いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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502:北南西東

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テール君に連れられて、ボルタオネのブースに。
鉛筆が売られている。
コットワッツには約定ですこし値引きした状態で買うことが出来る。
なので、ここでは買わない。
中庭でがっつり食べていた人たちが販売をしている。
テール君がわたしのことをマリーと呼ぶから皆が気付いている。

マリーさん!マリーさんと声を掛けてくれた。

「いいですね。
これ、黒鉛の硬さや太さで濃くしたり薄くしたりできますね。
消しゴムも、香り付きなんていいかもしれない。
可愛い形とかにしたりね。これは子供向けかな?
あとは色粉を混ぜて色ペンとかね。これらは単価がお安い分、
いろいろ開発して売り出すのがいいですね。」
「色?ですか?」
「ええ、黒の芯を色のついたものにするんですよ。
ガラスに色が付くのですから、これもできそうですよね。」
「な、なるほど。」

が、わたしはどういう原理かは知らないから研究してほしい。


次はラルトルガだ。
ああ、野菜と果物、米だ。
あ、野菜のぬいぐるみ、さっそく飾っている。

ここでもマリーさんは大人気。
料理人のカムさんかな?その人が握手を求めるので、
お料理素敵でしたと言っておく。
マティスが何も言わないのでいいのだろう。

肉類はまだだな。
セサミンが大型冷凍庫、冷蔵庫の話をしている。
こっちに来てくれた時は出来なかったからね。

お米はコットワッツで、野菜類は買っていこう。
豆もあるのか。




「ソヤ。この豆でも黒水出来るかな?」
「ん?ちょっと小さいな。やってみないと。」
「そうか。」
「・・・・。」
「ん?」
「黒水、どうするの?」
「売り出すの。あの味すきなんだ。
あとで、あれを使ったお料理食べてみて。」
「作り方教えたらどうなるの?」
「え?ソヤに作ってほしいんだけど?
詳しい話はセサミナ様からあると思うんだけど、
定期的に黒水を納品してもらうか、できればこっちで作ってほしいかな。
売れるよ?けど、その前にその作り方は隠匿をかけたほうがいいかな。
食品というか調味料だからね。
この線引きが難しんだけど。」
「ふーん。」


ソヤは何か考え込んでいる。
そりゃそうだ。こっちで作ってもらうとなると引っ越してこないとね。
定期的に納めてくれるならうれしいな。
豆を少し買って、ドーガーのところに戻っていった。
ドーガーは留守番だから。



あとは、フレシアの布。
めぼしいものはない。
タフトはさくっと無視して、
メジャートの密封容器。
ああ、なるほど。かなり進化してますな。

「セサミナ様?これをガラスでできますかね?」
「工房に相談してみましょう。」
「この形に隠匿は?」
「かけようがないですね。もともと酒類に使っているものですし。」
「よかった。このゴムの形状で差別化をしないとね。」


あとはルカリアの銃、マトグラーサの弾ですよ。

「セサミナ殿。いかがですか?」
「ええ。見せてもらいますよ。」
「ときに、謁見時にかぶっていたもので弾丸をはじいたのですか?
それとも砂漠石?」
「ああ、あれはまだ、研究段階で。何も言えませんね。
申し分けない。
モウ、これは?」
『わたしもそこまでは詳しくはないのですよ?
ああ、これですね、謁見の時に使われたのは。
弾がやはりおおきい。中に小さいのがたくさん入っています。
が、連射は無理なようですね。一つ撃てば、次と。
連射銃も小型化しています。
技術の進化は小型化とはよく言ったものですね。』
「ははは!やはりモウ殿はお詳しいですね。いかがですか?
護衛には必要なのでは?」
『好みでしょう。これだけ小さいと偲ばせることも容易ですが、
威力は劣る。ならばナイフで十分。もしくはナイフすらもいりませんから。』
「それは、この銃がナイフに劣ると?」
『好みだと申し上げましたが?わたしが好まないだけですよ。』
「いずれ必要になりますよ?」
『そうですね。
では、防弾チョッキの開発も急がねばなりませんね。セサミナ様。』
「ちょっき?」
「え?チョッキ?いわない?あれ?」
「愛しい人、おそらくとっくりと同じ感じでは?」
「ぎゃーー!!」


言わないんだ。はずかしい。え?ベスト?
チョッキって和製英語?
ここではカタカナ英語を言っても大体通じるけど、
和製英語は8割の確率で通じない。
我が家だけで使っていた言葉もダメだ。
衛門掛けも意味は分かってもらえるが、ハンガーのほうが通じた。
これはおそらく若い子には通じないものはここでも通じないということだ。


「ちょっき。あの布のことですね。」

マトグラーサ領主だ。


「モウ、こちらがマトグラーサ領主、シェルサ殿だ。
シェルサ殿、護衛ですが、わたしの姉でモウです。
こちらは同じく護衛でわたしの兄、マティス。
2人とも挨拶を。」

目礼するだけだ、

「銃が普及すれば剣のマティスだと言われることなくなりますよ。」
「そうでしょうね。その時は兄上、どうなさいますか?」
「ん?廃業だな。」
「あははは!だったら、わたしの命もないですね。
それまでに売れる産業を見つけなくては。」
「銃を使えばよろしいのでは?」
「いずれそうなるのでそうね。」
「ええ、近いうちに。」
「なるほど。では、姉上のおっしゃるようにチョッキの開発を進めましょう。
では。」

あー、チョッキ。



「愛しい人?大丈夫か?」
「わたしもうしゃべらないよ。チョッキが確定してしまった。」
「ああ、それか。良い響きではないか?な?セサミナ?」
「ええ。銃はこれから進歩していく。
防ぐ方法も探さなければ。マトグラーサは考えていないようだ。」
「みたいだね。」

「モウ様!交代ですね。」
「うん。見といで。きっとドーガーに銃の購入を勧めるよ。
「え?いりませんよ。」
「いや、勧められたら買っといで。勧められなくてもだ。弾丸もね。
防弾のことを聞かれたら話てもいい。今の段階では防弾の方が
威力は上だ。それ以上のものを開発してくるだろう。
その時間稼ぎが必要だからね。開発すればするほど、金と時間がかかる。
今の段階で防ぐことが出来ると認識されたほうがいい。
悪いが道化をしてきておくれ。
浮かせてあのマントを持っていけばいい。
試させてくれと。あくまでも、銃の危険性を確認したいからだとね。
嫌味の一つや二つ言っておいで。なんだ、これさえあれば大丈夫ですねと。
無邪気にな。向こうは必至で否定してくるだろう。
それに同意してこい。赤い塊は銃を否定しているというのもな。
困った顔で愚痴ってこい。
わたしができればよかったけれど、疎まれる矛先は
護衛のほうがいい。頼めるか?」
「もちろん、お任せを。」
「ソヤ。お前も行ってきておくれ。
子供がいれば、向こうも何を暢気なと考えるだろう。
これは別料金だ。途中気に入ったものが有ればドーガーに買ってもらえ。
それは仕事とは別だからね。」
「すっげ!行ってくる!行こう!ドーガー!!」
「お前、せめてさん付けで呼べよ。
あ、これ?重い。浮かせて?あ、ほんとだ。
では行ってきます。」

コットワッツのブース内で休憩だ。
膜は張れないが、気配消しを半分だけしているので、
え?いたの?という感じになっているそうだ。
お茶を飲みながら今後のことを考える。


「んー、どうしようかな。ガイライとニックさんは?」
「オートの傍にワイプがいるからな、
中央の呼び出しでそっちに行ってるな。
混じり初めまでに引き渡せと。
はは!ニックははいはいと返事しているだけだな。」
「あ、繋げてるんだね。あの館はまるまる移動するから。
館はいいけど、ブラスはどうしようかな。
炭は欲しんだけどな。」
「姉さん、砂漠に植えましょう。」
「それね。ほんと管理しないといけないんだよ?
それに砂漠に根付くかどうかも。
他の植物に影響が出るかもしれないしね。
安易に砂漠に植えるのは待って。」
「そんなに警戒しなくてはいけないのですか?」
「そうだよ?もともとなかったのに、ピクトから進出してきてるんだよ?
それも数十年でだ。
悪いけど、境界の鉄板も撤去するからね。
あっという間に王都、マトグラーサまで伸びていく。
炭もあんな方法で作るんならすぐに売れなくなる。樹石が代わりになるから。
ブラスの炭を使ったのは、上で焼くからどうしても脂が落ちるから。
鉄板の形を考えればどうとでもなるんよ。」
「そうですか。では完全に鉄板で囲ってから植えるというのは?」
「んー、そうなるかな。」
「歯ブラシの柄も必要ですし。」
「そうだね。そうしようか。ダメもとということだね。
じゃ、今度はガイライ達の収入源だ。」
「心配するな。護衛業は認められてる。」
「そう?赤い塊の商売敵だね。」
「そうなるな。」
「でも、それ以外のも副業を認めてもらわないと。
それこそ、自由がない。」
「ニックがうまく交渉しているな。
行商も認めさせたぞ?」
「なに!?まさしく商売敵!!」
「姉さん、ニック殿は顔が広い。
姉さんが売る相手とはまた違った相手ですよ。」
「そうか!じゃ、コットワッツ製品も売ってもらえるね!
さすがニックさんだ!!」
「・・・鍛錬だ、鍛錬あるのみ。」



パン!パン!パン!パン!パン!パン!
パン!パン!パン!パン!パン!パン!




「銃の試し打ちだ。問題ない。」
「ドーガー?」
「いや、別だ。タフトだな。」
「タフトってマトグラーサと仲が悪いの?」
「いいとは言えませんね。それはどの領国でも同じですが、
コットワッツとボルタオネやラルトルガのような、
ま、今回が特別なんですが、
同じような付き合いはないでしょうね。
マトグラーサとルカリア、
タフトとフレシア、
メジャート、ナソニールはマトグラーサとタフト、両方と、
西側3領国は余り付き合いはなくそれぞれですから。」
「んー。いまさらだけど、東西南北があれなんだよね。
寒いから北、暖かいから南。
月が昇るのが南、沈むのが北。ここでは北南西東?
西方諸国というのがドルガナあたり?東方諸国って?」
「船を作っているキンルガンが有名だな。」
「ああ、そうか。中央砂漠、東側が大きいほうね。」
「地図を張っておこうか?」
「うん。そうしよう。もっと大きいの書いて。」
「わかった。そうしよう。」
「で、訪れたところを色塗っていこう。グラシオル大陸制覇だ。」
「いいな!」


パン!

パン!パン!パン!パン!パン!パン!

パン!

パン!パン!パン!パン!パン!パン!



「ドーガーだ。はは!セサミナ以上の嫌味を言っているぞ?」
「え?繋げてるの?聞こえてるの?」
「聞こえている。ドーガーとつなげるとまだ不自然さが出るからな。」
「ガイライ並みだね。」
「いや、音石と月無し石だ。」
「え?ドーガーに持たせてるの?」
「そうだ。」
「ほんと電話だね、それ。」
「デンワって。」
「んー。」

糸電話を使って説明する。
紙コップは作ってある。
これに糸を付ければいい。



「聞こえる?」
「あ!聞こえます!!」
「ああ、話すときはコップに口を当てて?」
「聞こえますか?」
「うん、持ち替えて?聞こえるよ。」

子供のおもちゃだ。
これを音石と月無し石との組み合わせにすればいい。
ヘッドセットみたいな感じか?
ああできそうだ。
ピアスとピンブローチ。
どこのスパイ映画だ。


「これは紙ですか?」
「そうだよ?一回ドロドロにしてもう一度成形してるの。
紙ってどこが作ってるの?」
「東方諸国ですが、ドロドロ?」
「紙って木くずか木の皮をドロドロにしたものでしょ?
それをすくというか、平たくして。ん?違うの?」
「隠匿がかかっています。どのように作っているかもそうですが、
材料も知りません。」
「あー、そうなんか。それに適した植物があるのかな?
ブラスでもできるよ?なんせ繊維を取り出せばいいんだから。
でも、手間だね。買ったほうが安い。
ということは東方諸国はきちんと工業製品として紙の製法が樹立していると。
お遊び程度なら作れるよ?作ってみる?」
「はい!」
「が、それもブラスがいるんだよね。
それとトロロアオイ?
ブラスがダメならミツマタ、コウゾ。
んー。材料を探してみるよ。気長に待ってて?」
「作ったことがあると?」
「学校でね。」
「学校!そんなことも!素晴らしいですね!!」
「いや、その学校を卒業、終了しましたよーっていう証明書みたいなのを
自分で作るって言うのがわたしの時代に流行ってね。
作ったのよ。学校にその道の専門の人が来てね。
そういう手作りセットみたいなのを買わされたな。
何回か、それから家でも作ったんだよ。材料はさすがに、
牛乳パックとかだったけど。」
「?」
「トイレットペーパーでも新聞でも作ったな。」
「トイレ?便所の紙?え?」
「ふふ。今度は食べれるだけでなく、紙になるかも調べてみるよ。
皮がつるんと向ける植物ってなんかあった?」
「逆さの木の蔓はそうだぞ?」
「あ!そうだね。身近なところからやってみよう。お楽しみにってね。」
「はい!」
「みんな片付けていくね。明日又ボルタオネ一行が来るんだよね?
ガイライ達もこっちに来るでしょ?引っ越し先を探さなきゃ。
よし!わたしたちも撤収だ!!」
「「イエス!マム!!」」








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