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549:保留
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「しかし、あの匂いは強烈だったね。
バザールでもしないよ?」
いまはまったりマッサージ中。
トックスさんとマティスは、特別に白の刺繍を見せてもらっている。
ほぼ完成しているそうだ。
そこから、最終段階の意匠を決めるそうだ。
「いろいろ入ってますよ。隠し味に豆のソースも。
さっきお渡ししたレシピ、作り方に書いてますから。
匂いはすごいんで、お茶を煮出したものを布にしみ込ませて振り回すか、
ブラスの炭を置くかですね。」
「あれは?」
ソヤが聞いたのはあの金木犀の匂いのものだ。
ソヤも横でマッサージの仕方を覚えている。
ソヤは何になりたいんだ?
「まだ検証もしてないからね。
でも聞いてみようか?
あのドロインさん?これなんだか知ってます?」
ここの近くで取れたものだし、
年長者だし、知ってそう。
ホットアイマスクを外してみてもらう。
「マンザスだね?香りも新しい。どこで見つけた?」
「ドロイン?モウもソヤも行商を始めたばかりだ。
あんたがここで聞けば答えるだろう?だがそれは商売のネタだ。
聞いてどうする?」
トックスさんが珍しくとがめるような声を出した。
ここはドロインさんの空間だ。
聞かれれば、ソヤは素直に答えるだろう。
わたしも別段抵抗はしないだろうな。
「ふん!トックス!黙っておいで!
別に商売の邪魔をする訳じゃないさ。
このマンザスはわたしも久しぶりに見た。
香木の一種だ。
が、そこまで珍しいものでもないんだよ。
焚いて香りを出すというより、香つけに使うものだ。
紅茶に入れたりするね。
ただ、ここ数十年、出回ってないんだよ。
この界隈じゃ、東の砂漠に群生地があったのさ。
それを全部燃やしてね、処分した。
それがまた、どこぞで増えてきたということだろ?
この香り、近くだね?
その場所がどこだというのが問題なんだよ。」
「処分?これがあるところに問題が出るってことですか?」
泊った場所は荒野のかなり奥だ。
人が行き来できるようなところではない。
タトートからナルーザに抜ける街道、いや勝手にできた道よりも
かなり外れている。
人が踏み込んだ形跡もないとマティスは言っていた。
「大型の獣が寄ってくるんだ。これを食べるわけじゃないのにね。
トラだよ。知ってるかい?」
「トラ!」
「この大陸一番の毛皮だね。
マンザスの近くで待っていればトラがやってくる。
数人で組んで狩ったものだよ。その頃は人を襲わないって言われててね。
だけど向こうも狩られるだけじゃない、こっちを襲うようになった。
それは仕方がないさ、向こうだって死にたくないからね。
だが、それも、マンザスの茂みでの話だ。
それがいつの間にか街まで入って来ることが多くなった。
マンザスがあるからだってことになってね。
一斉に燃やしたんだよ。
そうするとバッタリだ。トラが人を襲う事がなくなったが、
トラの姿を見ることもなくなったのさ。」
「街にマンザス?これを植えたんですか?」
「葉を噛んでいたんだよ。香がするのは枝の方で、
葉は噛めば少し苦みが出るが、気持ちが落ち着くと言われてたんだよ。
葉をそのまま噛むために庭先に植えたんだ。
トラの被害がでて、燃やすと決まった時ももめてね。
砂漠のマンザスを先に処分したからなのか、街中にあるマンザス狙いで
結局は街に入ってきた。人を食べるのさ、トラが。
で、タトート中のマンザスを燃やした。これは国の命令だったよ。
以後、植えるのは禁止になってる。」
「じゃ、これ、持ってるのもダメ?」
「はは!植えるのがだ。
トラがいない地域では育ててるよ。東諸国も西諸国も。
だが、こっちには入って来ない。香りが飛ぶんだよ。
葉もね。だから、ここ何十年とないね。」
「あれか!ザスの葉!」
トックスさんが思い出したように声をあげた。
マッサージも終わり、
ドロインさんはありがとうと、起き上がる。
ちなみに、足の角質除去と、爪切り、
ふくらはぎ、腕、フェイスマッサージ付きで、5リングだ。
ソヤはお手伝いだけだったので、4リングと1リングで分けた。
「いや、ザスの葉なら知ってる。東に行った時に見たよ。
あれの枝?あー、そういうわれれば匂いは近いか。
いや、あれはもっと何というか、煙を吸うというか。」
「たばこ?」
「?」
「んー、葉を乾燥させて、紙に巻くか、その葉で巻くかで、
火をつけて吸う?」
「そうそう!それ!」
「あー、それか。そりゃあるよね。
そうかー、んー。」
たばこだわ、これ。
「ソヤ?残念なお知らせですよ?」
「なに?」
「ねーちゃんはこのマンザスからは手を引きます。
ここで、マンザスの枝を売ると
マンザスの茂みがあるということに気付くだろ?
かなりの奥地でも、ザスの葉の為に取りに来るものもいるだろうね。
で、そこにはトラがいる。」
「トラ!出たのかい?」
ドロインさんが驚いている。
それは毛皮が手に入るということではなく、
人を襲うトラに脅威を感じているからだ。
「ドロイン刀自、それは後で詳しく。
でね、そうなると、余程の腕利きじゃないとトラの方が強いだろうね。
徒党を組んでトラを狩るだろう。それはいいよ。でも、そうなると、
ボットと豚の繁殖量がどんと増える。
ボットと豚も同じように狩ってくれればいいけどね。
わたしたちは小さな林単位で、ボットも豚もトラも狩ったからね。
生態系は狂わないと、思いたい。
んー、何がいいたいかというと、これを売ることによって、
あちゃーってなるのが目に見えている。
その責任を負いたくない。」
「そんな責任はねーちゃんが取らなくていいんじゃないの?」
「もちろん、取らないし、取れんよ?
だけど、発端というか、そうなるきっかけになるのは嫌なんだよ。
わたしは物知らずで卑怯者で臆病者なんだ。」
「俺が、売るって言っても?」
「できればやめてほしいな。もしくは、
マンザスとわからないようにして売る。いや、それもダメだな、
香でわかるか。」
「あの塩袋は?あれに入れると匂いが漏れないんだろ?
で、あの状態を保つんだろ?
それを使って、西か東で仕入れたって。」
「おお!ソヤ!あんた賢いね。うん。だったらいいかな?んー。
いや、だめだ。西も東もまだ行ってない。
どんな状態で売ってるか知らない。
知ってたらいいけど、今の段階ではダメだ。」
「じゃ、いつ行くんだよ?」
「雨の日の後だね。」
「じゃ、それまで、待ってるよ。悪いけど、預かって?
売れないものを背負子に入れるのはもったいないだろ?」
「ん。そうだね。研究用に少し取って、後はわたしが預かるよ。」
「うん。」
「ということで、これは保留商品になりました。
次回お楽しみに。」
「あははははははは!!
そこまで考えるのかい?いや、いいことだよ。
で?トラは?狩ったんだね?毛皮は?トックス!」
「ああ、見るか?が、期待するな?」
「いいからお見せ!!」
「はははは!いいね!これ!
これで上着を作っておくれ!それで雨の夜会に行こうかね。
青のドレスに合うだろう?」
「いや、上着は別で作ってる。」
「どうして?大陸一の毛皮を着せてくれてもいいだろ?」
「もちろん。ああ、先に見せようか?
驚かせようと思たんだけどな。
ま、当日それ見て、死なれても困るか。」
「なんだいそれ?お前は対外失礼な男だよ。」
「モウ。あれ、出せるか?人型。」
「ん?トルソー?ドロインさんサイズで出そうか?」
「ああ、そうしてくれ。」
背負子から少し、いや、かなり小柄のトルソーを出して、
その前に衝立を置いた。
仮縫い状態の青のドレス。
はー、素敵。露出は当然ほぼないのだが、
ダイヤ、サファイヤか?
それが上品にまとまっている。
その上に、薄いブルーグレーのミンクのコートだ。
グレードが違うのが素人目にもわかる。200ではないだろう。
この色を集めるだけどんだけ手間がかかったことか。
裾に濃いグレーを使っているので、縦長に見える。
靴も用意しているのか。すごいな。
ヒールは低いので、歩きやすいだろう。
ああ、靴はマティス監修なの?さすがだ。
「ほれ。驚くなよ?」
じゃじゃん、という感じで衝立をどかした。
「!!!!!」
「ん?死んだか?」
といいつつも、腰に手を回し、
エスコートする。
「死ねないね。これを着るまでは。ああ、素敵だね。
これを?あはははは!エスコトーはもちろんしてくれるんだろうね?」
「俺が?んー、そうだな。そうしようか。
だったら服も作らんといかんな。」
「えーなにそれ?どっか行くの?俺も!」
「ああ、あんたもくればいい。あんたには正式に招待状を送ろうか。
あれらが気に入ってたからね。
コットワッツあてに送ろう。
あんたたちはあるね。トックスはわたしと同伴だからいらないね。
当日よりも2日ほど早めに来れるかい?
いろいろ準備もあるからね。
もちろん、あんたたちもだ。」
「ドロイン。俺はかまわないが、こっちは無理できないぞ?
どうだ?」
「どうだろう?ティス?」
「みなといっしょというならいいだろう?
あれの奥方2人はあれが運べるだろうし。
連絡はそっちからしてもらったほうがいいだろうな。
こっちは、狩りのあと来ればいい。」
「ちい兄ちゃんところは奥方2人、従者2人ですね。
で、ソヤでしょ、で、トックスさん。
わたしたちは、
わたしたち2人とあと2人来ますがいいですか?
あー、会には出ないですけど、たぶん、後3人と一人。」
カップ兄弟とニックさんも来るだろう。
「何人でもいいさ。
あんた、ティスの招待状で、モウと後2人が来るのかい?」
「そうなりますね。わたしの息子とわたしたち2人の師匠、
いうなれば保護者です。」
「それは違う!」
「あんたの師匠?ああ、ワイプだね?」
「ご存じですか?さすが師匠だ!」
「間抜けのワイプで有名なんだ!」
「息子と言うのは?」
「わたしを母と慕ってくれています。元ニバーセルの軍部隊長のガイライです。
今は分隊ですね。分隊の隊長はニックと言います。彼も来ます。
あと3人というのは師匠の配下です。」
「はは!どれもこれも聞いたことのある名だね。
分隊か。ティス、安心おし。それぞれに招待状を送っておこう。
もちろん、コットワッツ領主にもだ。
あんたにもね。別で出してやろう。それには伴侶のみ同伴としておこうか。」
「感謝します。」
「いや、楽しませてくれる礼だよ。」
「くれたじゃないんだな?」
「そうだろ?前払いだね。」
「揉めますか?」
「目に見えて揉めはしないだろうし、それは許されないよ?
が、見えないところでだね。うまく対処することだ。」
「ドロイン刀自。あまり面倒なら、わたしたちは、
すっぱり姿を消すことを選びますが?」
「それは面白くないよ!
雨の日前にきっちり片を付けたほうがいさ。
なに、ドンと構えておきな。」
「そのことで、コットワッツに迷惑がかかるのなら、
わたしはいないほうがいい。」
「愛しい人!」
「あんたは心配性だね。そのためのわたしからの招待状だ。
楽しんでしまえばいい。」
「ティス?」
「ん?愛しい人。楽しもう?なにも問題は無い。」
「うん。そうだね。」
マティスがそういうんだから、問題は無い。
問題はね。
ああ、ドロインはみんな知っているんだな。
バザールでもしないよ?」
いまはまったりマッサージ中。
トックスさんとマティスは、特別に白の刺繍を見せてもらっている。
ほぼ完成しているそうだ。
そこから、最終段階の意匠を決めるそうだ。
「いろいろ入ってますよ。隠し味に豆のソースも。
さっきお渡ししたレシピ、作り方に書いてますから。
匂いはすごいんで、お茶を煮出したものを布にしみ込ませて振り回すか、
ブラスの炭を置くかですね。」
「あれは?」
ソヤが聞いたのはあの金木犀の匂いのものだ。
ソヤも横でマッサージの仕方を覚えている。
ソヤは何になりたいんだ?
「まだ検証もしてないからね。
でも聞いてみようか?
あのドロインさん?これなんだか知ってます?」
ここの近くで取れたものだし、
年長者だし、知ってそう。
ホットアイマスクを外してみてもらう。
「マンザスだね?香りも新しい。どこで見つけた?」
「ドロイン?モウもソヤも行商を始めたばかりだ。
あんたがここで聞けば答えるだろう?だがそれは商売のネタだ。
聞いてどうする?」
トックスさんが珍しくとがめるような声を出した。
ここはドロインさんの空間だ。
聞かれれば、ソヤは素直に答えるだろう。
わたしも別段抵抗はしないだろうな。
「ふん!トックス!黙っておいで!
別に商売の邪魔をする訳じゃないさ。
このマンザスはわたしも久しぶりに見た。
香木の一種だ。
が、そこまで珍しいものでもないんだよ。
焚いて香りを出すというより、香つけに使うものだ。
紅茶に入れたりするね。
ただ、ここ数十年、出回ってないんだよ。
この界隈じゃ、東の砂漠に群生地があったのさ。
それを全部燃やしてね、処分した。
それがまた、どこぞで増えてきたということだろ?
この香り、近くだね?
その場所がどこだというのが問題なんだよ。」
「処分?これがあるところに問題が出るってことですか?」
泊った場所は荒野のかなり奥だ。
人が行き来できるようなところではない。
タトートからナルーザに抜ける街道、いや勝手にできた道よりも
かなり外れている。
人が踏み込んだ形跡もないとマティスは言っていた。
「大型の獣が寄ってくるんだ。これを食べるわけじゃないのにね。
トラだよ。知ってるかい?」
「トラ!」
「この大陸一番の毛皮だね。
マンザスの近くで待っていればトラがやってくる。
数人で組んで狩ったものだよ。その頃は人を襲わないって言われててね。
だけど向こうも狩られるだけじゃない、こっちを襲うようになった。
それは仕方がないさ、向こうだって死にたくないからね。
だが、それも、マンザスの茂みでの話だ。
それがいつの間にか街まで入って来ることが多くなった。
マンザスがあるからだってことになってね。
一斉に燃やしたんだよ。
そうするとバッタリだ。トラが人を襲う事がなくなったが、
トラの姿を見ることもなくなったのさ。」
「街にマンザス?これを植えたんですか?」
「葉を噛んでいたんだよ。香がするのは枝の方で、
葉は噛めば少し苦みが出るが、気持ちが落ち着くと言われてたんだよ。
葉をそのまま噛むために庭先に植えたんだ。
トラの被害がでて、燃やすと決まった時ももめてね。
砂漠のマンザスを先に処分したからなのか、街中にあるマンザス狙いで
結局は街に入ってきた。人を食べるのさ、トラが。
で、タトート中のマンザスを燃やした。これは国の命令だったよ。
以後、植えるのは禁止になってる。」
「じゃ、これ、持ってるのもダメ?」
「はは!植えるのがだ。
トラがいない地域では育ててるよ。東諸国も西諸国も。
だが、こっちには入って来ない。香りが飛ぶんだよ。
葉もね。だから、ここ何十年とないね。」
「あれか!ザスの葉!」
トックスさんが思い出したように声をあげた。
マッサージも終わり、
ドロインさんはありがとうと、起き上がる。
ちなみに、足の角質除去と、爪切り、
ふくらはぎ、腕、フェイスマッサージ付きで、5リングだ。
ソヤはお手伝いだけだったので、4リングと1リングで分けた。
「いや、ザスの葉なら知ってる。東に行った時に見たよ。
あれの枝?あー、そういうわれれば匂いは近いか。
いや、あれはもっと何というか、煙を吸うというか。」
「たばこ?」
「?」
「んー、葉を乾燥させて、紙に巻くか、その葉で巻くかで、
火をつけて吸う?」
「そうそう!それ!」
「あー、それか。そりゃあるよね。
そうかー、んー。」
たばこだわ、これ。
「ソヤ?残念なお知らせですよ?」
「なに?」
「ねーちゃんはこのマンザスからは手を引きます。
ここで、マンザスの枝を売ると
マンザスの茂みがあるということに気付くだろ?
かなりの奥地でも、ザスの葉の為に取りに来るものもいるだろうね。
で、そこにはトラがいる。」
「トラ!出たのかい?」
ドロインさんが驚いている。
それは毛皮が手に入るということではなく、
人を襲うトラに脅威を感じているからだ。
「ドロイン刀自、それは後で詳しく。
でね、そうなると、余程の腕利きじゃないとトラの方が強いだろうね。
徒党を組んでトラを狩るだろう。それはいいよ。でも、そうなると、
ボットと豚の繁殖量がどんと増える。
ボットと豚も同じように狩ってくれればいいけどね。
わたしたちは小さな林単位で、ボットも豚もトラも狩ったからね。
生態系は狂わないと、思いたい。
んー、何がいいたいかというと、これを売ることによって、
あちゃーってなるのが目に見えている。
その責任を負いたくない。」
「そんな責任はねーちゃんが取らなくていいんじゃないの?」
「もちろん、取らないし、取れんよ?
だけど、発端というか、そうなるきっかけになるのは嫌なんだよ。
わたしは物知らずで卑怯者で臆病者なんだ。」
「俺が、売るって言っても?」
「できればやめてほしいな。もしくは、
マンザスとわからないようにして売る。いや、それもダメだな、
香でわかるか。」
「あの塩袋は?あれに入れると匂いが漏れないんだろ?
で、あの状態を保つんだろ?
それを使って、西か東で仕入れたって。」
「おお!ソヤ!あんた賢いね。うん。だったらいいかな?んー。
いや、だめだ。西も東もまだ行ってない。
どんな状態で売ってるか知らない。
知ってたらいいけど、今の段階ではダメだ。」
「じゃ、いつ行くんだよ?」
「雨の日の後だね。」
「じゃ、それまで、待ってるよ。悪いけど、預かって?
売れないものを背負子に入れるのはもったいないだろ?」
「ん。そうだね。研究用に少し取って、後はわたしが預かるよ。」
「うん。」
「ということで、これは保留商品になりました。
次回お楽しみに。」
「あははははははは!!
そこまで考えるのかい?いや、いいことだよ。
で?トラは?狩ったんだね?毛皮は?トックス!」
「ああ、見るか?が、期待するな?」
「いいからお見せ!!」
「はははは!いいね!これ!
これで上着を作っておくれ!それで雨の夜会に行こうかね。
青のドレスに合うだろう?」
「いや、上着は別で作ってる。」
「どうして?大陸一の毛皮を着せてくれてもいいだろ?」
「もちろん。ああ、先に見せようか?
驚かせようと思たんだけどな。
ま、当日それ見て、死なれても困るか。」
「なんだいそれ?お前は対外失礼な男だよ。」
「モウ。あれ、出せるか?人型。」
「ん?トルソー?ドロインさんサイズで出そうか?」
「ああ、そうしてくれ。」
背負子から少し、いや、かなり小柄のトルソーを出して、
その前に衝立を置いた。
仮縫い状態の青のドレス。
はー、素敵。露出は当然ほぼないのだが、
ダイヤ、サファイヤか?
それが上品にまとまっている。
その上に、薄いブルーグレーのミンクのコートだ。
グレードが違うのが素人目にもわかる。200ではないだろう。
この色を集めるだけどんだけ手間がかかったことか。
裾に濃いグレーを使っているので、縦長に見える。
靴も用意しているのか。すごいな。
ヒールは低いので、歩きやすいだろう。
ああ、靴はマティス監修なの?さすがだ。
「ほれ。驚くなよ?」
じゃじゃん、という感じで衝立をどかした。
「!!!!!」
「ん?死んだか?」
といいつつも、腰に手を回し、
エスコートする。
「死ねないね。これを着るまでは。ああ、素敵だね。
これを?あはははは!エスコトーはもちろんしてくれるんだろうね?」
「俺が?んー、そうだな。そうしようか。
だったら服も作らんといかんな。」
「えーなにそれ?どっか行くの?俺も!」
「ああ、あんたもくればいい。あんたには正式に招待状を送ろうか。
あれらが気に入ってたからね。
コットワッツあてに送ろう。
あんたたちはあるね。トックスはわたしと同伴だからいらないね。
当日よりも2日ほど早めに来れるかい?
いろいろ準備もあるからね。
もちろん、あんたたちもだ。」
「ドロイン。俺はかまわないが、こっちは無理できないぞ?
どうだ?」
「どうだろう?ティス?」
「みなといっしょというならいいだろう?
あれの奥方2人はあれが運べるだろうし。
連絡はそっちからしてもらったほうがいいだろうな。
こっちは、狩りのあと来ればいい。」
「ちい兄ちゃんところは奥方2人、従者2人ですね。
で、ソヤでしょ、で、トックスさん。
わたしたちは、
わたしたち2人とあと2人来ますがいいですか?
あー、会には出ないですけど、たぶん、後3人と一人。」
カップ兄弟とニックさんも来るだろう。
「何人でもいいさ。
あんた、ティスの招待状で、モウと後2人が来るのかい?」
「そうなりますね。わたしの息子とわたしたち2人の師匠、
いうなれば保護者です。」
「それは違う!」
「あんたの師匠?ああ、ワイプだね?」
「ご存じですか?さすが師匠だ!」
「間抜けのワイプで有名なんだ!」
「息子と言うのは?」
「わたしを母と慕ってくれています。元ニバーセルの軍部隊長のガイライです。
今は分隊ですね。分隊の隊長はニックと言います。彼も来ます。
あと3人というのは師匠の配下です。」
「はは!どれもこれも聞いたことのある名だね。
分隊か。ティス、安心おし。それぞれに招待状を送っておこう。
もちろん、コットワッツ領主にもだ。
あんたにもね。別で出してやろう。それには伴侶のみ同伴としておこうか。」
「感謝します。」
「いや、楽しませてくれる礼だよ。」
「くれたじゃないんだな?」
「そうだろ?前払いだね。」
「揉めますか?」
「目に見えて揉めはしないだろうし、それは許されないよ?
が、見えないところでだね。うまく対処することだ。」
「ドロイン刀自。あまり面倒なら、わたしたちは、
すっぱり姿を消すことを選びますが?」
「それは面白くないよ!
雨の日前にきっちり片を付けたほうがいさ。
なに、ドンと構えておきな。」
「そのことで、コットワッツに迷惑がかかるのなら、
わたしはいないほうがいい。」
「愛しい人!」
「あんたは心配性だね。そのためのわたしからの招待状だ。
楽しんでしまえばいい。」
「ティス?」
「ん?愛しい人。楽しもう?なにも問題は無い。」
「うん。そうだね。」
マティスがそういうんだから、問題は無い。
問題はね。
ああ、ドロインはみんな知っているんだな。
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