いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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445:香馬

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リーンリーンリーン

師匠だ。

「マティス?わたしが聞くよ?」
「甘やかすなよ?」
「はいはい。」

(師匠?)
(モウ!どうなりました?)
(うん。使者の2人は納得して帰った。今ラーメン食べてると思う。
で、当分ボルタオネに行かないほうがいいって、代替わりになるからって)
(ええ、そのはなしも明日、月が沈めば各領国に通知が届くでしょうね)
(ドーガーの話は?)
(名を騙る不審者に注意をするようにとだけ)
(じゃ、ドーガーの濡れ衣は晴れたね)
(ドーガーの名前はね。しかし、今度は大荷物を背負った
黒目黒髪、見目のいい2人組の男女が手配されていますよ)
(殺されたんじゃないの?)
(ドーガーを騙ったものだけですね)
(なんで?)
(3人分の遺体を用意できなかったということでしょう)
(ああ)
(それと、ルポイドに向かっているカップから
道中で襲われている一行を助けたと)
(強盗に?)
(分かりませんが、ルポイドに向かうそうで、
そのまま同行することになったようです。
ボルタオネのマーロ殿ですよ)


「イスナ様、マーロ殿はルカリア、
ライガー殿と一緒にルポイドに向かってるそうですよ?
いま、連絡がありました。ああ、トリヘビがいるのですよ。
ライガー殿と一緒に資産院の護衛が同行しているので。
なにか伝言有りますか?」
「え?とにかく無事なんだな?はー、、良かった。」

(明日にはルポイドに入りますよ)

「明日にはルポイドに入るそうです。」
「・・・此度の話、ルポイドにも聞こえましょう。
なにも知らせずで結構です。あれもボルタオネの男子。
すべきことは分かっているはずです。」
「皆が無事なことも?」
「知らせなくていい。」
「わかりました。」

(おもしろいですね。会話が聞こえる)
(そのまま伝えているだけです。では、そういことで)
(わかりました。で?今何やってるんです?)
(くふふふう。ドーガーの嫁取り物語、
第3話 娘さんたちを僕にくださいの巻きです)
(それはいいですね。
では、今日の食事はごちそうですね?後で伺います)
(鍋をかえせ!)
(はいはい。了解です)


甘やかしてるのはマティスだと思う。
またその鍋になんか作ってもたすんでしょ?






「イスナ様。わたくし、ドーガーは、
フローネ、ペリーヌ、のお二人と結婚の約束をいたしました。
そのことを祝福していただきたい。」

結婚は当事者の問題だから許す、許さないの話ではない。
祝福してくれるか、金輪際の縁を切るかだ。

「それはおかしい話だ。
約束を?雨の日前に迎えに行く、こちら2人はそれを待っていると言っただけだ。
図らずもその場に同席したからな。
ちがうか?ペリーヌ?フローネ?」
「ええ、父さま、確かに。」
「そうです、父さま。お待ちしているとだけ。」
「ペリ!フーネ!!」
「そらみろ。返事も何もしていない。なので、祝福も何もないわ!!」


イスナさんはノリノリでやっています。
途中から黒子が付きました。
イスナさんにはトックスさん。
ペリフロにはわたしが。

ドーガー一人で頑張っています。

観客はフックさんとセサミン、ルグ。
下準備を終えたマティスも見ています。

「モウ様!!」
「くくく。ほれ、根回しは大事だろ?
筋を通すというのは大事だ。さきに2人と話をすべきなんだよ。
そうすれば2人はお前の味方だ。
イスナ様、少し休憩しましょう。
その後どうなったかもマティスが情報を仕入れています。
お聞きになっては?」
「マティス殿が!すまないが、教えてくれ。」
「ほれ、ドーガー、今のうちに2人と話せ。」
「モウ様!わたしたちは!」
「わかってるよ。しかし、きちんとすべきことはきちんとね。
最初が肝心だ。うやむやにするべきではないよ?」
「「はい!!」」


「ワイプも呼ぶぞ?」
「珍しい。呼ばないほどまずい?」
「2度同じ話はしたくない。」
「なるほど。」

(師匠?こっち来れますか?)
(もうじき行きますよ?)
(マティスがイスナさんに現状の報告をします。同席したほうがいいかと)
(わかりました)
(外から入ってくださいね)
(ガイライも連れていきます)


「イスナ様?資産院ワイプ殿と、軍部ガイライ殿が同席しますが、
かまいませんか?」
「お近くにいらっしゃるのか?」
「ええ、お二方はトックス殿と親しい間柄。飲み友達ですね。
ほら、もう来ましたよ。」

鍋を抱えているのがなんとも様にならないが仕方がない。
お持ち帰りはエビのビスクのようだ。
もちろんこれは小鍋で。

「イスナ殿、よくぞご無事で。
情報が錯綜しております。ここで、ご無事だということも
今は王都に報告することもできません。
ここに我らがいることは極秘なのです。」
「ええ、かまわないですよ。
お二方でしたらある程度事情はご存じなのでは?」
「近々、次期領主を示して引退するということですか?」
「そうです。それが早まったと思っていただければ。」
「それで、領民は納得するのですか?」
「マーロがいます。あれは国の発展の為、領民の為に生きる。
あれが長兄だったならと幾度となく考えていました。」
「あなたが、あなた方が納得されているのでしたら、
こちらは向こうからの発表通りに動くことになりましょう。
不正がなければね。」

すでに不正だけど、師匠が言うのは金銭的なことなんだろうな。

「いいか?話すぞ?
まずは、私たちが森に移動した後だ。
いないと。ちょっとした大騒ぎだ。コクもいない。
そこで、カーチとやらは、ドーガーら3人、私たちだな、
それらが、イスナ殿を殺したと叫んだ。
で、皆が納得した訳だ。泣き叫ぶものもいたぞ?
そして、一人殺された。断末魔が聞こえたから実際死んでいるのだろうな。」

その場で調達したのか。
えぐいな。

「イスナ様の仇を取ったと勝鬨をあげている。
イスナ殿の遺体はすでにカーチが神殿に移動したということらしい。
時間的にもあり得ないんだがな。そこで、やはりみな納得しているな。
そこから、トリヘビを飛ばし、間をおかず、中央の役人が来た。
直ぐだぞ?近くにいたに違いないな。」
「名は?」
「カーチがサブコと呼んだ。知ってるか?」
「数名いる副院長ですね。続けて。」
「次期領主は指名まではしていないが決まっていると。
あと、マーロがルポイドに向かっているので、早急に連絡を取るということ。
香木の買い付けが無駄にならなくてよかった、
イスナ様はこのことを予見していたんだと。イスナ殿をえらく神格化している。
フック殿もだ。かばって亡くなられたと。
2人の侍女も。イスナ殿の2人の息女の話は出ていないどころか、
子は3つになる息子だけだそうだ。やっと授かったとな。
それに誰も疑問を口にしない。」
「死んだ者はだれかわかりませんか?」
「チキスというものに、チキスお前がドーガー役だという声は聞こえている。
そのチキスとやらも、はいと返事だけしてその後断末魔だ。」
「・・・チキス?」
「イスナ様。カーチ殿のお傍についていたものです。
なにをするわけでない、ただ、お傍に控えていました。」

「いざという時の為に手元に置いていたものだろうな。」
ガイライが言う。

「糸の使われ方の一つです。本人はなにも疑問に思わない。
その時になって、そうだったのかと気付くこともない。
廻りもだ。離れて話すからわかるが、その場にいればなにも思わない。」
「糸だけではないな。匂いだ。妖精の匂いに近いものがした。
イスナ殿?いつからかわかるか?」
「妖精の匂い?王都の?樹の香りではなく?」
「以前に頂いた木の香りはしましたよ?門を入ってすぐに。
それとは別の匂いがしました。香木に近い香りだと思ったんですが。」
「・・・・。」

香木も種類があるらしいから、どれがどれやらわからんけど。

「あまり長時間は嗅ぎたくない、気分が悪くなるな。
あとはカーチが嘆きながらも、段取りを進めている。
マーロはそのままで補佐で、自分は領主代理になるそうだ。
幼いからな、次期は。
次の会合までに一連の手続きは済ますそうだ。
マーロの帰還を待たず、明日が葬儀だそうだ。
フック殿の身内だな、遺体の引き取り、対面を希望しているが、却下された。
領葬とするそうだぞ?フック殿の兄上か?それで引き下がったが。
納品があるから出ることが出来ないと、くれぐれもよろしくと伝えている。」
「マティス殿?向こうの声が聞こえると解釈しても?」
「それには答える義理がない。」
「そうですね。こちらからの声を伝えれますか?兄たちは国を出る気だ。
コットワッツに来るようにと。」
「難しいな。モウ?」
「手紙かな?で、それを飛ばす。」
「そうなるか。手紙を書け。一人になった時に飛ばそう。
どうやってとかは疑問におもうな?」
「すぐに!!注文いただいたものも持ってこさせましょう。」
「それは助かるな!あきらめていたところだ。」
「マティス殿?領民の様子は分かりますか?」
「嘆いているが、新しい領主誕生も祝福しているな。」
「どこの領民もそうですよね。
しかし、3歳の領主は驚きです。代理を立てるというのも。
ルカリアのように、素直にカーチかマーロがなればいいものを。」
「我が国、我が領では無理だな。
細々とした決めごとがある。それは詳しくは言えないが。
息子、テールは生まれたときに次期となる儀式を施している。
それがあるかないかだ。」
「でも急になにかあったら?兄弟に回るんでしょ?
だからカーチは予備だと。」
「そうだ。だが、わたしは生きている。だからだ。
カーチはわたしの予備だ。わたしが生きている限り領主にはなりえない。
だが、次期は受継ぐことが出来る。」
「じゃ、なにがなんでもイスナ殿を殺すべきだったんだ。」
「ははは!そういうことだ。」
「姉さん!」
「いや、だってさ、その機会は多々あったはずだよ?
現に操れている。
イスナ殿がセサミン、ああ、セサミナ様の手紙を受け取った直後からだ、
操られているのは。命を絶てという命令は効かないだとしてもだよ?
中途半端だ。情があるとかの話でもないでしょ?」
「モウ殿。領主の仕事は誰でもができるわけでもない。
領主といえるのは領主だからですよ。
わたしを殺して領主になったとしても、一瞬だ。
すぐにマーロに代替わりしましょう。
問題なければすぐにでもカーチに譲ったでしょう。譲渡は出来ますから。
マーロに譲ることも考えたが、マーロは受けないでしょう。
わたしも生きて、カーチがいるというのにと。
あれはあれで頑なだ。」
「ああ、なるほど。物知らずでした。申し訳ない。」


領主は領主だからだ。
代理の方が自由が利くのか。
統治するというのはやはり大変なんだ。

「セサミン?おいで?」

セサミンをぎゅっと抱きしめる。
「ふふふ。姉さん。大丈夫ですよ。わたしには皆がいる。
姉さんも、兄さんもいる。この大陸で一番恵まれているのですよ?」
「うん。」
「セサミナ!もういいだろ!ほら、私も抱きしめてやろう!」
「待って!兄さん!死ぬ!これは死ぬ!」

うん、死ぬね。



「イスナ様!お願いします!!」

通し稽古をお願いする新人のようだ。
トックスさんがイスナさんになにか耳打ちしてる。
うわー、悪い顔だ。


ドーガーの両脇に2人が立っている。
イスナさんはにやりと黙っているだけ。
トックスさんのアドバイスだろう。黙って聞いておけと。

相手から反応がないので、ドーガーを始め、
ペリフロの2人も、お互いを褒め合っていく。
聞いている方が恥ずかしい。
それが終わると、父親を褒め、筆頭のフックさんを褒め、
ボルタオネを褒める。そしてコットワッツ、セサミンを褒め、
その矛先がわたしとマティスに向かった。
いや、これはさらに恥ずかしい。

「イ、イスナ殿。これはわたしたちのなにかが丸裸にされそうです。
そろそろお許しください。」
「ふはははは!さすがのモウ殿も降参か!
いや、わたしもだ。あれ以上は恥ずかしい。
はは!平気なのはマティス殿だけか。
さすがですな。
ドーガー殿、いや、ドーガーわたしの息子。
これからよろしく頼む。」
「!!はい!イ、父さん!」
「「父さま!!」」

「いや、いいですねー。わたしもしたい。」
「え?師匠が?まずはお相手を見つけないと!」
「いや、逆ですよ。イスナ殿の立場がいい。」
「ん?それは先が長い。お相手を見つけ娘さんを授からなければ!」
「いえいえ。あなたですよ。わたしはあなたの師匠。いうなれば父親ですね?
だから、マティス君!あなたが、ドーガーの立場で。」
「ならば、わたしもモウの身内として立ち会いたい。
そしてそうだな、5本勝負で勝てれば祝福しよう。」
「いいですね!わたしもそれで!」
「わたしと愛しい人はとうの昔に結婚している!誓い合ってる!
お前らの祝福何ぞいらん!!」
「え?師匠もガイライも祝福してくれてないの?」
「いやいや、モウ、違いますよ?もちろん祝福していますよ。
ただ、マティス君がわたしのことを褒めたたえるところを想像すると、
当分笑えますからね。」
「モウ。わたしは常に祝福している。しかし、それとこれとは別だ。
わたしから5本とれないようならあなたを守れない。」
「ワイプ!ガイライ!表に出ろ!!」
「くふふふふ。ダメだよ。ガイライ。
マティスは守るよ?わたしを。ただ、その時はわたしもマティスを守ってる。
廻りは知らない。だから、ガイライ?あなたは自分を守って?
でも、鍛練はいいね。わたしもあとで相手してもらおう。いい?」
「ええ、もちろん。」
「うん。じゃ、ごはんにしよう。
トックスさんもお疲れ。なに?こういうのお芝居であるの?」
「あるよ。ここから、王と若い奴との決闘になるんだ。
で、2人が仲良くなって終わる。」
「?娘さんは?」
「どっかでいなくなってる。ドレスを見せたら終わりだな、大抵。」
「あははは!それはそれで面白いね。」
「決闘に行くまでの導入だな。あとは最初から最後まで、
愛だの恋だのって話だ。これはつまらん。
だから奥さんがしてくれた話は良かった。あれいいよなー。」
「ふふふ。ありがと。」

ドーガーの家に行くのは明日として、
ドーガーの嫁取り物語は幕だ。

晩御飯はごちそうなのですき焼き。
久々でうまい!!

空き家を改造して、一応、イスナさんとフックさん、ペリフロ、
フックさんの家族はお兄さん2人と御両親。3軒分。
手紙も無事届けられたようだ。ただ一言、家具納品急ぐようにと。
それでわかるようだ。
いままで最優先で作っていたのはわたしたちの家具で、
フックさんの自宅の工房だ。
師匠がルビス君とチュラル君をラルトルガの端まで派遣している。
護衛と連絡係りだ。
ライガーにはカップ君一人になるけど?
「大丈夫ですよ。ルポイドに入ればすぐに引き上げます。
ルポイド内までは干渉する必要もないですから。」
「マーロさんは?」
「同時ならなんとでも言えたでしょうが、代替りがあることが知れ渡った後、
マーロ殿が襲われることはないでしょう。
ニバーセルから、正式に護衛がつくはずですよ。
香木がない状態での代替わり。
いままでの王都中央院が祝いで渡していたものがないと大騒ぎでした。
代替わりは早くてもあと30年は先のはず。
ああ、ライガーは予定には入っていませんでしたよ?内緒ですがね。
ルポイドにマーロ殿が買い付けに行っているのなら、
そのままニバーセルとの交渉になるでしょうね。
護衛も派遣か、ルポイド側に付けてもらうか。ガイライ殿?」
「俊足馬でニックが向かいます。フレシアで合流するだろう。
わたしはこれで戻ります。なにかあれば連絡しましょう。」
「うん。マティス?」
「鍋にスープと、もう一つには日持ちするものも入れている。
持って帰れ。」
「ああ、それは助かる。では。」
鍋を2つ抱えて出ていった。
師匠もだ。軍部、資産院と忙しくなるだろう。
領主交代というのはお金も絡む。
指名手配となった2人を追わないといけないしね。
コットワッツ組は館に戻る。
ドーガーはひとり祭りだ。
名残惜しそうに2人と、え?握手なんだ。その段階なんだ。


イスナさんとフックさんはトックスさんと本当に仕事の話をし出した。
気を紛らわしたいんだろう。
マティスもだ。

「ペリーヌ?フローネ?
皆の家にはお風呂とちょっと便利なお便所をつけてるよ。
お風呂にはプクプクもね。2人の家の洗面所には鏡もつけるよ。
見に行こう。」
「「プクプク!鏡!!」」
「ふふふ。2人にわたしからの結婚のお祝いだよ。
また改めて3人にはするけどね。」
「「キャー!!」」
「マティス?わたし、2人の家に行ってるよ。
いい?」
「ああ。私もここで話を聞いている。」
「無理なお願いしちゃだめだよ?」
「なぜわかるんだ!」
「そんな顔をしてるよ?」
「モウ殿。かまいませんよ。その要求を満たすのが技ですから。
それよりも、お前たち?モウ殿に礼を。」
「それこそ、かまわないですよ。こっちが勝手にしていることだ。
じゃ、行ってくるね。」


マティスはまた何か家具を頼むつもりだ。
なんだろう?棚かな?ベットかもしれないな。
あ!マッサージ用の椅子がほしいな。わたしも頼もう。

「ん?2人の私物は?持ち出せたんだね?」
「ええ、棚ごと!驚きました!」
「それは?」
「えっと、最初にここにやって来た大部屋に。」
「じゃ、それを運ぼう。コクにも事情を話さないとね。」
「モウ様はいつもあの黒馬のことをコクと呼び、
お話ができるように言うのですね。」
「ん?名前はないと不便でしょ?
勝手につけたんだけどね。なんて名前なの?」
「黒馬とだけ。香馬ともいいます。香木を見つける馬なので。」
「へー。その香馬はコクだけ?他には?」
「あの1頭だけです。香木を見つけた最後の馬です。」
「見つけると香馬になるの?」
「そうだと聞いています。わたしたちはあの馬しか知りません。」
「なんだかいろいろあるね。コク!!
とりあえずご飯にしよう。なにがいい?リンゴね。あいあいさー。」
「ほら!モウ様お話してます!」
「ああ、なんとなくわかるのよ。そんなことない?
水を欲しがってるなーとか、そういうの。」
「それは有ります。そうか、それを聞き返せばいいのですね?」
「そうだね?慣れてくるとわかるよ。
コクの方はこっちのいうことは分かってるから。馬は博識だ。
ワイプ師匠のところにいるスーとホーに教えてもらったことは、
たくさんあるし、おいしいものも教えてもらったんだ。」
「モウ様に教えるのですが?馬が?」
「あははは!わたし、結構物知らずなんだよ。
そういうときはこっそり教えてね?」
「「はい!!」」
「ふふふ。コク?この二人はドーガーのお嫁さんになったよ?
で、イスナ殿も、フック殿フック殿のご家族も、当分ここで生活する。
ボルタオネは新しい領主が誕生した。この2人の弟になる子だ。
カーチが当分代理。マーロはいま、ルポイドに香木の買い付けだって。
イスナ殿は2人に持たせたかったらしいけど、それはもうできないだろうね。
領主交代の時に王都から送る祝いの品になるみたい。
よくわからんけど。
ん?わかった、あとでね。じゃ、2人とも行こうか?」
「あの、コク?はなんて?」
「ん?大変だったなってさ。ああ、これからもコクと呼んでくれって。」
「「コク!!」」

ヒヒーーン


「結婚おめでとうだって。何か有れば言えって。
ドーガーは踏みつぶしてやるって。」
「「きゃー!!」」
「はいはい。いくよ。」

小ぶりなタンスが2つ。タンスの単位は竿だっけ?
なんせ、その2つを運ぶ。軽いものだ。
新婚さんの家だ。
主寝室が一つ。各自の部屋が合計3つ。
ドーガーは明日にでもここに住むのだろう。
寝床はセサミンの手配でもう部屋に運んでいる。大きい。

「お風呂は3人は入れるように広げようね。
シャワーと洗い場。石鹸はここにね。
ティータイに石鹸屋さんがあるから好きな香りのものを買ってくればいい。
鏡はこれね。お便所はいった?結構評判いいよ?いっといで。」

なぜにトイレに行けと言われるのかわからぬまま、
2人はトイレに。

「「・・・・・。」」
「いいでしょ?」
「あの、あの、これはコットワッツの?」
[いや、うちの故郷の便所なんだよ。石を使って汚れたものは
飛ばしてるんだ。便利だけど、一般向けじゃないから、内緒ね。」
「「すごい。」」
「じゃ、お風呂ね。木のお風呂はあるんだよね?
ここは石だね。で、これはシャワー。湯加減は念じて。
これも石を使ってる。内緒だね。
その丸い突起を押せばプクプクだよ。のぼせないように。
入っといで?タオルと着替えは用意しておくよ。」
「あの、モウ様?ご一緒に入ってくれませんか?」
「ん?いいの?そうだね。使い勝手が悪かったら改良できるか。
じゃ、よばれようかな。ああ、歯ブラシも置いておこう。
はは!3本並ぶのか。んー。2人の嫁。ドーガーは果報者だな。」

だって、常に両手に華。
けしからん!


2人は23歳。
イスナさんの第一子になるから2人は同い年。
2人共女の子だったことに、イスナさんは殊の外喜んだそうだ。

2人は嫁に行くつもりはなく、
できれば資料館で過ごせればと思っていたそうだ。

「建国からの資料があるのですよ。文字も読めないくらい昔のものが。
それを少しずつ整理していく仕事なんです。
みなが嫌がりますが、きれいになっていくのは楽しいですし、
文字も少しずつ解読していくのも楽しい。」
「へー、それはわたしも見てみたいね。
おいしい食材のことが書いてるかもしれないね。」
「きょうのお料理!おいしかったです!
お肉があんなに柔らかくて!」
「卵も!お野菜もおいしかった!」
「それはよかった。あれはお祝いの時とか頑張った時に食べるんだ。
2人はお料理するの?」
「ええ。結構上手だと思うんです。ぜひ食べてくださいね。」
「わたしも!いつも2人で作って感想を言い合うんです。」
「そうか!わたしは味見専門なんだよ。
2人の料理はドーガーが味わってからにしようか。
拗ねると困るからね。この前さ、ドーガーに1本とられたんだよ。
先に食べたって知られたら、また負けちゃうよ。」
「モウ様が?え?ドーガー様はお強いんですか?」
「はは!強いよ。コットワッツ次席だよ?
んー、何もか壊していいのなら負けることはないと思うけど、
手合わせ、鍛錬形式だとね、いや、これは言い訳だね。」

3人で洗いっこしながら。
2人の目線はわたしの胸に釘付けなのはどうしたものか。
2人は美乳だ。初々しさがある。

「ん?大きい?わたしかなりぽっちゃりだったのよ。
その肉が胸とお尻に残った感じだね。
2人は女のわたしが見てもきれいだ。
む-、、ドーガーめ!けしからんな!!」
「あの?」
「ん?」
「あの?」
「なーに?」
「・・・わたしたちは2人同時に嫁入りとなりました。
複数の妻を持つことは、父もそうですし、貴族では一般的です。
でも、その・・・」
「ん?」
「・・・同時に愛し合うことはできないのでしょうか?」
「ん?」
「あの、その、3人で、その・・・」
「んー?先に聞くけど、複数の奥さんがいるのは全く問題ないんだよね?」
「え?ええ。」
「うん。でさ、その愛し合う。まー抱き合うね、性交は1対1が普通。」
「そうですよね?それを教えていただきたいのです。
できれば、2人一緒でその、愛し合ってほしいのです。」
「おお!!いいんじゃないの?ちょっと興奮しちゃうけど!」
「え?おかしくないですか?」
「なんで?ますますもってドーガーめ!今度はコテンパンにしてくれるわ!!」
「え、それはほどほどにお願いします。
では、その3人で?大丈夫なのですか?」
「2人がそれでよくて、ドーガーは断らんでしょ?
いや、そうか、しり込みするか?いや、それはわたしが許さん!
大多数の男が許さんだろう!うん。」
「では、おかしくないのですね。よかった。では、その、どうやって?」
「そりゃ、どうやるもこうやるも。ん?
お二人はその?」
「・・・はい、何もかもはじめてです。」
「おー。じゃ、そのきれいなおっぱいを見たのはわたしが初めてか?」
「え?女官は見ておりますよ。」
「そういうお仕事の方以外で。」 
「そうですね。モウ様のお胸が大きいので驚きました。
あの?触ってもいいですか?」
「おー、無防備、無邪気!いいよん。触ってみ?」
「うわ!やわらかい。」
「ほんと!ふわふわ!」
「ふふーん。ふん!」
「「え!かたーい!」」
「だろ?筋肉はあるのよ?ふん、ふん!」

胸に力を入れたり抜いたり。
両サイドから、乙女2人が揉んでいる。なかなかに良い。
おやじ化しそうだ。

そんな遊びをしつつ、ジャグジーへ。
初めてで、3Pか。どこのエロゲ?ってなるな。
ドーガーは?娼婦通いはしてるはずだ。
ドーガーの知識はどれくらいだろう?

「ま、心配することはないよ。ドーガーに任せておけばいい。
さ、上がろうか。化粧水と髪油もらった?」
「ええ!あの陶器!!驚きました!」
「あの鞄も!刺繍布なんですよ!!」
「はは!コットワッツのトックスさんはさすがだね。
あれは売れるよね。わたしも買ったよ。マティスとお揃い。
2人でドーガーに作ってやるのもいいね。
父さんたちにも作っておやり。喜ぶよ。」
「「はい!!ああ!あんなことになったのに!
なんてわたしたちは幸せ者なんだろう!」」

一人死んでいることは知っている。
しかし、どうしようもない。自分のこれからのことを考えればいい。
できることなぞ、たかが知れているのだ。

「じゃ、マッサージしてやろう。やり方を覚えてお互いで
やりっこしてやればいい。ドーガーにもしてやって。」

もともと徹夜で資料の整理から反乱、逃避行。
公開プロポーズをされて、お風呂とマッサージだ。
こてんと寝てしまう。
マッサージ前にキトロスのジュースだけしか飲んでいないが、
水分は足りてるのかな?
大きなベットに寝かせて、水差しも置いておく。

月が沈んでもぐっすりかな?

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クラス最底辺の俺、ステータス成長で資産も身長も筋力も伸びて逆転無双

四郎
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クラスで最底辺――。 「笑いもの」として過ごしてきた佐久間陽斗の人生は、ただの屈辱の連続だった。 教室では見下され、存在するだけで嘲笑の対象。 友達もなく、未来への希望もない。 そんな彼が、ある日を境にすべてを変えていく。 突如として芽生えた“成長システム”。 努力を積み重ねるたびに、陽斗のステータスは確実に伸びていく。 筋力、耐久、知力、魅力――そして、普通ならあり得ない「資産」までも。 昨日まで最底辺だったはずの少年が、今日には同級生を超え、やがて街でさえ無視できない存在へと変貌していく。 「なんであいつが……?」 「昨日まで笑いものだったはずだろ!」 周囲の態度は一変し、軽蔑から驚愕へ、やがて羨望と畏怖へ。 陽斗は努力と成長で、己の居場所を切り拓き、誰も予想できなかった逆転劇を現実にしていく。 だが、これはただのサクセスストーリーではない。 嫉妬、裏切り、友情、そして恋愛――。 陽斗の成長は、同級生や教師たちの思惑をも巻き込み、やがて学校という小さな舞台を飛び越え、社会そのものに波紋を広げていく。 「笑われ続けた俺が、全てを変える番だ。」 かつて底辺だった少年が掴むのは、力か、富か、それとも――。 最底辺から始まる、資産も未来も手にする逆転無双ストーリー。 物語は、まだ始まったばかりだ。

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