いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
507 / 869

507:存在

しおりを挟む
皆が下りてきた。
扉を開いて最初に入って来たのはマティスだ。


「お帰り~。」
「愛しい人!」
「うん、うん。」
「・・・・。」
「んー。いいよ。くっついといて。
あ!ルビス君、チュラル君!お疲れ。悪いけど手伝ってくれる?」
「はい!最近で一番おなかがすきました!え?なに?塩?」
「ああ、ちょっとこぼしてね?片付けるよ。」
「いえ。」

『塩』

「あ!すごいね!見えてる物?知ってる物?だったら問題なし?」
「あと軽いものですね。」
「自分でもち上げれる量と比例するみたいだね。鍛錬あるのみだね。」
「はい!」
「ふふ。それね、ご飯をどんぶりに入れて、そこのお肉と玉ねぎのね、かけて?
その籠の開いてるところいれてカップ君に届けてね。」
「はい!」



「・・・・ねーちゃん?それはいいの?」
「いいんよ。気にしないで?みんな何も言ってないでしょ。
これは普通だから、わたしたちは。
どう?お醤油!いいでしょ?」
「うん!うまいよ!匂いがいい!これは持ってきた奴?前の?」
「前のだね。あれから少し寝かせたというか、暗いところに置いといたんだ。
で、絞って、火を入れて。
今日持ってきてもらったのはちょうどいい感じだね。だいぶ前から作ってくれてたの?」
「うん。豆はたくさんあるから。」
「あー、賢いね。計算も早いって聞いたよ?学校?」
「がっこう?なにそれ?」
「勉強したの?」
 「勉強じゃないけど、本を読むのが好きなんだ。
あの金で本を買った。」
「おお!初めて見るよ。稼いだお金で本を買うのっての。
ああ、マティスは大人でしょ?
子供でだよ。漫画は別として。」
「まんが?」
「ふふ。さ、もっとお食べ。もういいの?お風呂気持ちよかった?」 
「風呂!すごいね!」
「姉さん、そろそろいいですか?」
「うん、いいよー。師匠も、ニックさんも。
決めるのはソヤだ。
ソヤ?みんなね、ソヤと一緒に働きたいって言ってんだけど、どうかな?」
「ねーちゃんは?」
「ん?わたし?わたしはこのお醤油が定期的に供給されることを望んでいる。
セサミンはのところで作ってくれたらうれしいな。」
「ふーん。」
「ああ、もちろん、ここではなくて、ソヤの村の特産品にしてもいい。
隠匿は生産院でかけてくれる。
これだけだとただ辛い水なんだけど、お料理で使うことで幅が広がる。
その料理にかけることは反対だけどね。もとになるものはいいと思うよ?」
「売れる?」
「売れるね。わたしが買うもの。焼肉のたれを作ればもうウホウホ。
めんつゆもいいし、ポン酢も売れる。」
「ふーん。」
「ふふふふ。よく考えて。
師匠と、ニックさんは別のことでソヤと仕事をしたいと思ってるみたい。
なんでも聞いてみ?嘘を言ってるか、ソヤならわかるでしょ?」
「・・・そこまでは分からない。」 
「そうか。ドーガー!ソヤの立場で助けてあげて?」
「わかりました。」
「大前提はソヤのこれからだ。
お醤油は身内だけなら何とでもなるからね。
さ、みんなは眠くない?大丈夫なのね?
悪いけど、マティスとちょっと家に帰るね。」
「兄さんは?」
「うん。原因は分かってるから心配しないで?」

マティスは戻ってから、何も食べずにわたしにへばりついているのだ。
反動があったか。

できたものを盛り付けるだけだから
ルビス君たちに頼んだ。
あっというまに食べて終えてたのだ。

有意義なプレゼンとなるだろうから聞きたいけど、マティスのことが先だ。
ああ、戻る前にコクと話をしておこう。



「コク!いる?」


なんだ?



外に出て呼ぶとすぐに表れた。
チャーたちは裏手に廻ってしまう。
黒馬ではなく香馬だからなのだろう。



それはどうした?



こちらのことを聞いてくるのは珍しいが、
マティスがおんぶおばけだからだ。



「うん、大丈夫。
それよりね、呪いの森がボルタオネの領土になったの。
この区画も。
あのカーチは匂いを遮断している間は良き父親だったんだ。
外で顔色が悪くなったらお茶を飲んだら落ち着いたみたい。
お茶ってすごい?
それと、ボルタオネは人の手で香木を採取するみたい。
森を伐採するのかな?その過程で探すのか、
探すために伐採するのか。
そこまでは聞いていない。聞けなかった。」

茶は緑のままのほうがいい
裏手の森はもともとボルタオネの領土だ
それも問題ない
森が望むものを受け入れるだけだ
カーチ、あの男も、マーロもイスナもそれぞれに問題があるな
テールか?あれはこれからだ
人の手で見つけれるのならそれでいい
できるのならな
かまうことはない



「そうなん?
それぞれに問題ね。問題があるのが人でしょう?
あとで来るよ?会ってみる?」

呼んでくれるか?

「もちろん。じゃ、ちょっと帰るね。」


香人よ
あの香木はどうした?


「まだマティスが飾りを考えてるよ?」

身に付けておけ


「ん、わかった。ああ、この言葉知ってる?
クリーテ・カネリトリア・トメリタロっていうの。」

誰に言った?

「言ってないよ。言われた方だね。
名前を付けてってこと?」


そうだ
誰に言われた?


「砂蜘蛛のクーとトリヘビのビャク、
それと人間に言われた。」

名を付けたのか?その人間に?

「うん。もしかして問題?」


いや
名前を付けてという意味なだけだ
これからそう言われたら付けてやればいい
気に入らなければ付けなければい


「わかった。」

わたしもいいか?


「ん?コクっていう名前嫌だった?」


はははは!
気に入ってる
が、もう一度付けてほしい

「違うのがいい?」

なんでも
クリーテ・カネリトリア・トメリタロ



「コクは黒王号のコクだ。
あなたの名前は、コクオーゴ。
漆黒の馬。
誇り高き香馬。
英知の馬。
全ての称賛があなたにある。
そしてわたしの友人だ。
コクオーゴ。
これからもよろしくね。」


コクは気に入ったとばかりに嘶いた。















─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘










館に入ると、愛しい人を一人にしなければと思った。
どうして?
1人になりたいのか?
違うな。なんだろうか?

皆で風呂に入ってこいという。
これだけの人数で?
私は愛し人の傍にいたい。
なのに、一緒に行ってこいという。
そうだな。上にも行こう。最後だしな。男共のなかに愛し人はいられない。
そうだ。愛しい人が言うのだから。




風呂を喜ぶソヤ。
背が完全にチュラルと並び、肉も付き始めたルビス。
が、ガイライたちと比べれば比較にもならない。

ニックの肉の付き方もきれいだ。
セサミナもそれなりに付いている。
あれからできる鍛錬はしているようだ。
ツイミは、必要ないしな。
エデト達と風呂に入ったような騒がしさだ。
そうだな、男同士はこんな感じなのだろう。





上に行く。
ジャグジーとトランポリン。
裸ではなんなので、軽い服に着替える。
これはいいな。被るだけだから。
流石、セサミナだ。きちんと置いてある。

「兄さん、さすがですね。大きさもいろいろある。」

ん?セサミナが用意したのではないのか?
ま、いいか。

水分は取らなければいけないな。
この管は酒?こっちは水か?
ツイミとニックが酒を飲み始めた。
飯はまだ食べていないのに。
呑み過ぎるなよ?
飯はなんで食べていないんだ?
ルビスたちも腹が減ったというくせに、食べに行こうとも言わない。
ワイプもだ。
いつもなんかないんですか?とうるさいくせに。
私も作る気は起きない。作らなくてもいいから?
どうして?






ん?腹が減ったな。
下に降りてなにかつくろうか?
いや、作らなくてもいいんだ。
ん?

台所の扉を開ければ人がいた。

「お帰り~。」



あの泡がはじける感覚。

「愛しい人!」


あなたがいなかった!!
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

【しっかり書き換え版】『異世界でたった1人の日本人』~ 異世界で日本の神の加護を持つたった1人の男~

石のやっさん
ファンタジー
12/17 13時20分 HOT男性部門1位 ファンタジー日間 1位 でした。 ありがとうございます 主人公の神代理人(かみしろ りひと)はクラスの異世界転移に巻き込まれた。 転移前に白い空間にて女神イシュタスがジョブやスキルを与えていたのだが、理人の番が来た時にイシュタスの顔色が変わる。「貴方神臭いわね」そう言うと理人にだけジョブやスキルも与えずに異世界に転移をさせた。 ジョブやスキルの無い事から早々と城から追い出される事が決まった、理人の前に天照の分体、眷属のアマ=テラス事『テラスちゃん』が現れた。 『異世界の女神は誘拐犯なんだ』とリヒトに話し、神社の宮司の孫の理人に異世界でも生きられるように日本人ならではの力を授けてくれた。 ここから『異世界でたった1人の日本人、理人の物語』がスタートする 「『異世界でたった1人の日本人』 私達を蔑ろにしチート貰ったのだから返して貰いますね」が好評だったのですが...昔に書いて小説らしくないのでしっかり書き始めました。

鑑定持ちの荷物番。英雄たちの「弱点」をこっそり塞いでいたら、彼女たちが俺から離れなくなった

仙道
ファンタジー
異世界の冒険者パーティで荷物番を務める俺は、名前もないようなMOBとして生きている。だが、俺には他者には扱えない「鑑定」スキルがあった。俺は自分の平穏な雇用を守るため、雇い主である女性冒険者たちの装備の致命的な欠陥や、本人すら気づかない体調の異変を「鑑定」で見抜き、誰にもバレずに密かに対処し続けていた。英雄になるつもりも、感謝されるつもりもない。あくまで業務の一環だ。しかし、致命的な危機を未然に回避され続けた彼女たちは、俺の完璧な管理なしでは生きていけないほどに依存し始めていた。剣聖、魔術師、聖女、ギルド職員。気付けば俺は、最強の美女たちに囲まれて逃げ場を失っていた。

人生初めての旅先が異世界でした!? ~ 元の世界へ帰る方法探して異世界めぐり、家に帰るまでが旅行です。~(仮)

葵セナ
ファンタジー
 主人公 39歳フリーターが、初めての旅行に行こうと家を出たら何故か森の中?  管理神(神様)のミスで、異世界転移し見知らぬ森の中に…  不思議と持っていた一枚の紙を読み、元の世界に帰る方法を探して、異世界での冒険の始まり。   曖昧で、都合の良い魔法とスキルでを使い、異世界での冒険旅行? いったいどうなる!  ありがちな異世界物語と思いますが、暖かい目で見てやってください。  初めての作品なので誤字 脱字などおかしな所が出て来るかと思いますが、御容赦ください。(気が付けば修正していきます。)  ステータスも何処かで見たことあるような、似たり寄ったりの表示になっているかと思いますがどうか御容赦ください。よろしくお願いします。

神々の愛し子って何したらいいの?とりあえずのんびり過ごします

夜明シスカ
ファンタジー
アリュールという世界の中にある一国。 アール国で国の端っこの海に面した田舎領地に神々の寵愛を受けし者として生を受けた子。 いわゆる"神々の愛し子"というもの。 神々の寵愛を受けているというからには、大事にしましょうね。 そういうことだ。 そう、大事にしていれば国も繁栄するだけ。 簡単でしょう? えぇ、なんなら周りも巻き込んでみーんな幸せになりませんか?? −−−−−− 新連載始まりました。 私としては初の挑戦になる内容のため、至らぬところもあると思いますが、温めで見守って下さいませ。 会話の「」前に人物の名称入れてみることにしました。 余計読みにくいかなぁ?と思いつつ。 会話がわからない!となるよりは・・ 試みですね。 誤字・脱字・文章修正 随時行います。 短編タグが長編に変更になることがございます。 *タイトルの「神々の寵愛者」→「神々の愛し子」に変更しました。

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

私と子供より、夫は幼馴染とその子供のほうが大切でした。

小野 まい
恋愛
結婚記念日のディナーに夫のオスカーは現れない。 「マリアが熱を出したらしい」 駆けつけた先で、オスカーがマリアと息子カイルと楽しげに食事をする姿を妻のエリザが目撃する。 「また裏切られた……」 いつも幼馴染を優先するオスカーに、エリザの不満は限界に達していた。 「あなたは家族よりも幼馴染のほうが大事なのね」 離婚する気持ちが固まっていく。

夢幻の錬金術師 ~【異空間収納】【錬金術】【鑑定】【スキル剥奪&付与】を兼ね備えたチートスキル【錬金工房】で最強の錬金術師として成り上がる~

青山 有
ファンタジー
女神の助手として異世界に召喚された厨二病少年・神薙拓光。 彼が手にしたユニークスキルは【錬金工房】。 ただでさえ、魔法があり魔物がはびこる危険な世界。そこを生産職の助手と巡るのかと、女神も頭を抱えたのだが……。 彼の持つ【錬金工房】は、レアスキルである【異空間収納】【錬金術】【鑑定】の上位互換機能を合わせ持ってるだけでなく、スキルの【剥奪】【付与】まで行えるという、女神の想像を遥かに超えたチートスキルだった。 これは一人の少年が異世界で伝説の錬金術師として成り上がっていく物語。 ※カクヨムにも投稿しています

処理中です...