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499:休憩時間
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大きな箱の上。
大人の背丈よりもさらに倍ほどだ。
だから、売り物を並べている人たちを見下ろしている。
「おなかがすくと思うから、これ食べててね。
ん?そういえばトイレってどこ?」
「といれ?」
「愛しい人、適当だ。」
「うーわー。それだけはダメだわ。」
旦那と話し込んでしまった。
「ソヤ、便所に行きたかったら、気にせずに行け。」
旦那、マティスに言われた。
そんなことまで心配するのか?このねーちゃんは?
子供じゃないんだから。
「じゃ、これね。温かいおしぼり、ここに入れてるから。
戻ってきたら手をこれで拭いて、使ったものはこの籠に。
新しいものはたくさんあるから、トイレ、便所に行った後に手を拭いたものは
使わない。いい?なんでか?
んー、お尻吹いた葉っぱと同じぐらい汚いって思ってて?」
「うげー、そうなの?」
「そうなの。」
「そうなのか?」
「そうでしょ?」
また旦那と話し込む。
「じゃ、ソヤ。お願いね。
もしよかったら、あのお醤油、黒水?
名前は後で決めよう。それね。
どういう風に作ったか、紙に書いといてくれる?
文字でも絵でも。紙と鉛筆。
ああ、イスナペンと消しゴム。これね。書いて消せるんよ?
消しかすはこっちのゴミ箱に。」
「モウ様!マティス様!始まりそうです!」
「わかった!」
下から若い男が声を掛けた。
セサミナのお傍付きだという男だ。次席?
あれの上がいるということだ。そうだろうな。
マティスが、トンと、降りると、ねーちゃんは、
「あ!見てて!」
「キャット空中三回転!」
上に高く上がり、くるくると回転して着地した。
「おお!すげぇ!!」
「ん!私も!」
「いいから!じゃ、お願いしまーす!」
マティスも同じようにしたそうだったが、無理矢理引っ張られていった。
「なにから食べようか。」
並べられたものはどれもうまそう。
しかもまだ暖かい。
座っている敷物はうわふわしている。
俺、ここに住みたい。
一通り食べ終わり、用を足して、手を拭いて、
うわ、あったかいんだ。
これはこっち。もう一枚で顔を拭く。
うわー、さっぱり。体吹こうか?いや、寒いか。
見えるところは拭いた。
真っ黒だ。
なるほどな。これも、こっちの籠。
黒水の作り方か。
これ、教えたらだれでも作れるんじゃないか?
そしたら、俺はいらんよな?
忘れないうちに書いとくのはいいけど、これを取られたダメだ。
もし教えろっていっても、そうだ、
目の前にこれの対価を出してもらうんだ。
騙されちゃいけない。
文字も、俺だけが分かる文字で書けばいい。
廻りが騒がしくなった。
箱の真ん中にいれば、廻りからは見えないはず。
しかし、俺は見張りだ。
こっそり、縁まで行って下を見ることにした。
「おい、と、取れない。くっつく!!」
「うわ!なんだ!!た、助けてくれ!あ、取れた。」
何やってるんだ?
男たちが、箱を触って、助けてくれという。
間抜けか?
しかもその助けてくれって言うのは心底言わないといけないようだ。
ねーちゃんが言ってたな。
あと、カーチャンごめんなさい?もうしません?
・・・あまり人前では言いたくない言葉だ。
が、次々、同じような言葉を泣きながら言っている男たち。
触らなければいいのに。
見ていた人たちも、面白がって、ペタペタ触る。
なにも起きない。
当たり前だ。だったら、ここにいる俺はずっと謝んなきゃいけない。
最初に泣きを入れた男たちが、今度は斧を持ってきた。
それはダメだ。
「おい!やめろ!これはコットワッツ領の荷物だ!!」
「な?見張り?は!!子供か!!うるさい!」
「やめろ!!」
ガツンと斧を振り下ろす。
どうする!呼ぶか?
あはははは!!斧が!斧が!!
くっ付いた。
しかも取れない。
あはははは!!!
そこからは腹を抱えて笑った。
まずここまで登れない。梯子を持ってきても、
あとすこしというところで倒れる。
飛び移ることもできない。
かなりの人数で持ち上げようとしても、
馬に引かそうとしてもびくとも動かない。
いつの間にか人だかりができて、頑張れという声も上がってる。
祭りのようだ。あはははは!
「おい!火を持ってこい!!」
火!それこそダメだ!何もかも燃える!
「やめろ!!」
「うるさい!お前も焼け死ね!!」
「あ、あ、あ、あ、あダメ!ダメ!」
ぱちぱちという音と、煙が上がってくる。
よ、呼ばないと!
「わ、わがな、わがな、は!」
しっかりしろ!!大きい声で!
「我が名はソヤ!
我が声に応えろ!いでよ!モウ!マティス!」
ドーンという音、地響き、煙もさらに上がる。
「愛しい人!煙が先にある場合はこれはダメだな。」
「げっほ!ほんとダメ!」
『風よ!煙を火をつけろと命令した人のお布団の中に持っていって!げっほ!』
「愛しい人はいつも楽しいことを考えるな!」
「当然!さ、ポーズを決めないと!」
「するのか?」
「もちろん!!」
「「トウ!!!」」
2人であの回転着地を見せ、
なにか奇妙な格好をしている。え?
「お召しにより参上!!
我が名はモウ!」
「我が名はマティス!」
「「2人あわせて!護衛赤い塊!!」」
正面にセサミナが満面の笑みで拍手をしている。
横のお傍付きもだ。
「姉さん!兄さん!素敵です!!」
「モウ様!マティス様!次はわたしもします!!!」
廻りもつられて拍手している。
え?そういう祭りだったのか?
ねーちゃんはそれから飛んだり跳ねたり。
旦那も同じように飛んでいる。
極めつけはお傍付きの若いのだ。
「きゃーーー!!!」
からだがくねるのだ。指が離れ、骨がない。
そして不安定な立ち方。
言いたくない、言いたくないけど
かっこいい!!!
一番多い拍手をもらっている。
「最後はドーガーに持っていかれた!!なんたること!
ここは青いアヒルを披露しなければ!!」
「ね、姉さん!それはご勘弁を!」
「そうだ、愛しい人!あれは商売だろ?ここで金は集められない。」
「む、そうか、そうだね。
もう!ドーガーの一人勝ちだね!はい!あーん!!」
「ん!!!!アザーッス!!」
あ!あれだ!あれを食べたんだ!!
「ソヤ!ありがとう!呼んでくれて!
火は付かないけど煙臭くなるし、廻りに迷惑だからね。
はい!あーん!」
「ん!!!!」
なかになんか入ってる!なに?見たいけど!溶けるーーー!!
4人が、トンと上に上がってきた。
セサミナと若い、ドーガーはマティスが抱えていたが。
「今休憩なんだ。何があった?」
くっ付くいて引っ張って祭りになったこと、
火をつけられたから呼んだと答えた。
「うん、うん。えらいね。
それで十分だ。」
「おい!!降りてこい!!」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・わたしが。」
ドーガーが下に降りた。
今?皆でお茶を飲んでいる。
少し寒いと言ったら、おこたという物を出して来た。
どこから?それに関しては何も言ってはいけない気がした。
5人だから、ねーちゃんを抱えるようにマティスが座っている。
他の2人は何も言わない。これが普通のようだった。
これも何も言ってはいけないようだ。
力関係で言う一番低いドーガーが下りていった。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「なんでしょうか?」
「誰だ?」
「ん?コットワッツ領国ドーガーだ。そちらは?」
「わ、わたしは、タフト領国 イネーという。」
「何用ですか?」
「この荷をどけていただきたい。」
「どうして?」
「邪魔だ!」
「ん?この場所はコットワッツに割り当てられた場所だ。
邪魔というのはおかしいぞ?」
「はみ出しているだろう?」
「どこ?あ!」
確かに。小指の爪ほどはみ出している。
しまった!
「これは申し訳ない!すぐにどかしましょう。」
そういうと笑いが起きた。
なぜ?
「はは!さっきまで皆がこの荷をどけようと馬まで出していたんだ。
なのにびくとも動かなかたんだぞ?
解体できるんだろ?ばらしてどかせろ!」
「そんな!ちょっと言っていただければどかしましたのに。
では、この刺さってる斧や、火をつけたのはそちら?」
「!それは違う!」
「この斧は?タフト領国の印に見えますが?こちらで処分しても?
わ!これ金?こっちが銀だ!」
これ一本でいくらするんだろう?
「これ?さっき騒ぎを起こしていた盗賊?の物でしょうか?」
「・・・そうだろうな。」
「では返さなくていいですね。マティス様!!これ見てください!!」
これはマティス様が喜びそうだ。
「どうした?」
あ、声だけ。こたつでモウ様を抱えているものな。
「モウ様が喜びそうな装飾ですよ!」
「どれ?」
「うわ!」
すぐに下りてきた。
「ほう!象嵌か。きれいだな。お前の父上が得意そうだな。」
「あ!ほんとですね。」
「良いものを見た。集めて処分しておけ。
興味本位で触った輩がけがをするぞ。」
「わかりました。
タフトの印がついてるけど、こちらのタフトの方々の物ではないようなので、
捨ててしまいましょう。」
「タフト?ああ、街道でお会いしましたか?」
「剣のマティス!殿!」
「なんだ!お知り合いでしたか!」
「いや、街道でな。で?なんだったんだ?」
「ああ、ほら!決められた場所からはみ出てるんですよ!」
「ん?ああ、これはダメだな。
おい!箱を動かすぞ!こぼれ物だけ持ち上げとけ!」
「あーい。」
上からモウ様の声が聞こえる。
こたつから出ないんだ。
「ドーガーはそっちを動かしてくれ。私はこっちを。」
「わかりました。」
(移動だ。浮かして、動かせ。自分で持ち上げるようにな。傾けるな)
(はい)
「よっ。」
少し上。で、そのまま。
「どうだ?」
「大丈夫です。」
「丁寧にな。」
「はい。」
「あはははは!!チキチンコンコン!!チキチンコンコン!!」
上でモウ様が喜んでる。なんだろ?
「戻るぞ。これに入れておけばいい。後はやっとけ。」
「はい。」
当然、マティス様は戻る。
塩袋と呼んでいる大きな袋を渡された。
あの自然に出す様を練習しなければ。
「えーと、これでよろしいですね。
どうもすいませんでした。」
斧や剣を集めていこう。
点でくっついてる。取れるのか?
あ、取れた。
「待て!!」
「はい?」
「それはどうするんだ?」
「危ないので、この袋に入れて処分しますよ。」
「こちらでやっておこう。」
「いえいえ、そんなお手数かけられませんよ。」
「いいから!」
「ドーガー!」
あ、モウ様が下りてきた。
ちょっと!その降り方かっこいい!!
『お気遣いありがとうございます。処分もこちらでしますので。
境界からはみ出ていることもご親切にお教えくださいまして、
ありがとうございます。どうぞ、短き休憩時間ですので。
我らのことはお構いなく。』
(戻るよ!)
(あ、はい)
『では、失礼いたします。』
モウ様が塩袋を抱えて、私の腰に手をやる。
トンと、空を飛ぶように上に。
移動?すごい。
膝の反動無しで飛び上がった。
「はい、お疲れ。」
「これ、返してほしかったでしょうね。」
「わかってるよ。うちの荷物に傷つけようとして、
その上、火をつけて、ソヤにも焼け死ねっていたんだよ?
ダメだね。」
当然ですね。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
石が騒ぐ前にソヤの声が聞こえる。
そうか、呼べと契約した形になるのだろう。
「マティス行くよ!」
「おう!」
「え?外?ドーガー行こう!」
「はい!」
音と煙。
これを出しつつ、コンテナの上に移動。
あれ?煙い。けっほ!!
失敗?
「愛しい人!煙が先にある場合はこれはダメだな。」
「げっほ!ほんとダメ!」
なんたること。
かっこよく登場したのに!!
とりあえず、決めポーズを決めてみた。
いいんじゃない?
セサミンとドーガー、かなりのギャラリーから拍手をもらう。
なんでこんなにいるの?
「いいぞ!もっと飛んで!!」
ギャラリーからリクエストだ。
服がいつも以上に動きやすいので、ちょっとした曲芸もお手の物。
マティスと2人。
バク転、バク中、ムーンサルト。
あ、ドーガーも身体手品を披露し始めた。
大歓声だ。
で、ジョジョ立ち。悔しー!!
これに勝つには青いアヒルしかないのに、マティスとセサミンに止められた。
そうだね、護衛がこれでおひねりもらったらダメだな。
ドーガーの芸に満足したギャラリーが、帰っていく。
見本市手伝いの待機組だね。
ドーガーにプニカのホワイトチョコ掛けを一つ。
見張りをしてくれていたソヤにも。
「どう?なにか足りないものある?」
「ここに住みたいぐらいなんだけど、ちょと寒いかな?」
「あ!それは悪いことしたね。おこただそう。」
「はー、あったかいですね。再開したら、
気合を入れて出なくては。」
セサミンがお茶を飲みながらまったりしている。
わたしもだ。5人なので、マティスのまたぐらに座っている。
足も背中も温い。
ポリポリ食べれるおやつを出しておこう。
なにかあったかを一通り聞く。
「何がしたいんだ?」
「荷が欲しいんでしょうね。」
「どこの人だろ?」
「おい!!降りてこい!!」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・わたしが。」
誰もおこたから出ないが、ドーガーがセサミンのにらみで降りていった。
「あの声だよ。斧使ったり火をつけたのは。
俺にも焼け死ねって。」
「ふーん。それはよろしくないね。
煙の処理をしている間に隠れた人たちだよね?
この箱は煙くなると思うけど、これは燃えないし、熱くもならないからね。
怖い思いもさせたね。」
「ううん。呼んだら来てくれたから大丈夫。かっこよかったよ?」
「そう?うふふふふ。よかったね、マティス。」
「練習したかいがあったな。」
「あ、練習したんですね。」
「そりゃそうだよ。3人バージョンもあるから。
セサミンも今度一緒にやろうね。」
「・・・・あはははは。」
わたしが喜びそうだという声で、マティスが下に行き、
なんだかわかんないけど、箱を動かすという。
ふっという浮遊感と、動いている感覚。
昔、布団に寝ている状態で、移動してもらった時ようだ。
その時なぜか母は、チキチンコンコン、チキチンコンコンといっていた。
「あはははは!!チキチンコンコン!!チキチンコンコン!!」
抱きかかえられての移動ではない。
この感覚が好きだ。
「どうした?」
マティスが戻ってきた。
「この感じがすきなんだ。今度、お布団ごと動かして?」
「ん?たのしいのか?」
「うん。楽しい。」
「そうか。」
「で、下は?」
何やら、決められた位置からはみ出していたようだ。
ん?そんな線なかったよ?後で引いたのか?いいけど。
ちょっと、下の会話に意識を向ければ声が聞こえる。
ん?武器ね。返すわけないだろ?
没収だ。
大人の背丈よりもさらに倍ほどだ。
だから、売り物を並べている人たちを見下ろしている。
「おなかがすくと思うから、これ食べててね。
ん?そういえばトイレってどこ?」
「といれ?」
「愛しい人、適当だ。」
「うーわー。それだけはダメだわ。」
旦那と話し込んでしまった。
「ソヤ、便所に行きたかったら、気にせずに行け。」
旦那、マティスに言われた。
そんなことまで心配するのか?このねーちゃんは?
子供じゃないんだから。
「じゃ、これね。温かいおしぼり、ここに入れてるから。
戻ってきたら手をこれで拭いて、使ったものはこの籠に。
新しいものはたくさんあるから、トイレ、便所に行った後に手を拭いたものは
使わない。いい?なんでか?
んー、お尻吹いた葉っぱと同じぐらい汚いって思ってて?」
「うげー、そうなの?」
「そうなの。」
「そうなのか?」
「そうでしょ?」
また旦那と話し込む。
「じゃ、ソヤ。お願いね。
もしよかったら、あのお醤油、黒水?
名前は後で決めよう。それね。
どういう風に作ったか、紙に書いといてくれる?
文字でも絵でも。紙と鉛筆。
ああ、イスナペンと消しゴム。これね。書いて消せるんよ?
消しかすはこっちのゴミ箱に。」
「モウ様!マティス様!始まりそうです!」
「わかった!」
下から若い男が声を掛けた。
セサミナのお傍付きだという男だ。次席?
あれの上がいるということだ。そうだろうな。
マティスが、トンと、降りると、ねーちゃんは、
「あ!見てて!」
「キャット空中三回転!」
上に高く上がり、くるくると回転して着地した。
「おお!すげぇ!!」
「ん!私も!」
「いいから!じゃ、お願いしまーす!」
マティスも同じようにしたそうだったが、無理矢理引っ張られていった。
「なにから食べようか。」
並べられたものはどれもうまそう。
しかもまだ暖かい。
座っている敷物はうわふわしている。
俺、ここに住みたい。
一通り食べ終わり、用を足して、手を拭いて、
うわ、あったかいんだ。
これはこっち。もう一枚で顔を拭く。
うわー、さっぱり。体吹こうか?いや、寒いか。
見えるところは拭いた。
真っ黒だ。
なるほどな。これも、こっちの籠。
黒水の作り方か。
これ、教えたらだれでも作れるんじゃないか?
そしたら、俺はいらんよな?
忘れないうちに書いとくのはいいけど、これを取られたダメだ。
もし教えろっていっても、そうだ、
目の前にこれの対価を出してもらうんだ。
騙されちゃいけない。
文字も、俺だけが分かる文字で書けばいい。
廻りが騒がしくなった。
箱の真ん中にいれば、廻りからは見えないはず。
しかし、俺は見張りだ。
こっそり、縁まで行って下を見ることにした。
「おい、と、取れない。くっつく!!」
「うわ!なんだ!!た、助けてくれ!あ、取れた。」
何やってるんだ?
男たちが、箱を触って、助けてくれという。
間抜けか?
しかもその助けてくれって言うのは心底言わないといけないようだ。
ねーちゃんが言ってたな。
あと、カーチャンごめんなさい?もうしません?
・・・あまり人前では言いたくない言葉だ。
が、次々、同じような言葉を泣きながら言っている男たち。
触らなければいいのに。
見ていた人たちも、面白がって、ペタペタ触る。
なにも起きない。
当たり前だ。だったら、ここにいる俺はずっと謝んなきゃいけない。
最初に泣きを入れた男たちが、今度は斧を持ってきた。
それはダメだ。
「おい!やめろ!これはコットワッツ領の荷物だ!!」
「な?見張り?は!!子供か!!うるさい!」
「やめろ!!」
ガツンと斧を振り下ろす。
どうする!呼ぶか?
あはははは!!斧が!斧が!!
くっ付いた。
しかも取れない。
あはははは!!!
そこからは腹を抱えて笑った。
まずここまで登れない。梯子を持ってきても、
あとすこしというところで倒れる。
飛び移ることもできない。
かなりの人数で持ち上げようとしても、
馬に引かそうとしてもびくとも動かない。
いつの間にか人だかりができて、頑張れという声も上がってる。
祭りのようだ。あはははは!
「おい!火を持ってこい!!」
火!それこそダメだ!何もかも燃える!
「やめろ!!」
「うるさい!お前も焼け死ね!!」
「あ、あ、あ、あ、あダメ!ダメ!」
ぱちぱちという音と、煙が上がってくる。
よ、呼ばないと!
「わ、わがな、わがな、は!」
しっかりしろ!!大きい声で!
「我が名はソヤ!
我が声に応えろ!いでよ!モウ!マティス!」
ドーンという音、地響き、煙もさらに上がる。
「愛しい人!煙が先にある場合はこれはダメだな。」
「げっほ!ほんとダメ!」
『風よ!煙を火をつけろと命令した人のお布団の中に持っていって!げっほ!』
「愛しい人はいつも楽しいことを考えるな!」
「当然!さ、ポーズを決めないと!」
「するのか?」
「もちろん!!」
「「トウ!!!」」
2人であの回転着地を見せ、
なにか奇妙な格好をしている。え?
「お召しにより参上!!
我が名はモウ!」
「我が名はマティス!」
「「2人あわせて!護衛赤い塊!!」」
正面にセサミナが満面の笑みで拍手をしている。
横のお傍付きもだ。
「姉さん!兄さん!素敵です!!」
「モウ様!マティス様!次はわたしもします!!!」
廻りもつられて拍手している。
え?そういう祭りだったのか?
ねーちゃんはそれから飛んだり跳ねたり。
旦那も同じように飛んでいる。
極めつけはお傍付きの若いのだ。
「きゃーーー!!!」
からだがくねるのだ。指が離れ、骨がない。
そして不安定な立ち方。
言いたくない、言いたくないけど
かっこいい!!!
一番多い拍手をもらっている。
「最後はドーガーに持っていかれた!!なんたること!
ここは青いアヒルを披露しなければ!!」
「ね、姉さん!それはご勘弁を!」
「そうだ、愛しい人!あれは商売だろ?ここで金は集められない。」
「む、そうか、そうだね。
もう!ドーガーの一人勝ちだね!はい!あーん!!」
「ん!!!!アザーッス!!」
あ!あれだ!あれを食べたんだ!!
「ソヤ!ありがとう!呼んでくれて!
火は付かないけど煙臭くなるし、廻りに迷惑だからね。
はい!あーん!」
「ん!!!!」
なかになんか入ってる!なに?見たいけど!溶けるーーー!!
4人が、トンと上に上がってきた。
セサミナと若い、ドーガーはマティスが抱えていたが。
「今休憩なんだ。何があった?」
くっ付くいて引っ張って祭りになったこと、
火をつけられたから呼んだと答えた。
「うん、うん。えらいね。
それで十分だ。」
「おい!!降りてこい!!」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・わたしが。」
ドーガーが下に降りた。
今?皆でお茶を飲んでいる。
少し寒いと言ったら、おこたという物を出して来た。
どこから?それに関しては何も言ってはいけない気がした。
5人だから、ねーちゃんを抱えるようにマティスが座っている。
他の2人は何も言わない。これが普通のようだった。
これも何も言ってはいけないようだ。
力関係で言う一番低いドーガーが下りていった。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
「なんでしょうか?」
「誰だ?」
「ん?コットワッツ領国ドーガーだ。そちらは?」
「わ、わたしは、タフト領国 イネーという。」
「何用ですか?」
「この荷をどけていただきたい。」
「どうして?」
「邪魔だ!」
「ん?この場所はコットワッツに割り当てられた場所だ。
邪魔というのはおかしいぞ?」
「はみ出しているだろう?」
「どこ?あ!」
確かに。小指の爪ほどはみ出している。
しまった!
「これは申し訳ない!すぐにどかしましょう。」
そういうと笑いが起きた。
なぜ?
「はは!さっきまで皆がこの荷をどけようと馬まで出していたんだ。
なのにびくとも動かなかたんだぞ?
解体できるんだろ?ばらしてどかせろ!」
「そんな!ちょっと言っていただければどかしましたのに。
では、この刺さってる斧や、火をつけたのはそちら?」
「!それは違う!」
「この斧は?タフト領国の印に見えますが?こちらで処分しても?
わ!これ金?こっちが銀だ!」
これ一本でいくらするんだろう?
「これ?さっき騒ぎを起こしていた盗賊?の物でしょうか?」
「・・・そうだろうな。」
「では返さなくていいですね。マティス様!!これ見てください!!」
これはマティス様が喜びそうだ。
「どうした?」
あ、声だけ。こたつでモウ様を抱えているものな。
「モウ様が喜びそうな装飾ですよ!」
「どれ?」
「うわ!」
すぐに下りてきた。
「ほう!象嵌か。きれいだな。お前の父上が得意そうだな。」
「あ!ほんとですね。」
「良いものを見た。集めて処分しておけ。
興味本位で触った輩がけがをするぞ。」
「わかりました。
タフトの印がついてるけど、こちらのタフトの方々の物ではないようなので、
捨ててしまいましょう。」
「タフト?ああ、街道でお会いしましたか?」
「剣のマティス!殿!」
「なんだ!お知り合いでしたか!」
「いや、街道でな。で?なんだったんだ?」
「ああ、ほら!決められた場所からはみ出てるんですよ!」
「ん?ああ、これはダメだな。
おい!箱を動かすぞ!こぼれ物だけ持ち上げとけ!」
「あーい。」
上からモウ様の声が聞こえる。
こたつから出ないんだ。
「ドーガーはそっちを動かしてくれ。私はこっちを。」
「わかりました。」
(移動だ。浮かして、動かせ。自分で持ち上げるようにな。傾けるな)
(はい)
「よっ。」
少し上。で、そのまま。
「どうだ?」
「大丈夫です。」
「丁寧にな。」
「はい。」
「あはははは!!チキチンコンコン!!チキチンコンコン!!」
上でモウ様が喜んでる。なんだろ?
「戻るぞ。これに入れておけばいい。後はやっとけ。」
「はい。」
当然、マティス様は戻る。
塩袋と呼んでいる大きな袋を渡された。
あの自然に出す様を練習しなければ。
「えーと、これでよろしいですね。
どうもすいませんでした。」
斧や剣を集めていこう。
点でくっついてる。取れるのか?
あ、取れた。
「待て!!」
「はい?」
「それはどうするんだ?」
「危ないので、この袋に入れて処分しますよ。」
「こちらでやっておこう。」
「いえいえ、そんなお手数かけられませんよ。」
「いいから!」
「ドーガー!」
あ、モウ様が下りてきた。
ちょっと!その降り方かっこいい!!
『お気遣いありがとうございます。処分もこちらでしますので。
境界からはみ出ていることもご親切にお教えくださいまして、
ありがとうございます。どうぞ、短き休憩時間ですので。
我らのことはお構いなく。』
(戻るよ!)
(あ、はい)
『では、失礼いたします。』
モウ様が塩袋を抱えて、私の腰に手をやる。
トンと、空を飛ぶように上に。
移動?すごい。
膝の反動無しで飛び上がった。
「はい、お疲れ。」
「これ、返してほしかったでしょうね。」
「わかってるよ。うちの荷物に傷つけようとして、
その上、火をつけて、ソヤにも焼け死ねっていたんだよ?
ダメだね。」
当然ですね。
─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘
石が騒ぐ前にソヤの声が聞こえる。
そうか、呼べと契約した形になるのだろう。
「マティス行くよ!」
「おう!」
「え?外?ドーガー行こう!」
「はい!」
音と煙。
これを出しつつ、コンテナの上に移動。
あれ?煙い。けっほ!!
失敗?
「愛しい人!煙が先にある場合はこれはダメだな。」
「げっほ!ほんとダメ!」
なんたること。
かっこよく登場したのに!!
とりあえず、決めポーズを決めてみた。
いいんじゃない?
セサミンとドーガー、かなりのギャラリーから拍手をもらう。
なんでこんなにいるの?
「いいぞ!もっと飛んで!!」
ギャラリーからリクエストだ。
服がいつも以上に動きやすいので、ちょっとした曲芸もお手の物。
マティスと2人。
バク転、バク中、ムーンサルト。
あ、ドーガーも身体手品を披露し始めた。
大歓声だ。
で、ジョジョ立ち。悔しー!!
これに勝つには青いアヒルしかないのに、マティスとセサミンに止められた。
そうだね、護衛がこれでおひねりもらったらダメだな。
ドーガーの芸に満足したギャラリーが、帰っていく。
見本市手伝いの待機組だね。
ドーガーにプニカのホワイトチョコ掛けを一つ。
見張りをしてくれていたソヤにも。
「どう?なにか足りないものある?」
「ここに住みたいぐらいなんだけど、ちょと寒いかな?」
「あ!それは悪いことしたね。おこただそう。」
「はー、あったかいですね。再開したら、
気合を入れて出なくては。」
セサミンがお茶を飲みながらまったりしている。
わたしもだ。5人なので、マティスのまたぐらに座っている。
足も背中も温い。
ポリポリ食べれるおやつを出しておこう。
なにかあったかを一通り聞く。
「何がしたいんだ?」
「荷が欲しいんでしょうね。」
「どこの人だろ?」
「おい!!降りてこい!!」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・。」
「・・・わたしが。」
誰もおこたから出ないが、ドーガーがセサミンのにらみで降りていった。
「あの声だよ。斧使ったり火をつけたのは。
俺にも焼け死ねって。」
「ふーん。それはよろしくないね。
煙の処理をしている間に隠れた人たちだよね?
この箱は煙くなると思うけど、これは燃えないし、熱くもならないからね。
怖い思いもさせたね。」
「ううん。呼んだら来てくれたから大丈夫。かっこよかったよ?」
「そう?うふふふふ。よかったね、マティス。」
「練習したかいがあったな。」
「あ、練習したんですね。」
「そりゃそうだよ。3人バージョンもあるから。
セサミンも今度一緒にやろうね。」
「・・・・あはははは。」
わたしが喜びそうだという声で、マティスが下に行き、
なんだかわかんないけど、箱を動かすという。
ふっという浮遊感と、動いている感覚。
昔、布団に寝ている状態で、移動してもらった時ようだ。
その時なぜか母は、チキチンコンコン、チキチンコンコンといっていた。
「あはははは!!チキチンコンコン!!チキチンコンコン!!」
抱きかかえられての移動ではない。
この感覚が好きだ。
「どうした?」
マティスが戻ってきた。
「この感じがすきなんだ。今度、お布団ごと動かして?」
「ん?たのしいのか?」
「うん。楽しい。」
「そうか。」
「で、下は?」
何やら、決められた位置からはみ出していたようだ。
ん?そんな線なかったよ?後で引いたのか?いいけど。
ちょっと、下の会話に意識を向ければ声が聞こえる。
ん?武器ね。返すわけないだろ?
没収だ。
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