いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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553:油

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「今日の月の出前に王都から使者が来ます。」

半分過ぎにトックスさんのところに行くと
セサミンに連絡すれば王都からの連絡が来たという。

詳しくはトックスさんのところでということになった。


「明日ぐらいかと思ったけど、早いね。」
「研究院の方もかけあわせを考えているようですよ。」
「なるほど。農業と畜産では当たり前のことか。」
「姉さんのところでも?植物はあるとは聞いてましたが。」
「もちろん。お肉もあるよ。
乳がいっぱい出る種類や、お肉がおいしい牛とかね。
が、種を超えての掛け合わせはないな。無理だもの。
それをしてしまう研究院はすごいよね。
それと動物は卵で生まれるってのが最近の驚きだよ?
んー、分類がそもそも違うかもしれないね。」

もしかしたら、駱駝と馬は、もともと同じ系統かもしれないな。
うん、きっとそうなんだ。

「卵?そりゃそうでしょ。え?ほかにどうやって生まれるんですか?」
「いや、ヒトのようにおなか中で育ってという。
ちょっとまって!人は?そのお母さんのおなかで育って、
産まれて来るのは人としてだよね?
あのときの話で誰も突っ込まなかったからあってるよね?
まさか、おなかでは卵?え?」
「いや、あの講義のあの絵のままですよ。姉さんは絵がうまい。」

あー、よかった。
おへそがあるものね。うん。

人以外の動物は卵で産む、これ常識。
ん?哺乳類は人類だけ?



「じゃ、わたしたちはどうしようか?
護衛として一緒にいてもいい?
サイが突進したら怖いしね。」
「お願いできますか?」
「もちろん。セサミンの御用事は済んだの?」
「ええ。先に話しておいてくれたんですね。毛皮のことの相談です。」
「ああ。宝石と毛皮。これはいいと思うよ。
200の毛皮は取引材料に使うつもりだったけど、それ以上の物を見せてもらったしね。
200よりトラのほうが上かな?」
「少しだけな。」
「で、あれから、また奥に行ったんよ。」
「おい!やったのか!!」
「もちろん、マティスがね。」

マティスはトラ肉の仕上げをしている。
鍋を見れば、半分以上が油となっていた。ちびくろサンボのトラのバターだ。
油臭くなく、澄み切った油。
色々使えそうだが、原材料のことを考えるとちょっと抵抗があるか?

プラセンタとかそういうのも原材料を考えれば、ちょっととなるが、
うん、動物性オイル?と考えれば大丈夫。

底の方に沈んだ肉はすじだけとなっていた。
が、肉のうまみが凝縮。
それをお醤油で炊いてもらっている。
これがおいしい!!
それを使ったお好み焼きだ。素晴らしい!!



「じゃじゃーーん!」
「やったな!」
「これはすごい。トラの毛皮はあの色だと思っていたんですが、
こんなに濃い色の物もあるんですね。」
「でかした!領主さんよ、200のコートは20だな?
それは王都に行くときまでに用意するよ。
さきにこのトラを鞣したい。かまわないな?」
「ええ、もちろん。」
「それで男性用の上着を作ってほしんだ。それを売ってこようかと。」
「姉さん?それは誰に?」
「え?そりゃ
「待って!待って!!いいです、言わないで!
これは兄さんと姉さんが狩ってきたもの。それをどうするのも自由です。
誰に売っても構わない。ええ。」
「そんな警戒しないでよ。ふさわしい人に売るよ。いいでしょ?トックスさん?」
「もちろん。じゃ、相手がいるんだな?そいつの背格好は分かるんだな?」
「うん、マティスに聞いて。」

「できたぞ。」

山のようにお好み焼き。すじ肉入りだ。
この倍ほどを師匠のところには届けている。

親方たちにもお裾分け済みだ。
ソヤは戻れば樽が届いていたのでさっそく仕込みを始めている。
手伝いはフックさんにお兄さんたちがしてくれているそうだ。
作り方が確定してから人を雇いことになる。
それまでは不用意に人を雇えない。

「焼肉祭りをしないとね。
ボット、豚、海鮮、今日は折角草原に行くんだからサイも狩れたらいいね。
狩れなくても前に買ったのがあるからね。大丈夫。」
「わたしが戻ったらみなが、その話ばかりですよ。」
「楽しみにしてくれてたんならうれしいよね。
草原に行く前に声かけてくれる?
それまで、ここの家でゴソゴソしてるから。」
「ええ、わかりました。」

ゴソゴソ仕事はもちろんビデオ編集だ。
マティスはトラの解体の手伝いと、王さん、ラーフィングのイメージを伝えて、
コートを作ってもらう。
100万のしごとだ。取り分は協議の末、7:3となった。
わたしたちが7だ。
なんだか申し訳ないけど、3でももらいすぎだからと。
んー、ここはお言葉に甘えよう。
セサミンは相手にくれぐれも入手先を公表するなと念を押せといわれた。
そりゃそうだね。了解です。

そんな風に今回は倒れはしなかったセサミンは、
単独で移動できたようだった。
ルグとドーガーは草原のことで先に現地に行っている。
草原の村で飼育しているメーウーを買わないかと連絡あったのだ。
サイの狩りで皆儲かっている。
誰も世話をしなくなり一気に数が減った。
50頭もない状態では邪魔なだけだと。
すべてで100リングで買い取るそうだ。
王都のほうも先に草原の民と話を付けている。
そりゃそうだ、いきなり話を持っていけば、反発も出るだろう。
ことさら、コットワッツ、セサミナを悪口を吹き込んだことだろう。
村全体で舞い上がっている。
本来なら、そんなうまい話はないと諌めるのだが、
こちらがいえばいうほどこちらに反発が出て、王都のことを鵜呑みにする。
そうなるとどうしようもない。
ではどうぞ、ご勝手にと、非情セサミンだ。

もう少しで月が昇るころに草原の民の村へと到着した。現地集合だ。
帰りはルグ達が乗ってきた馬車で帰ると言うことで移動でやってきた。
メーウー用2台、幌馬車1台だ。
テンたちは御者無しで走ってくれる賢い馬だ。


「サイ待ち?それとも、もう仕留めたとか?」
「無理ですよ!以前より狂暴で集団でくるそうですよ?
それを例の銃で仕留めるとか。」
「それは効率はいいが、すぐに効かなくなるだろうな。
サイは優秀だからな。後はジャリ肉はどうにもならんだろう。」
「それが、完全に殺してしまわないことで、そうはならないと。
さっき自慢気に話していました。
まだ息があるうちに毛に火を着ければいいとか。
のたうち回るのが困ると笑っていましたから。
もちろん、体内に入った弾丸の廻りは広範囲で食べれないそうですが。」
「あー、なんというか、んー、ちょっとえげつないね。」


ここまでの話をうまくドーガーが聞き出したようだ。
ルグにはメーウー4匹を買われて、
ティータイで織物を真似されたと、文句を言われたそうだ。
要はもっと金を出せとのこと。
そんなことはできないと突っぱねる。当然だ。
織物を作ってくれたのは元草原の出身だ。
だったら、お金をかけて隠匿すればいい。
織り方に隠匿も何もないんだが。


ドーガーはそれをなだめて、これからサイの畜産になるのですね、すごいですねと、
持っていったようだ。

話を聞けるだけ聞いて、
村の中では、さらに文句も出そうなので、外で待っていたと。
出たお茶には2杯で、2リング払ったそうだ。

おなかもすいたろ。
なので、急いでお好み焼きを食べている。


「畜産になるとその心配もないと。村長が笑ってましたよ。」
「いや、そもそも、どうやって、生け捕りにするの?」
「卵を研究院に渡すそうですよ。
それで凶暴性のないものを作るとか。それをここで家畜化ですね。
それまでは、銃で仕留めると。」
「そんな話まで進んでいるんだね。しかし、サイも卵なのか。え?でも、それどこにあるの?
大体、サイってどこに住んでるの?」
「それは誰も知らないんですよ。
餌場はここ草原ですが、ねぐらは。誰も見たことはないんですよ?」
「あの山じゃないの?氷も取れる。そうなると国境の山も押さえるのかな?」
「今回は草原です。国境の山は違う。
デジナも領国が管理しているから何も言わないが、
王都が管理するとなるとまた違った話ですよ?」
「そうなんだ。」
「だれも、把握してないんですよね。わたしもなんですが。
もしかしたら、草原の真ん中かもしれませんし。
あの、姉さん?今度でいいので、あの絨毯借りれませんか?」
「いいよー。あれはセサミン専用だから。持っておけばいい。
下からは見える見えないは自分で選べるようにしておこうね。」
「すごいんですが、その、どうして浮いているんですか?」
「ああ、わたしか、マティスが浮かせてると考えて。で、どこに行くかとかの指示系統は
セサミンにあると。ね?」
「ああ、それなら!」

納得しないとダメだからね。
わたしかマティスならできるだろうと考えればそれでいい。

「来たぞ。」
「どこの院?」
「開発院ですね。」
「へー。ではでは、我ら2人は護衛ということで。」
「お願いします。」

赤い衣装に面布を付けている。
もうこれが護衛赤い塊公式ユニフォーム。

かなり大きな馬車だ。
馬は流行りの小型。西馬だろうか。
それが6頭で2台。見た目は派手でいいよね。


いつの間にかできた見張り台から見ていたのだろう、
セサミンを出迎えはしないが、王都からの使者には
出迎えると。露骨だねぇ。


後ろの馬車に乗っていた人たちが、簡易テントを組んでいく。
村の中には入らないんだ。


「ようこそ。ミクナ様。ここではなく、どうぞ中に。」
「いや、中に入れば何かと気を使わせてしまうからな、ここで。」

何度か打合せに来ていたのだろう。
中でぼったくりにでもあったんだろうか?かなり警戒している。

「そうですか?では、娘を呼んできましょうか?」
「いや、仕事だからな。結構だ。」

はは!そっちか。


「セサミナ殿、開発院、ミクナです。さっそく始めましょうか。
どうぞ、こちらに。」

ん?座るだけなのか。

「ええ。ルグ、皆さまにコーヒーを。
なに、わたしも今到着したばかりで、喉が渇きましたので。」


わたしたちはあくまで護衛。
ルグとドーガーが馬車の陰に作業台を出したと伝え用意してもらう。
もちろん、カンターウォーマーでコーヒーだ。

お茶菓子はなにがいいだろうか?
コットワッツの銘菓になるようなもの。
とりあえず、プニカ入りのクッキーだ。
真ん中が赤くて可愛らしい。

これはお持ち帰り用のお土産にするといいよね。




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