。
あの時も渡したクッションが役に立っていると。
なかなか座るのも大変らしい。
そろそろ手伝いの人たちが来るそうなので、
わたしたちも引き上げることにする。
5銅貨ぐらいでタオルを作ってほしいという依頼も。
染で店の名前を入れても元が取れるように。
ここで話すことはすべて楽しいことばかりだ。
心配をさせてもいけないから。
あとは、そんなことも知らないのかと、
甥たちに思われたくない見栄もある。
「アバサ、無理はダメだよ?」
「ええ、もちろん。ニック殿の鍛錬もしてますし、
人を雇ってからは、逆に怪しいものも来ていないようです。」
「それならよかった。」
ルーはマティスにさらなる料理の方法を聞いている。
ピザ、パンの作り方も。
あの甘いパンはおいしいからね。
今日のポトフもマティスが作ってくれる。
さらにおいしいんだろうな。
「姉さんも無理はしないでくださいね。」
「もちろん。寝不足が一番ダメってわかったからね。
きっちり眠るようにしてるよ。」
「寝不足・・・。」
「1日の長さが変わるから!」
「ふふふ。そうですね。」
「あ、それとわたしたち今は極悪兄弟で旅してるから。
セサミナ兄さんも、その兄弟の中に入ってるから。」
「かわいい!!」
セサミナがここぞとばかり抱き付いてくる。
領主の貫禄ナッシングだ。
「モウ様!声色も操れるんですね!」
ルーが感心してくれる。
「声変わり前ってところだね。
ん?人の気配がするね。あ、トウミギ!ヤンにもね。
これもおいしいから。」
「ええ、マティス様から聞きました。うれしいです。」
じゃ、ということで解散。
塀をパトロールして労いを。
それからピクトのブラスの森に移動した。
ここから街道に出れば、ニバーセルから来た風になる。
月が沈んだらピクトの王都に入って、
ひょうたんだけ買おう。
翌日、月が沈んでからピクトの王都に向かって出発。
「あ!おばちゃん!!来た!!」
ん?おばちゃん?それはわたしのこと。
王都の門前、かなり手前で声を掛けられた。
女の子が2人、うろうろしているなとは思っていたのだが、
あのときの女の子だ。
まだ肌になにも塗っていないから大丈夫。
そうか、ピクトは夫婦の行商だ。
マティスはハンサムだから記憶に残るってるか。
その連れ合いが奥さんだったり弟だったりするのはよくないな。
気付いてよかった。
「そうだな。私はどちらでもいいんだが。」
「そこだよね。わたしもどっちでもいいけど、
ちょっと無頓着すぎたね。」
さてどうするかと立ち止まっている間に
2人がやって来た。
「あれ?早いね?どうしたの?」
声を戻して普通に声を掛ける。
「ずっと待ってたの!」
「へ?合わさりの後から?」
「うん、行商だから、3日祭り以外に来るって守衛が言ったから。」
それはお愛想だ。
しかし、それを鵜呑みして待ってたのか?え?毎日?
「月が沈んでからちょっとだけだけど。」
「よかった。ずっとっていうから。どうしたの?」
「あの、あの時は母さんが、初日の言い値に買うのは騙されてるって。
安く買えるように話をしてくれるって。」
「ああ。あの日だけって言ったつもりなんだけど?」
「そんなの嘘だって。」
「あははは!そうなるか。
それで?通るかどうかわかんないわたしたちを待ってたの?
成人前でも仕事あるんでしょ?怒られなかった?」
「それは、大丈夫。仕事は半分からだから。」
「お!えらいね。普段の仕事もして、石狩りにも出てるんだ。」
「うん。でも、それをしてるのはわたしたちだけ。ね?デザー?」
「そうね。クリルとわたしだけ?カッタももうしないって。」
「あらら。どうしようもないね。と、わたしが言うことでもないか。
それで?」
「あの上着と、中の。売ってください!」
「へ?それの為に?」
「「うん!!」」
「うれしいね。よっぽど気に入ってくれたんだね。
んー、でもね。あの金額はあれ以上安くならないよ?
それと新たに条件というかわたしとの約束がをしてほしいな。
ああ、それとお使いもお願いしたい。このお使いはお金を払うよ?
その分安く買えるけど?どうかな?約束とお使いね。」
「約束とお使い?」
「そうそう、簡単だよ?石狩りだけしないってこと。ほかの仕事を必ずしてほしい。
ああ、結婚したり事情が変われば仕方がないよ?
石狩で月10リング。これだけ稼げばいいって思わないで。
できれば、これは出来ればよ?石狩は参加しないでほしいけど。
どうしてって?悪いがあんたたちは女の子で子供だ。
迷い除けでなにを施されてるかわからない。
掛けてもらったあとは、石狩りが終わった後だろ?で、10リングもらってる。
その2日間で何してる?もしかして10リングじゃ割に合わない仕事してるかもよ?」
禿げ頭の親父の頭を磨くとかさ?」
「「きゃー!!いやだー!!」」
笑いごとで済んでるならいいけど。
「で、お使い。ここってひょうたん、じゃなくて、アーリア?
それ売ってるでしょ?それを買ってきてほしんだ。
これくらいの一番小さいの。」
約束は大丈夫。
お店を持ちたいからお金を貯めているそうだ。
でも、10リングは使っちゃう。
アーリアのその大きさはひと箱、1銀貨だそうだ。
誰も買わない。よその国の人が物珍しく買うだけ。
やられた。しかし、それでもかまわない。
1箱100個ほど。使えるものは20ほど。
同じだな。
2箱買ってきてもらう。
で、1リング+1リング。お駄賃だ。
ちょうど持ってて良かったよ、と、
コートとダウンコートを出す。
おまけだよと、スカーフも好きな色を選んでもらった。
2人とも青を選ぶから、
赤とモモ色もおまけ。2枚合わせればいい。
それぞれで12リングもらう。
「ありがとう!」
「こっちこそ。ありがとうね。」
「また売りに来ますか?」
「んー、当分ピクトは来ないな。なんで?」
「きっとみんな欲しがるから。そのときなんて答えたらいいかなって。」
「ははは!親切だね。もともとはコットワッツで仕入れたんだ。
現地で買ったほうが安いよ?そう思うと、ちょっと高いか。
これもおまけ。ないしょだよ?」
髪飾りとタオルをプレゼント。
他の行商も来るだろう。
またニバーセルの方に戻る振りをして、
間の砂漠に入ることにした。
そりで回収作戦だ。
間の砂漠、西の砂漠と爆裂石を採取して過ごした。
明後日は会わずの月の日。
前日は食事関係を補充しておかないとね。
「砂漠巡りになるね。
コットワッツ、マトグラーサ、間に、西?」
「そうだな。今回は岩壁の家に行こうか?
真っ暗な海だが。夜の目で見ればまた違ったものが見えるかもしれないしな。」
「うふふふ。楽しそう!
結局月光浴した間の砂漠石はクーちゃんに糸にしてもらうの?」
「ああ、半分はあるぞ。光るかもしれないんだろ?」
「うん!試そうね。」
海老料理、熊煮込み、蛇鍋、うん、もつ鍋ね。
「会わずの月の日って、雨の日はあれだけど、
普段の日もやっぱり、恋人とか、夫婦とかはイチャイチャしてるの?」
「離れはじめからな。」
「なるほど。じゃ、いない人は?
会わずの月の日は40時間、真っ暗なまま一人?
その、師匠とかトックスさんとか?あー、いないとは限らんか。」
「ずっと家にいるな。
だから、今日あたりは私たちとおなじように、
食い物を確保しているぞ?街がにぎわう。
が、本来なら月が昇る少し前までな。」
「なんか、持っていく?」
「それをすると、毎回になるぞ?街で食料を買い集めるのも、
必要だ。そこで良き人と巡り合うかもしれん。」
「そっか!じゃ、いいね。邪魔しちゃ悪い。」
月無し石に挨拶。
コットワッツの砂漠はまだいない。
マトグラーサは元気なようだ。また、数個ついてくる。
間の砂漠。ここは?
『間の砂漠の月無し石よ!
いるのだろうか?
コットワッツの砂漠から来たんだ。爆裂石もかなりもらったよ。
知っているか?それを食した蜘蛛は光る糸を出したんだ。
面白いな!
欲望のまま、わたしの半身がなにかを作ろうとしているぞ!
実は楽しみなんだ!
さぁ、出てきておくれ!!』
さわさわと月無しい石が出てくる。
先にこちらの月無し石は飛び出して出かけているのだ。
コットワッツとマトグラーサでは大人しかったのに。
出てきた石はうちの子なんだろうか?
「こんばんは!砂漠の民のティスとモウだ。
先にうちの子たちとお話してるのかな?
じゃ、なんで光るかとか、海峡石があるとか、
鉱物がなんで沈むとか聞いてもいい?」
「なんと?」
「んー。鉱物、鉄とか、金とかね。
元からここにはないからいらないって。
光るのは、?、光るから?うん。
海峡石はいるの?
いないのか。
じゃ、ここはもともと砂漠石と月無し石だけだったんだね?
海ではなかったから?
そうか、海が隆起してできたところはあるんだ。
で、ここは?
作ったの?おお!すごいね!」
「?」
「なんか、砂がたまったから作たんだって。
まだ、若い砂漠ってことかな?」
「若いと言っても、何百年だよな?」
「・・・わかんないな。でも若いって。」
「そうか。砂とお前たちがいれば砂漠石ができるのか?」
「・・・時間と必要かどうか?だって。」
「コットワッツに砂漠石ができるのは?」
「・・・時間がいるって。」
「そうか、ありがとう。いつか、コットワッツの砂漠にも砂漠石が戻るんだ。
それが分かっただけでもいい。」
「600年ってのがやっぱり正しいのかな?」
「そうかもしれんな。」
「ありがとう、月無し石。えーと、来るのね?」
ここでも数個ついてくるそうだ。
あとは岩壁の家に戻って、ゆっくりと過ごそう。
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【あらすじ】
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