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489:屋台
しおりを挟む「愛しい人?眠いだろう?
明日のことは明日準備すればいい。寝るか?」
「んー。差し入れ作ろうかなと。もちろん、お金はもらうよ?
商売をしよう!院の前でおいしい匂いを漂わすの。
そしたら、みんな、ゾロゾロと出てくる。
で、ラーメンを売る。1杯、1リング!
どんな高級食材使ってるんだってことだけどね。
王都だからね!高めで!出前代と深夜料金も入ってる。
それに、王都の人って銀貨持ってないんだって!
1コイン!50人前うれれば、50リングだよ!」
「いいな!早速準備しようか!」
「あとね、ちょい呑みセット!
仕事中にお酒飲むのはいいんっぽいよね?少しだけ?
じゃ、ビール1杯、あて3種盛り。
これも1リング。
もっと飲みたくなって、仕事バリバリ終わらそうとするに違いない!
仕事に貢献する!素晴らしい!わたしは無理だけど!」
「?」
「もっと飲みたくなって、仕事は終了する。強制的に!」
「なるほど。では、セサミナ様、我々はこれで。」
「マティス、モウ?護衛でしょ?。これ、どうにかしてからにしてください。」
「だって、斬り捨てはダメだって。ガイライ、外は?」
「囲いを作ってるのか?火攻めだな。」
「懲りないね~。じゃ、この人たちも?わぉ。」
「取引をいたしましょう。」
生産院副院長の方が言う。
それを言うのはこっちの方だ。馬鹿め。
「ドーガー?ガイライ?あとはお願いしていい?」
「「お任せください。」」
「セサミナ様?後はドーガーとガイライがしますから、
商売してきてもいいですか?」
「そうですね。護衛に頼むこともないですね。
命の危険はないのですから。
ラーメンか。わたしも食べたいですね。」
「お醤油?豚骨?」
「豚骨がいいです!マティス様のが一番おいしいですから!」
「そうか?それはうれしいな。ドーガーはちゃーしゅーをおまけしてやろう。」
「ずるい!わたしはお醤油がいいです。兄さんのところでしか食べれませんから。
おまけもほしい。」
「ははは!じゃ、ちゃーしゅーはみなおまけしような。」
「おい!いい加減にしろ!!」
今度は軍部隊長殿だ。
みながテーブルに着き、マティスは厨房へ。
「・・・それはこちらの言葉だ。
お前たちは不法に館にはいった侵入者だ。
斬り捨てて投げ出してもいい存在なんだぞ?
それをしないのは敷物のおかげだ。感謝しろ。
こうやって話している間に、詫びを入れそそくさと帰ればいいものを。
もちろん、外の連中も連れて帰れ。」
ガイライが応対してくれます。
「これは驚いた。今この状況を誰もわかっていないのか?
おい!そこのお前たち!説明してやれ。
お前たちの手筈が悪いからこうなったんだぞ?」
面識はあるんだ。
次はドーガーが頑張っています。
ガクブルの2人はまだ顔色が悪いままです。
「お前たちはこいつら雇われ働いているのか?
知っているだろう?掛け持ちは家業以外厳禁だ。
ああ、家業なのか?だったら、こちらの仕事を辞めてもらうしかないぞ。
一族すべてだ。
ルグさんの方もそのように動いている。」
館の中を総出で探していたんだ、
見つかれば、見つかったで大騒ぎだろう。
その中に、居ない従者。こちらに付いてきている2人の一族。
夜逃げ同然で領国を出ようとしていたところを押さえられている。
その報告は逐一入っているのだ。
マティスを中継しないといけないのがやはり不便だな。
「「・・・。」」
「選べ。ここで。家業に専念するか、セサミナ様にこれからも仕えるか。」
「・・・家の者たちは?」
「ルグさんが拘束はしているぞ。」
「!!」
「おいおい。とんだ役立たずだな。」
「うるさい!殺そうとしたくせに!」
「それはこちらは知らないことだ。」
「できたぞ!」
ええ。ラーメン作ってました。
ゆったりソファーは侵入者が占領しているので、
わたし達は大テーブルの方に座っています。
親方達が作った椅子とプカプカクッションの組み合わせ。
最高ですよ。
「ほれ、ガイライ、ドーガー、伸びちゃうから食べて。
わたしたちはあとでもらうから。
あんたたち2人もね。あったかいものたべて、
おなかも気持ちもあたためて膨らまそうね。」
「・・・話にならんな。間抜けが。
このまま焼け死ねばいい。」
立上り扉に向かう。
みながが食べ始めたので、わたしが問答をしようか?
「我が息子が話したように、
誤解や間違いがあるようなことはすぐに訂正しておこうか?
そうだ。これは我が家の家訓だ。
わたしの母もそういっていた。
自分に降りかかることだけだがな。
でだ。なにが誤解で間違いなのか。
焼け死ぬのはお前たちで、間抜けもおまえたちだということだ。
わたしのことは知っているだろう?
赤い塊という一族のものだ。
お前たち王都が欲しがっている石使い赤い塊はわたしの曾祖父だな。
わたしもそれなりに石は使える。一族内ではいまいちだったがな。
ところ変われば品変わるという奴だ。
この人数なら、移動もできよう。
お前たちが館から出てから火をつけるのか?
それとも中から火をつけるのか?
試しはしたのだろう?でもつかない。
で、荷も運び出せないし、何人かの服は破けたか?
お前たちは?ただ見ていただけか?
荷を先に見たい、売ってほしいというなら、そういえばいい。
先ほど面白い言葉を発したな?
取引しよう?なにをだ?
命乞いか?
それをするのはお前たちで、それを聞く聞かないの決定権は、
セサミナ様にある。」
「あははははは!!
おまえが、赤い塊モウか?ずいぶんとおしゃべりなんだな?」
またしてもいらぬ設定が追加されてしまった。
ここで始末するのが吉か?
いや、いかん、いかん。
「それしか認識できないか?
しかも、その認識は間違っている。
懇切丁寧に説明をしてあげているんだ。
お前たちはどうやって館から出るんだ?
さっさと出ていけばいい。で、火をつけるのか?まぁ、頑張れ?」
扉をがたがた動かすが動かない。
「・・・開かない。」
「それはそうだろ?なぜに、侵入者を見逃すとおもうんだ?」
「は!移動ができるのがお前たちだけだと思うなよ!」
移動ができるのがセサミンや赤い塊だけってことになるのはよろしくないと思っていた。
石を大量に使えばできるだろうと、ニックさんも言っていたし。
ものは動かせるんだ。それが人となるだけ。
ただ、固定概念が強い。
この世界は特に。
石使いだからできるという考え方、大きな石を使うからできるという常識。
「では、2人とも石使いか?」
「いまごろ気付いても遅い!」
「この大陸の石使いが移動するのを見たことはないんだ。
見せてくれ。この館から出ていくのをな。それから火をつけるのだろう?
それを見終わってから商売にいこうか。」
懐からのこぶし大の砂漠石を取り出す。
その石の大きさでできるのならすごく優秀なんじゃない?
『移動石ここに。』
・・・その石で大きな石を呼ぶのか。
なんというか。
かなり大きな石だ。
10kgのお米ぐらい。
「あれ、おいくら万円?」
「金額ですね?一万?いや、今はその3倍以上。
あの大きさなら、3万と考えればいいかと。」
「石を売るのはいまが売り時?」
「これからどんどん値が上がると思いますよ?」
「いや、今だね。あれぐらいの石を20個うれば、60万リングだ。」
「まとめて売れるのなら、20個でも100万行くのでは?」
2人がなにかを叫んでいるが、
なにも起きない。そりゃそうだ。
わたしは何もしていないよ?石がこっちに来るのは許せるのだろう。
が、火をつけようとした2人を鶏館が許すわけがない。
1200年以上前の建物だ。
国宝級だよ?言霊、付喪神。
感謝、感謝。
『我らを外に。』
「ダメだ。動かない。わたしが!」
『移動石よ、私クラサとミノラを館の外に移動するのだ』
「移動石ってそういうものなん?」
「はじめて聞きますね。ガイライ殿は?」
「聞いた話では、あの石の大きさで移動が成功したとか。
持ち歩くわけにもいかないほどの大きさなので、2段構えに。」
「緊急時には使えないね。」
「そうなりますね。」
「切っ掛けはやはり、赤い塊が移動できると。
どれほどの石を使えばいいかと実験したそうです。
結果、石使いのみあの大きさで移動ができると、報告が上がっていました。」
「すごいね。やってみようと思っただけすごいと思うよ。
でも、気を付けないとね。うん。この方向に行ったことに感謝するよ。
んじゃ、みんなここを離れようか?
セサミンとドーガーは新人2人とお話もしたいでしょ?
ガイライはわるいけど、そとの10人の相手してくれる?」
「「「承知。」」」
気を付けないといけないな。
切っ掛けがあれば、驚く速さでものにしていく。
石使いで、あの大きさだという、ある意味正当、
ある意味間違いな方向だったからいいようなものの、
石使わなくてもできる?なんて気付いたら終わりだ。
いや、気付かない、気付けない。
もちろん、わたしも認めない。
わたしがルールを決めるわけではないけれど、わたしが最初にそう決めた。
ここは最初に決めたルールが適用される。
石無しの移動はわたしが認めた者たちだけ。
石を使う移動はかなりの石を使うということでいいだろう。
コットワッツ組を屋上に。
ガイライは外に。
この侵入者2人は移動はしてもらおうか。
ただし天秤院だ。爺の話では、誰かが必ずいるという。
仲裁、揉め事、24時間ではないけれど常に受け付けているとか。
暗い部屋、バチバチと火が上がる音、これは古竹を避けるときの音を
音石に覚えてもらって、ランダムに再生。
竹炭の不完全な年燃焼時に出る煙もだそうか。
その部屋で、のたうち回ればい。
騒ぎに駆けつけた天秤院の方々になにをしていたか突っ込まれればいい。
明日の会合でこの2人が出てくれば、天秤院もその程度だ。
そとの連中の処理もガイライがしてくれる。
火をつけたものとして、捕まえるもよし。
見どころがあるなら、再教育だ。
「どうした?モウちゃん?」
「ニックさんお疲れ様。うん。商売に来たの。」
資産院の前にマティスと移動。
簡単にテーブルと丸椅子を並べる。屋台だね。
ごそごそしてたら、ニックさんが出てきた。
念のため、今日はここに詰めるということらしい。
襲撃のことも、今回で取りやめとなった。
昔はもっと華やかで、拍手と歓声が上がったらしいが、
いつの間にか、静かに、しゃべってはいけないという決まりができたらしい。
それでも、腕を見せるにはいい機会だったそうだ。
が、銃が出てきてはまさに襲撃となる。
殺す目的ではないのだからということだ。
それを、中央院、武具管理部は当然反発。
実際にコットワッツは襲撃を防いだのだから問題ないだろうと。
馬鹿だね、盾と鉾の話になる。
それを指摘したのは天秤の爺たちだ。
「あの布で防げるのなら、銃の威力なぞ知れているのでは?」
「そんなことはない。たまたまだ。銃の威力はこれから必要になるもの。
サイとて、一撃で倒す威力があるのですよ?」
と、中央院。
「だったら、銃での襲撃は今後中止だな。
たまたま防げたからいいようなものの、そうでなければ、コットワッツ一行、
お呼びその周辺にいたものは死んでいるということだろ?
威力のない銃を見せる必要もないし、強い武器というなら尚更、
このような襲撃披露に使うものでもない。
尚且つ、武器が銃、主流となるのなら、襲撃披露ももはや意味はない。」
「・・・・。」
「今後中止でよろしいのでは?銃以外の武のお披露目というのなら、
武の大会等を毎年行なえばいい。」
「へー。それはそれは。」
「だろ?で、我らがオート様だけが猛反発だ。」
「え?なんで?」
「そんな予算どこにあるんだってことだな。」
「おお。」
「ま、襲撃は中止。武の大会は検討事項ということになった。」
「ちゃんと考えて行えば収益は出るはずだよね。」
「そうか?思いつかないけどな。で?
これは?」
「そうそう。みんなおなかすいてるでしょ?
ラーメン屋さん。1杯1リング。ちょいのみセットもあるよ?ニックさんどうですか?」
「いいな!ちょっとまってろ。オートたちに声かけてくる。」
「どっち?ラーメンとちょい呑み?」
「両方!」
ちょい呑みはキンキンに冷えた竹ジョッキにビール。
おつまみは、コリコリのマヨ赤粉添えとワサビ和え、だし巻き卵だ。
追加1リングで岩塩皿の刺身3種盛り、焼き鳥5種盛り、焼肉セットもある。
さらご飯はサービスだ。
もうすぐ月が沈むというのに、まだまだお仕事の資産院。
ゾンビのように、ゾロゾロ出てくる。
「モウ殿!!」
オート君が悲壮な顔で出てきた。
ツイミさんも師匠もだ。
「お疲れ様です。
ラーメン1リング、ちょい呑み1リング。
しっかり食べて、頑張ってくださいね?」
「ああ、素晴らしい!
モウ殿、助かります。
あの甘味も素晴らしい。そして今回のこれ!噂のラーメン!」
「うん。いいから、食べて?」
「ええ。」
「もうひと踏ん張りですよ!」
「師匠?お疲れ様です。
眠らせたことが影響してますね。申し訳ないです。」
「それをさせたのはワイプだ!ワイプが悪い!」
「いや、そうなんですけどね。
今回の会合はちょっと大変なんですよ。
甘味とこれがなければ死んでましたね。」
「なに!もう食うな!」
「もう、食べましたよ。オート院長、ここで決算してください。
おわれば、食べれるとしたほうが速いでしょう。
ツイミ?そのように伝達を。カップたちも順番に食べるように伝ててください。」
「わかりました。」
「カップ君たちも、帳簿つくってるの?」
「作ってる職員に付いていますね。いろいろありましたから。」
「あー、なるほど。」
ツイミさんが連絡したのか、
1人、1人出てきて、オート君と師匠の前に。
OKもらったら、ラーメン、酒盛りコースに。
ニックさんは一人豪勢に飲んでる。
結局、収納ではなく、目の前で作っているのだ。
その方が匂いが漂うから。
やり直しもある。
その人には竹カップにコーヒーを入れて、
フタにクッキーを乗せる。
「ガンバ!」
「・・・がんば、がんば。」
呪文のように建物の中に入っていく。ちょっと怖かった。
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