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450:師匠の演説
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「ルカリ!簡易審判だ。手配してくれ。」
「タフコー?どうしたんですか?
これだけの人数の移動?モウ殿ですか?」
「違う、赤い塊殿だ。いいから!審判だ。
第三者同席者は資産院ワイプ、
天文院アズレン、生産院マレイン、中央院クロモ。
連絡を取ってくれ。」
「分かりました!!」
「簡易審判というのがあるのですよ。
宣言から始まる石の使い方ですね。資金受領でもあったでしょ?
で、その中で第三者に指名されれば強制ですね。
呼ばれたものは、さすが、ガイライ殿だ。彼らの発言で真意が測れる。」
「お前は呼ばれたのはそれか。常に何においても疑わしいからな。」
「ははは!そうですね。
しかし、簡易ごときでは真意は出ませんよ、わたしはね。
タフコーも彼の中での真意だ。
うまくできた話でしたよ。そう思い込まされている。
そうなるとどうしようもないですね。
誰が、どのように指示したかまでは、
大審判でも出ないでしょう。」
「じゃ、大きな石を使ったもの勝ち?」
「当然ですね。不思議ですか?あなたからすればそうかもしれませんが、
大きな石が使えるということは、金と権力があるということ。
それと同時に世間の目がある。
大きな石を使って真理を捻じ曲げればそれだけ反動は来ますね。」
「それすらも押さえる大きな石を使えば?」
「そうなるとそれは必然となる。」
「あー、そうなるのか。必要悪か。」
「しかし、それにはよほどの大きさですよ?砂漠石が小さくなる前、
原石の大きさでしょうね。」
「あー、それ。原石級か。なるほど。」
「それで?ワイプ?」
「ああ、アズレン、マレインは穏便に済まそうとしてました。
クロモは自分が軍部に依頼したことでの不祥事だ。
ラルトルガに確認まで取っていない。
まわって来た書類を捌くのが仕事ですからね。
そこを責められると役所勤めはつらいですがね。
なにせ、正式依頼だ。
ならば、そこで起こったことも正式に詮議しないといけません。」
「赤い塊の話は聞いていますよ?恐るべき石使いですね。
ルポイドの元首の病を治したとか。これはどこまでが本当か見ていないからわかりませんが、
ルカリアのライガー殿の安否確認の時に聞いていますよ。ええ、噂の範囲でね。
その力を目の当たりにすれば、なるほど、恐ろしい。
気が動転するのもわかりますね。」
「ワイプ殿がそうおっしゃるのでしたら、この若い副隊長、そうなるのも致し方がない。
それにつられた者たちも。ある意味、上官に従ったということですよ。」
「そうです!わたしたちは指示に従ったのです。」
「なるほど。そうなりますね。」
「ええ。」
「しかし、この場合の最高指揮官はガイライ殿です。
軍部のね。それに襲い掛かろうというのは暴挙としか言いようがない。
言い逃れもできない。
それに、他の9人は何もしなかった。彼らの方が胆力があったということ?
それはどうでしょうか。この中には新人が半数?腰が抜けていた?
それは彼らの名誉の為に違うと言えましょう。
たった一人の一時の指揮官に、疑問も思わず同調して、殺戮行為を行うのは、
軍部所属の人間としてありえない。気が動転するのもだ。
有事に際して、気が動転したからと、一般人に剣が向けることがあってはならない。
一般人ではない?それはこの際関係ないこと。
問題は、その時の指揮官の指示に疑問も思わず、
目の前人間に襲い掛かったということです。
それに従った者たちは、軍に不向きだ。
最高指揮官が目の前にいるにもかかわらずです。
それに剣を剥けること自体、その場で処分されても文句のつけようがないのに。
除名ですね。別の仕事探していただきたい。
タフコー副隊長もです。それでは指揮官にはなりえない。
彼にも除名を。ニバーセルの威信にかかわります。」
「・・・ガイライ殿に最高指揮官の力がなかったからなのでは?
この除隊処分になっていたものたちは、ガイライ殿とニック殿に辞めさせられた者たちだ。
それでも、軍部に戻ろうと努力したのでしょう。」
「それはおかしな話だ。だったら、軍部を訪ねればいい。
一度もそのようなことはないと報告は上がっていますよ。
何度も訪ね、門前払いを受けてのことならまた別ですがね。
それに、除隊処分を理由を知っているのですか?
手当清算の為、各自の除隊理由を把握していますが、
とてもとても。国民の為に軍部に戻りたいとは到底思えないし、
被害にあった国民から暴動がおこるでしょうね、軍部に戻したら。
謝罪もなにもしていませんし。
そんなことをすれば、彼らの一族すらも非難の的だ。
いま、一番困惑しているのは彼らの一族では?
ここで読み上げましょうか? 」
「・・・・結構だ。ではガイライ殿とニック殿の処分は無しと?」
「いえ?そんなことは誰も言っていないし、思ってもいない。
やはり問題でしょう。40人の処分が甘かったということ、
タフコー殿の力量を見抜けなかった。不測の事態が起きたとしてもです。
たまたま、赤い塊がいたから良かったようなものの、
出なければ、ボルタオネ、筆頭フック殿のご家族を手にかけているところだ。
この件も、先走ったとしか言えませんが?それも審議しますか?
言った、言わないという論議になり結局はお流れになるから、
時間の無駄ですがね。
石を使っての審判はあくまでも、錯乱した、副隊長の指示で
罪もない人を襲ったということだ。
ああ、ここで、罪もない人というのはガイライ殿とニック殿のことですよ?
名を出せば、審議なしで、極刑でもおかしくないということをお判りいただいていますか?
若者たちに次の仕事で、税金を納めてほしいという、
資産院なりの配慮です。」
「・・・。で?ガイライ殿たちは?」
「除名?除隊?降格?減給?
どうでしょうか?ガイライ殿とニック殿の実力は皆が知るところ。
へたに除隊となって他国に流れられても困るでしょう?
分隊として外に出ていってもらうのは?
隊長と副隊長の予算が浮きます。これは、素晴らしい!
ちょうど、タフトから買い上げたブラスだらけの土地の管理、
そのブラスの売上金を給与としてもらうのはどうでしょうか?
ピクトのブラス刈りの遠征も効率が悪い。
これも廃止の方向で申請しています。
どうしてもブラスを刈るということが鍛錬になるのでしたら自国内で十分。」
「ワ、ワイプ殿?」
「はい?」
[素晴らしい!!なんという提案なんだろうか!天文院は賛成です。」
「生産院も同じく。経費削減になるというのはさすが資産院です。」
「わたしは反対です!!そんな、そんなブラスだけしかない土地に、
2人を追いやるなど!!それこそニバーセルの名に傷が付きます!」
「しかし、クロモ殿?彼らはそのまま軍部です。分隊ですが。
自由が利くのですよ?あなたが頼みたかった、あの仕事やこの仕事も
依頼できるわけです。受けるかどうかは別ですが。」
「あ!そ、それは!しかし!!ガイライ殿!」
「いえ、さすがの采配。反論なぞ有りません。
タフコー以下40名と1名は除名処分。二度と軍部には登用しない。
そうなると他院でも同じでしょう。聞こえは悪いですからね。
残りの8名は新たなる指揮官のもと育っていくことでしょう。
わたしとニックは分隊で十分。有事の時は馳せ参じましょう。
ブラスの管理もお任せください。」
「では、承諾すると。」
「ああ、今ニックが不在ですが、一つだけ。
分隊隊長はニックでお願いしたい。やはり、わたしではまとめることはできないということでしょう。」
「わかりました。終了宣言は、クロモ殿、お願いしますよ。」
『宣言!本日、この時をもって、ガイライ、ニック両名は分隊所属。
分隊隊長はニック。拠点はブラスの森。活動資産はブラスの販売利益。
ブラスの権利は全て分隊に。
タフコー以下、41名は除名処分。今後一切の軍部活動に参加することはできない。
ただし、有事の強制参加は除外とする。
以上、終了宣言とする。』
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「へー。てか、その間、天秤院のひとは何してるの?意見は出さないの?」
「出しませんよ。虚偽がない限り。」
「おお、そうなんだ。嘘かどうかわかるんですね。」
「それは嘘だと言うか言わないかは分かりませんが。」
「あー。とりあえず、さすが師匠です!」
「当然です。」
「どこがだ!あの連中の処分はいいとして、ガイライとニックは分隊だぞ?
どこがいいんだ!!分隊なんて役立たずの集団なんだぞ?」
「いや、わたしも昨日はそう思たんだけどさ、本当に役立たずなら、分隊行きなんて、
ちょっと、なんていうの?窓際、肩たたき、んー、降格か、
罰みたいであれだけど、実際にニバーセルの上位だよ?
5本の指に入る。それが、国に縛られないで、軍なんだよ。
予算は、んー、ま、おいおい考えよう。わたしが出資してもいい。
他の人は、軍のことを知っている人は、そうやって憤慨するか、笑うかだ。
でもフタを開ければ、自由なんだよ。おいしいよ?」
「そうですよ?2人の望むように持っていたんですから。」
「師匠の評価も上がったよね?そこがさすがなんだよ。
おそらく、資産院に出入りしている軍部連中。
きっとなにかしら予算の面で優遇されてる、とかね。
どこかしらに話は言っているはず。
仲良しこよしというのは良くないんだよ。
資産院は公平でないとね。どんなところから文句を言われるかわからない。
そこで、きっぱり、予算の為ということを前提に軍部、
おそらく超高給取り2人を切り捨てたんだ。
仕事ができる男ワイプだ。それがわたしたちに師匠だ!」
「ふふん。当然。オート院長に説明するまで口もきいてもらえませんでしたけど。」
「あはははは!」
「オートもそんまま首にすればいいのに!」
「仕事ができる人間を切るほどオート君は愚かじゃないよ。
わたしにもすぐに礼を言いに来たでしょ?
わたしは師匠にもオート君にも喜んでもらえていい気分になったよ。
そういうところが丁寧だよね。直接お礼を言ってくれるところとか。
オート君を院長に据えた人もすごいよね。」
「そう思いますか?」
「うん。」
「中央院ですよ。見抜いてというより、言いなりになると思っての人事だと思います。
逆に見抜けなかったということでしょう。」
「おお!よかったね。できる人間で。」
「ええ。あの差し入れが良かったと思いますよ?」
「そう?それは良かった。」
「今回のも助かりました。また、王都に顔を出せば礼を言いに来るでしょう。」
「師匠の助けになるのなら、弟子はいつでもよろこんで用意しますよ? 」
「素晴らしい!!良い弟子たちを持って幸せですね。」
”たち”をわざと強調して言う師匠。
マティスのガルルル顔がかわいい。
ガイライが言っていた、師匠の独壇場とはどんなものだったのか、
次の日迎えに来たガイライに付いてきた師匠に聞いたのだ。
なんで付いてきたかというと、
半分なら、きっとガイライにご飯を食べてから行こうというだろうから。
もちろんそうなのだが、そこで師匠の演説を聞いたのだ。
ここは外れの空き家。
大きな食堂と台所を作った。
ガーデンパーティーもできる。
ガイライたちと別れた後、頑張ったのだ。
草原での話は金と銀の揃いの耳飾りをしている男たちに気を付けろいわれた。
似顔絵も3人で書いたようだが、うん。目は2つだね。わかった。
「しかし、すまなかったな、ワイプ。
討伐の話もそっちからだと思ったり、審判の流れも作ってもらって。」
ガイライが恐縮している。
「いえ、逆ならガイライ殿から聞いたと思うでしょう。
少しお互いが油断していたということですね。気を付けましょう。
2人が分隊というのは、悪いんですが、資産院の都合もありますね。
予算がねー、ちょっとねー、ああ、これは内緒の話ですよ。
ニバーセル自体が金を生むことをしないと。
コットワッツの砂漠石が無くなって、マトグラーサのみ。
輸出が減ってどうしようもない。」
「それは大変だーってことだけど、それだけ、ガイライとニックさんは高給取りなんだ。」
「お前がもらっている分もなくせばいいんじゃないのか?」
「それができればいいんですが。
勝手になくすこともできないんですよ。」
「お役所仕事はどこも一緒だね。」
「そうですか?モウの故郷の方が発展しているので、なにか画期的方法があると思っていたんですが。」
「一緒ですよ。不正とかそういうの含めて。
こっちのほうが、即断罪される分いいと思いますよ?
故郷はのらりくらりですから。」
「残念ですね。では、そういうことで、カップたちの貸し出しは手が空いていればいつでも。
ガイライ殿たちの新しい家ができたら呼んでください。」
「うん。夕食に呼びますね。」
「それは楽しみだ。では。」
「モウ?言いたくはないが、ワイプに対して甘くないですか?」
「そうだ!ガイライ!もっと言ってくれ!!」
「んー。師匠はやっぱり賢いんよ。それで、ニバーセル一働いているよ。
わたしは自分より働いている人が好きなんだ。」
「良し!ガイライ。ブラスの刈り取りと、炭づくりを始めよう。細工物もだ。
まずは拠点だ。ニックは?」
「ちょっと気になることを調べている。飯には戻るということだ。」
「じゃ、買った家を移築させよう。」
王都に移動し、王都のはずれ、街より外れている空き家が多い場所の館を買ったようだ。
皆が街の中心に家を持ちたがる。ここは静かだが、不便だということ。
人が少ないと糞尿の回収も、街なら月に2度あるが、ここでは1度か、2月まとめてくるとか。
大きなところにためればいいが、やはり臭いは漏れる。
王都なのに不人気な地域になってしまったらしい。
「結構大きな館だね。部屋もたくさんあるね。」
「もとは宿屋のようですね。
台所、厨房ですか?そこも大きいですし、浴室が付いています。
モウがなにかあるところからの改修のほうがいいと言ってましたから。」
「賢い!さすが我が息子!なんか要望ある?自分の部屋はレースのカーテン付けてほしいとか。」
「・・・。いえ。自分の部屋は自分で。」
「そうなの?遠慮しないでね。けど囲いしてないけど?」
「ああ、この一帯に人はもう住んでいません。
この範囲で見える館は全てどうしようとかまわない。」
「・・・もうお金がばんばん入ってこないから、無駄遣いはダメだよ?」
「ははは。いえ。開発するということなので、逆に撤去費をもらえますよ?
1棟、50リングです。
同じような形で、10棟ありますから。」
「でかした!!」
「何軒かもらっておくか?置く場所に困るわけではないし、
広い厨房も私も使いたい。」
「そうだね。サボテンの森の家を大きくしてもいいね。」
建物の改修は簡単だ。
建築当初にまず戻す。これで、大体はOKだ。
後は基礎ごと収納。と言っても、コンクリートの基礎ではない。
太い柱を1mほど埋めているだけ。地震はないんだな。
ニバーセルの分隊管理となったブラスの森はガイライしか知らない。
が、ピクトの森と隣接しいるのでそこ移動し、向かうことにする。
家ができてから、師匠のところにある荷物と、
買い取ったリグナを連れてくる算段だ。
リグナはガイライとにニックしか乗せないので、軍ではもて余すそうだ。
コクはどうするだろうかと聞いてみたが、
当分自由に。わたしの言霊が効いているみたいで、
駆けだし、意識をすれば誰にも認識できないみたい。
ボルタオネの森を廻っていくそうだ。
クジラ石を少し分けておく。虫の塊って。サナダムシ?
管理はマティスがすることになったので、お好きにしてください。
「・・・・煙い。」
「ブラスを燃やしているな。10人ほどか。」
最初に刈り取ったところで、野焼きというのだろうか、
どんどん刈り取っては燃やしている。
ニバーセルの軍が手を引いたから?
まさか竹炭?え?燃やすだけでできるの?それは知らなんだ。
「モウはどうやって作たんですか?」
「窯もどきを作って、燻製状態?結構固くていいのができたと思たんだけど、
こっちの方が簡単そうだね。」
「どうでしょうか?たぶん、モウのやり方の方がもちのいいものができますよ。
このやり方だと、炭は出来ますが、もろいのです。」
「くわしいね。」
「軍はなんでも広く浅くですよ?」
「マティス知ってた?」
「いや、まったく。」
「そうか、わたしの若いころだけか。マティスがいたころは豊富に砂漠石が使えたからな。
わたしのいたときもだが、知識として、というか、鍛錬の一つだな。」
「窯のタイプは?」
「もちろん、知ってますよ?」
「よかった。その窯で作ると煙が出るでしょ?それを冷やして液体を作りたいの。」
「?」
「ま、ダメもとで。」
「おい!お前たちは手伝いか?」
「いや、違う。ニバーセルのものだ。その向こうのブラスの森を管理することになった。
こっちではどうしているかと見に来たんだ。炭を作ってるのか?」
「そうよ!いま、炭が売れるんだ。刈るのに手間取るが、
燃やせば炭になるからな。しかし、ニバーセルはわざわざ管理するものを置くのか?
暇なんだな。」
「ははは!まさしく。飛ばされたんだよ。」
「ぶは!それはわるいな!燃やせば炭になるんだ、金にはなるぜ。」
「そのようだ。」
ガイライがニコニコとはなしをしている。
軍部隊長の顔と違うね。
しかし、煙い。
これで、炭ができるか甚だ疑問だ。
境界石をまたぎ、ニバーセルに。
王都からピクトまでうまい具合にブラスの森でつながっている。
分隊管理はタフトの領内だったところ。
鉄板を作り、波型に。
それを3M、地中に打込んだ。
それをブラスが生えている範囲ぐるっと一周。
これで、広がることはないし、ピクトから進出してくることもないだろう。
「結構広いね。この土地はもともと何だったの?」
「なにも。荒地でした。それが、いつの間にかブラスに。」
「そうか、だから手放したんだね。じゃ、家をたてようか?どこがいい?
真ん中あたりで?」
「あ、水が出るとこがいいですね。これは人を呼ばないと。」
「水!だったら、マティスだよ。マティスわかる?」
「さっきから探してはいるが。ああ。ここだな。
少しピクトよりか。ここを中心にブラスを刈ろう。それで家を建てよう。」
「いや、刈るだけじゃダメなんよ。根からなくさないと。で、その範囲も鉄板で覆うよ。
先にお願いして掘り起こすから。」
「そうか。」
『地よ、大地よ、その身に抱えるものを全て掘起こせ!』
この場合ブラスに話しかけるというのも筋違いのような気がしたのだ。
動物ドキュメンタリーで、どっちを主役にしてるかというもの。
シマウマならシマウマの赤ちゃんを狩るライオンをひどいと思うし、
ライオン一家が主役なら、やったよ母ちゃんと応援する。
人間はひどいもんだ。
ぼこぼこと根っこごとひっくり返る。
それを、根は切り落とし、葉も落とす。
それを粉々にして、間引いて伐採したブラスの根元にまく。
これで筍がおいしくなるとなんかでよんだ。ほんと、うるおぼえ。
残りはきれいに積んで乾燥。細い枝も同じ。
刈り取った分の半分をわたしの収納袋に。
便利だからね。
それを2人がやっている間に、家を設置。4階建てだ。
浴室が竹林向かうようにし、露天風呂と内湯を作る。
浴室というが、ただ、排水ができるようになっているだけ。それでも一から考えるより、
排水経路ができいている帆が手っ取り早い。
洗い場の床には竹を床板に加工したものを敷き詰める。
それだとぬめりや腐ってくるだろうから、間に砂漠石も棒状にしていれる。
これで、維持管理は大丈夫。
大きな砂漠石ガラスを取付、竹林が見えるように。
もちろん、外に出れば露天風呂有り。
海峡石で循環、24時間ぶろの出来上がりだ。
汚水、排水はコットワッツの管理地に飛ばそう。
毎日入るには豪華すぎるな。
各部屋にシャワーは付けておこうか。トイレと。
目が覚めたときすっきりしたいものね。
20室ある部屋を改造していく。ビジネスホテルより少し広いくらい?寝るだけだな。
3個一で。合計5室。師匠とかも止まるかもしれないから。
あとの5室は1つにぶち抜いて大広間に。お客さん用トイレも作ったよ。
あとは、地下にトレーニング場を作ればOKだ。
あ、屋上も作っておこう。そこはジャグジー。
レジャーホテルの完成だ。厨房はマティス担当だから。
ガーデンパーティーができるスペースも作ろう。お風呂と反対の方だな。
リグナの厩も作らなくては!!
「愛しい人?休憩しよう。月が昇ってかなり経つぞ?」
「え?もう?いつの間に。そういえばおなかすいたね。ニックさんは?」
「聞いてみよう。」
(ニック?どこだ?)
(マティス!いいところに。今呼ぼうとおもって、
石に酒を飲ましていたところだ)
(?飲むのか?)
(水より酒のほうがいいだろう?)
(いや、喜ぶのは水浴びだ)
(そうなのか?さっきまでバシャバシャしていたが、今静かだ。酔ったのか?)
(だろうな。出して、真水で拭いてやれ。用事は終わったんだな?)
(そうだ。荷物があるんだ。それを運んでほしい。これだけ大きいと俺では移動できない)
(それはかまわない。引っ越し荷物だろ?)
(いやそれは別だ。サイだよ。王都に納品になったものだ)
(草原の民?)
(そうだ。1頭1000だぞ?)
(500じゃなかったか?)
(そうだと聞いたがな。交渉するのも面倒だから1000で買った)
(気になることというのはそれ?ああ、詳しくこっちに来てからだ。
誰もいないんだな?荷物は抱えて、呼ぶぞ?)
(いいぞ!)
『ニックとニックが抱えし物、すべて来い!』
「おお!いいじゃないか!すごいな!」
「お疲れ様!ニックさん!あ!サイだ!!お土産?」
「ま、そうなるといいんだが。
銃弾の残留実験な?豚もボットも鳥も。ま、胸や、頭を狙えば即死だ。
が、すぐに血抜きしても、時間をおいても肉は食えない。
砂が肉に入り込む。」
「ルポイドの元首が足に撃たれたときは、血管に入り込んだだけだった!」
「そうだ、生きてるからだ。死んだと同時に肉に食い込む。違うな、外に出ようとするんだ。
これは、何頭かで実験したんだよ。サイは手に入らなかったからな。
それで、入荷した話を聞いたんでな。1頭、買って来たんだ。」
「さすが!ニックさんだ!!じゃ、今日は焼肉だね!!」
「それよ!それが食いたい!あの大蒜もな!」
それから、荷物を呼び寄せ、師匠たちも呼ぶ。
ツイミさんもだ。リグナも。スー兄たちとコクも。
カップ君たちは連日の肉、わたしたちもだが、問題は無い。
コットワッツ組はまた今度。
サイは捌いてみるが、見た目は分からない。
食べてジャリっというか言わないかだ。
ことごとくジャリです。
「・・・・ダメだな。やっぱり。」
「んー。撃った瞬間に死ぬでしょ?で、毛を燃やす。
その時間が短ければいいんじゃない?」
「銃で撃つ利点は遠く離れて撃てることだぞ?
近づいて火をつけるまでに砂が廻る。」
「そうか。これ、草原の民の人、食べてないのかな?」
「・・・食べただろう。だから、倍の値段で売ったんだ。
1頭はなんとか従来のやり方で倒したのかもしれないな。
その肉を食ったら、やはり高くても欲しがるだろ?うまいんだからな。」
「そんなことしたら2度と買わないよ?」
「だから、倍だ。20頭ほど持ってきたようだ。その1頭なんだよ。
顔なじみに餞別の代わりに寄こせと言ったんだがな、
金は払えと言われた。それが餞別だとよ。
食えないんじゃ意味ないよな?」
「んー。砂を除くよ?石使いがいればいいんじゃない?」
『肉の中の砂よ、すべてこの皿の上に来い!』
ザラザラと、お皿の上に山を作った。
どんだけ打込んでたんだ?へたくそ?
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「これで、大丈夫!」
「・・・それができるのはあなただけですよ?」
「ジャリっていうのは砂だってわかればいいんじゃないの?」
「その砂一粒をどけるの砂漠石を使うことになる。
それ、何粒?小隊を組んでサイ狩りに出たほうが安いですよ。」
「頼み方ですよ、師匠。
砂よ、来いでは1粒でも砂でしょ?
砂だって、え?俺?お前行く?じゃ、俺がって1粒だけだ。
今の言葉を石使いに言ってもらえれば、それこそ、小さい石で十分。
その時は砂漠石にお願いして、礼を言ってね。」
「お願いと礼ね。それができたていたら、石使いはもっとあらゆることが出来るでしょう。
あなたみたいにね。
それができないのが、石使いだと思いますよ。
しかし、そうですね。あと19頭分、おそらく次に会合前の集まりに食べるんでしょか?
いきなり味見無しで王族には出さないでしょう。
そのとき泣きついてくればそう教えてあげましょう。
それでもダメだと思いますよ?」
「そうかな?でも、なんで師匠のところに来るの?」
「この購入予算は資産院が出しています。で、これがダメなら、
他の物を買わないといけないでしょ?お金を取りに来ますよ。
この頃は王都内の店も現金払いか石払いですから。
まとめて後日払いが効かない。王都の財政が不安定なこと国民は知っているんですよ。
ああ、ニック殿、そのサイは1頭1500ですよ?
まさしく餞別ですね。」
「ええ?、そうか。泣きついてきたら、教えてやってくれ。」
「ええ、そうしましょう。」
「ニックさんが先に教えてあげれば?食べたんだけどっていって。」
「俺がその方法を知っているということがおかしいてことになる。
ワイプなら、食いものに関することだから、そうかもってなる。」
「さすが師匠です!今日は師匠の素晴らしいところばかり見せてもらってます!」
「そうでしょう、そうでしょ、ん?マティス君?」
「ああ、そうだな。愛しい人?今日はたくさん頑張ったんだな?」
「うん。ガイライも、マティスもね?ね?」
「ええ、母さん。ああ、母さん?眠いんですね?」
「そんなことはないよ。カップ君たち?食べてる?」
「もちろん!!このジャリ肉でもおいしいですよ?」
「いや、やめて!ツイミさんも!こっちを食べて!」
「愛しい人?酒もかなりのんだな?」
「うん?ちょっとだけ?」
「そうか。じゃ、帰ろうか?」
「ん?帰るの?マティスが言うのなら帰ろうか?
お風呂入ってね。いい出来なんだ。和風だよ。赤いけど。
なんか、あったら教えてね?
うん。眠いね。」
愛しい人はそのまま寝てしまう。
昨日はほとんど寝ていない。
ドーガーたちのことを気にしていたのだ。
家には戻ったが、結局、空き家のの改装をしていた。
彼女は寝ないとダメな体質だ。が、寝れなければ、鍛錬か、夜の鍛錬か、
彼女が言うゴソゴソ仕事だ。
昨日はゴソゴソ仕事だった。
「あとは片付けられるな?
風呂も入ってみてくれ。彼女の故郷の宿屋の風呂らしい。
使い勝手を教えてくれ。遠慮はするな。希望を言ってもらうほうがいいから。
私たちもあとで借りよう。」
「明日は?」
「テルマが来るのだろう?顔は出そう。
お前たちが分隊となったと聞けば、ワイプにのところに来るだろう。」
「そうですね。じゃ、呼びますよ。
石を見つけて捕まえれば呼んでもらえますから。」
「・・・水浴びをさせて磨いてやれ。」
「ええ、捕まえた後はそうしてますよ。ちょっとした訓練です。
急ぎの時はすぐに呼んでもらえてるようですし。
便利ですね。」
「感謝しろよ。」
「ええ。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「では、そのまま、馬車に?」
「ドーガーがそう判断したからな。わたしでもそうするだろう。」
「そうですね。では、モウが気にしていたのは?」
「わからんな。ドーガーが冷静な判断を下したことを驚いたのかもしれない。
モウとて、同じように判断するだろうがな。」
「そういうことですか。
テルマ殿はいつ頃付きますかね?」
「月が沈む前には大門だろうな。俊足馬だ。
出迎えは誰がするのやら。」
「中央院でしょう。そのまま香木の買い取り。
マーロ殿は中央院の護衛が付きます。問題なくたどり着くとは思いますがね。
糸は渡しておこうかと。」
「ああ、モウから預かっている。タフコーが使った糸だ。」
「これはトックス殿への土産ですね。
一度使われれば、呼び寄せ糸にならないんですよ。
糸としても性能はいいらしいですがね。」
「呼び寄せってこれだろ?この前もらった。」
「ええ。どこかに身に付けておいてください。」
「匂いもあるそうだぞ?」
「それがなんとも。妖精の匂いに近いんですよね?
香木の匂いとも。テルマ殿に聞いてみましょう。
匂いと糸の組み合わせでさらに強く操られるのかもしれませんし。」
「王都で使われたらどうにもならんな。」
「ええ。ボルタオネの報告は聞きましたが、皆が疑問に思っていない。
そのなかで、フック殿のご家族は抜け出せている。ボルタオネをね。
なにか特別なことをしていたのかどうか。
最初にマティスが連れてきた男は?」
「・・・ただの通りすがりのものだと。何事かと思ってみていたが、怖くなって逃げようとしたらしい。
中央院が身元を保証した。明日釈放だ。
ボルタオネに送るらしい。どうにもできん!」
「それはそれは。見舞金を出しましょうか。」
「請求されてないんだろ?ほっとけばいい。」
「いえいえ。そこはきっちりとね。」
「?」
「石、あの音石を入れておこうかと。」
「!!」
「結局あれはなんだ?モウの力ではないと。」
「ドルガナの内砂漠で出る石です。少し黒っぽいのが特徴で。
気配を消すのに石を使うでしょ?では逆もできるはずだと。
音を出す。音を覚える。というのがモウの考えです。
他の砂漠石ではダメですが。砂漠石のなかに空洞があるのが特徴で、
それが音を覚えるというのに必要のようですね。
いろいろね、試しはしましたよ?」
「発表は?」
「しませんよ!どれだけ諜報活動に役立つか!
だから、お二人も内緒ですよ?
で、黒っぽい砂漠石がでたら、交換してください。
さりげなくね。」
「マティスが使ったのはそれか?」
「そうですね。音石と月無し石でしょう。
モウも驚いていましたから。」
「マティスもたいがいだな。」
「そうですね。」
「タフコー?どうしたんですか?
これだけの人数の移動?モウ殿ですか?」
「違う、赤い塊殿だ。いいから!審判だ。
第三者同席者は資産院ワイプ、
天文院アズレン、生産院マレイン、中央院クロモ。
連絡を取ってくれ。」
「分かりました!!」
「簡易審判というのがあるのですよ。
宣言から始まる石の使い方ですね。資金受領でもあったでしょ?
で、その中で第三者に指名されれば強制ですね。
呼ばれたものは、さすが、ガイライ殿だ。彼らの発言で真意が測れる。」
「お前は呼ばれたのはそれか。常に何においても疑わしいからな。」
「ははは!そうですね。
しかし、簡易ごときでは真意は出ませんよ、わたしはね。
タフコーも彼の中での真意だ。
うまくできた話でしたよ。そう思い込まされている。
そうなるとどうしようもないですね。
誰が、どのように指示したかまでは、
大審判でも出ないでしょう。」
「じゃ、大きな石を使ったもの勝ち?」
「当然ですね。不思議ですか?あなたからすればそうかもしれませんが、
大きな石が使えるということは、金と権力があるということ。
それと同時に世間の目がある。
大きな石を使って真理を捻じ曲げればそれだけ反動は来ますね。」
「それすらも押さえる大きな石を使えば?」
「そうなるとそれは必然となる。」
「あー、そうなるのか。必要悪か。」
「しかし、それにはよほどの大きさですよ?砂漠石が小さくなる前、
原石の大きさでしょうね。」
「あー、それ。原石級か。なるほど。」
「それで?ワイプ?」
「ああ、アズレン、マレインは穏便に済まそうとしてました。
クロモは自分が軍部に依頼したことでの不祥事だ。
ラルトルガに確認まで取っていない。
まわって来た書類を捌くのが仕事ですからね。
そこを責められると役所勤めはつらいですがね。
なにせ、正式依頼だ。
ならば、そこで起こったことも正式に詮議しないといけません。」
「赤い塊の話は聞いていますよ?恐るべき石使いですね。
ルポイドの元首の病を治したとか。これはどこまでが本当か見ていないからわかりませんが、
ルカリアのライガー殿の安否確認の時に聞いていますよ。ええ、噂の範囲でね。
その力を目の当たりにすれば、なるほど、恐ろしい。
気が動転するのもわかりますね。」
「ワイプ殿がそうおっしゃるのでしたら、この若い副隊長、そうなるのも致し方がない。
それにつられた者たちも。ある意味、上官に従ったということですよ。」
「そうです!わたしたちは指示に従ったのです。」
「なるほど。そうなりますね。」
「ええ。」
「しかし、この場合の最高指揮官はガイライ殿です。
軍部のね。それに襲い掛かろうというのは暴挙としか言いようがない。
言い逃れもできない。
それに、他の9人は何もしなかった。彼らの方が胆力があったということ?
それはどうでしょうか。この中には新人が半数?腰が抜けていた?
それは彼らの名誉の為に違うと言えましょう。
たった一人の一時の指揮官に、疑問も思わず同調して、殺戮行為を行うのは、
軍部所属の人間としてありえない。気が動転するのもだ。
有事に際して、気が動転したからと、一般人に剣が向けることがあってはならない。
一般人ではない?それはこの際関係ないこと。
問題は、その時の指揮官の指示に疑問も思わず、
目の前人間に襲い掛かったということです。
それに従った者たちは、軍に不向きだ。
最高指揮官が目の前にいるにもかかわらずです。
それに剣を剥けること自体、その場で処分されても文句のつけようがないのに。
除名ですね。別の仕事探していただきたい。
タフコー副隊長もです。それでは指揮官にはなりえない。
彼にも除名を。ニバーセルの威信にかかわります。」
「・・・ガイライ殿に最高指揮官の力がなかったからなのでは?
この除隊処分になっていたものたちは、ガイライ殿とニック殿に辞めさせられた者たちだ。
それでも、軍部に戻ろうと努力したのでしょう。」
「それはおかしな話だ。だったら、軍部を訪ねればいい。
一度もそのようなことはないと報告は上がっていますよ。
何度も訪ね、門前払いを受けてのことならまた別ですがね。
それに、除隊処分を理由を知っているのですか?
手当清算の為、各自の除隊理由を把握していますが、
とてもとても。国民の為に軍部に戻りたいとは到底思えないし、
被害にあった国民から暴動がおこるでしょうね、軍部に戻したら。
謝罪もなにもしていませんし。
そんなことをすれば、彼らの一族すらも非難の的だ。
いま、一番困惑しているのは彼らの一族では?
ここで読み上げましょうか? 」
「・・・・結構だ。ではガイライ殿とニック殿の処分は無しと?」
「いえ?そんなことは誰も言っていないし、思ってもいない。
やはり問題でしょう。40人の処分が甘かったということ、
タフコー殿の力量を見抜けなかった。不測の事態が起きたとしてもです。
たまたま、赤い塊がいたから良かったようなものの、
出なければ、ボルタオネ、筆頭フック殿のご家族を手にかけているところだ。
この件も、先走ったとしか言えませんが?それも審議しますか?
言った、言わないという論議になり結局はお流れになるから、
時間の無駄ですがね。
石を使っての審判はあくまでも、錯乱した、副隊長の指示で
罪もない人を襲ったということだ。
ああ、ここで、罪もない人というのはガイライ殿とニック殿のことですよ?
名を出せば、審議なしで、極刑でもおかしくないということをお判りいただいていますか?
若者たちに次の仕事で、税金を納めてほしいという、
資産院なりの配慮です。」
「・・・。で?ガイライ殿たちは?」
「除名?除隊?降格?減給?
どうでしょうか?ガイライ殿とニック殿の実力は皆が知るところ。
へたに除隊となって他国に流れられても困るでしょう?
分隊として外に出ていってもらうのは?
隊長と副隊長の予算が浮きます。これは、素晴らしい!
ちょうど、タフトから買い上げたブラスだらけの土地の管理、
そのブラスの売上金を給与としてもらうのはどうでしょうか?
ピクトのブラス刈りの遠征も効率が悪い。
これも廃止の方向で申請しています。
どうしてもブラスを刈るということが鍛錬になるのでしたら自国内で十分。」
「ワ、ワイプ殿?」
「はい?」
[素晴らしい!!なんという提案なんだろうか!天文院は賛成です。」
「生産院も同じく。経費削減になるというのはさすが資産院です。」
「わたしは反対です!!そんな、そんなブラスだけしかない土地に、
2人を追いやるなど!!それこそニバーセルの名に傷が付きます!」
「しかし、クロモ殿?彼らはそのまま軍部です。分隊ですが。
自由が利くのですよ?あなたが頼みたかった、あの仕事やこの仕事も
依頼できるわけです。受けるかどうかは別ですが。」
「あ!そ、それは!しかし!!ガイライ殿!」
「いえ、さすがの采配。反論なぞ有りません。
タフコー以下40名と1名は除名処分。二度と軍部には登用しない。
そうなると他院でも同じでしょう。聞こえは悪いですからね。
残りの8名は新たなる指揮官のもと育っていくことでしょう。
わたしとニックは分隊で十分。有事の時は馳せ参じましょう。
ブラスの管理もお任せください。」
「では、承諾すると。」
「ああ、今ニックが不在ですが、一つだけ。
分隊隊長はニックでお願いしたい。やはり、わたしではまとめることはできないということでしょう。」
「わかりました。終了宣言は、クロモ殿、お願いしますよ。」
『宣言!本日、この時をもって、ガイライ、ニック両名は分隊所属。
分隊隊長はニック。拠点はブラスの森。活動資産はブラスの販売利益。
ブラスの権利は全て分隊に。
タフコー以下、41名は除名処分。今後一切の軍部活動に参加することはできない。
ただし、有事の強制参加は除外とする。
以上、終了宣言とする。』
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「へー。てか、その間、天秤院のひとは何してるの?意見は出さないの?」
「出しませんよ。虚偽がない限り。」
「おお、そうなんだ。嘘かどうかわかるんですね。」
「それは嘘だと言うか言わないかは分かりませんが。」
「あー。とりあえず、さすが師匠です!」
「当然です。」
「どこがだ!あの連中の処分はいいとして、ガイライとニックは分隊だぞ?
どこがいいんだ!!分隊なんて役立たずの集団なんだぞ?」
「いや、わたしも昨日はそう思たんだけどさ、本当に役立たずなら、分隊行きなんて、
ちょっと、なんていうの?窓際、肩たたき、んー、降格か、
罰みたいであれだけど、実際にニバーセルの上位だよ?
5本の指に入る。それが、国に縛られないで、軍なんだよ。
予算は、んー、ま、おいおい考えよう。わたしが出資してもいい。
他の人は、軍のことを知っている人は、そうやって憤慨するか、笑うかだ。
でもフタを開ければ、自由なんだよ。おいしいよ?」
「そうですよ?2人の望むように持っていたんですから。」
「師匠の評価も上がったよね?そこがさすがなんだよ。
おそらく、資産院に出入りしている軍部連中。
きっとなにかしら予算の面で優遇されてる、とかね。
どこかしらに話は言っているはず。
仲良しこよしというのは良くないんだよ。
資産院は公平でないとね。どんなところから文句を言われるかわからない。
そこで、きっぱり、予算の為ということを前提に軍部、
おそらく超高給取り2人を切り捨てたんだ。
仕事ができる男ワイプだ。それがわたしたちに師匠だ!」
「ふふん。当然。オート院長に説明するまで口もきいてもらえませんでしたけど。」
「あはははは!」
「オートもそんまま首にすればいいのに!」
「仕事ができる人間を切るほどオート君は愚かじゃないよ。
わたしにもすぐに礼を言いに来たでしょ?
わたしは師匠にもオート君にも喜んでもらえていい気分になったよ。
そういうところが丁寧だよね。直接お礼を言ってくれるところとか。
オート君を院長に据えた人もすごいよね。」
「そう思いますか?」
「うん。」
「中央院ですよ。見抜いてというより、言いなりになると思っての人事だと思います。
逆に見抜けなかったということでしょう。」
「おお!よかったね。できる人間で。」
「ええ。あの差し入れが良かったと思いますよ?」
「そう?それは良かった。」
「今回のも助かりました。また、王都に顔を出せば礼を言いに来るでしょう。」
「師匠の助けになるのなら、弟子はいつでもよろこんで用意しますよ? 」
「素晴らしい!!良い弟子たちを持って幸せですね。」
”たち”をわざと強調して言う師匠。
マティスのガルルル顔がかわいい。
ガイライが言っていた、師匠の独壇場とはどんなものだったのか、
次の日迎えに来たガイライに付いてきた師匠に聞いたのだ。
なんで付いてきたかというと、
半分なら、きっとガイライにご飯を食べてから行こうというだろうから。
もちろんそうなのだが、そこで師匠の演説を聞いたのだ。
ここは外れの空き家。
大きな食堂と台所を作った。
ガーデンパーティーもできる。
ガイライたちと別れた後、頑張ったのだ。
草原での話は金と銀の揃いの耳飾りをしている男たちに気を付けろいわれた。
似顔絵も3人で書いたようだが、うん。目は2つだね。わかった。
「しかし、すまなかったな、ワイプ。
討伐の話もそっちからだと思ったり、審判の流れも作ってもらって。」
ガイライが恐縮している。
「いえ、逆ならガイライ殿から聞いたと思うでしょう。
少しお互いが油断していたということですね。気を付けましょう。
2人が分隊というのは、悪いんですが、資産院の都合もありますね。
予算がねー、ちょっとねー、ああ、これは内緒の話ですよ。
ニバーセル自体が金を生むことをしないと。
コットワッツの砂漠石が無くなって、マトグラーサのみ。
輸出が減ってどうしようもない。」
「それは大変だーってことだけど、それだけ、ガイライとニックさんは高給取りなんだ。」
「お前がもらっている分もなくせばいいんじゃないのか?」
「それができればいいんですが。
勝手になくすこともできないんですよ。」
「お役所仕事はどこも一緒だね。」
「そうですか?モウの故郷の方が発展しているので、なにか画期的方法があると思っていたんですが。」
「一緒ですよ。不正とかそういうの含めて。
こっちのほうが、即断罪される分いいと思いますよ?
故郷はのらりくらりですから。」
「残念ですね。では、そういうことで、カップたちの貸し出しは手が空いていればいつでも。
ガイライ殿たちの新しい家ができたら呼んでください。」
「うん。夕食に呼びますね。」
「それは楽しみだ。では。」
「モウ?言いたくはないが、ワイプに対して甘くないですか?」
「そうだ!ガイライ!もっと言ってくれ!!」
「んー。師匠はやっぱり賢いんよ。それで、ニバーセル一働いているよ。
わたしは自分より働いている人が好きなんだ。」
「良し!ガイライ。ブラスの刈り取りと、炭づくりを始めよう。細工物もだ。
まずは拠点だ。ニックは?」
「ちょっと気になることを調べている。飯には戻るということだ。」
「じゃ、買った家を移築させよう。」
王都に移動し、王都のはずれ、街より外れている空き家が多い場所の館を買ったようだ。
皆が街の中心に家を持ちたがる。ここは静かだが、不便だということ。
人が少ないと糞尿の回収も、街なら月に2度あるが、ここでは1度か、2月まとめてくるとか。
大きなところにためればいいが、やはり臭いは漏れる。
王都なのに不人気な地域になってしまったらしい。
「結構大きな館だね。部屋もたくさんあるね。」
「もとは宿屋のようですね。
台所、厨房ですか?そこも大きいですし、浴室が付いています。
モウがなにかあるところからの改修のほうがいいと言ってましたから。」
「賢い!さすが我が息子!なんか要望ある?自分の部屋はレースのカーテン付けてほしいとか。」
「・・・。いえ。自分の部屋は自分で。」
「そうなの?遠慮しないでね。けど囲いしてないけど?」
「ああ、この一帯に人はもう住んでいません。
この範囲で見える館は全てどうしようとかまわない。」
「・・・もうお金がばんばん入ってこないから、無駄遣いはダメだよ?」
「ははは。いえ。開発するということなので、逆に撤去費をもらえますよ?
1棟、50リングです。
同じような形で、10棟ありますから。」
「でかした!!」
「何軒かもらっておくか?置く場所に困るわけではないし、
広い厨房も私も使いたい。」
「そうだね。サボテンの森の家を大きくしてもいいね。」
建物の改修は簡単だ。
建築当初にまず戻す。これで、大体はOKだ。
後は基礎ごと収納。と言っても、コンクリートの基礎ではない。
太い柱を1mほど埋めているだけ。地震はないんだな。
ニバーセルの分隊管理となったブラスの森はガイライしか知らない。
が、ピクトの森と隣接しいるのでそこ移動し、向かうことにする。
家ができてから、師匠のところにある荷物と、
買い取ったリグナを連れてくる算段だ。
リグナはガイライとにニックしか乗せないので、軍ではもて余すそうだ。
コクはどうするだろうかと聞いてみたが、
当分自由に。わたしの言霊が効いているみたいで、
駆けだし、意識をすれば誰にも認識できないみたい。
ボルタオネの森を廻っていくそうだ。
クジラ石を少し分けておく。虫の塊って。サナダムシ?
管理はマティスがすることになったので、お好きにしてください。
「・・・・煙い。」
「ブラスを燃やしているな。10人ほどか。」
最初に刈り取ったところで、野焼きというのだろうか、
どんどん刈り取っては燃やしている。
ニバーセルの軍が手を引いたから?
まさか竹炭?え?燃やすだけでできるの?それは知らなんだ。
「モウはどうやって作たんですか?」
「窯もどきを作って、燻製状態?結構固くていいのができたと思たんだけど、
こっちの方が簡単そうだね。」
「どうでしょうか?たぶん、モウのやり方の方がもちのいいものができますよ。
このやり方だと、炭は出来ますが、もろいのです。」
「くわしいね。」
「軍はなんでも広く浅くですよ?」
「マティス知ってた?」
「いや、まったく。」
「そうか、わたしの若いころだけか。マティスがいたころは豊富に砂漠石が使えたからな。
わたしのいたときもだが、知識として、というか、鍛錬の一つだな。」
「窯のタイプは?」
「もちろん、知ってますよ?」
「よかった。その窯で作ると煙が出るでしょ?それを冷やして液体を作りたいの。」
「?」
「ま、ダメもとで。」
「おい!お前たちは手伝いか?」
「いや、違う。ニバーセルのものだ。その向こうのブラスの森を管理することになった。
こっちではどうしているかと見に来たんだ。炭を作ってるのか?」
「そうよ!いま、炭が売れるんだ。刈るのに手間取るが、
燃やせば炭になるからな。しかし、ニバーセルはわざわざ管理するものを置くのか?
暇なんだな。」
「ははは!まさしく。飛ばされたんだよ。」
「ぶは!それはわるいな!燃やせば炭になるんだ、金にはなるぜ。」
「そのようだ。」
ガイライがニコニコとはなしをしている。
軍部隊長の顔と違うね。
しかし、煙い。
これで、炭ができるか甚だ疑問だ。
境界石をまたぎ、ニバーセルに。
王都からピクトまでうまい具合にブラスの森でつながっている。
分隊管理はタフトの領内だったところ。
鉄板を作り、波型に。
それを3M、地中に打込んだ。
それをブラスが生えている範囲ぐるっと一周。
これで、広がることはないし、ピクトから進出してくることもないだろう。
「結構広いね。この土地はもともと何だったの?」
「なにも。荒地でした。それが、いつの間にかブラスに。」
「そうか、だから手放したんだね。じゃ、家をたてようか?どこがいい?
真ん中あたりで?」
「あ、水が出るとこがいいですね。これは人を呼ばないと。」
「水!だったら、マティスだよ。マティスわかる?」
「さっきから探してはいるが。ああ。ここだな。
少しピクトよりか。ここを中心にブラスを刈ろう。それで家を建てよう。」
「いや、刈るだけじゃダメなんよ。根からなくさないと。で、その範囲も鉄板で覆うよ。
先にお願いして掘り起こすから。」
「そうか。」
『地よ、大地よ、その身に抱えるものを全て掘起こせ!』
この場合ブラスに話しかけるというのも筋違いのような気がしたのだ。
動物ドキュメンタリーで、どっちを主役にしてるかというもの。
シマウマならシマウマの赤ちゃんを狩るライオンをひどいと思うし、
ライオン一家が主役なら、やったよ母ちゃんと応援する。
人間はひどいもんだ。
ぼこぼこと根っこごとひっくり返る。
それを、根は切り落とし、葉も落とす。
それを粉々にして、間引いて伐採したブラスの根元にまく。
これで筍がおいしくなるとなんかでよんだ。ほんと、うるおぼえ。
残りはきれいに積んで乾燥。細い枝も同じ。
刈り取った分の半分をわたしの収納袋に。
便利だからね。
それを2人がやっている間に、家を設置。4階建てだ。
浴室が竹林向かうようにし、露天風呂と内湯を作る。
浴室というが、ただ、排水ができるようになっているだけ。それでも一から考えるより、
排水経路ができいている帆が手っ取り早い。
洗い場の床には竹を床板に加工したものを敷き詰める。
それだとぬめりや腐ってくるだろうから、間に砂漠石も棒状にしていれる。
これで、維持管理は大丈夫。
大きな砂漠石ガラスを取付、竹林が見えるように。
もちろん、外に出れば露天風呂有り。
海峡石で循環、24時間ぶろの出来上がりだ。
汚水、排水はコットワッツの管理地に飛ばそう。
毎日入るには豪華すぎるな。
各部屋にシャワーは付けておこうか。トイレと。
目が覚めたときすっきりしたいものね。
20室ある部屋を改造していく。ビジネスホテルより少し広いくらい?寝るだけだな。
3個一で。合計5室。師匠とかも止まるかもしれないから。
あとの5室は1つにぶち抜いて大広間に。お客さん用トイレも作ったよ。
あとは、地下にトレーニング場を作ればOKだ。
あ、屋上も作っておこう。そこはジャグジー。
レジャーホテルの完成だ。厨房はマティス担当だから。
ガーデンパーティーができるスペースも作ろう。お風呂と反対の方だな。
リグナの厩も作らなくては!!
「愛しい人?休憩しよう。月が昇ってかなり経つぞ?」
「え?もう?いつの間に。そういえばおなかすいたね。ニックさんは?」
「聞いてみよう。」
(ニック?どこだ?)
(マティス!いいところに。今呼ぼうとおもって、
石に酒を飲ましていたところだ)
(?飲むのか?)
(水より酒のほうがいいだろう?)
(いや、喜ぶのは水浴びだ)
(そうなのか?さっきまでバシャバシャしていたが、今静かだ。酔ったのか?)
(だろうな。出して、真水で拭いてやれ。用事は終わったんだな?)
(そうだ。荷物があるんだ。それを運んでほしい。これだけ大きいと俺では移動できない)
(それはかまわない。引っ越し荷物だろ?)
(いやそれは別だ。サイだよ。王都に納品になったものだ)
(草原の民?)
(そうだ。1頭1000だぞ?)
(500じゃなかったか?)
(そうだと聞いたがな。交渉するのも面倒だから1000で買った)
(気になることというのはそれ?ああ、詳しくこっちに来てからだ。
誰もいないんだな?荷物は抱えて、呼ぶぞ?)
(いいぞ!)
『ニックとニックが抱えし物、すべて来い!』
「おお!いいじゃないか!すごいな!」
「お疲れ様!ニックさん!あ!サイだ!!お土産?」
「ま、そうなるといいんだが。
銃弾の残留実験な?豚もボットも鳥も。ま、胸や、頭を狙えば即死だ。
が、すぐに血抜きしても、時間をおいても肉は食えない。
砂が肉に入り込む。」
「ルポイドの元首が足に撃たれたときは、血管に入り込んだだけだった!」
「そうだ、生きてるからだ。死んだと同時に肉に食い込む。違うな、外に出ようとするんだ。
これは、何頭かで実験したんだよ。サイは手に入らなかったからな。
それで、入荷した話を聞いたんでな。1頭、買って来たんだ。」
「さすが!ニックさんだ!!じゃ、今日は焼肉だね!!」
「それよ!それが食いたい!あの大蒜もな!」
それから、荷物を呼び寄せ、師匠たちも呼ぶ。
ツイミさんもだ。リグナも。スー兄たちとコクも。
カップ君たちは連日の肉、わたしたちもだが、問題は無い。
コットワッツ組はまた今度。
サイは捌いてみるが、見た目は分からない。
食べてジャリっというか言わないかだ。
ことごとくジャリです。
「・・・・ダメだな。やっぱり。」
「んー。撃った瞬間に死ぬでしょ?で、毛を燃やす。
その時間が短ければいいんじゃない?」
「銃で撃つ利点は遠く離れて撃てることだぞ?
近づいて火をつけるまでに砂が廻る。」
「そうか。これ、草原の民の人、食べてないのかな?」
「・・・食べただろう。だから、倍の値段で売ったんだ。
1頭はなんとか従来のやり方で倒したのかもしれないな。
その肉を食ったら、やはり高くても欲しがるだろ?うまいんだからな。」
「そんなことしたら2度と買わないよ?」
「だから、倍だ。20頭ほど持ってきたようだ。その1頭なんだよ。
顔なじみに餞別の代わりに寄こせと言ったんだがな、
金は払えと言われた。それが餞別だとよ。
食えないんじゃ意味ないよな?」
「んー。砂を除くよ?石使いがいればいいんじゃない?」
『肉の中の砂よ、すべてこの皿の上に来い!』
ザラザラと、お皿の上に山を作った。
どんだけ打込んでたんだ?へたくそ?
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「これで、大丈夫!」
「・・・それができるのはあなただけですよ?」
「ジャリっていうのは砂だってわかればいいんじゃないの?」
「その砂一粒をどけるの砂漠石を使うことになる。
それ、何粒?小隊を組んでサイ狩りに出たほうが安いですよ。」
「頼み方ですよ、師匠。
砂よ、来いでは1粒でも砂でしょ?
砂だって、え?俺?お前行く?じゃ、俺がって1粒だけだ。
今の言葉を石使いに言ってもらえれば、それこそ、小さい石で十分。
その時は砂漠石にお願いして、礼を言ってね。」
「お願いと礼ね。それができたていたら、石使いはもっとあらゆることが出来るでしょう。
あなたみたいにね。
それができないのが、石使いだと思いますよ。
しかし、そうですね。あと19頭分、おそらく次に会合前の集まりに食べるんでしょか?
いきなり味見無しで王族には出さないでしょう。
そのとき泣きついてくればそう教えてあげましょう。
それでもダメだと思いますよ?」
「そうかな?でも、なんで師匠のところに来るの?」
「この購入予算は資産院が出しています。で、これがダメなら、
他の物を買わないといけないでしょ?お金を取りに来ますよ。
この頃は王都内の店も現金払いか石払いですから。
まとめて後日払いが効かない。王都の財政が不安定なこと国民は知っているんですよ。
ああ、ニック殿、そのサイは1頭1500ですよ?
まさしく餞別ですね。」
「ええ?、そうか。泣きついてきたら、教えてやってくれ。」
「ええ、そうしましょう。」
「ニックさんが先に教えてあげれば?食べたんだけどっていって。」
「俺がその方法を知っているということがおかしいてことになる。
ワイプなら、食いものに関することだから、そうかもってなる。」
「さすが師匠です!今日は師匠の素晴らしいところばかり見せてもらってます!」
「そうでしょう、そうでしょ、ん?マティス君?」
「ああ、そうだな。愛しい人?今日はたくさん頑張ったんだな?」
「うん。ガイライも、マティスもね?ね?」
「ええ、母さん。ああ、母さん?眠いんですね?」
「そんなことはないよ。カップ君たち?食べてる?」
「もちろん!!このジャリ肉でもおいしいですよ?」
「いや、やめて!ツイミさんも!こっちを食べて!」
「愛しい人?酒もかなりのんだな?」
「うん?ちょっとだけ?」
「そうか。じゃ、帰ろうか?」
「ん?帰るの?マティスが言うのなら帰ろうか?
お風呂入ってね。いい出来なんだ。和風だよ。赤いけど。
なんか、あったら教えてね?
うん。眠いね。」
愛しい人はそのまま寝てしまう。
昨日はほとんど寝ていない。
ドーガーたちのことを気にしていたのだ。
家には戻ったが、結局、空き家のの改装をしていた。
彼女は寝ないとダメな体質だ。が、寝れなければ、鍛錬か、夜の鍛錬か、
彼女が言うゴソゴソ仕事だ。
昨日はゴソゴソ仕事だった。
「あとは片付けられるな?
風呂も入ってみてくれ。彼女の故郷の宿屋の風呂らしい。
使い勝手を教えてくれ。遠慮はするな。希望を言ってもらうほうがいいから。
私たちもあとで借りよう。」
「明日は?」
「テルマが来るのだろう?顔は出そう。
お前たちが分隊となったと聞けば、ワイプにのところに来るだろう。」
「そうですね。じゃ、呼びますよ。
石を見つけて捕まえれば呼んでもらえますから。」
「・・・水浴びをさせて磨いてやれ。」
「ええ、捕まえた後はそうしてますよ。ちょっとした訓練です。
急ぎの時はすぐに呼んでもらえてるようですし。
便利ですね。」
「感謝しろよ。」
「ええ。」
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「では、そのまま、馬車に?」
「ドーガーがそう判断したからな。わたしでもそうするだろう。」
「そうですね。では、モウが気にしていたのは?」
「わからんな。ドーガーが冷静な判断を下したことを驚いたのかもしれない。
モウとて、同じように判断するだろうがな。」
「そういうことですか。
テルマ殿はいつ頃付きますかね?」
「月が沈む前には大門だろうな。俊足馬だ。
出迎えは誰がするのやら。」
「中央院でしょう。そのまま香木の買い取り。
マーロ殿は中央院の護衛が付きます。問題なくたどり着くとは思いますがね。
糸は渡しておこうかと。」
「ああ、モウから預かっている。タフコーが使った糸だ。」
「これはトックス殿への土産ですね。
一度使われれば、呼び寄せ糸にならないんですよ。
糸としても性能はいいらしいですがね。」
「呼び寄せってこれだろ?この前もらった。」
「ええ。どこかに身に付けておいてください。」
「匂いもあるそうだぞ?」
「それがなんとも。妖精の匂いに近いんですよね?
香木の匂いとも。テルマ殿に聞いてみましょう。
匂いと糸の組み合わせでさらに強く操られるのかもしれませんし。」
「王都で使われたらどうにもならんな。」
「ええ。ボルタオネの報告は聞きましたが、皆が疑問に思っていない。
そのなかで、フック殿のご家族は抜け出せている。ボルタオネをね。
なにか特別なことをしていたのかどうか。
最初にマティスが連れてきた男は?」
「・・・ただの通りすがりのものだと。何事かと思ってみていたが、怖くなって逃げようとしたらしい。
中央院が身元を保証した。明日釈放だ。
ボルタオネに送るらしい。どうにもできん!」
「それはそれは。見舞金を出しましょうか。」
「請求されてないんだろ?ほっとけばいい。」
「いえいえ。そこはきっちりとね。」
「?」
「石、あの音石を入れておこうかと。」
「!!」
「結局あれはなんだ?モウの力ではないと。」
「ドルガナの内砂漠で出る石です。少し黒っぽいのが特徴で。
気配を消すのに石を使うでしょ?では逆もできるはずだと。
音を出す。音を覚える。というのがモウの考えです。
他の砂漠石ではダメですが。砂漠石のなかに空洞があるのが特徴で、
それが音を覚えるというのに必要のようですね。
いろいろね、試しはしましたよ?」
「発表は?」
「しませんよ!どれだけ諜報活動に役立つか!
だから、お二人も内緒ですよ?
で、黒っぽい砂漠石がでたら、交換してください。
さりげなくね。」
「マティスが使ったのはそれか?」
「そうですね。音石と月無し石でしょう。
モウも驚いていましたから。」
「マティスもたいがいだな。」
「そうですね。」
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