いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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500:未開発地域

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「かーい。かーい。」

「始まりますね。戻りましょう。」
「これ、ここに有ったら、奪いに来るかもしれないから、持っていくね。」
「うん。」
「・・・。」
「・・・。」

「愛しい人、セサミナ。出るんだ!」
「「いやー!!」」

引きずり出されるようにおこたからでた。
トックスさんの服は寒くはないのだが、心情的に寒い。


館に入る時にその袋は何だと聞かれた。

「当方の荷物を破壊しようとした輩が置いていったものです。
そのままにしておくにもいかず。」
「しかし、これだけの大量の物を持ちこまれては困ります。」
「しかし、捨て置くわけには。」
「・・・わかりました。こちらで預かります。」
「それは助かります。では、よろしくお願いいたします。」


「あれ、あの印って結構みんな知ってるんだね。
今の人も、あれ見て言葉詰まらせてたよ?」
「そうですね。大体が印というものを持ってますよ。」
「ん?コットワッツは?」
「あのタオルにつけてる奴ですよ?」

ああ、コットワッツのコか。なるほど。
もっとおしゃれにしないと。

「国旗とかはないんだね。」
「こっき?旗?国の?ないですね。」
「へー。」


そんな話をしながら皆が席に着くまで待っていた。

やっと皆が席に着き再開。

また中央院からコットワッツに草原の買い取り、
未開発地域の習得、この話から始まった。


地図を出して、未開の地、誰の所有者でもないところに色がつけている。
呪いの森はめでたくボルタオネの領土となっている。
リアルタイムの地図だ。すごいね。
休憩中に未開の土地リストをまとめたようだ。開拓部?

色の付いている場所で知っているところは、
あの岩壁の家のところと、川ナマコがいるところだ。
ああ、コットワッツとデジナが下水処理に使っている渓谷もあるな。
あの土地も独占はできないよね。
そうか、未開の土地はそういう処理場にしているかもしれないのか。
確かめないと。みんな見に行きたいな。
この中だと、デルサトールの風の草原かな?
根回しもなにも宣言してもらおうかな。競合がいないんなら、
根回しなんていらないもの。

「お待ちください。」

イリアスの第3王子が声をあげた。
あらら、まだいるんだね。この会合が終わるまで付き合うのかしら。
大変だね。

「なんでしょうか?」
「未開の土地?我が国にも有ります。何も手つかずの。
その土地をお譲りすることが出来ますが?」
「いえ、そうなると国家間の話になります。
その話は後程。」
「そうですか?では。」

こいつは馬鹿なのか?今そんな話をして、まとまるわけがないだろう。
ほれ、マトグラーサ領主が
横の人間に指示を出してる。
あーあ。
マトグラーサが買い取るな。
海側だったら嫌だな。


(セサミン?デルサトールのあの土地。岩壁の家があるところだよね?)
(ええ。そうです)
(そこにしといこう。
開発するけど、それは現地を見に来た人が、確かめてからという約定で)
(あはは!それはいい!)
(先に草原を手放してからね)
(もちろんです)


「コットワッツとしては先に草原のことを決めてからにしたいのですが?」
「・・・そうですね。では会合が終わればすぐに3者で話を。」
「ええ、お願いします。」

「よろしいか?」

タフトだ。

「領地の話がでたついでというのはおかしいのですが、
軍部管理となったあのブラスの森は、
タフトがこれからは管理したいとおもう。お戻し願いたい。
なぜなら、
軍部の長がふがいないですからね。
はっきりと決まれば改めて軍部にお願いしたいと思います。」

あーー!!筍が!メンマが!チンジャオロースが!!
天ぷらも!!

「しかし、今は分隊ニック殿が管理している。ガイライと共に、
あの地に住んでいると聞いていますよ?」
「住むのはどこでもいいでしょう?」
「彼らの収入源はブラスの販売で得たもの。
購入先はコットワッツでしたね?」
 「ええ、契約では、ガイライ殿の管理が前提。
ガイライ殿たちが管理をなさらないのなら、
コットワッツは購入できませんね。」
「タフトから購入すればよろしい。」
「それは?決定ということですか?」
「そうですね。管理ができないということでの預かりだったので。
できるとおっしゃられれば、引き渡すしか。」
「なるほど。今お願いしている分は確保したいのですが?」
「それくらいはどうぞ?混じり初めまではご勝手に。
分隊の方々も引っ越しの作業もあるでしょうから。」
「それは寛大ですね。さすがタフトだ。」



この地に来て初めての貧血だ。
物理ではあったが。
倒れそう。

(愛しい人!しっかりしろ!)
(姉さん!顔色が悪い。)
(モウ様!こんな時こそ、チョコですよ!!)


マティスが特別にボンボンをくれた。
んー、おいしい!!

ほんと、どうしてくれようか!!!

それからやっと各領国の宣伝タイム。
プレゼンだ。



ボルタオネはさっきのイスナペンと消しゴム、その他の木工製品。
ラルトルガはお米、おにぎり、砂糖芋と乳酪の組み合わせ。
卵の安定供給化。
タフトはなんだろ?
ざまざまなものを持ってきているようだが、まずは見てくれと。
フレシアはもちろん、絹。これも見てほしいとのこと。
メジャートは密封容器を持ってきた。うん、それにもゴム使ってるよね。
ナソニールは会合の途中だが、退席。
領国に帰ったそうだ。そらそうだ。金を作るか、逃げるか。
で、コットワッツ。
予定通り、ここで、高級バスローブをを配り、ゴムを見せ、
そして冷蔵庫と冷凍庫、これを見せた。

コップに氷を入れて在庫処分の竹のストロー。
このコップ、ガラスですよ!しかも色付き。
樹石での高温維持化が大成功。
大量生産がもう少しで可能という段階だ。
これでガラス製品はお手軽なもの。ダイヤなどの宝石の価値が上がる。

「時期的に少し肌寒いのですが、仕方ありませんね。
熱期にはこのガラスのコップも量産体制が整っているでしょう。
涼し気なコップに冷たい氷。その刺さっているのは中が空洞ですので、
吸いあげてください。ああブラスですよ。氷を入れて、グラスを傾けますと、
あたりますから、それで。ご婦人方には好評でしたね。」

ストローの商品化の話は出さない。
だって、ルポイドあたりでトウミギの茎を売り出すはずだ。
コストが違う。
タフトはこれを見て笑っている。
いい商品を見つけたとでも思っているのだろうか?
ばーか、ばーか、ばーか!!

ここでいちゃもんが付く。
またタフトだ。

「何が入っているのかわからん!
軍部隊長ですら気付かずに毒を含んだんだぞ!!」

いや、それはあんたが確定させた話だ。
実際には足がつっただけなんだけど。
「それもそうですね。モウ!タフトの方々には結構だ。
どうぞ、このコットワッツがお配りするものになにか不具合があると
恐れをなす方は遠慮なく申し出ください。」

(これ、嘘の演技も出るんじゃないの?)
(天秤院がいる前で?それはできませんよ)
(おお!さすが天秤院)

「セサミナ殿!わしらは冷たいものより、暖かいもんがいいな。」
「ええ、保温庫というものもありますが、
これは樹石を利用した湯沸かしですね。
火力が違います。さすが樹石ですね。いつまでも温かい湯が維持できる。
モウ!ランサー殿たちには緑茶かほうじ茶を。」
「わかりました。」


喫茶店だ。クッキーとおかきも配る。
もちろんタフト以外。

「テール様?顔色も良くなりましたね。
お飲み物を差し上げたいのですが、
あまり冷たいものの飲み過ぎも良くないですから。
このクッキーだけで。
カーチ殿とマーロ殿は?
暖かいのと冷たいの、どちらがよろしいですか?」
「クッキー!」
「マリー殿?いえ、ここではモウ殿?」
「どちらでも?」
「マリーだ!マリーがいい!!」
「ふふ。ではマリーとお呼びください。」
「では、マリー殿、後でもう一度セサミナ殿と話がしたいのですが。」
「ええ。わかりました。お伝えしましょう。」

鶏館の話かな?
後ろに控えている従者が、あれが赤い塊のモウだったんだとざわつく。
料理人だったか、その人はわたしを見て、マティスを見て、1人で頷いていた。






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