いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

文字の大きさ
559 / 869

559:写真

しおりを挟む
ドロインの気遣いに感謝だ。
なにもワイプやガイライが私に来た招待状で行くというのが嫌なわけではない。
嫌だが。
私の関係者だということになるのが問題なのだ。
それも嫌だ。
それは後々まで影響してくる。
ワイプやガイライに何ら不利益が訪れてはいけない。
別に構わないが。
愛しい人が気に病むことが問題なのだ。


小童!まさしく!


トックスに王の、奴の特徴を伝える。
あの服は着るだろうから、その上にか?
絵で書いてもトックスはジットカーフの出身だ。
王とは気付かないだろう。

しかし、背中の傷。
薄くはなっているが、トラだろうな。
いつ対峙したのだろうか?
子供の記憶にないぐらい昔か?
その時にあの色合いを見たのだろうか?


愛しい人がまた写し絵を作っている。
ちょど、セサミナに礼を取った時か?
あの笑い方はろくでもない。
ルグとドーガーに押さえられるものか!
しかし、セサミナが喜んでいる?
スビヤン?なぜに泣く?

どこに飛ばしたんだ?
きっちりと話し合いをしなければならない。



「なんだ?例の奴か?」
「そうだ。できてるんだろ?」
「もちろんだ。紅茶に合うということでな、香りづけしたものも作った。」
「さすがだな。」
「これは?売り出すには土蜜の値段が高いから、
これ1つがいい値段になるぞ?
手間もかかるしな。」
「セサミナが買うだろう。客用に出すと。
王都で臨時の会合がある。
その時に宝石類と毛皮を売り出す。
王都のや他国の金持ち連中にな。その時に出すだろう。」
「材料は?」
「もちろん用意する。」
「良し!わかった。」
「では、今あるだけ売ってくれ。」
「いや、これの金はいいよ。次は、その土蜜を仕入れるからさ。安くしてくれよ?」
「そうか。できるだけ取ってこよう。」


土蜜の菓子ができた。
やり取りは愛しい人が寝ている間に、ザバスを叩き起こしてやっている。
これは、絶壁の家で食べよう。

愛しい人は?
そんな布どうするんだ?


ザムに説明をするが、セサミナはできることは全てしたと伝えておく。
家畜化は何もラーゼムだけでできるようにする必要はない。
愛しい人を泣かせた一族だ、どうでもいいではないか?
後で泣きつかれては困るというのが本音だろうな。




「愛しい人?さっきのは?どこに飛ばした?」
「くふふふ。秘密!」
「見たいんだが?」
「んー、取り上げない?あのまどろみの兄弟の絵を返してくれれば見せるよ?」

あの絵は私が保管している。

「誰にも見せないか?」
「ホー姐はいい?」
「ホーだけだぞ?」

なんで、そこにホーが出てくるのかが分からない。

「ほら。これ。」

保管と言っても私の収納袋に入れているだけだ。

「はー、いいわー。あー、スビヤンも喜ぶよね。」
「なんで?」
「そりゃ、子供の頃をしってるもの、
大きくなって、こんなに仲良くなってたら、
爺連中は泣くよ?」
「ダメだぞ?」
 「んー、約束だからね。じゃ、これね。」


見せてもらったものは、やはり土地贈与の礼を取っているところだ。
下を向いていたからわからなかったが、セサミナが良い領主の顔をしている。
うん、いいな。わからんでもないな。


「これは飾ってもいい?こうやって、土地をもらったよっていう記念に。
絶壁の家に飾ろう?」
「あなたと2人の絵も飾りたい。」
「ん?裸でなければいいよ? 」
「え?そうなのか?」
「え?なんで? 」
「絵になるのが嫌なんだと思っていた。」
「裸じゃなければいいよ?
だけど、写真撮るのに夢中で、直接わたしを見ないのはさみしいかな?」
「あなたを見るし、絵にもしたい。」


シャシンの取り方を教えてもらう。
エデトの眼鏡のような理屈なのか?
その時の光の通過を止める。
説明されればそんなことだけで?と思うな。

「これは、隠匿を掛けるか?」
「そのほうがいい?
カメラとかあのトラと戦ってるところを取ったのはビデオ?ムービー?
動画なんだけど、写真と動画。これは技術の進化で出てくるものだよ?
それの進化の芽を摘むのはお前、何様だって思うよ?」
「広まれば悪用もされるぞ? 」
「それはあるね。故郷でも当然ある。
だけど、なくならなかったのは技術の進化を取ったからだ。
使う人の心持なんだよ。ナイフも人殺しの道具だけど、便利でしょ?
なくならない。それと同じ。」
「あなたが気に病むことはない?」
「これはね。直接これで人が死ぬわけではないし。
んー、でも、変な写真撮られて、
それで脅されて、気に病んで自殺する人もいるからね。んー。」
「自殺?自死?」
「自ら命を絶つ。こっちはない?」
「あなたが死ねば、私は自ら命を絶つだろう。
が、それ以外というか、あなたとこの考えにたどり着くまで、
自死というのは考えられないことだった。」
「あー、そうなんだ。そうか。そりゃ、みんな驚くよね。
そうか。」
「死を待つことはあるぞ。私も待っていた。」
「うふふふ。それは嘘だ。わたしを待ってたんでしょ? 」
「!そうだ。あなたを待っていたんだ。ふふふふ。」
 「ね?んー、でも、どうする?
セサミンはこれがまずいことになるって取らなかったよね。
絵だと思ってるからか。
素早く書いているとか、姉さんだからできると思ってるからかな?」
「ものすごく残念だが、ワイプに相談するか?」
「いや、師匠に相談したら諜報活動に便利!ってことになるよ?
んー、それで隠匿してもらおうか?いつかその隠匿は外に出るから。
こういうのって、やっぱり軍事産業から発展するんだしね。あと、エロ産業。」
「エロ?ああ、ピンク?」
「そ。あられもない姿の女性の姿を絵にしたい、それを見せたい、見たい、
売りたい、買いたいってなるでしょ?」
「あなたのは、見たいが、見せたくないな。」
「あははは!
それが、誰かに勝手に撮られたり、盗まれたりしたら、世界が滅ぶでしょ?」
「当然だな。」
「だから、気をつけないとねーって話。個人で楽しむ分はいいのよ。
写ってる相手が嫌がれば消えるようにとか?
そうなると諜報活動には使えないでしょ?
んー、これは2人だけの秘密にしておこう。
師匠には相談だけ。便利に使えるならそのほうがいいからね。」
「だったら教えなくてもいいのでは?」
「ばれてるよ。あのトラの奴で。」
「あれか?木の枠を持っていた?」
「うん。マティスの戦いぶりが客観的に見れるよ。」
「あなたとの舞も見れる?」
「うん。定点カメラにすればいいかな?」
「素晴らしい!!」


見たいと思っていた。それが叶うとは!
が、まだ、検討の余地があるとかでトラの奴も見せてくれなかった。
あー、楽しみだ。

まずは2人で並んで写ることにした。


・・・・そのポーズも?


仲良く並んでいるものと、賞金稼ぎの登場の型で取った。
それが木の枠に入って、サボテンの家の暖炉の上に飾られている。
しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

唯一無二のマスタースキルで攻略する異世界譚~17歳に若返った俺が辿るもう一つの人生~

専攻有理
ファンタジー
31歳の事務員、椿井翼はある日信号無視の車に轢かれ、目が覚めると17歳の頃の肉体に戻った状態で異世界にいた。 ただ、導いてくれる女神などは現れず、なぜ自分が異世界にいるのかその理由もわからぬまま椿井はツヴァイという名前で異世界で出会った少女達と共にモンスター退治を始めることになった。

45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる

よっしぃ
ファンタジー
2巻決定しました! 【書籍版 大ヒット御礼!オリコン18位&続刊決定!】 皆様の熱狂的な応援のおかげで、書籍版『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』が、オリコン週間ライトノベルランキング18位、そしてアルファポリス様の書店売上ランキングでトップ10入りを記録しました! 本当に、本当にありがとうございます! 皆様の応援が、最高の形で「続刊(2巻)」へと繋がりました。 市丸きすけ先生による、素晴らしい書影も必見です! 【作品紹介】 欲望に取りつかれた権力者が企んだ「スキル強奪」のための勇者召喚。 だが、その儀式に巻き込まれたのは、どこにでもいる普通のサラリーマン――白河小次郎、45歳。 彼に与えられたのは、派手な攻撃魔法ではない。 【鑑定】【いんたーねっと?】【異世界売買】【テイマー】…etc. その一つ一つが、世界の理すら書き換えかねない、規格外の「便利スキル」だった。 欲望者から逃げ切るか、それとも、サラリーマンとして培った「知識」と、チート級のスキルを武器に、反撃の狼煙を上げるか。 気のいいおっさんの、優しくて、ずる賢い、まったり異世界サバイバルが、今、始まる! 【書誌情報】 タイトル: 『45歳のおっさん、異世界召喚に巻き込まれる』 著者: よっしぃ イラスト: 市丸きすけ 先生 出版社: アルファポリス ご購入はこちらから: Amazon: https://www.amazon.co.jp/dp/4434364235/ 楽天ブックス: https://books.rakuten.co.jp/rb/18361791/ 【作者より、感謝を込めて】 この日を迎えられたのは、長年にわたり、Webで私の拙い物語を応援し続けてくださった、読者の皆様のおかげです。 そして、この物語を見つけ出し、最高の形で世に送り出してくださる、担当編集者様、イラストレーターの市丸きすけ先生、全ての関係者の皆様に、心からの感謝を。 本当に、ありがとうございます。 【これまでの主な実績】 アルファポリス ファンタジー部門 1位獲得 小説家になろう 異世界転移/転移ジャンル(日間) 5位獲得 アルファポリス 第16回ファンタジー小説大賞 奨励賞受賞 第6回カクヨムWeb小説コンテスト 中間選考通過 復活の大カクヨムチャレンジカップ 9位入賞 ファミ通文庫大賞 一次選考通過

底辺から始まった俺の異世界冒険物語!

ちかっぱ雪比呂
ファンタジー
 40歳の真島光流(ましまみつる)は、ある日突然、他数人とともに異世界に召喚された。  しかし、彼自身は勇者召喚に巻き込まれた一般人にすぎず、ステータスも低かったため、利用価値がないと判断され、追放されてしまう。  おまけに、道を歩いているとチンピラに身ぐるみを剥がされる始末。いきなり異世界で路頭に迷う彼だったが、路上生活をしているらしき男、シオンと出会ったことで、少しだけ道が開けた。  漁れる残飯、眠れる舗道、そして裏ギルドで受けられる雑用仕事など――生きていく方法を、教えてくれたのだ。  この世界では『ミーツ』と名乗ることにし、安い賃金ながらも洗濯などの雑用をこなしていくうちに、金が貯まり余裕も生まれてきた。その頃、ミーツは気付く。自分の使っている魔法が、非常識なほどチートなことに――

貞操逆転世界に転生してイチャイチャする話

やまいし
ファンタジー
貞操逆転世界に転生した男が自分の欲望のままに生きる話。

40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです

カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私 とうとうキレてしまいました なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが 飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした…… スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます

どうしよう私、弟にお腹を大きくさせられちゃった!~弟大好きお姉ちゃんの秘密の悩み~

さいとう みさき
恋愛
「ま、まさか!?」 あたし三鷹優美(みたかゆうみ)高校一年生。 弟の晴仁(はると)が大好きな普通のお姉ちゃん。 弟とは凄く仲が良いの! それはそれはものすごく‥‥‥ 「あん、晴仁いきなりそんなのお口に入らないよぉ~♡」 そんな関係のあたしたち。 でもある日トイレであたしはアレが来そうなのになかなか来ないのも気にもせずスカートのファスナーを上げると‥‥‥ 「うそっ! お腹が出て来てる!?」 お姉ちゃんの秘密の悩みです。

異世界の花嫁?お断りします。

momo6
恋愛
三十路を過ぎたOL 椿(つばき)は帰宅後、地震に見舞われる。気付いたら異世界にいた。 そこで出逢った王子に求婚を申し込まれましたけど、 知らない人と結婚なんてお断りです。 貞操の危機を感じ、逃げ出した先に居たのは妖精王ですって? 甘ったるい愛を囁いてもダメです。 異世界に来たなら、この世界を楽しむのが先です!! 恋愛よりも衣食住。これが大事です! お金が無くては生活出来ません!働いて稼いで、美味しい物を食べるんです(๑>◡<๑) ・・・えっ?全部ある? 働かなくてもいい? ーーー惑わされません!甘い誘惑には罠が付き物です! ***** 目に止めていただき、ありがとうございます(〃ω〃) 未熟な所もありますが 楽しんで頂けたから幸いです。

目の前で始まった断罪イベントが理不尽すぎたので口出ししたら巻き込まれた結果、何故か王子から求婚されました

歌龍吟伶
恋愛
私、ティーリャ。王都学校の二年生。 卒業生を送る会が終わった瞬間に先輩が婚約破棄の断罪イベントを始めた。 理不尽すぎてイライラしたから口を挟んだら、お前も同罪だ!って謎のトバッチリ…マジないわー。 …と思ったら何故か王子様に気に入られちゃってプロポーズされたお話。 全二話で完結します、予約投稿済み

処理中です...