いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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447:治安

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リンリン

「2回だね?ガイライ?」
「いや、ニックだな。」

(ニック!)
(マティス!すごいな、今宿について呼んだんだよ。で?なんだ?)
(ああ、用があるのはガイライだ。ちょっとまて)
(ガイライ!)
(マティス?ニックは?)
(お!ガイライの声だな?どうした?)
(ニックと話せるのか。タフコーだ、やらかした)
(やっぱり!)
(なんだ?知ってたのか?)
(ボルタオネのことがなければ、俺が隠れて偵察するはずだったんだよ)
(マティス?どうなった?)
(来れるか?)
(俺はダメだ。ルポイドの使者がいつ来るかわからん)
(それは大丈夫だ。お前の服のどこかに石がある)
(ん?ん?これか?いつの間に)
(それに頼め。桶に水を張って、水浴びさせろ。
誰かか呼びにくれば知らせろと)
(なんだ?まじない?)
(いいから)
(わかった)
(ガイライは来れるか?)
(ああ。こちらも同じ事ができるか?)
(石を探せ)
(石?あ!こっちに転がってくる、これか?)
(賢いね)
(モウの石なのですか?)
(いや、今はどっちかというとマティスと仲がいいよ)
(?)
(頼んだか?)
(待って。桶、桶、水、これで?あ、入った)
(マティスいいぞー!)

『ガイライ、ニック!ここに!!』






「おいおい、これはどうすりゃいいんだ?」
「知ってる顔か?」
「だいたいはな。俺がクビにした奴ばかりだ。」
「残りは、ニックが辞めてからわたしが辞めさせた者だ。」
「なんでクビに?」
「素行が悪すぎる。軍人としてではなく、それ以前だ。」
「はは!それは逆に鍛え上げないとダメだね。
それを市中に放ってはいけないよ?」
「できればそうしたかったんですが、どれも貴族か、
それなりに発言力のある家の息子たちだ。
要望は聞けない。
・・・外に出すしかなかった。」
「ありゃりゃ。」
「タフコーが率いていたと?」
「そうなるがな。愛しい人?」
「ん。」

『もう一度聞かせて』

「「?」」




待て もう一度聞くぞ?お前は、お前たちは、何者だ

・・・

無礼だぞ ニバーセル国軍、副隊長タフコーだ

・・・

効かないのか

・・・

*************


あ あ ニバーセル軍部副隊長 タフコー
マトグラーサ領国のもので 軍部に入った
ここには 軍をクビになったものを集めて、騒ぎを起こさせ
軍が 制圧 そのまま、ここの治安を軍が維持
その後ボルタオネ・コットワッツの治安維持を兼任
王都管轄下に置く
ボルタオネ代替わり時期に合わせた計画だったが
急遽前倒しになった


*******

知らない 知らない

ヒヒヒヒーーン

『ありがとね。もういいよ』


「え?」
「マティスとタフコーの声だ。モウの力?」
「いや、音を記憶できる石なの。
けど、言霊はなにを言ってるかわからんね。
音でないってこと?んー。またしても謎が増える。」
「いや、音を記憶って?いやいや、それよりも、治安維持?軍が?
ガイライ?」
「知らん。わたし抜きの話か?」
「ラルトルガの討伐話は中央から?」
「そうだ。ラルトルガから依頼があったからと聞いている。」
「それ、ドーガーも知ってたんだよね。そういう話、他領国にも行くの?」
「え?この話を知っていたのはそこから?」
「何で不思議に思わなかったの?」
「予算の関係でワイプと相談しています。そこからだと。」
「師匠は必要なことしか言わないし、口外してはいけないことは
口止めする!」
「そうですよね。しかし、そこまで秘密裏なことでもない。」
「んー。ドーガー呼ぶよ?」
「そうしてください。」

(セサミン?)
(姉さん、どうなりました?)
(うん、いろいろ。ドーガー借りていい?)
(ええ。しかし、当分、こっちには出てこない。
もともとボルタオネから戻るまでは自由ですので)
(じゃ、直接、呼ぶね)
(姉さん?)
(うん。大丈夫。
フックさんたちにはご家族はこっちに向かってるって言ってくれた?)
(ええ。喜んでいました)
(うん。じゃ、ドーガー借りるから)
(わかりました。あとで教えてください)
(セサミナ?)
(はい、兄さん?)
(ドーガーの家族、あれだ、妹の婚約者も含めて見張れ)
(え?・・・・わかりました)

ボルタオネ行きの話はそこからだろうな。
いや、別に隠すようなことでもない。
だが、どこかで誰かが情報を集めている。

(ドーガー?いまいい?)
(え?あ!モウ様!)
(うん。返事しなくていい。
慣れないと、独り言いってるみたいになるから)
(・・・)
(ちょっと、用事ができたって、その場から離れてほしいんだ。
うまいこと理由づけてね)

母さん、ちょっと、館に行ってくるよ
頼まれていたこと忘れてた

うん、ここは片付けるから

2人にも言っておいて


そうだよ!俺は果報者なんだ!!

マース!お前もダンズのとこにいくんだろ?
いいよ、ここは戻ったらするから





(モウ様?いま、家の裏手です)
(誰もいない?)
(ええ。気配もないです)
(うん。呼ぶね)


『我が僕、ドーガー!来い!』

「お呼びにより参上!」
「いいね!ドーガー!!それだよそれ!
今度煙を出しながら登場しよう!!」
「おお!!いいですね!え?ガイライ殿、ニック殿?え?」

ドーガーとする再現リストの上位にランクしている登場のセリフを
言ってくれたけど、それどころじゃない。

「ドーガー?大丈夫。あなたはわたしの僕だからね。
正直にね。」
「え?え?モウ様?どういうことですか?」
「誰からラルトルガの盗賊討伐に軍が出ることを聞いた?」
「え?討伐の話ですか?あれ?妹です。
ダンズに聞いたと。怖いねって話で。
わたしに気を付けるようにと。
街でも噂になってるらしいから、討伐してくれるんならいいよねって。」
「街で噂?妹とそのダンズ?婚約者だよね?
その人以外からも聞いた?」
「いえ。ボルタオネに出発する直前に聞いたので、
他では聞いておりません。あの?」
「マティス。お願い。」
「・・・ザバスとゼムに聞いてくる。セサミナのところにも寄る。
ガイライ、愛しい人を頼むぞ。」
「わかった。」
「あの?」
「んー、簡単にいうと。ドーガーがいいように使われたってことかな?
わたしの僕をだ、許可なく!」

無性に腹が立つ。
自分の知らぬ間に自分の物が使われるのは昔から腹が立つ。
ドーガーが自分の物とは言わないが。

「モウ様?」
「ボルタオネに行くことを聞いた誰かが、代替わりを早めた。
いや、もともとあったと思っていいな。
誰かが何かをする時に。それにわたしたちが利用されたんだ。
ただの強盗に襲われたとなれば、ボルタオネの管理体制が批判される。
コットワッツ次席というのは程よい地位だ。
領主、筆頭ではダメ。
その名前を騙るのなら、コットワッツが出張るから。
盗賊討伐はラルトルガ依頼だというが、それもどうなんだ?
だが、外に漏れることはほぼない。
誰かが、噂を流して不安をあおってる。
このはなし、おそらくセサミンは知らない。
街の人も噂だけだ。実際の話は知らないだろうね。」
「どういうことですか!」
「ドーガー、落ち着け。」
「ガイライ殿!しかし!」
「いいから。盗賊がいる。討伐に軍が出る。当然制圧だ。
その前後で、ボルタオネで領主暗殺、代替わり。
領民は不安がる。
近くにちょうど軍の小隊がいる。
暗殺者の一部は逃げてる。
ちょうどいい、警備にあたってもらう。
ここまでが第一段階かな?
で、ある程度平和に過ぎるが、単発で盗賊は出る。
ラルトルガにだ。同じように警備に軍が介入する。
これは簡単だろうな。ラルトルガに抑える力はない。
で、ラルトルガも平和になる。
実際、ラルトルガで困ったチャンをしているのは例の200人だ。
軍が来たって噂だけでもうないもしないだろうね。
第2段階終了。
次だ。盗賊が今度はコットワッツにだ。
この盗賊は元軍部だ。いや、現役も入るかもしれない。
だが、コットワッツで制圧できる。
当たり前だ。ルグとドーガーがいる。
他の者たちも鍛錬はしているのだろう?
その時になんかを起こすんだろうね。
なんだろう?セサミンを糸で操るか、マティスを操るか。
ルグか、ドーガーか。
ロクなことではないな。
そこでまた、軍の介入だ。
ボルタオネ、ラルトルガ、コットワッツ。
3領国を軍が治安維持に務める。軍、すなわち王都だ。
ここまでが、第3段階。
軍というのはガイライじゃないよ?王都だ。
その時にはガイライもニックさんもいないね。」
「なにを?なにをおっしゃっているのですか?」
「ドーガーが使われたんだよ!いや、わたしたちもだ!
ドーガーが言うことだ、そうなんだろうっていうのを、
使われたんだよ!
あの村長のところで、接待を受けないとしても、
食事に呼ばれれば、歓談もするだろう。
そのとき聞いた話をしてしまう。もちろん、注意を促すためだ。
それを聞いた村長は、コットワッツの次席が言う話だ、
気を付けようと思うだろう。
討伐が滞りなく終わった話も聞くだろう、
ボルタオネの話もな。
次席の話は受け入れ安いんだ。
領主では裏があるんではないかって疑い者もいるだろう、
筆頭ルグでもだ。
お前の人当たりの良さも影響している。
お前を責めてるんじゃない。それをわかって何もしなかった
自分自身を怒っているんだ!ムカつく!!」
「モウ、落ち着いて?」
「うー、わかってる。なんだ?カルシウム不足か?
小魚だ、小魚を食べよう、めざしだ。いや、ここではトド?
それはダメだ、絵面的に!牛乳?飲めん!
小エビだ!干しエビだ!そうだ、そうだ。」
「モウ?モウ!!」
「え?」

かなり脱線してしまった。
エビ漁に出かけなければなるまい。

「ああ、うん。なんだ?
ドーガー?いいんだ。うん。
これはな。我らスイート至上主義団に売られた喧嘩だ。
高値で買ってやろう!な?」
「モウちゃん?なんだ?それ?」
「御脳様に常に甘味を捧げる集団です。
これにはつい最近、タトートの影の支配者も加わりました。」

ドレインさんはかなりの権力者と見た。
だって出張費1万リングだよ?

「え?わたしは?」

ガイライが食いついてくる。
困った奴だ。

「んー、ガイライは違うな。
ガイライは甘味がなくても生きていける。
だが、我らは生きていけないのだよ。」
「そちらですか?」

ものすごくあきれているが、仕方がない。

「そうだろ!ドーガー?落ち込むな。
ここで、無口なドーガーになるなよ?極めろ!
お前の言葉で人々が動くんだ、そう思え!」
「モウ様、しかし!!それでは妹が?」
「妹か、その婚約者のおしゃべり相手か。
母君かもしれんしな。それは結果待ちだ。」
「・・・・。」
「悪意のない、意図しない行動を利用してるんだよ、相手は。
さすがというしかないね。許さんけど。」
「・・・これからどうすれば?」
「ん?今まで通りだ。ただ、それはどこからの話?
どこ情報?ということを確認していこう。
で、へーそうなんだ、と。それだけでいい。」
「モウ様・・・。」

あ、マティスが戻ってくる。
この感覚が結構好きだ。

「愛しい人!セサミナは知らない話だ。
ザバスは知らないが、
買い物に来た女連中が話していたのを耳にしている。
ゼムの奥方の話題はこれだった。
奥方はドーガーの母君からだそうだ。
まずは女連中からということだな。
ゼムの奥方にすでに全滅して撤収したと言っておいたぞ。
瞬く間に広がるだろう。」
「・・・では、母ですか?」
「妹ちゃんも母君もだれから聞いたかだよ。それは?」
「わたしが聞くこともできないだろ?
ドーガーそれとなく聞いてこい。気取られるな?
セサミナには話している。お前は当分休みだ。」
「え?」
「嫁取り準備ということらしい。それも2人同時だ。
お前からセサミナの動きが分からなければ、ルグか他の誰かに
接触するはずだとな。相手がわかれば、
気配を完全に消してセサミナの傍に付け。」
「はい!」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

「マティス。お願い。」

貴重な愛しい人のお願いが、ドーガー、
いや、セサミナ、コットワッツの為だと思うと少し腹が立つ。
あとで、愛しい人にもお願いをたくさんしてもらおう。
応えるのはすべて私だ。
しかも、あのドーガーの呼び出し方!
これはワイプにやってもらおう。


「ザバス?」
「お!久しぶりじゃないか?ん?一人か?
とうとうか!雨の日前に!!くくくく!!」
「なにがだ?愛しい人は留守番だ。」
「なんだよ、また使いか?」
「いや、そうではないんだがな。ああ、新作の飴とガムを。
ビャクが買っていくものを入れてくれ。」
「あいよ!あいつはいい奴だな。
あいつ用にさきに試作品を作ることにしたんだ。
で、気に入れば、作る。これで、無駄がない。」
「なるほどな、考えたな。さすがだな。」
「はは!当たり前よ!ん?でなんのようだ?」
「お前に隠してもしかたがないな。
ラルトルガの盗賊の話をしっているか?その討伐に王都軍が出るという話も。」
「ん?んー?最近、聞いたな。盗賊討伐だろ?
ああ、聞いたというか、聞こえた。
ここに買い物に来た奥さん連中が話してたな。」
「どんなふうに?」
「えーと、な。ああ、コットワッツは平和だから安心だけど?
ラルトルガは大変みたい?
全部コットワッツになったら野菜が安くなるかしら?
米がうまく炊けない?で、米の話になって、
軍も来るらしいと。
いい男がくるなら、娘に見に行かせなくては!ってところだ。
母親が娘をけしかけるって恐ろしいなとおもったのさ。」
「それは相手も知っているようだったか?」
「おう、そうそう!って言ってたからな。ほれ。」
「なんだ?」
「情報料を寄こせ。」
「飴を買っただろ?」
「それとこれとは別だ。大事なことなんだろ?」
「・・・米をうまく炊く方法でどうだ?」
「お!それはいいな!」

愛しい人が言うように、洗うのではなく砥ぐ。
最初の水はすぐに捨てる。
水がきれいになるまでだが、あまり何回も洗うと崩れすから適当に。
底が丸いものが有ればいい。水切りがついていればさらにいい。
少し水につける。冷たい水で炊く。

「へー、なるほどね。底が丸いもの?
ふーん。」
「泡だて器も売り出しているんだろ?あれを使うときは、
底が丸いほうがいいだろ?」
「あー、なるほど、なるほど。」
「十分だな?」
「おう!十分だ。ま、聞こえてくる話は覚えてるさ。
どこで儲けの話があるかわからんからな。なんかあったらまた聞いてくれ。
報酬はもらうがな!」
「ああ、その時は頼む。今度のその話を聞いたら、
盗賊は全滅、軍もさっさと帰ったらしいと言ってくれるか?」
「ん?それは本当の話か?嘘は言わないぜ?」
「本当だ。討伐したのを見ていたからな。」
「はは!なるほど、なるほど。」
「見ていただけだぞ?」
「わかってるって!余計なことは言わんよ。」
「そうしてくれ。そうだ、土蜜って知ってるか?」
「お!あるのか?買う!買う!!」
「いや、これで、飴を作ってくれ。
愛しい人に贈りたい。この量でできる半分だ。残り半分は手間代だ。」
「やった!欲しいと思ってたのよ!また仕入れてきてくれ!」
「わかった。愛しい人に渡すまで内緒だぞ?」
「わかった、わかった。出来上がったらどうすればいい?」
「ビャクは結構頻繁に来るのか?」
「そうだな。5日一度は来るな。」
「ビャクに言ってくれ。それで、わかるだろう。」
「わかるのか?そうなのか?ま、そういうんならそうだろうな。」
「では、頼んだぞ。」
「任せておけ!」



「ゼム。いるか?」
「お!久しぶりじゃないか!どうしてるんだ?
食の祭りはいてなかっただろ?」
「ああ、馬あいての商売をしてたんだよ。」
「あれか!うまうま籠?なんだよ!行けばよかった!
客に聞いたんだ。馬の餌だけど人が食っても十分うまいって!
あのノリ?紙みたいな奴。あれは?どっから仕入れた?
あれが欲しいっていう奴が多いんだよ。」
「海苔か。今はないな。できれば持ってこようか?
あれと米を握ったものがうまいからな。」
 「そうなんだよ。プリンにラーメン!おにぎりっていうのか?
あれな。流行ってる。ノリも売れる!
できれば?お前が作ったのか?ん?嫁さんはどうした?」
「留守番だ。買い物を頼まれたからな。
なにか、うまい物があれば売ってくれ。」
「なにか?全部うまいさ。ティータイ産のチーズがあるぞ?」
「メーウーのか!それはいいな!それを!」
「おう!」
「あれから草原の民とは?」
「まったくだ。卵屋も引き上げたよ。鶏もそのままでな。
近所のもんが共同で管理することになった。」
「引き上げてどうするんだ?」
「銃だよ!銃でサイを狩る。それを王都に納めるらしい。」
「採算が取れるのか?銃も高いし、弾も高いだろう?」
「わからんな。売ってるのはステープだ。
ステープの娘がマトグラーサに嫁ぐそうだから、
その関係で安く入るのかもしれんな。」
「もう、納めたのだろうか?サイの肉は?」
「これからなんじゃないか?卵屋がここを引き払ったのは、
3日ほど前だからな。鶏が騒ぎ出してやっと気付いたんだよ。
誰も買わなくなっていたからな。
その前からサイを狩るって言いふらしていたそうだ。
お前たちは二度と食えんようにしてやるってな。」
「そうか。」
「ま!マティスさん!お元気そう!
あれ?お一人?」
「ええ。使いを頼まれたので。おかみさんもお元気そうで。」
「そうでもないのよ?最近の噂!聞いた?」
「どのような?」
「なんでもラルトルガに盗賊が出てるんですって!
で、軍が追討伐隊を組んでくるそうよ?近いでしょ?
ここも盗賊が流れてきたら怖いでしょ?」
「お前はそんな話ばかりだな。ここの筆頭と次席は強いんだぞ?
な?マティス!」
「そうだな。あの2人は強い。何も心配はいらんでしょう?」
「そうよね。でもね、次席のドーガーの母親が言ってたのよ?
母親だから心配なのよね。」
「ドーガーの母君に聞いたのですか?いつ頃?」
「鶏騒ぎのあとよ?確か?」
「ああ、ではその話は古いですね。
盗賊は全て全滅、軍も引き上げたと聞きましたよ? 」
「ま!そうなの?こうしちゃいられないわ!みんなに伝えなきゃ!」
「おい!」

ここの奥方は世話好きの話好きだ。すぐに広まるな。
チーズを一抱え買って、セサミナのところに。


(セサミナ?いま執務室か?)
(ええ)


ルグと2人だ。
これまでの話を伝える。

「・・・ルグ?あれから3人には見張りを付けているな?
ダンズはどうだ?」
「特にこれと言って。ほかの2人もです。
給仕係のセサリーはピロー、厩係のイズサはハダスに戻っています。」

ピローは2番目の兄のいる街、ハダスは鉱山の街だ。

「なにをしている?」
「戻ってすぐは家の手伝いをしていましたが、
タオル工場、鉱山で働いています。」
「ダンズは店を出すと言っていたな?その準備は?」
「なんとも。店を買ったようですが、そこからは進んでいません。」
「毎日何をしているんだ?」
「これといって。甘味の研究をしているようですが。
できたものを、ドーガーの妹と、友達でしょうか?
何人かで食べては話をしている風ですね。」
「話の内容と、その出入りしているものをあたれ。」
「わかりました。」
「ドーガーにやらせろ。
いま、その集まりに他の者が入れば警戒されるだろう。」
「そうですね。ドーガーは休暇としましょう。
雨の日に2人も娶るんだ。準備もいるでしょう。
ルグ?雨の日前に結婚の承諾をしているものは申請があれば休暇を。
男も女もだ。休まずに働いてくれるのなら、祝いを出そう。」
「はい、そのように。」
「ドーガーを戻すぞ。
休暇で、館に来なくなれば、情報は他の者から仕入れるしかない。
誰かに近づいてくるだろう。それを押さえろ。」
「わかりました。」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「こいつらは軍部に引きあげよう。
モウちゃん?移動してくれるか?」
「いいけど、強盗のことをしらぬ存ぜぬで押し通されると
どうしようもないよ?
この音石だって、証拠にはならない。だれかが、
声をまねているだけだって言えるもの。
大審判にかける?あの強制労働者といっしょで、
どこかで制御がかかってるでしょ?
知らないって気絶しちゃったし。他の人はなんでだろ?」
「操っていた本人が倒れたからだろう。
40人は強盗をさせられていたか?自らかはわからんが。
小隊は副隊長の言葉を繰り返すだけか。」
「お前たち2人が追ってきたとして、盗賊は追い払ったと言えばいい。
この40人はなんというかな?現地で雇ったとか?
正式に連れて帰れ。」
「マティス、それじゃ、時間軸がおかしい。
ニックさんはフレシアに行ってることは後で調べればわかる。
赤い塊が呼んだことにするよ。それで、時間軸は解決するしね。
なぜか気絶してしまった。
馬車の一行はおろおろしているところに、赤い塊が通りかかる。
どうしたものかと、軍部のガイライとニックを呼ぶ。
これは前回雇ってもらったから顔見知りだしね。
で、馬車一行の身元は確認。ボルタオネのフックさん一家だから。
家族4人とその弟子4人。トン、カン、ケビ、キリ。
ちなみにわたしはカンね。
で、お前たちを起こして、話を聞くということで。」
「母さんに迷惑を掛けていますね。」
「ん?甘いな、ガイライ。これは赤い塊のお仕事ですよ?
お金ちょうーだい。」
「そうしてもらえると助かります。」
「ガイライが出すんじゃないよ?軍部の予算でね。
移動時間を買ったと思って?」
「ええ。5000でいいでしょうか?」
「やった!マティス!これは貯金しよう!」
「しかし、愛しい人。ガイライが赤い塊を使うのは2回目だ。
問題はないか?」
「なにか言われたらガイライは
赤い塊の条件に当てはまるらしいっていっとけばいいよ。」
「条件?」
「そそ。セサミンもそういってる。謎めいとくのが一番いい。」
「わかりました。」
「じゃ、そういうことで。」





「おい!起きろ!!」

わたしたち2人は赤い塊の衣裳だ。
じいじいコンビ。

ガイライの声で起きるようにしているので、
一斉に目が覚める。

「え?ガイライ、隊長?ニックも?ここは?」

作った話をガイライが説明をする。
上位4人と新人は頭にクエッションマークをつけている。
タフコーと上位1人はガイライを、
40人のそれぞれニックさんとガイライを睨んでいる。

「お前たちが勘違いをした馬車の一行は出発してもらったぞ?
ボルタオネ筆頭フック殿のご家族だ。問題は無い。
お前たちがまったく起きないからな。」
「・・・では、その石使いが呼んだと?
その石使いが盗賊の頭で、わたしたちを気絶させたのでは?」
「あきれたことを言うな。ここにわたしたちを移動できるんだぞ?
その石使いの力があればそんなことをする必要はないだろう?
それで?この40人はどうしたんだ?馬車の一行の話では、
こ奴らも軍部だと。元軍部だ。
わたしか、ニックが除隊処分にしたものだ。
答えろ。」
「・・・。」
「聞けば、40人は無言で襲ってきたとか。お前たちも口上なしに
捕らえようとしたらしいな。」
「そんなことはしていません!」
「向こうが嘘を?」
「ガイライ、石を使え。後でもめる元だ。
それで、毎回こっちが不利になる。」

なるほど、言い訳のプロなんだ。

『ガイライ殿?ここで話すか?送ろうか?
皆の前ですればよろしかろう。』
「赤い塊殿、では、お願いできますか?」

「チッ!!こいつらが盗賊の元締めだ!
皆かかかれ!!」

袋に入った糸だろうか?それまき散らしながらタフコーは叫ぶ。

『風よ!ここにある糸を紡いでおくれ!』

右手を回すと糸が大量に集まる。
今までで一番大きい。
10倍ぐらいあるか?

ガイライに石を渡す。
資産受領の時に使っていた石より一回り大きいものだ。
お金はないが石はあるのだよ。

ガイライは目を瞠るがすぐに宣言をした。

『宣言!これからの問答は嘘偽りなく執り行う。
対象者はこれから述べる者たちのみ!
軍部隊長ガイライ、副隊長ニック、同じく副隊長タフコー。
また、盗賊討伐隊に参加したここにいる11名。
過去除隊処分となったここにいる40名。
第三者同席者は資産院ワイプ、
天文院アズレン、生産院マレイン、
中央院クロモだ。』

記録は誰も取れない。
石も砂にならなかった。
嘘をつけば、どうにかなるということか。
何気に師匠が使われている。
あとは知らない名前だ。身内だけではダメってことなんだろう。

「うわーーーー!!!!」
クエッションマークを付けた者たち以外が一斉に
ガイライとニックさんに襲い掛かる。

なるほど、やはり、ガイライとニックさんは上位だ。
あっという間に制圧。無駄がありません。

『素晴らしい!鍛錬あるのみだな』

マティスもじいちゃんの声で感嘆の声をあげる。
じいちゃんが今から鍛練するって、ちょっと違和感あるけどね。


『宣言の石の効果はそのままなんだな?
では、この者たちも含めて送ってやろう。どこだ?鍛練場?』
「お願いします。」
『うむ。金は後日取りに行こう。
この人数を運ぶことを考えれば安いものだ。』

「隊長?あの?」
「話は後だ。向こうで暢気にくつろいでいる馬を集めろ。
赤い塊殿?馬もよろしいか?」
『もちろん。できれば固まってくれるか?一度で済むからな。
ああ、寝ているものを真ん中に。
ああ、ニック殿?宿から急に呼び出した詫びに、
好きな時に戻れるようにしてやろうな。
で、好きな時にまたガイライ殿のもとに戻れるように。
一度だけだぞ?』
「それはありがたい。」

これで、宿に戻って、また戻ってきても赤い塊の力だと思うだろう。
実際はニックさんが移動するんだが。


ぐるりと皆が集まっている廻りに、円を描く。
何事もそれっぽくね。

新人たちはちょっと怯えている。
そりゃそうだ、慕っていた副隊長がいきなり
隊長たちを襲って、瞬殺された。怖いわな。

『真理として安定し姿真円。
この世に存在なき真円。
その近し形に入りしもの。
我が望むところに結びつく。
それはメディウスの輪!!』

うむ、今日もなかなかに厨ニ病であった。


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