いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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435:人生3番目

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マティスは料理。
トックスさんは刺繍糸の吟味。
わたしは簡易マッサージチェアーを出して足揉みを。
身長が低いのでちょっと改良した。

足湯をセットして、角質ケアから。
蒸しタオルも作り顔にあてる。
やはり化粧水とオイルはお使いのようだ。
きれいな肌です。化粧水、いいんんだ。
使い続けよう。

タオルを宣伝しておく。
10枚ほどお買い上げです。毎度ありー!


じっくりあったまってもらったら、
足の裏を砂トカゲの皮の裏をしゃもじのように
削り出したブラスに張り付け、こする。
でるわー。ボロボロでございます。

「ちょっと!なにそれ?」
「足の裏の皮膚の塊?痛くはないですか?
こちょばいのは我慢してください。
足の爪もちょっと巻き爪ですね。これ、切るときまっすぐ切ってくださいね。
あ、爪切り。これ、いいですよ?予備があるんで、もらってください。
切りすぎないように。
それで、肌と同じように化粧水を。乾燥は良くないので。
髪油でもいいですよ?塗ったとは、拭きとってくださいね。
滑りますから。」

後は足指、足裏、踵。
膝裏もオイルをつけて揉むというより撫でる。

筋肉がないのだ。ぽよんぽよん。しかし、血の流れは良くないのか、
ところどころ、ぼこぼこしている。

「どうですか?結構すっきりしたと思いますが?」

足の角質がたまったり、巻き爪だと歩きにくくなる。
これが良くないとわたし個人的に思っているのだ。
母さんにもしてあげるとすっきりすると言っていたから。

「・・・・。」

寝ていらっしゃる。
寒くないように今晩泊めてもらう部屋から毛布を持ってきてもらおう。
ドロインさんの寝室がどこかわからんし、知っててもダメだろう。


「何だ寝たのか?」
「うん。気持ちよかったみたい。
あの、いいの?刺繍の依頼は。お金はいいんだけど、時間的に。
無理させてない?」
「まったく。意匠をすぐに決めないとな。」



晩御飯はスープとボットの窯焼きでした。うまい!!

ポットは肉の味がいいと思ってしまった。
家畜化していない状態だからか?
今はいいが、肉の在庫が切れるころ狩りに来よう。

晩御飯を勝手に食べて、トックスさんとマティスは意匠案を
絞り込む。


わたしは二人の話に参加はしないので、
足置きを改良していく。
椅子を作りたいが、これはわたしには技術不足だ。
椅子を作ることが出来れば一人前だと言われたが、
そこに行くまでに、工房から外れている。残念。


「はーー。おや?寝てしまったんだね。
久しぶりにゆっくり寝れたよ。腰が痛くないね。」
「良かった。先に食事は頂きました。
あの2人はお願いする意匠を決めています。
食事の用意しますよ。わたしももう少し食べていいですか?」
「ははは!もちろんだよ。食べよう、食べよう。」

2人の前にはサンドイッチを置いておく。
勝手に食べるだろう。


「これまたやわらかい。赤身だろ?うまいね。」
「おいしいですよね。これ、ティスの得意料理です。
このスープもおいしい。その香辛料使ってるんですか?
バザールでいろいろ買ったんですが、どれがどれやら。」
「西だろ?東のバザールで売っている葉物を適当に束ねて入れるんだよ。
日持ちするからたくさんあるさ。持って帰るといい。
名前も書いてやろう。
東に行くときにそれを見せて買えばいいから。」
「ありがとうございます!」


そこから、いろいろ話を聞く。
トックスさんの若かりし頃の話。
ドレスを送ろうと言ってくれたとか。
おうおう!それは甘酸っぱいねー。

クッキーを気に入ってくれたのでそれを作りながら。
足置きは温かくて気持ちがいいといってくれた。

「樹石ですよ。」
「これが?へー。便利な使い方があったもんだ。
ここでは手に入らないね。」
「そうですか?少し予備がありますから、置いておきますよ。」
「そうかい?」
「ええ。香草と交換ですね。」


「ドロイン!ダメだった!!」

ぼちぼちわたしたちは寝ましょうかという頃になって、
布をあの店に運んできた女の人がやって来た。
お店の人もだ。


「何と言っていた?」

柔和な顔から職人の顔になる。

「あの、ドロインさん?ぼくは部屋に行くね。」

あの2人は先に部屋に入っている。
5人は寝れる部屋だ。紙が散乱するから怒られたんだ。

「かまわないよ。
悪いがこの2人にあんたの入れたコーヒーを振舞っておくれ。
孫とひ孫なんだよ。」

ドロインさん、ほんと結構なお年なんですね。

コーヒーとクッキーを。
香草を入れたものも作った。バジルかな?
乳と乳酪は豊富にあったので問題ない。

「ドロインがコーヒー?珍しい。」
「うまいよ。この焼き菓子もね。」
「ほんと!おいしいわ!」
「いいから話しな。」
「ああ、そうだね。持っていったら、かなり待たされたよ。
トリヘビからの返事待ちでね。距離があるから往復はできないんだろう?
時間をおいて5匹だよ?
それが来るたびに顔色が変わっていく。
面白かったよ。最後は作り手が失踪したらしいってことだった。
それで、別の作り手を呼び寄せたんだけど、
ドロイン?
石の契約であの布に鋏を入れれるのは、
あんたが指定した人間だけらしいね?
呼ばれた服飾屋が試しに鋏を入れたけどダメだったよ。
諦めきれなかたんだろうね。
かなり大きな石を持ってきて解除を試みたんだけど、
それもダメ。
結局、なにもできない布なんぞ要らないってさ。」
「あはははは!そりゃそうだ。
双方の契約だ。片方だけの思惑で解除ができるわけがない。」

そうなんだ。

「ドロインさんを呼んで解除すれば良かったんでは?」

聞いてみるが、3人がよく似た顔で大笑いした。

「あはははは!ドロインを呼び出す?
それだけでどれだけの金がかかるんだ?」
「布代は1000だよ?だが、わたしに仕事を依頼する分は前金で1万なんだよ。
呼び出すのも、話を聞くのもね。」
「うぞん!!」

鼻からコーヒーが出そうだ。
さすがに今はそんなお金はない。
景気よく使っているがまたルポイド級の仕事をしないとダメだ。
まったく貯金ができていないと言っていいだろう。

「あはははは!いいんだよ。
この敷物と足置き、便所の改造と、うまい肉。
楽しい話に、おいしいコーヒー。1万以上の価値だ。」
「そう言ってもらえるのは、そのありがとうございます。
けど、うちの叔父、トックスは知ってるんですかね?」
「当然だ。だから、あんたにあれを着せて見せたんだろ?
金の話をしたら、あれを見ただろ?2万だって平気で言うよ?」
「うぞん!悪徳商人だ!!」
「あれはそうなんだよ。はは!楽しいね。
さ、お前たち。ご苦労だったね。
わたしはこれからまた仕事を引き受けたから。
あとは頼むよ。」
「え?また?この子たちが頼んだの?
はいはい。何も言わないよ。食事の用意ね、了解だ。
しかし、どうするんだろうね?あの青のドレス以上のものを着ると
触れ回っていたからね、あのご令嬢は。
雨の日前の夜会だろ?恥をかいたものだ。」
「それは大きな夜会なんですか?」
「ここの別荘地で一番大きな夜会だよ。いや、大陸一だね。
これにすべてをかけていると言ってもいいんじゃないかな?
うちのばーさん、はいはい、ドロインは一番人気なんだよ。
ここ何年も断ってきたのにね。
なんの気まぐれか、引き受けてさ。
ドロイン最後の作品だってね。」
「はは!違うね。あれはまだまだ。人生3番目だね。
これからが作るものが最高傑作なんだよ。」
「楽しそうならなんでもいいよ。」
「さぁ、お前たちはもうお帰り。ここは問題ない。」
「え?そうなの?ふーん。ドロインがそういうんなら、大丈夫だね。
じゃ、わたしたちは帰るよ。コーヒーと焼き菓子おいしかったよ。
もっとある?」
「さっき焼いたばかりです。よかったら持って帰ってください。」
「うれしいね。ありがとう。」
「なんて意地汚いんだろうね。置いといておくれよ。」
「また作っておきますよ。日持ちしますから。」


部屋に戻ると2人はまだやってる。
替えのコーヒーとクッキーを置く。
マティスが何も言わすに、わたしの首元に顔をうずめて匂いを嗅いでくる。
それで満足したのか、また没頭しだした。
はいはい。
わたしは先に寝るよ。湯あみも何もせずにそのままベットに入って寝た。

月が沈む前に目が覚める。
横を見るとマティスもいつの間にかベットに入っていて、
わたしに静かにと目で言う。

(何人か入ってきたな)


誰か来る。
ドロインさんだ。

「起きてるね?客だよ。
トックスは?寝てる?あんた、ちょっと来れるかい?」
「もちろん。愛しい人。行ってくる。」
「ん。わたしも起きるよ。朝ごはんにね、おいしいもの作ってあげる。
昨日のスープに混ぜるだけだから。」

海老を焼いてつぶして混ぜよう。
生クリームは乳酪と混ぜて作ってある。
海老のビスクだ。

「そうか?でははやく片付けなくてはな。」
「うん。」
「あんたたちそんな暢気な。
いや、そうだね。一番暢気なのはそこで寝てるトックスだ。」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


意匠も満足ができるものができたと思う。
この柄を繰り返し、あの布に刺繍を施すのだ。

「これでいい。もう寝るぞ。明日は、コットワッツに戻ろう。」
「わかった。トックスはそこに。私は愛しい人と寝るから。」
「おう。」


愛しい人も、ぐっすり寝ている。
後ろから抱きかかえると、向きをかえて、匂いを嗅いでグリグリしてくる。
ゆっくり眠れそうだ。


もう少しで月が沈むころ、
数人の気配が、館の中庭に入ってくる。
ドロインも起き出したようだ。
愛しい人も。

客だというのでもてなすことになった。
愛しい人も朝ごはんを作ってくれるそうだ。
素晴らしい。

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