426 / 869
426:定義
しおりを挟む幸いバラバラにされることなく、牢屋に。
入っておけと言われた。鍵付き。
「初牢屋だよ。お兄ちゃんは?」
「ないな。」
「おお!2人で初体験か!」
「いい響きだな!」
背負子の中身も確認せずに入れられたので、
魚の皮を引き、クッションを置く。
もちろん先にきれいにしている。
部屋の隅にあるのはおトイレだよね?ツボだけなんだけど。
そこらへんもきれいに。
テーブル、こたつが欲しい。
背負子を改良すればいいか。
掛布団はさすがに出せないので、これも魚の皮だ。
天板は無し。仕方なし。
「なにがいい?」
「んー、チーズの奴!
材料は干し肉で。で、おにぎりでつくって!!
生肉はさすがにね。」
「好きだな。乾燥させたエビと赤茄もいれようか?」
「やった!」
ごちそうだ。
材料は乾燥ものばかり。おにぎりももっていたと言えばいい。
「しかし、何の罪かな?
警備隊に捕縛令を出せるってことはタトートの国が出したんだよね?
殺人容疑の時みたいに18か国に回ってるのかな?」
「私たち兄弟にか?ミフェル絡みだと夫婦だろ?」
「そうだね。できた?いい匂い!食べよう!!」
器によそった時にやって来た。
いるよね、ご飯時に来る客。
ニコルさんだ。
ここに連れてきた牢番と一緒だ。
「お前たち!!何をしているんだ!!」
「晩御飯です。」
「出ろ!!」
「鍵がかかってますよ?」
「開けろ!!」
「は、はい!」
無理だ。鍵は壊したから。
「これおいしいね。やっぱり干し肉は砂トカゲだ。」
「そうだな。俺もそうおもう。」
牢屋の鉄格子をどったんばったんやってる。
それで壊れたらどうしようもないだろう。
どうして荷物を取り上げなかったのかと怒られている。
そりゃそうだ。
ゆるいんだろうな。
お湯を沸かし、コーヒーを飲み始めた時にはあきらめたようだ。
ああ、いい香だ。
「もういい。そのままで話を聞いてほしい。」
「先に聞くが、俺たちは犯罪者なのか?なんの罪だ?
それすらわからんままにここに連れてこられた。
聞く義理も義務はないな。」
「・・・そこからか?そこから間違ったのか?」
「しらんな。」
はーっとため息をついて、話し始めた。
「ダカルナのアガッターが話をしたいと。
それとは別にあんたたちをアガッターより先に押さえろと通達が来た。」
「ますますわからんな。そのダカルナの誰それなんぞ知らんぞ?」
「嘘をつくな。行商でアガッターを知らないわけがない。」
「知らん。行商と言っても最近始めたばかりだ。
知らないとだめなのか?」
「?アガッターを無視したんだろ?
2人連れ。黒目黒髪、もう一人は見目がいい。行商で夫婦だと。」
「「・・・・・。あははははは!!」」
2人で見つめ合い大いに笑った。うまくいった。
「何がおかしい!」
「俺たちは兄弟だ。3人兄弟だ。
一人は別口で動いている。いずれ合流するがな。」
「え?兄弟?男か!!」
「お兄ちゃん?あれか?ぼくが頼りないからか?」
「そうかな?そうなるとちいのほうが頼りないぞ?」
ちいとはセサミンのことだ。
「ちい兄ちゃんが聞いても泣くな。」
「鍛錬だな。」
「はいはい。」
「うそだ!その黒髪のほう!女だろ?見せろ!!」
「なにを?なにをか?」
仕方がないな。
前をごそごそする。
『あんたたち2人が確かめるのなら、男だ。』
これは最終手段なんだけどね。
マティス?あんたが驚いてどうするんだ?
「あ、男だ。」
牢番が言う。
「どういうことだ!!」
「知らん。間違いだろ?いい加減出してくれ。
宿をとらねばここでは眠れん。」
「・・・・すまない。おい、出せ!」
「ニコル様!鍵が壊れてるんですって!」
「ああ、そうだ。どうする?鍛冶屋を呼ぶか?」
「鍵が曲がってるんじゃないのか?」
『落ち着いて回せば開くよ』
ええ、開きましたよ。
「お前は!!」
牢番がまた怒られてるよ。これはすまぬ。
「もういいな?片付けは終わったか?」
「うん。」
「すまない。宿はわびとしてこちらで手配しよう。
このことをほかで話してくれるな。」
「それは助かるな。もちろんだ。」
紹介してもらったものは一階に食堂。
風呂無し5リングらしい。普通だ。
樹石はないから、お湯を買うか、
砂漠石を買う。どちらも同じ金額だ。
お湯を運び込む手間と砂漠石をコロンと一つ渡すのなら、
砂漠石の方がいい。
ここは砂漠石がコットワッツより安いみたいだ。
だったらここから買えばいいのに。
売るほど採取していないのだろうか?
「そうするのだろうと思ったが、少し焦ったぞ?」
「ああ、男だっての?あの2人にしか効果はないね。
マティスは効かないかもしれないけど、
確かめようとするときは男だと思い込むっていう言霊掛けようか?」
「次もあればな。」
「そうだね。あんまりそういうときには使いたくないもの。」
「風呂はどうする?」
「ここの砂漠石は西の砂漠のものだよね?
じゃ、遠慮なく使っちゃおう。」
風呂上がりに来客。
そういうタイミングの人っているよね。
慌ててさらしを巻く。
そのお客はニコルさんだ。
「なんだ?まだ用か?」
「いや、少し話がしたいんだが?」
「・・・・。」
「いいよ?お兄ちゃん。ここの国のことを教えてもらおうよ。
香辛料が買えるところとかさ。」
「中へ。」
「ああ。」
「なんか飲みますか?」
「ああ!その牢屋で飲んでいたコーヒーはあるか?あれが飲みたい。」
「はーい。お兄ちゃんは?一緒でいい?」
「そうだな。」
わたしも飲もう。
一日7、8杯は飲んでたからね。
寝る前も。コーヒーで眠気が飛ぶというのは嘘だと思う。
牛乳は出せないか。
砂糖、樹脂蜜か、テオブロマか。
牛乳を入れないのだったらテオブロマだ。さっきもこれだったから。
「ああ、いい香りだ。私はコーヒーの方が好きなんだが、
このコーヒーはうまい。それにこの甘みがいい。」
「ルポイドで仕入れたんだ。」
「甘味も?それを売ってもらえないか?」
「ここは?店は出せるの?それを聞くことなく、
牢屋だったから。けど、だれも聞いてなかったね。」
「あのまま進めば、中央広場がある。そこで店を出すんだが、
申請に1年はかかる。」
「一年か。新参者はダメってことか。買うのは?」
「それは自由だ。」
「仕入れ額の一割税金で取られるとか。」
「それはないな。店を出すときに金が要る。
500リングだ。申請に時間がかかるし、金も高い。
他所からの行商は買うだけだな。」
自国製品を守ってるってことか。
砂漠石も国主導で集めてるそうだ。国内で必要な分だけ。
ん?じゃ、コーヒーは?
「ああ。だから個人的に売買する。」
「え?違法っぽいけど?」
「あははは!そんなことはない。
自国の物は店で買うが、売っていないものは仕方がないだろ?」
「コーヒー売ってないの?」
「このコーヒーは売っていないな。」
「ああ、いれ方が違うだけだよ。
砕いて、布で濾してるの。その違いだけだよ。」
「え?そうなのか?豆が違うのだと思った。
入れ方?もう一度入れて見せてくれるか?」
丁寧に入れようか?
わたしはいまはもいいや。マティスもいらなさそう。
「それで?話とは?」
「・・・確かめていない。服を下していないのに、
アギー、牢番は男だと言った。
鍵もあれだけ試したのにすぐに開いた。石使いだろ?」
言葉を間違えたか。
2人とも、男だと思い込む、鍵は壊れる、が正解だったかな?
「ははは!だとしたら?」
「・・・・。赤い塊か?」
「?なんだそれ?」
「違うのか?」
「赤い塊ってかさぶた?」
「ぶは!!」
マティスが噴き出した。
ふふふ、油断しすぎだ。
「・・・違うんだな?しかし、石使いには違いないな?」
「かなりの石を使うぞ?
いざという時のための石をすべて使ってしまった。
とにかく、俺たちはあんたが探している夫婦ではない。
兄妹に違いないんだ。旅は男同士の方が楽だからな。
それだけだ。」
「いや、それはいい。アガッターが探しているのは
行商の夫婦だ。それが石使いだったらそのことも
話に出ていないとおかしいからな。
大量の石を使うと言っても石使いだろ?」
「俺たちは詳しくは石使いの定義を知らない。皆は石を使うだろ?
それとどう違う?」
これ、わたしがマティスに聞いたことだ。
マティスも答えられなかった。
ただ、石をうまく使うとだけ。
「石使いは石をうまく使う人間のことだ。
一般人よりもな。」
一緒かっ!!
「・・・だったら石使いだな。」
あれか?探偵は探偵と名乗ったら探偵だっていう奴か?
定義はないんだ。
「それで?」
「雇いたい。」
「どれくらいの期間?いくらで?
俺たちはずっとここにいるわけではない。
下の弟と合流しないと。遅れるとうるさい。」
(ドーガーがな)
「ブっ!!」
不覚!!
「・・・一日あればいい。一日だけだ。」
「一日?月が沈んで昇ってまた沈むまで?」
「そうだ。」
「内容によるな。それと報酬と。
第一ここには自らを石使いだと名乗るものもいるだろう?
そいつらに頼めばいいの。それをしたのか?」
「・・・していない。」
「なぜ?」
「ここの石使いは国が抱えている。一般人が頼めるようなものではない。」
[警備隊長なんだろ?それでも一般人か?」
「王族だけだ。」
「タトートの?」
「そうだ。領国を納めている領主もダメだ。
王の血筋だけだ。」
「厳格だな。」
「お兄ちゃん?どうする?」
「だから、内容と報酬だな。
それと保証だ。できなくてそれを理由に殺されてはかなわない。」
「そんな大事ではない。
探し物だ。砂漠で花を探してほしい。
報酬はその花を買い取ろう。」
「?花?おいくら万円で?ああ、いくらで?」
「一つ3000リングだ。」
「?一つ?一本じゃなくて?」
「石だ。花のような形をした石だ。」
砂漠の薔薇のこと?
花博で見た記憶があるな。なんかの結晶だったと思うんだけど。
「それは見たことないものだ。探せない。それに3000だろ?
ものすごく高額だな。ということはめったにないということだ。
諦めろ。」
「・・・・。」
「ちなみにそれ、おいしいとか?」
「さすがにそれはない。」
「・・・それはない。」
Wで否定だよ。
13
あなたにおすすめの小説
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~
石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。
ありがとうございます
主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。
転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。
ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。
『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。
ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする
「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。
鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった
仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。
人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)
葵セナ
ファンタジー
主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?
管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…
不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。
曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!
ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。
初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)
ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。
神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします
夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。
アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。
いわゆる"神々の愛し子"というもの。
神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。
そういうことだ。
そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。
簡単でしょう?
えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか??
−−−−−−
新連載始まりました。
私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。
会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。
余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。
会話がわからない!となるよりは・・
試みですね。
誤字・脱字・文章修正 随時行います。
短編タグが長編に変更になることがございます。
*タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。
小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。
「マリアが熱を出したらしい」
駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。
「また裏切られた……」
いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。
「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」
離婚する気持ちが固まっていく。
夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~
青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。
彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。
ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。
彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。
これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。
※カクヨムにも投稿しています
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる