いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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611:数撃ちゃ当たる方式

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まだ月が沈み切る前、
朝ごはんと、軽く鍛錬。
早朝の公園で皆がやる太極拳のようだ。
ものすごくゆっくり、型を流していく。
ニックさん指導なのでみなで槍術。

「ガイライも?」
「わたしとて、槍術、棒術、剣術と習得していますよ?
軍は基本槍術ですし。」
「そうか。」
「それが、銃に代わるんだよ、これからな。」
「それは仕方がないね。そう思えるようになったよ?
皆は?拳銃は?
いや、対峙したことあるじゃなくて、使ったことは?」
「数えるほどだな。大体一通りの武器は入隊時に教えてもらうから。
が、あれとルカリアの銃は別物だな。重さがまったく違うし、反動もない。
撃てばあたるんだから訓練しようがないな。」
「え?それはないでしょ?訓練しないとあたんないよ?」
「撃てばあたるだろ?」
「ん?いやいや、わたしは決して銃がおすすめだとか言わないけど、
へ?ニックさん?え?ガイライも?銃に対してそう思ってるの?
あー、マティスも師匠もね。
ということは軍部も?
あははははは、ダメだこりゃ。」

数撃ちゃ当たる方式なら、
それこそ弾丸を売っているマトグラーサは儲かるよね。

「どういうことだ?」
「ん-、師匠?銃は手に入ります?
なければ、ドーガーが買ったものを借りてきますけど?」
「いるんですか?どうして?」
「ちょっと、いまの認識は問題です。
念を押しますが、銃を推奨しているわけじゃない。
が、戦争に銃が導入されるとなったら戦い方もちがう。
そもそも銃に対する認識がおかしい。
近い将来戦争があるって認識をしている軍部の、分隊であろうと、
そのトップの認識がそれだと、問題だからだ。」
「愛しい人?」
「うん、大丈夫。認識だけの問題だから。」
「ちょっと調達してきましょう。これの性能も確認したいですしね。」

各自に配ったインカムだ。

とうことで、師匠は王都に戻る。
待っているのも時間がもったいないので、
月無し石を取り付けられた、陸鳥のところに移動する。
これはマティスが。
問題なければ、呼んでくれる。
わたしでもいいのだが、虫がうじゃうじゃいる場所だと、
荒野が本当の荒野になる。


「どこだ?」

そういうとマティスは移動していった。

「・・・・なんというか、すごいな。」
「それが、モウちゃんの為だけにしかつかわないところもまたすごい。」
「惚れるよね。」
「ああ、そうなるんですね。」
「マティスが、マティスでよかったよ。」

なにかに納得しているけど、マティスだからね。


(愛しい人?蛇は大丈夫なんだな?)
(蛇はだよ?ミミズの大きいのでしょ?それだと、数と大きさかな?)



まさに大きなミミズだったようだ。
直径10cmぐらいで、長さは50cmほど。


それならなんとか、呼ばれました。
匂い除けの膜は張るようにと。
もちろん気配は消しています。


(ここで、土を掘って食べていたな。
解放してからの会話は、人間の愚かさを話していただけだな)
(卵は?)
(それだろう?ほら、さらに掘っている)

20匹の集団、これが一つの群れのようだ。

(縄張りも関係ないんだな)

話の中で、集団で生活すると言っていた。
ある程度は走らすと進まなくなるのは、
人間は縄張りがあると思っていたが、ただ単に面倒だからだと。
その時に近くにいる仲間を呼べば、そいつにも食い物が有りつけるためと。
寝るときはこうやって集団ということだ。
しかし、その群れは一つだけではない、数十いるということらしい。


少し掘って、ずんぐりむっくりのミミズを食べて、
さらに掘って、卵もとる。



(これさ、そのギーっての、よく絶滅しないよね。
親も、子も食べられちゃうんだよ?)
(それだけ、多くの卵を産んでるとか?)
(卵を産むのはこの時期が多いんでしょ?
ギーもこの時期だけだっけ?
で、この時期だけの卵だ。ひとと交換したのも最近。
この近くまでやって来たキャムロン遣いもいるんでしょ?
陸鳥を捕まえるため?)
(そうだな。俺も、ここいらにいることはしっている。
あの場所からそう遠くはないな。もうすこしタフト寄りだな。)
(じゃ、いつもここら辺にいていると。
なのに、ギーは卵まで食べられても絶滅いていない。おかしくない?)
(おかしいか?そうだな、そう考えるとおかしいか)
(あの食べられていた、ギーって動かなかったでよ?既にしんでいるか、
違うものだよ。自分の体に似せたね。
脱皮後の皮だけかもしれないな。卵も卵なようで違う何かかも)
(なんでそんなことをする?身を守るためだとしても、
卵まで偽物をだす必要はないだろう?)
(なにかをしてもらうため?ここの動植物は、
わたしの故郷の動植物以上に
複雑で賢い。実際のギーは、もっと大きいか小さいかで、卵は別だろうね。
土を耕してもらってるとか?で、そこに本番の卵を産んでるとか?
砂を食べるっていってたよね?その成分が必要だとか?)
(?)
(おしっこやうんちで成分が外に出るでしょ?
ほら、あの鳥たち、そこで、してるもの)

そういう感じのこんもりした山がいくつもある。
膜を外せば匂うのだろうか。
試す勇気はない。
向こうの方に見えるのは固まっている感じだ。


この鳥たちがいなくなれば、
ギー本体が出てくるのだろうか?

2手に分かれて観察することに。
ガイライ組とニック組だ。

「おかしい!」
「いや、だって、連絡はできるけど、何かあったときって、
移動できないでしょ?
お互いの場所に移動できるのはわたしたちだけだから。
念の為ね。
あとは、ここに来るであろうギーはやっぱり見たくない。
そして、卵採りに遭遇してもわたしたちは世間知らずだから、
どうすればいいかもわからない。
じゃ、ニックさんとわたし、ガイライとマティスでしょ?」

しぶしぶということで承諾。
ニックさんと荷重6で走ってついていく。
気配を消しながらだ。



出すものを出せば、陸鳥たちは出発のようだ。

「じゃ!行ってきます!」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



「拗ねるな、マティス。
きちんと観察して報告すれば、モウは喜ぶぞ?」
「!そうだな!」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「いいのか?」
「いいの、いいの。ずっと一緒いるからね。
きっと、マティスが発見したことをうれしそうに報告してくれるよ?
それをガイライはうまく持っていくからね。
それが楽しみだ。
うちの嫁は世界一だからね。」
「あはははは!なるほどな!
こっちもなにか報告できればいいな!」
「もちろん!」
「とにかく、廻りに気を巡らせながら、手合わせしていこう!」
 「はい!」





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