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524:婿
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廻りを見ると皆がうっとりしている。
今のうちにきれいに並んでいるものを食べてたいな。
そんなことを考えていると拍手が起こった。
拍手は詩人に対する称賛だ。
聞けば、拍手はあまりしないという。
称賛という意味は同じだが、詩人以外にすることはないとか。
なるほど。
だからわたしがやたらに拍手するのが不思議だったんだ。
もう!ゆってよ!
「いや、別におかしくはないなと。」
そうですか。
そこからは、愛想笑いの連続だった。
料理も、うん、素材の味が生きてますっていうお味。
青いドレスの中に赤いドレス。
目立ちますがな。
しかし、頑張て装飾品の売り込みだ。
が、最終的には明日の投票話。
領国は無投票だろう。そうなれば、各院の投票票がものをいう。
あなたの一票がという奴だ。
この夜会にも招待されている。
中央院はもとより、
天文院、研究院、生産院、天秤院も。
おー、我らが資産院も来ているよ。
オート君とツイミさん、師匠もだ。
師匠の嫌そうな顔。
「モウ殿!」
なぜに、セサミンではなくわたしに声を掛けるのか?
天秤院のランサーだ。
「セサミナ殿も。このような会にでるのは久しぶりなのでは?」
「ええ、まさしく。あの頃は若造そのものでしたので。
いまはなんとか、胸をはって出ることが出来ます。」
「良いことだ。それにしても、モウ殿。
そのいでたちはお美しい。」
「ありがとうございます。
ただ、正直に申してよいのなら、すこし恥ずかしいのですよ。」
「それは、言わぬほうがいいな。
こちらに向かう心の流れは、それはそれは、おー怖っ。」
「ふふふふ。そのようですね。心のうちは分かりませんが、目線が刺さります。」
「そういうことだな。それも一種の称賛とおもえばよろしかろう。
それでな、あの孫の手と一緒に入っていた、足置き?
あの温かいもの。あれをまた注文したいのだ。
あれの取り合いになってな。天秤院でだ。なんと恐ろしいことか。」
「あれはまだ試作品なのですよ。それに、材料のブラスが今後どうなるか。」
「そうだったな。移動先は?旧王都になったと聞いたが?」
「ええ。少し遠いですが、それ以外は。
水もありましたしね。庭は荒れ放題ですが、
それもいずれ。整いましたら、またいらしてください。」
「それは楽しみだ。また公平に決めないとな。
うちは30人ほどなんだ。全員は無理か?」
「どうだろうか?モウ?」
「あの広さでしたら、十分に。」
ちょっとした宴会だ。
1人鍋を提供するほうがいいかもしれない。
カニ鍋か?
足置きアンカは樹石のカイロを入れればいい。
竹でしっかり編んで、真綿で巻いている。
数は100個。ある材料で作りましょうということになった。
30人だろ?
ああ、家族と家用?なるほど。
ん?ランサー殿にはマリーと名乗っていたはず。
「いや、わかるだろうよ。
でなければ天秤院にいる意味がない。」
それはそうだ。
それからやはり投票の話。
前任の隊長は不向きだと天秤院が判断したと聞いたのですが、と
セサミンが話をふった。
「火事だ火事だと壁を叩き壊してな。
そのときの当番が駆けつけると、軍部隊長がいたのよ。
ま、前任だな。
どうやらどこぞから移動してきたらしい。
移動ができる石使いということで、軍部隊長になったらしいが、
失敗して、別の場所にくるなんぞ、話にならんだろう?
生産院の副院長もいたがな。あれも、同じ石使いで移動ができるということで
復帰するメディングを差し置いての抜擢だったが。
生産院はその話すらなかったことになっている。
挙句、火なんぞ出てなかったしな。」
「移動ですか?」
「そうだ。コットワッツの領主の力の一つと聞いている。
それと赤い塊もできると。」
「ああ、わたしのはかなりの制限がありますよ。
異国の石使い、赤い塊ですね。そうですね。
どれほどの石をお持ちでどれほどの石を使っているのか。
しかし、石使いが移動できるというのは素晴らしいのでは?」
かなりの制限というのは本当だ。
どれほどの石を持っているか、どれほどの石を使っているか、
セサミンは知らない。
移動に石を使っていないことは知っているけど。
「ほほ!なるほど。
石使いの移動は、一抱えもする石がいる。あまり使えんな。」
「そうだったんですか。」
「タレンテ家のほうでも、クラサ殿のことはなかったことにな。
スダウト家はどうだろうな。
婿に余程の男が来ると豪語しておってな。
それを踏まえての軍部隊長だったからな。」
「それが条件だったんですか?」
思わず聞いてしまった。
ばかじゃね?
婿の力頼みってどうなの?
「あははは!驚かれるか?
その嫁婿には赤い塊と同等の石使いが傍にいるらしい。
それも手に入るということらしいぞ?」
「いやもう、驚きを通り越してなんというか、
どうでもいい話になりますね。
さらにどうでもいいんですが、娘さんの意向は?」
「その娘が乗り気だからだろ?」
「そうですか。ではお相手の方は皆さんご存じで?」
「それよ!雨の夜会でお披露目だそうな。」
「雨の夜会?」
「中央で開催される夜会だ。
ここと規模が違う。セサミナ殿は招待されているな?」
「ええ、兄と共に。」
「これは楽しみだ!」
「ランサー殿がそうおっしゃるのは珍しいのでは?
天秤院は常に公平だと。」
「もちろん、公平だ。だとしても、この手の話はみな好きなんじゃよ。」
迷惑な。
「愛しい人?楽しいな。」
「あ、楽しいの?」
「ああ。それだけ、愛しい人を皆に自慢できるからな。」
ポジティブ!
だけど、マティスが楽しいのなら良しとしよう。
今のうちにきれいに並んでいるものを食べてたいな。
そんなことを考えていると拍手が起こった。
拍手は詩人に対する称賛だ。
聞けば、拍手はあまりしないという。
称賛という意味は同じだが、詩人以外にすることはないとか。
なるほど。
だからわたしがやたらに拍手するのが不思議だったんだ。
もう!ゆってよ!
「いや、別におかしくはないなと。」
そうですか。
そこからは、愛想笑いの連続だった。
料理も、うん、素材の味が生きてますっていうお味。
青いドレスの中に赤いドレス。
目立ちますがな。
しかし、頑張て装飾品の売り込みだ。
が、最終的には明日の投票話。
領国は無投票だろう。そうなれば、各院の投票票がものをいう。
あなたの一票がという奴だ。
この夜会にも招待されている。
中央院はもとより、
天文院、研究院、生産院、天秤院も。
おー、我らが資産院も来ているよ。
オート君とツイミさん、師匠もだ。
師匠の嫌そうな顔。
「モウ殿!」
なぜに、セサミンではなくわたしに声を掛けるのか?
天秤院のランサーだ。
「セサミナ殿も。このような会にでるのは久しぶりなのでは?」
「ええ、まさしく。あの頃は若造そのものでしたので。
いまはなんとか、胸をはって出ることが出来ます。」
「良いことだ。それにしても、モウ殿。
そのいでたちはお美しい。」
「ありがとうございます。
ただ、正直に申してよいのなら、すこし恥ずかしいのですよ。」
「それは、言わぬほうがいいな。
こちらに向かう心の流れは、それはそれは、おー怖っ。」
「ふふふふ。そのようですね。心のうちは分かりませんが、目線が刺さります。」
「そういうことだな。それも一種の称賛とおもえばよろしかろう。
それでな、あの孫の手と一緒に入っていた、足置き?
あの温かいもの。あれをまた注文したいのだ。
あれの取り合いになってな。天秤院でだ。なんと恐ろしいことか。」
「あれはまだ試作品なのですよ。それに、材料のブラスが今後どうなるか。」
「そうだったな。移動先は?旧王都になったと聞いたが?」
「ええ。少し遠いですが、それ以外は。
水もありましたしね。庭は荒れ放題ですが、
それもいずれ。整いましたら、またいらしてください。」
「それは楽しみだ。また公平に決めないとな。
うちは30人ほどなんだ。全員は無理か?」
「どうだろうか?モウ?」
「あの広さでしたら、十分に。」
ちょっとした宴会だ。
1人鍋を提供するほうがいいかもしれない。
カニ鍋か?
足置きアンカは樹石のカイロを入れればいい。
竹でしっかり編んで、真綿で巻いている。
数は100個。ある材料で作りましょうということになった。
30人だろ?
ああ、家族と家用?なるほど。
ん?ランサー殿にはマリーと名乗っていたはず。
「いや、わかるだろうよ。
でなければ天秤院にいる意味がない。」
それはそうだ。
それからやはり投票の話。
前任の隊長は不向きだと天秤院が判断したと聞いたのですが、と
セサミンが話をふった。
「火事だ火事だと壁を叩き壊してな。
そのときの当番が駆けつけると、軍部隊長がいたのよ。
ま、前任だな。
どうやらどこぞから移動してきたらしい。
移動ができる石使いということで、軍部隊長になったらしいが、
失敗して、別の場所にくるなんぞ、話にならんだろう?
生産院の副院長もいたがな。あれも、同じ石使いで移動ができるということで
復帰するメディングを差し置いての抜擢だったが。
生産院はその話すらなかったことになっている。
挙句、火なんぞ出てなかったしな。」
「移動ですか?」
「そうだ。コットワッツの領主の力の一つと聞いている。
それと赤い塊もできると。」
「ああ、わたしのはかなりの制限がありますよ。
異国の石使い、赤い塊ですね。そうですね。
どれほどの石をお持ちでどれほどの石を使っているのか。
しかし、石使いが移動できるというのは素晴らしいのでは?」
かなりの制限というのは本当だ。
どれほどの石を持っているか、どれほどの石を使っているか、
セサミンは知らない。
移動に石を使っていないことは知っているけど。
「ほほ!なるほど。
石使いの移動は、一抱えもする石がいる。あまり使えんな。」
「そうだったんですか。」
「タレンテ家のほうでも、クラサ殿のことはなかったことにな。
スダウト家はどうだろうな。
婿に余程の男が来ると豪語しておってな。
それを踏まえての軍部隊長だったからな。」
「それが条件だったんですか?」
思わず聞いてしまった。
ばかじゃね?
婿の力頼みってどうなの?
「あははは!驚かれるか?
その嫁婿には赤い塊と同等の石使いが傍にいるらしい。
それも手に入るということらしいぞ?」
「いやもう、驚きを通り越してなんというか、
どうでもいい話になりますね。
さらにどうでもいいんですが、娘さんの意向は?」
「その娘が乗り気だからだろ?」
「そうですか。ではお相手の方は皆さんご存じで?」
「それよ!雨の夜会でお披露目だそうな。」
「雨の夜会?」
「中央で開催される夜会だ。
ここと規模が違う。セサミナ殿は招待されているな?」
「ええ、兄と共に。」
「これは楽しみだ!」
「ランサー殿がそうおっしゃるのは珍しいのでは?
天秤院は常に公平だと。」
「もちろん、公平だ。だとしても、この手の話はみな好きなんじゃよ。」
迷惑な。
「愛しい人?楽しいな。」
「あ、楽しいの?」
「ああ。それだけ、愛しい人を皆に自慢できるからな。」
ポジティブ!
だけど、マティスが楽しいのなら良しとしよう。
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