いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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483:尋問

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明日の準備をサクサク進めよう。
少し寒いからガーデンウォーマーもきちんと作る。
爺たちが多いから。

ウッドデッキを敷き詰めようか?
明日のお客の為にも、ちょっとおしゃれに。
アンブレラも用意しよう。
ここって傘がないから。形を説明してもわかったもらえなかった。
日差しがきついわけでもないけど、
葉がティーカップに落ちるのは避けたいからね。


木を伐採。乾燥、製材。
館の裏手で完成。

この作業はわたしだけがしている。
セサミンは横で見学。
絶賛されるのでますます張り切ってしまう。

マティスは、師匠から連絡がないから偵察。
笑いに行ってくるというが嘘です。
ガイライとニックさんも動員しています。


「兄さんはワイプ殿が心配なんですね。」
「そりゃもう。わたしが心配するからね。」
「ああ、そっちですか。」
「それもあるけど、やっぱり心配なんだよ。」
「そうでしょうね。」

食器も急遽、買いに行った。
ティースタンドも5台。これは銀製。
セサミンのセンスが光る。
テーブルも5台、椅子は20。
天秤院は10人といったが、20人は大丈夫。





「さ、こんなもんだね。
あとは何が足りない?なにが多い?」
「布の花はみな持って帰られたんですよね?」
「そうだね。よろしければどうぞというつもりが、
黙って持って帰るのは手癖悪いね。」
「我々を下に見ている証拠ですね。
ルカリ殿がお金を出してくれなければ、何もせずに帰っていきますよ。」
「だろうね。明日も来るかな?」
「半分から天秤院の方々が来ることは皆知るところでしょうね。
その前に来るか、同じ頃に来るか。
半分以降はその日、謁見前の晩餐会があるので、
準備のことも含めてこないでしょうね。軽い食事といったので、
天秤院が帰ったころに来るでしょうね。同席はしたくないだろうし、
月が沈んですぐには動かないですから。」
「暇なんだね。2日連続で?」
「いえ、別口で来ると考えたほうが。」
「天秤院が帰ったらすぐにまた撤収しよう。
こっちだっていろいろ忙しいんだからね。」

ティースタンドがあるから花はなしだ。


「戻った。」

マティスだけが戻ってきた。

「お帰りなさい。どうだった?」
「会議中だったそうだ。で、やはり面倒なので眠らせたと。」
「あははは!でも遅かったね?」
「全員眠らせただろ?隠密もいたからな。
ワイプがすべて起こして回らないといけない。
私とガイライ、ニックで、すべて拘束して、ワイプの前に連れていった。
取りのこしがないように、何度も見て回った。
それに手間取ったんだ。」
「それはお疲れ様です。師匠たちは?もう帰ってくる?」
「無理だな。面白いほど隠密が釣れた。尋問に時間がかかる。
それにガイライとニックが付き合っている。今日は戻れんな。」
「じゃ、差し入れ?
こっち帰ってきてからあったかいもののほうがいいかな?」
「・・・・尋問している横で食べるそうだ。
だから、うまい匂いがするものがいいと。」
「おお!えげつないね!ピザとチーズフォンデュはぴったりだ。
あとは、やっぱりお肉かな?岩石プレートで焼けばいい。
樽に入れるよ。持っていく?」
「取りに来る。」
「そう。じゃ、準備しとこうか。」
「おかしい!絶対におかしい!」
「兄さん、早く準備しましょう。明日の準備もありますし。
終われば、3人で屋上でゆっくりさせてもらいましょう。
ジャグジーで食べる塩アイスは格別ですから。」
「そうだね!今日はチョコソースもかけよう。
きっとおいしい。3人だけで贅沢しよう!」
「いいな!良し、準備しよう。」

2人だけ、もしくは3人だけというフレーズが大好き。
そしてまた師匠に自慢するのだろう。
かわいいな、ほんとに。


チュラル君とルビス君が取りに来た。
師匠もわかっているのだ、自分がとりにくるより、
この2人のほうがいいと。


「お疲れ、大変だね。
館全体じゃなくて、師匠のいる部屋に限定すればよかった。
すいませんって謝っといてね。」
「愛しい人が謝ることなんぞない!」
「ええ。ワイプ様、ホクホクですよ。一掃できたって。」
「どうやって隠密かそうでないか区別するのかな?」
「全員拘束した。だから時間がかかったんだ。
オートもツイミも、カップたちもだ。」
「うわ、それはひどい。で、尋問?」
「ええ。カップ兄は好きな子がいるかいないか聞かれてました。」
「ひでーな、それ。で。カップ君なんて?」
「気になる子はいてるそうです。」
「こっちが気になるよ!名前までは聞かなかったの?」
「そこまで、ワイプ様もひどくありませんよ!
でも、ガイライ殿とニック殿とで手合わせすることになってました。」
「それはいいね!お弁当つくって観戦しよう!
じゃ、これは2人にご褒美。もう一つは、お疲れってカップ君にね。」
「ありがとうございます!やった!ちょこ!」
「ワイプに取られるなよ!」
「もちろん。刺し違えても守ります!」
「いいぞ!さすがチュラルとルビスだ!」


さらにご機嫌だ。

新作シュークリームは数ある失敗の山を乗り越えてやっと。
生クリームとカスタード。
3人だけで、チョコ掛け。


お肉多めのピザと、甘味。太らないほうがおかしいメニュー。
ジャグジーに入りながらだから大丈夫、なはず。
汗かくし、ビール飲んでるけど。

「これも広めてもいいのですか?」
「いいよ。一緒につくったから作り方はセサミンが教えてあげてね。
明日来る人の中で、作れる人も出るかもしれないけど、
10人以上食べるから隠匿は無理だね。」
「冷やしているのは小さいですよね?どうして?」
「大きいとお上品なひとには不評だ。
ほれ、マティスも、セサミンもクリームが付いてる。」
「愛しい人もだ。」

ペロリと舐められた。

「ぎゃっ!!」
「その声もかわいいな。」
「そういうことは弟の前ではしないの!」
「ん?そうか?愛しい人は取ってくれないのか?」
「変態死すべし!」

ブラスで作った水鉄砲発射!

「ブフ!」
「なんですか!それ!」
「ポンプと同じような原理。こっちの方がもっと簡単。
ブラスと布でできる。シュッと吸いあげて、押して出す。やってみ?」


セサミンがまさしく子供のように遊んでる間に、
マティスの顔を拭いてあげる。
「はい、取れた。くふふふふふ。」
「楽しいのか?」
「もちろん。はい、これ、マティスの。で、これは的。」

隠匿、移動、気配消し無し。
ハンデはわたしが荷重5、マティスは10、セサミンは無しで。
頭に付けた薄い紙が破れるまで。替えは3枚。
ザ・サバイバルゲーム!!in屋上。
これで痩せるはず!


セサミンと組むも基本、マティスはわたしの位置を読む。
ならばわたしを囮に、セサミンに狙ってもらうが、1回で見破られる。

三つ巴になり、マティスと組み、マティスがセサミンと組む。これが最強だ。
結局、身体能力が一番なマティスが勝った。
次点セサミン、最下位はわたしだ。

「おかしい。これこそおかしい。」
「愛しい人は絶対的に対人戦が少ないからな。」
「それはセサミンも同じでしょ?」
「座学は習得してますよ?」
「対人戦に座学とは?」
「そうですね、心理戦といいますか、右に隠れていれば、次はどう出るかとか?」
「かー、勉強したくねー!!」
「実戦で十分だ。それはこれからでいい。さ、褒美はどうするか。」
「あ、じゃ、わたしは寝ます。おやすみなさい。」

セサミンはさっさと寝室に移動した。
いいけどさ!

「はいはい。なにをご希望ですか?」
「おいで。」
「ん。」
「このまま。」
「ん。」


寝室に移動して、そのままくっついて眠りました。
いっぱい、働いたからね。
明日も頑張ろうね。





─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘





(ワイプ!)
(ああ、よかった。ちょっと手伝ってくれません?人数が多すぎる)
(ガイライとニックは?いるか?)
(助かりますね)
(すぐ行く)

(ガイライ!ニック!)
(どうした?モウか?)
(いや、違う。ワイプの依頼で資産院の建物内の生き物をすべて眠らせた。
手に余るそうだ)
(なにをやってる?)
(知らん、先に行く。呼んでいいか?)
(もちろん)

ワイプの気配がある場所に移動すると、
目に見える全ての人間を拘束していた。オートもツイミもだ。

「なにをやってる?」
「いえ、いい機会なんで全員尋問しようかと。
わたしが目覚めろというまで、眠り、拘束したまま尋問すれば、
何でも話すと。」
 「そう決めたのだろ?」
「それ、忘れてもらうこと出来ますか?」

『忘れろと言われれば、聞かれたこと、答えたことは忘れろ』

「それだけでいいんですか?」
「大丈夫だ。」
「便利ですね。」
「多用はするな?愛しい人が心配する。」
「そうですね。ま、めったには。」
「ガイライとニックを呼ぶぞ?」
「ええ、この館にいるものすべて、ここに集めてください。
一人一人尋問していきます。」
「忘れさせた後どうするんだ?」
「ああ、また眠ってもらいましょう。で、気付けば翌日ということはよくあることです。」
「職員はいいだろうが、外部からの者は?
廊下に職員ではないものもいたぞ?」
「ああ、これ?」
「そうだ。」
「これは隠密ですよ。戻ってきてないなんて誰が聞いてきますか?」
「何をしていたんだ?」
「会議?」
「わからんのか?」
「なにやら内密な話があると、中央院の方々が見えましてね。
一番安全な部屋にと。で、あの部屋なんですが。
外部の様子が分からないんですよ。
その間になにかするつもりだったんでしょうかね。
カップたちは外で待機させてましたが、こちらが上手でしたね。」
「あまり危険なことはさすな。」
「ああ、何かあれば、あなたを呼ぶようにとはいってますから。」
「・・・。」
「急ぎましょう。とにかくこの部屋に。」

(ガイライ、ニック、呼ぶぞ?)
((おう))

『ガイライ、ニックここに!』

「なにやらかしたんだ?」



外部から人が入らないようにしてから、作業、本当に作業だ、
それを開始した。
でてくる、でてくる。
職員らしきものたちはいいが、あらゆる隙間にいる。
気配と、心音で探していく。
明らかに隠密と、職員とを分けていく。

私が調べ、ガイライが調べ、ニックが調べる。
それを3周。
その間に、ワイプはオートとツイミをはじめ職員すべてに尋問。
王族、中央院からなにを言われていますか?と聞いていた。
カップたちにもだ。
それをどうするつもり?あなたの考えは?

忘れさせ、また眠らす。
ツイミ、カップたちは尋問後、そのまま拘束を解いた。

「オートは?」
「彼はある意味非情で優秀だ。こんなことが出来ると知ったら、
また働かされるでしょ?内緒にしておきますよ。」

不憫だ。
だが、考えは素晴らしい。面倒なことはワイプにやらすのが一番だと答えた。

「ワイプ様ひどい!どうしてそんなこと聞くんですか!」
「いや、どうなのかな?と。雨の日が近いので、それなりに気を使ってるんですよ?」
「嘘だ!楽しんでるだけだ!」
「いえいえ。雨の日はここでも、地方でもどこで待機してもらってもいいですよ?
いないのなら、ここでいいですが、居るのなら、そこで家を構えたほうがいいでしょ?」
「!」
「せめて、半月前にはそこにいると相手に話しておかないとね。」
「さすがです!ワイプ様!!」
「カップ、騙されるな。そんなことは、ここで聞くような話ではないだろ?」
「あ!」
「あはははは!いえいえ、あなたは遠慮するから。
早めに言ってくださいよ?家は用意しますから。」
「はい!」

カップは単純だ。
やっと隠密とそうでないものとを分け終え、私は戻ることに。

「マティス?モウとセサミナ殿だけだろ?あとはやっておくから。」
「そうですね。申し訳ない。助かりました。
申し訳ないついで、なにか、食べるものが欲しいのですが。
匂いがいいものがいいですね。
今日の予定の物は?チーズの?」
「・・・それとピザだ。匂いはいいだろう。油で揚げた肉もある。
少ししたら取りに来い。」
「助かります。」


私は外のものだ。
これ以上関わることは愛しい人にとっても良くない。
ワイプがすればいい。
オートの考え方でいいんだ。
するべきものがする。
私や愛しい人がすることではない。


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘




「ワイプ!マティスとモウを使うな!」
「わかってますよ!今回はわたしの失敗です。
しかし、ここまでしてもらったら仕方がないでしょ!」
「そうだが、どうして、モウはこうもワイプに甘いんだ?」
「それは師匠だから?」
「わかった。手合わせしよう。」
「ええ、そうしましょう。で?そちらは?
収穫ありました?」
「ないと言えばないし、あると言えばある。」
「あるといいのは?」
「軍部はダメだ。」
「ああ。あなた方が抜ければね。そうなりますよ。
無傷で外に出れてよかったです。」
「そうなるな。ああ、そうだ。ワイプ、わたしたち2人を雇ってほしい。
護衛業は認められているからな。」
「そうですね。しかし誰を護衛する名目で?
セサミナ殿はダメですよ?院の者か、王族か貴族か。
わたしが雇うとなるとさらに範囲は狭い。ああ!オート院長!」
「そうだ。今回の騒動で不安を覚えたので、買出しに来ていた我らを雇ったと。
どちらかが付けばいい。もう片方はモウにつける。」
「そうしましょう。あ、わたしが雇う場合の料金は10リングです。
これ、モウもマティス君も同一料金なんで。」
「おかしいだろ!それで文句が出ないのか?」
「ええ。」
「なんで?」
「それは師匠だから?」
「良し、俺とも手合わせだ。」
「ええ。喜んで。」


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