556 / 869
556:海と砂漠
しおりを挟む
メーウーが乗った馬車が2台。
先頭がドーガーで、後ろは御者無し。
ロクがちゃんとついていく。
その後ろに、ルグが御する馬車。
これにはもちろんセサミンが乗る。
わたしたちはその横に。
走ってついていく。
試しに乗ったのだが、やはり酔うのだ。
テンが申し訳なさそうにしたけど、直接乗るなら問題ないし、
浮くわけにもいかないからね。この服だと浮いているのが丸見えだ。
護衛も兼ねているからと、走る、走る。
その後ろに開発院の馬車、2台。
残念ながらサイとの遭遇はなかったが、仕方がない。
閉鎖している門を開けて、ティータイに。
サイが突進しても大丈夫なように補強はしておこう。
ちょうど食事時なので、
開発院の方々とセサミンは会食に。
メニューはサイのステーキらしい。
毛を焼いた状態の物ではなく、
ゴム手袋でむしったもの。
脂がのっておいしい方だ。
王都の方でもサイの家畜化に力を入れてほしいというのがある。
草原、ラーゼム領国もそれを一大産業にしてしてほしいということだ。
従者にはない。
なので、控えの間で、ハンバーガーとラーメンだ。
護衛は領主館のなかでする仕事はない。
マティスは気配を消して傍に控えるが、
わたしは西馬たちとおしゃべりだ。
「テンたちもお疲れ様。
お水出しとくね。メーウーたちは?
ちょっと元気ないよね?
元気になってからラルトルガ?そうか。
そのほうがいいね。」
綿花はコットワッツ。メーウーはラルトルガ。
これは前回の会合で決まったことだ。
元気になったら、ラルトルガに行って、乳を出す。
刈り取った毛はコットワッツに。
卵からかえったばかりのメーウーはある程度大きくなるまで、こっちで。
「かーわーいー!!」
手乗りメーウー。
メーウーは年に数回、卵を産む。
これは動物、それぞれで違う。ガルッスは年がら年中だしね。
少し小さなメーウー。雨の日前にはもう普通の大きさになるとか。
その小さなメーウーたちの中に、今回引き取ったメーウーがいる。
仲間が沢山いるので、見た目にも元気になっている。
それ以外は雨の日以外で数回というこのようだ。へー。
トリヘビは雨の日だよね。数年に1回、珍しいタイプのようだ。
じゃ、馬も?
馬も毎年ではなく、数年に1回。
寿命が関係しているのか。
是非とも手乗り馬を体験したい。
西馬はやっぱり元気がない。
干し肉をあげると喜んだ。
テンたちは要らないって。
ほんとにしょっちゅう食べるわけじゃないのね。
では、また今度で。
西馬たちの話では、やはり最近ニバーセルにやって来たと。
出身地はザナスだそうだ。そういっていたと教えてくれた。
賢い!
いままで、西だ、と言われていたけど、はっきりと答えてくれなかったのだ。
向こうだよ、といった答えだったから。
丸い実がおいしいということもタフトの馬たちが言っていたのと同じだ。
で、肉を食べると。テンたちよりももっと頻繁に。
今食べた肉の方がおいしいと言ってくれた。
これだったら、たまにでいいなって。
「あー、わかる。
おいしいものと、毎日食べたいものってちょっと違うよね。
たまに食べるおいしいものなんだ、これは。
わたし?わたしは旦那様が作ってくれるものをだったら、なんでも。
もちろん、毎日食べたい!!」
はいはい、と軽く流された。
この対応は馬共通だ。
(愛しい人?食事が終わった。領地の話がはじまる)
(わかった)
「じゃ、またね。」
会議室にちょうど向かう途中で合流できた。
「護衛の方が同席される必要はないのでは?」
護衛がマティスだと知っていてあえて聞いてくる。
「ああ、そうですね。兄上、姉上、面布を。
今回草原の代わりに得た領土を兄に渡したいのですよ。」
「それはどうして?とお聞きしてもよろしいですか?」
「ご存じでしょ?兄は成人後、領家を出ました。
普通はその時に土地の贈与があるんですが、いろいろありましてね。
うやむやになっていたんですよ。
変動後わたしの護衛として傍にいてくれている。
もちろん、その報酬としてもね。コットワッツの領土を託したいのですよ。
が、ここではない。すでに皆が住んでいますから。
兄は一から開拓していきたいというのでね。ちょどいいかと。」
この時のものの言い方がすごい。
さも、めんどくさそうに、
さも、適当な土地を与えておけばいいっていうぐらい。
笑ってしまう。
だって、こころの中では、ごめんなさい、なんて嫌な奴なんだの連呼だ。
マティスと2人で笑いを押さえるのに苦労した。
「なるほど。では贈与という形ですね?」
「ええ。領土としてはコットワッツです。
税は資産院のほうで決めてもらったものを
納めてもらいましょう。それをこちらから納めるという形で。」
さまざまな形態があるようだ。
イリアス、フェルトナで習得した土地はどこにも属していない。
税は中央とのやり取りになる。仲介はクスナさんだが。
今回はあくまでも領土はコットワッツ。
税金等の通知は直接来る。それをコットワッツに払えばいい。
その都度対応してきたんだろうな、支払方法が多岐にわたる。
「では、規模としてはどのぐらいの大きさで?」
「それはもともと、草原の税分と同じぐらいと考えていましたから、それで。
しかし、ミクナ殿?結局ニバーセルとしては税の減収はなかったんだ。
むしろ領土なってしまった分、1000リングでは済まないでしょう?
わたしどもとしては、今回でなくても、
ゆっくり検討して習得するということもできるのですが?」
「いえ、それは。今回たまたまこうなっただけで。
逆に未開発の土地を領土化して税が増えるというのは良いことですよ。」
「基本税は同じぐらいで。その土地での収益はそちらで確認管理してください。
現地でね。」
「それは当然ですね。資産院の仕事ですから。では。」
会合の時に広げた地図だ。
すでに、ラーゼム領土となっている。
同じような土地の大きさで、どこにも属していないところ。
そこから、沼地、池、川があるところは外す。
どこにつながっているかわからないから。
余程のことがないと習得は出来ない。
会合で見た場所が候補だ。
「これ、根回しなく宣言してもよろしいか?」
「この地図の印が付いているところは、かまわないですよ。
むしろ、中央から習得をせかされている場所なので。」
不良物件の押し売りですね。
「兄上?どうされますか?
宣言も兄上がなさってください。
文言にコットワッツ領としてと入れていただければいいので。」
「むしろ、ラーゼムのように独立なされては?」
「それはダメですね。兄上は各地を回られる。
一つのところに留まるのは勿体ない。
それに、収益が上がれば、コットワッツの資産になるので。」
「それはそれは。」
土地を与える。だが、それはコットワッツ。
収益がでればそれもコットワッツ。でなければでないで、マティスが払う。
(あー、なんていやな奴なんだ!)
(いや、領主として当然。がんばれ!)
(はぁ)
ここは会議室。
誰が聞いているかわからないのだ。
なげくセサミンをなだめておく。
「愛しい人?どこがいい?
私はどこでもいいんだ。愛しい人が選んだところで。
習得できればすぐにでも出立しよう。」
「わたしが選んでいいの?あんまり地図ってよくわからないんよね。
んー、これは?海?ここは砂漠?
あ、ちょっと皆さん、頭どかしてもらえます?ちゃんと見たい。
はい!今ね!
うん、良く見える。
ああ、ここがコットワッツ?
で?この印のついてるどれか?
海と砂漠があるのがいいね。
うん、ここ。ここにしよう。」
思いっきりバッカプルだ。
頭をどかしてもらったのは天井から写真を撮るためだ。
将棋の中継のように頭がかぶってきたら嫌だもの。
あーあ、そんなところを選んで間抜けだなーという顔を
一瞬だけミクナが見せた。
「やはり、砂漠の近くがいいですね。
流石兄上だ。では、宣言を。」
『宣言!マティスが欲する。
グラシオル大陸、所有者なき地を我は欲する。
上空、地中すべて。
その地はコットワッツに属し、我らマティスと愛しい人が管理する』
「はい。これで、この土地はコットワッツ領、管理者マティス殿と、えっと?」
「私が愛しい人と呼ぶものだ。」
「え?あー、わかりました。
しかし、上空と地中ですか?その宣言は初めて聞きましたよ。」
「その土地の産物で収益が上がるかどうかは、
きちんと視察に来てくれ。
想像だけで課税されても困る。
日程を指定してもらったら、我らもそこに居よう。
できれば、雨の日以降がいいな。」
「えっと。そうですね。
おそらくは年に2000リングでしょ。」
「2000?」
「あのマティス殿が習得したということで、その土地の価値が上がります。
が、なにも産みださないのであれば、それ以上上がることはありません。」
「ミクナ殿は詳しいですね。」
「あははは!その都度必要なことはお話しできますよ?」
「ラーゼムではわざと話さなかったと?」
「あははは!そんなことはありませんよ。わたしよりも詳しいものが、
数日後には来ますよ。教育係りは明日ですね。」
「明日?準備のよろしいことで。」
「当然です。」
草原の民の性格から己の土地にするというのは分かっていた話。
あの場で詳しいことを説明できる人間がいれば、もめにもめただろう。
資産院は後日。一緒だと、またごねるからと。
教育係は心得を叩きこむ。お金に関することは分からないと逃げる。
資産院が税について説明する。
当然そんなのは知らないというだろうが、領国、領主というのはそうです逃げる。
受け入れないのなら、王都返還してください、が、石の契約は継続です、となる。
コットワッツには戻れない。
ミクナはお土産に冷蔵庫、冷凍庫、タオルと買ってくれた。
手土産の焼き菓子も人数分。
従者の人も喜んでいる。
今日はコットワッツに泊り、明日の月が沈んですぐに来るであろう、
教育係りと打合せをしてから帰るそうだ。
従者がラーメンを食べたと言ったので、それを今から食べに行くそうだ。
従者も一緒に街に繰り出すと。
案内はルグとドーガー。
ザ・接待。
焼肉祭りはあの広場で行われることになった。
草原のことも報告しないと行かないからだ。
「じゃ、サイは5頭と、ボット、豚と海鮮、ああ、エビとカニもね。
置いていくよ。」
「え?一緒ではないのですか?」
「いや、せっかく土地をもらったんだ。先に挨拶に行く。
それで、ちょっとゆっくりするよ。はは!いつもだけどね。
マティスたちはその土地に向かって出立したってことにしてね。
きっと、いろいろ動きがあると思うよ。
わたしたちがいる時には動けなかった人たちがね。
いつでも連絡はちょうだい。こっちもするから。」
「妻たちがその、集まりはいつだと。あと、爺たちも。」
「あははは!そうだね。会わずの月の日の前にしよう。
そうそう、雨の夜会ね。2日前に現地集合になったの。」
「どうして2日前に?」
「ああ、ドロインさんとこに行ったらね、新たに招待状を送るって。
準備があるから2日前。トックスさんとソヤも行くよ。
マティスはマティスで、で、師匠とガイライとも別に送ってくれるって。
セサミンにも届くよ。届いたら、ソヤに渡してね。
トックスさんはドロインさんのエスコートだから。
エスコート?あってる?
マティスが招待状で、師匠を呼ぶのがいやだって駄々こねるから。
あと楽しませてくれる前払いだって!ひどいよね?」
「・・・・・。」
「セサミン?」
たぶん貧血だね。
レバーを食べないと、レバニラ炒めがいいかな?
セサミンは崩れるように倒れ込んだ。
もちろん、マティスが支えるよ?
お姫様だっこだ。
いいねー。
先頭がドーガーで、後ろは御者無し。
ロクがちゃんとついていく。
その後ろに、ルグが御する馬車。
これにはもちろんセサミンが乗る。
わたしたちはその横に。
走ってついていく。
試しに乗ったのだが、やはり酔うのだ。
テンが申し訳なさそうにしたけど、直接乗るなら問題ないし、
浮くわけにもいかないからね。この服だと浮いているのが丸見えだ。
護衛も兼ねているからと、走る、走る。
その後ろに開発院の馬車、2台。
残念ながらサイとの遭遇はなかったが、仕方がない。
閉鎖している門を開けて、ティータイに。
サイが突進しても大丈夫なように補強はしておこう。
ちょうど食事時なので、
開発院の方々とセサミンは会食に。
メニューはサイのステーキらしい。
毛を焼いた状態の物ではなく、
ゴム手袋でむしったもの。
脂がのっておいしい方だ。
王都の方でもサイの家畜化に力を入れてほしいというのがある。
草原、ラーゼム領国もそれを一大産業にしてしてほしいということだ。
従者にはない。
なので、控えの間で、ハンバーガーとラーメンだ。
護衛は領主館のなかでする仕事はない。
マティスは気配を消して傍に控えるが、
わたしは西馬たちとおしゃべりだ。
「テンたちもお疲れ様。
お水出しとくね。メーウーたちは?
ちょっと元気ないよね?
元気になってからラルトルガ?そうか。
そのほうがいいね。」
綿花はコットワッツ。メーウーはラルトルガ。
これは前回の会合で決まったことだ。
元気になったら、ラルトルガに行って、乳を出す。
刈り取った毛はコットワッツに。
卵からかえったばかりのメーウーはある程度大きくなるまで、こっちで。
「かーわーいー!!」
手乗りメーウー。
メーウーは年に数回、卵を産む。
これは動物、それぞれで違う。ガルッスは年がら年中だしね。
少し小さなメーウー。雨の日前にはもう普通の大きさになるとか。
その小さなメーウーたちの中に、今回引き取ったメーウーがいる。
仲間が沢山いるので、見た目にも元気になっている。
それ以外は雨の日以外で数回というこのようだ。へー。
トリヘビは雨の日だよね。数年に1回、珍しいタイプのようだ。
じゃ、馬も?
馬も毎年ではなく、数年に1回。
寿命が関係しているのか。
是非とも手乗り馬を体験したい。
西馬はやっぱり元気がない。
干し肉をあげると喜んだ。
テンたちは要らないって。
ほんとにしょっちゅう食べるわけじゃないのね。
では、また今度で。
西馬たちの話では、やはり最近ニバーセルにやって来たと。
出身地はザナスだそうだ。そういっていたと教えてくれた。
賢い!
いままで、西だ、と言われていたけど、はっきりと答えてくれなかったのだ。
向こうだよ、といった答えだったから。
丸い実がおいしいということもタフトの馬たちが言っていたのと同じだ。
で、肉を食べると。テンたちよりももっと頻繁に。
今食べた肉の方がおいしいと言ってくれた。
これだったら、たまにでいいなって。
「あー、わかる。
おいしいものと、毎日食べたいものってちょっと違うよね。
たまに食べるおいしいものなんだ、これは。
わたし?わたしは旦那様が作ってくれるものをだったら、なんでも。
もちろん、毎日食べたい!!」
はいはい、と軽く流された。
この対応は馬共通だ。
(愛しい人?食事が終わった。領地の話がはじまる)
(わかった)
「じゃ、またね。」
会議室にちょうど向かう途中で合流できた。
「護衛の方が同席される必要はないのでは?」
護衛がマティスだと知っていてあえて聞いてくる。
「ああ、そうですね。兄上、姉上、面布を。
今回草原の代わりに得た領土を兄に渡したいのですよ。」
「それはどうして?とお聞きしてもよろしいですか?」
「ご存じでしょ?兄は成人後、領家を出ました。
普通はその時に土地の贈与があるんですが、いろいろありましてね。
うやむやになっていたんですよ。
変動後わたしの護衛として傍にいてくれている。
もちろん、その報酬としてもね。コットワッツの領土を託したいのですよ。
が、ここではない。すでに皆が住んでいますから。
兄は一から開拓していきたいというのでね。ちょどいいかと。」
この時のものの言い方がすごい。
さも、めんどくさそうに、
さも、適当な土地を与えておけばいいっていうぐらい。
笑ってしまう。
だって、こころの中では、ごめんなさい、なんて嫌な奴なんだの連呼だ。
マティスと2人で笑いを押さえるのに苦労した。
「なるほど。では贈与という形ですね?」
「ええ。領土としてはコットワッツです。
税は資産院のほうで決めてもらったものを
納めてもらいましょう。それをこちらから納めるという形で。」
さまざまな形態があるようだ。
イリアス、フェルトナで習得した土地はどこにも属していない。
税は中央とのやり取りになる。仲介はクスナさんだが。
今回はあくまでも領土はコットワッツ。
税金等の通知は直接来る。それをコットワッツに払えばいい。
その都度対応してきたんだろうな、支払方法が多岐にわたる。
「では、規模としてはどのぐらいの大きさで?」
「それはもともと、草原の税分と同じぐらいと考えていましたから、それで。
しかし、ミクナ殿?結局ニバーセルとしては税の減収はなかったんだ。
むしろ領土なってしまった分、1000リングでは済まないでしょう?
わたしどもとしては、今回でなくても、
ゆっくり検討して習得するということもできるのですが?」
「いえ、それは。今回たまたまこうなっただけで。
逆に未開発の土地を領土化して税が増えるというのは良いことですよ。」
「基本税は同じぐらいで。その土地での収益はそちらで確認管理してください。
現地でね。」
「それは当然ですね。資産院の仕事ですから。では。」
会合の時に広げた地図だ。
すでに、ラーゼム領土となっている。
同じような土地の大きさで、どこにも属していないところ。
そこから、沼地、池、川があるところは外す。
どこにつながっているかわからないから。
余程のことがないと習得は出来ない。
会合で見た場所が候補だ。
「これ、根回しなく宣言してもよろしいか?」
「この地図の印が付いているところは、かまわないですよ。
むしろ、中央から習得をせかされている場所なので。」
不良物件の押し売りですね。
「兄上?どうされますか?
宣言も兄上がなさってください。
文言にコットワッツ領としてと入れていただければいいので。」
「むしろ、ラーゼムのように独立なされては?」
「それはダメですね。兄上は各地を回られる。
一つのところに留まるのは勿体ない。
それに、収益が上がれば、コットワッツの資産になるので。」
「それはそれは。」
土地を与える。だが、それはコットワッツ。
収益がでればそれもコットワッツ。でなければでないで、マティスが払う。
(あー、なんていやな奴なんだ!)
(いや、領主として当然。がんばれ!)
(はぁ)
ここは会議室。
誰が聞いているかわからないのだ。
なげくセサミンをなだめておく。
「愛しい人?どこがいい?
私はどこでもいいんだ。愛しい人が選んだところで。
習得できればすぐにでも出立しよう。」
「わたしが選んでいいの?あんまり地図ってよくわからないんよね。
んー、これは?海?ここは砂漠?
あ、ちょっと皆さん、頭どかしてもらえます?ちゃんと見たい。
はい!今ね!
うん、良く見える。
ああ、ここがコットワッツ?
で?この印のついてるどれか?
海と砂漠があるのがいいね。
うん、ここ。ここにしよう。」
思いっきりバッカプルだ。
頭をどかしてもらったのは天井から写真を撮るためだ。
将棋の中継のように頭がかぶってきたら嫌だもの。
あーあ、そんなところを選んで間抜けだなーという顔を
一瞬だけミクナが見せた。
「やはり、砂漠の近くがいいですね。
流石兄上だ。では、宣言を。」
『宣言!マティスが欲する。
グラシオル大陸、所有者なき地を我は欲する。
上空、地中すべて。
その地はコットワッツに属し、我らマティスと愛しい人が管理する』
「はい。これで、この土地はコットワッツ領、管理者マティス殿と、えっと?」
「私が愛しい人と呼ぶものだ。」
「え?あー、わかりました。
しかし、上空と地中ですか?その宣言は初めて聞きましたよ。」
「その土地の産物で収益が上がるかどうかは、
きちんと視察に来てくれ。
想像だけで課税されても困る。
日程を指定してもらったら、我らもそこに居よう。
できれば、雨の日以降がいいな。」
「えっと。そうですね。
おそらくは年に2000リングでしょ。」
「2000?」
「あのマティス殿が習得したということで、その土地の価値が上がります。
が、なにも産みださないのであれば、それ以上上がることはありません。」
「ミクナ殿は詳しいですね。」
「あははは!その都度必要なことはお話しできますよ?」
「ラーゼムではわざと話さなかったと?」
「あははは!そんなことはありませんよ。わたしよりも詳しいものが、
数日後には来ますよ。教育係りは明日ですね。」
「明日?準備のよろしいことで。」
「当然です。」
草原の民の性格から己の土地にするというのは分かっていた話。
あの場で詳しいことを説明できる人間がいれば、もめにもめただろう。
資産院は後日。一緒だと、またごねるからと。
教育係は心得を叩きこむ。お金に関することは分からないと逃げる。
資産院が税について説明する。
当然そんなのは知らないというだろうが、領国、領主というのはそうです逃げる。
受け入れないのなら、王都返還してください、が、石の契約は継続です、となる。
コットワッツには戻れない。
ミクナはお土産に冷蔵庫、冷凍庫、タオルと買ってくれた。
手土産の焼き菓子も人数分。
従者の人も喜んでいる。
今日はコットワッツに泊り、明日の月が沈んですぐに来るであろう、
教育係りと打合せをしてから帰るそうだ。
従者がラーメンを食べたと言ったので、それを今から食べに行くそうだ。
従者も一緒に街に繰り出すと。
案内はルグとドーガー。
ザ・接待。
焼肉祭りはあの広場で行われることになった。
草原のことも報告しないと行かないからだ。
「じゃ、サイは5頭と、ボット、豚と海鮮、ああ、エビとカニもね。
置いていくよ。」
「え?一緒ではないのですか?」
「いや、せっかく土地をもらったんだ。先に挨拶に行く。
それで、ちょっとゆっくりするよ。はは!いつもだけどね。
マティスたちはその土地に向かって出立したってことにしてね。
きっと、いろいろ動きがあると思うよ。
わたしたちがいる時には動けなかった人たちがね。
いつでも連絡はちょうだい。こっちもするから。」
「妻たちがその、集まりはいつだと。あと、爺たちも。」
「あははは!そうだね。会わずの月の日の前にしよう。
そうそう、雨の夜会ね。2日前に現地集合になったの。」
「どうして2日前に?」
「ああ、ドロインさんとこに行ったらね、新たに招待状を送るって。
準備があるから2日前。トックスさんとソヤも行くよ。
マティスはマティスで、で、師匠とガイライとも別に送ってくれるって。
セサミンにも届くよ。届いたら、ソヤに渡してね。
トックスさんはドロインさんのエスコートだから。
エスコート?あってる?
マティスが招待状で、師匠を呼ぶのがいやだって駄々こねるから。
あと楽しませてくれる前払いだって!ひどいよね?」
「・・・・・。」
「セサミン?」
たぶん貧血だね。
レバーを食べないと、レバニラ炒めがいいかな?
セサミンは崩れるように倒れ込んだ。
もちろん、マティスが支えるよ?
お姫様だっこだ。
いいねー。
13
あなたにおすすめの小説
『急所』を突いてドロップ率100%。魔物から奪ったSSRスキルと最強装備で、俺だけが規格外の冒険者になる
仙道
ファンタジー
気がつくと、俺は森の中に立っていた。目の前には実体化した女神がいて、ここがステータスやスキルの存在する異世界だと告げてくる。女神は俺に特典として【鑑定】と、魔物の『ドロップ急所』が見える眼を与えて消えた。 この世界では、魔物は倒した際に稀にアイテムやスキルを落とす。俺の眼には、魔物の体に赤い光の点が見えた。そこを攻撃して倒せば、【鑑定】で表示されたレアアイテムが確実に手に入るのだ。 俺は実験のために、森でオークに襲われているエルフの少女を見つける。オークのドロップリストには『剛力の腕輪(攻撃力+500)』があった。俺はエルフを助けるというよりも、その腕輪が欲しくてオークの急所を剣で貫く。 オークは光となって消え、俺の手には強力な腕輪が残った。 腰を抜かしていたエルフの少女、リーナは俺の圧倒的な一撃と、伝説級の装備を平然と手に入れる姿を見て、俺に同行を申し出る。 俺は効率よく強くなるために、彼女を前衛の盾役として採用した。 こうして、欲しいドロップ品を狙って魔物を狩り続ける、俺の異世界冒険が始まる。
神は激怒した
まる
ファンタジー
おのれえええぇえぇぇぇ……人間どもめぇ。
めっちゃ面倒な事ばっかりして余計な仕事を増やしてくる人間に神様がキレました。
ふわっとした設定ですのでご了承下さいm(_ _)m
世界の設定やら背景はふわふわですので、ん?と思う部分が出てくるかもしれませんがいい感じに個人で補完していただけると幸いです。
異世界からの召喚者《完結》
アーエル
恋愛
中央神殿の敷地にある聖なる森に一筋の光が差し込んだ。
それは【異世界の扉】と呼ばれるもので、この世界の神に選ばれた使者が降臨されるという。
今回、招かれたのは若い女性だった。
☆他社でも公開
R・P・G ~女神に不死の身体にされたけど、使命が最低最悪なので全力で拒否して俺が天下統一します~
イット
ファンタジー
オカルト雑誌の編集者として働いていた瀬川凛人(40)は、怪現象の現地調査のために訪れた山の中で異世界の大地の女神と接触する。
半ば強制的に異世界へと転生させられた凛人。しかしその世界は、欲と争いにまみれた戦乱の世だった。
凛人はその惑星の化身となり、星の防人として、人間から不死の絶対的な存在へとクラスチェンジを果たす。
だが、不死となった代償として女神から与えられた使命はとんでもないものであった……
同じく地球から勇者として転生した異国の者たちも巻き込み、女神の使命を「絶対拒否」し続ける凛人の人生は、果たして!?
一見頼りない、ただのおっさんだった男が織りなす最強一味の異世界治世ドラマ、ここに開幕!
修学旅行のはずが突然異世界に!?
中澤 亮
ファンタジー
高校2年生の才偽琉海(さいぎ るい)は修学旅行のため、学友たちと飛行機に乗っていた。
しかし、その飛行機は不運にも機体を損傷するほどの事故に巻き込まれてしまう。
修学旅行中の高校生たちを乗せた飛行機がとある海域で行方不明に!?
乗客たちはどこへ行ったのか?
主人公は森の中で一人の精霊と出会う。
主人公と精霊のエアリスが織りなす異世界譚。
クラス転移したけど、皆さん勘違いしてません?
青いウーパーと山椒魚
ファンタジー
加藤あいは高校2年生。
最近ネット小説にハマりまくっているごく普通の高校生である。
普通に過ごしていたら異世界転移に巻き込まれた?
しかも弱いからと森に捨てられた。
いやちょっとまてよ?
皆さん勘違いしてません?
これはあいの不思議な日常を書いた物語である。
本編完結しました!
相変わらず話ごちゃごちゃしていると思いますが、楽しんでいただけると嬉しいです!
1話は1000字くらいなのでササッと読めるはず…
俺たちYOEEEEEEE?のに異世界転移したっぽい?
くまの香
ファンタジー
いつもの朝、だったはずが突然地球を襲う謎の現象。27歳引きニートと27歳サラリーマンが貰ったスキル。これ、チートじゃないよね?頑張りたくないニートとどうでもいいサラリーマンが流されながら生きていく話。現実って厳しいね。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる