いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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630:同時期

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「マティス殿は?お嬢さんと一緒ですよね?先に戻られたと?」
「ええ。2人が離れることはめったにないですね。
ああ、彼らに報酬を払う場合は、彼らに納税が発生します。
それはよろしいですね?」
「もちろん。あなたはもしかして、わたしのをお守りくださってるとか?」
「いえいえ。ここにいる人たちのあらましを教えていただこうかと。
あれ、向こうにいるのがクインタとやらの関係者?あなたの元配下?」
「ええ。少し前からうぬぼれがひどくなりましてね。本人はいませんね。
金に物を言わせて、配下が次々彼の元に。
ああ、ムムロズはわたしの娘婿なのですよ。ニック殿の紹介ですよ。」
「それはおもしろいお話だ。モウが喜びそうですね。」
「お嬢さん、モウ殿とお呼びしてもいいのでしょうか?」
「いいのでは?彼女はあなたに名乗っていましたから。」
「それはうれしいですね。
なんでも中央院院長には名を口にすることさえ拒絶したとか。」
「ええ。あれは仕方がないでしょうね。
面前でセサミナ殿が銃で狙われたのに、そっちのけでしたから。」
「その弾丸を受け止めたとか?」
「ああ。弾はどこか見当違いなところに行きましたよ?
元から持っていた鉛玉を見せただけですよ?」
「!!そうだったんですか!いやはや。
銃ね。今後の主流なのですよね。
何もこの時期でなくてもいいものを。
誰しもが思っていることです。
コットワッツ砂漠の資源の枯渇、ボルタオネの代替わり、
マトグラーサの新しい砂漠石の採取方法、
ナソニールの資金問題、ラルトルガ、メジャート、ここタフトもだ。
うちの後継者狙いはいつものことなんですがね。
よその手を借りる何ぞ、恥さらしな。」
「それぞれに問題を抱えていたいたということですよね?
それが同時期。これがね。」
「ええ、そこですね。」




─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘



「はははは!これは懐かしいな!
ガイライ!ガイライだ!!分隊に落ちぶれた聞いたが?」
「元気そうだな、タンダート。
そうだ、わたしでは軍部をまとめることができなくてな。
分隊の隊長もニックだ。」
「ニックも戻ってきたのはお前がふがいないからだと聞いたが?」」
「よく知っているな。4番隊が一領国の次席一人に壊滅、
2番隊隊長は武の大会で廃人。
チャルガは無言問答で敗れてね。
隊長まで行ったんだが、所詮わたしではダメだったな。」
「ほう?無言問答でか?それは初めて聞いたな。
で?ここには?」
「金を稼がないとな。護衛業と行商は認められている。
ブラスの森の管理もだったが、外されてな。
わたしがつくるブラス細工はなかなかの評判なんだ。
良かったら見ていくか?」
「そうだな。それは後で見せてもらおう。」
「で?お前は今ここでなにをしている?」
「なんだと思う?」
「それは後で聞くことにしよう。さきに稼がないとな。」
「あははははは!面白い!!」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘




「ん?起きるのか?
まだ、月は沈んでいないし、
もう少し焼き上がりには時間がかかるぞ?」

パンの焼ける匂いとマティスの匂い。
マティスがお布団に入ってきた。
ちょっと、冷たいよ?なんで?

「冷たいねー。ぎゅーってして、一緒に温もろう。
ん?そうだそうだ!あんパン作ろう!
起きる!!おはよう、マティス。」
「おはよう、愛しい人。
パンは甘いパンを焼いているよ?あん?」
「うん!餡をパンの中に入れるの。」
「アンバター?」
「それより、もっと普通の。
そうか、そっちを先に食べたからね。
クリームパンとジャムパンとチョコレートパンも作ろう。
カレーパンも。お総菜パン。
カレーパンは油で揚げるんだけど。
いま焼いてるパンができたら、焼こう!
パンの元まだある?」
「ある。それでつかったら、補充はしないといけないな。」

一次発酵、二次発酵済みのものを常にストックしているのだ。

「ここ外?みんなは?」
「15番門外だ。テントを張ったんだよ。
みなは、カリクを迎えに。やはり強盗が出たようだからな。」
「護衛さんがやられたとか?強いのいてそうな話だったけど?」
「何人かが寝返ったみたいだ。
パターンエーが0で、ビーが7。
のこりシーが3件で、襲う算段なようだ。」
「結構売れたね。
じゃ、話している間に帰ってくるね。
移動はないだろうから、馬車かな?お風呂入って、
あんパンつくる時間はあるかな?
でも先に2人でコーヒー飲もうか?入れるね。」
「それはうれしいな。」





「あ!窯を作ったんだね!
はー、いい匂い!!
ラーメン屋さんもいいけど、パン屋さんもいいよね。
売れるよ?」
「いいな。小麦も仕入れないといけないぞ?」
「そうだね。お米と小麦だ。卵もね。」
「陸鳥は?」
「あれはいいよ。ギーも本卵があればね。
偽卵は、ちょっと無理になったかな?」
「そうなるな。
愛しい人?皆が帰ってくれば、いろいろ聞いてくるだろう。
すべて話せばい。
話して再現できるものはできるだろうし、できないものはできないんだ。」
「うん。わたしもそう思う。作れることは技術力だからね。
あの3人、セサミンも含めて、みながいいようにしてくれるはずだ。」
「ああ。誰彼なしに、話をするわけじゃないんだ。
なにも心配しなくていい。」
「うん。マティスにも心配かけたね。うん。大丈夫。
わたしのしたことがでなにかが変わるなんて、うぬぼれもいいところだ。
自分を何様だと思ってるんだってことだね。」
「私の愛しい人だぞ?」
 「そそ。それ以外の何者でもないからね。うふふふふ。
もう焼けた?これ、入れていこう。」

ほんとうにパン屋さんだ。
イートインの。

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