いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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665:妃選び

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「その男っていうのは、
コットワッツの剣のマティスの話だろ?あんたが言ってるのは?」
「ええ。その聞いた話では、そのマティス?の好みが青いドレスで、
それはコットワッツの武の大会の後の懇親会に着てた人がいて、
その方にべったりんコだったからとか?
で、マティスの好みは青のドレスっていう話が定着して、
雨の夜会に来るから、マティスをお婿さんい欲しいっていう貴族、王族が、
こぞって年頃の娘さんに青のドレスを着て誘惑してこいみたいな?」
「ソソちゃんよ、それ、かなり省略してないか?」
「え?わたしの認識はそうなんだけど?」
「古い古い。その話は。
剣のマティスがどうのという話はなくなってる。」
「うそーん!!」
「あはははは!いいな!その驚き方は話しがいがあるな。
あんたも、そうだな、いいところまで行くんじゃないか?」
「?」
「雨の夜会な、その夜会はダカルナ国のお妃選びになったんだよ。」

「「なんだってーーー!?」」

わたしとニックさんだ。
マティスは布選びに夢中だ。

「店主よ、その話面白そうだ。
もう少し詳しく教えてくれるか?
ソソ、なんか摘まめるもんだせよ。セセ!お前も一緒に聞いとけ!
これがどんな儲けに代わるかわからんからな!」
「店主殿?お酒系と甘味系どっちがよろしい?
結構いろんなところを廻って来てるんで、
珍しいもの系のものを出せるとおもうんですよ。」
「ここ18番門内で?それはよっぽどの世間知らずだよ?
しかし、出してくれるっていうんなら断れないな。
酒がいいな。」
「ではでは、渇きもので海ものを。」


一夜干しのさかな、エビ、なまこにホタテ。
これは樹石で炙る。
煙とにおいが出るというと、
それはやめてくれと、慌てて、中庭に移動。

コリコリと生ハム。
干し肉もある。
キトロスの種と、おかき。
燻製チーズ。
小さなおにぎりもだした。


お酒は麦焼酎だ。
それのお湯割り。
枸櫞の絞り汁もある。


ここの店主、ロリンザーさんと。
門番さんはここが終わるころに迎えに来てくれる。


海ものは内地の人には喜ばれるようだ。
お湯割りも喜んでもらえた。
だけど、軽くね、軽く。




「俺たちな、ま、サギョウグミって勝手に名乗てるんだが、
いろんなところの話を集めて、それを金に換えてるんだよ。
今回の豪遊も拾った話があたりでな。
ま、それはいいか。
雨の夜会の話は行く先々で聞いてたよ?
うちのソソが言うように、ひと昔前に名を馳せたマティスが
戻ってきた。なんというか、女の争いだって思ってたんだよ。
そこに、儲けの話はない。
深くは探りも入れなかった。
俺達か?山師だと思っておいてくれよ。な?
そいで、知ってることっていうと、
中央から直接招待状が行ったってことぐらいだよ?」
「ああ、タトーロイン卿?そうか、卿が出したのか。
まだ生きてるってことにこっちは驚いたけどね。
本人も出るらしいよ?今年の夜会に。」
「へー。ずっと出てなかったよな?たしか?」
「そうだよ?だけど、出るって話が出たあたりで、
赤への変更が増えた。
どうやら、卿が青を着るらしいんだよ。
だったら、誰も青は着ない。」
「?セセ?わかるか?」
「聞いた話だが、前から同じ服を着たものが来たら嫌なんだそうだ、
女は。」
「?わからんなー。」
「いや、わかんなくてもいいよ。それで?その時点では
マティス狙いなんですよね?」
「そのあとだよ。ダカルナの国王が宣言したんだよ。
此度の夜会で妃を選ぶとね。」
「いつの話だ?」
「2日前だね。」
「おお!ほやほやの情報!
ん?じゃ、そのマティス狙いのお嬢たちが、
ダカルナの王様狙いになったと?」
「あんた、そんなにはっきりと。
ま、そうなんだがな。
これはすぐに広まったよ?あんたら聞かなかったのか?
門外を走って?それだと分からないか。
うちも情報が来るのは早い方だしな。
タフト街道にはすぐに知れ渡ったはずだ。
ちょうど、そのマティス狙いの女も来ていたからな。
こっちまで来るかどうかはわからんがな。
泊まりも10番だ。たかが知れてる。
ん?もっと贅を尽くすんならこっちに泊るってことだよ。
まぁ、女性はそうかな。
結局は、その程度だ。
だがな、ダカルナはいま、この大陸で一番砂漠石を産出しているからね。
勢いがあるんだよ。
だから、奮発してもいいんじゃないか?
きっと明日当たり来るだろうな。
いっちゃなんだけど、剣のマティスなんかどうでもいいんだよ。
コットワッツの領主になるわけでもないしな。
領国の兄と国王なら国王だろ?」
「なるほどな。
しかしよ、聞いた話では剣のマティスの傍らに相当な石使いがいるって。
それも欲しいっていう話も聞いてたんだがな。」
「あー、石使いな。
そうだな、だが、石使いに何ができる?
相当大きな石がいるだろ?それに知ってるか?
移動、移動石の話。
かなり大きな石を使っても移動できるのは部屋の端から端まで。
ニバーセルではかなりの使い手の石使いがだぞ?
だったら、大きな声では言えないが、糸使いのほうがいい。
知ってるだろう?秘密でも何でもない話だからな。」
「あれの話だろ?糸使い?その言葉は初めて聞いたがな。
いや、確認はしないよ、お互いの為だ、今はな。」
「ははは!なるほど、山師ね。なかなかのもんだ。」
「ありがとよ。あんたもだ。じゃ、そのダカルナの王様が来て、
気に入った女と結婚すると?」
「そうだよ。」
「結婚って双方同意がいるんですよね?
無理矢理に夜会に来てる人妻を奪うとかあるのかな? 」
「見染められたら旦那は差し出すんじゃないか? 」
「最低だーーー!!」
「どうして?」
「え?それ普通のこと?ササ?セセ?その状況わかる?」
「庶民だと、旦那と奥さんと1人ずつだけど、
貴族、ましてや、王族になると複数いるからな。そこじゃないか?」
「俺はそんなことになったら相手を斬り捨てる。」
「いや、それをすると別問題が起きる。
そもそも女性側が承諾しなけりゃいいんだよね?」
「そうだけけど、誰が断る?」
「いや、わたしなら断る。」
「あはははは!こっちが旦那?いいね。
え?これくれるの?甘いもの?塩っぽいの?
塩っぽいものがいいな。」

マティスはバリバリ、おかきを渡していた。
これも味がいろいろあっておいしいのだ。

「ありがとうな。
えー、人妻だったら?王が求めてるんだよ?断れないさ。」
「いやいや、それはないんじゃないの?
王さんもそれはしないでしょう?人として。
聞こえが悪いよ。
あ!わかったよ!これはダカルナ王の策略なんだよ。
きっとね、王には好きな人がいるんだ、
で、それは許してくれないのよ、廻りが、結婚を!
で、いろんなところから、嫁候補を連れてくるのね。
で、あの手この手で断わっててね、なかなか決まらない。
ええから、はよ決めなはれ!って廻りにいわれてさ、
そいじゃ、夜会に来てる娘さんを選びますよ!って。
で、本命好き好きな娘さんをね、こっそり夜会に出席させるの。
で、さも、そこではじめてであったみたいにしてさ、
運命の人だーって結ばれる。
どうよ?」

「「「・・・・。」」」

「突っ込みどころ満載?」
「そうだな。まず、ダカルナでは、妃は何十人といる。
誰でもだ。王族、貴族、庶民。だれも反対はしない。
たしか、今度が38人目の妃だよ。」

店主が教えてくれる。


「すごい!そこまで行くとほんとにすごい!
お子さんは何人いるんだろ?」
「まだいてないね。」
「へ?」
「これは余り声高にいうんじゃないよ?特にダカルナではな。」
「おお!不敬罪?」
「そうなるな。」


「これも金儲けの話にはならんな。」
「そうでもないよ。あの手この手で、娘を妃にって。
支度金が出るらしいよ。
子供ができれば、それが次期だ。
妃たちはみな足の引っ張り合いらしい。」
「えっと、その、下品だって怒らないでね?」
「なんだ?」
「じゃ、去年の雨の日にその37人?
今年になって増えたかもしれんけど、
その人たちみんな抱いたの?」
「ソソ!!」
「だって!気になるじゃん!」
「そんなことは気にしなくていい!!」
「へーい。」
「あはははは!!若い娘さんが聞くことじゃないな。
が、気になるのもわかるよ。
噂だけど、すべて廻ったらしい。雨の日が終わって、
妃全員が子を宿したって宣言したからな。」
「おお!」
「しかし、乾季に入ってだれも腹が膨らまない。
何人かは布を巻いていたものもいたらしいがそんなのすぐにばれるさ。
追放処分になったよ、5人ほど。」
「じゃ、いま、32人?」
「追放されたものを抜いて37人。だから38人目だな。」
「おお!!なんというか、いや、いうことはないんだけど。うん。
それさ、実はその王様。女の人なんじゃないの?」

「「「なんだってーー!!」」」

「ぷはははは!やめて!一緒に言うのやめて!!」
「ソソよ、そんな話もあるのか?」
「あるよー。さっきのはなしもあるし、
継承問題で、女の人が男のふりをする話も砂の数ほどある。
とりかへばや物語なんかは有名だね。男が姫君、女が若君。
なんだかんだあって、おちつくところに落ち着くんだけど。」
「あんた、面白いね。演者か何かなのかい?」
 「えんじゃ?ああ、お芝居する人?
いえいえ。そんな話を聞いたことあるなって程度ですよ。」
「聞いたことないよ?そんな話?」
「そうなの?店主殿は男の方だから。
女が3人以上集まれば、こんな話ばっかりよ?」
「あはははは!それはなんとなくわかるな。
なんにせよ、ダカルナ国王は男だ。」
「若いの?」
「若いとは言わないが、年寄りってわけでもないな、たしか。」
「王様って年齢分かんないよね。」
「王だからな。」
「どこもいっしょなのかな?東側は行ったことないから知らないんだ。
東諸国もそうなのかな?
そこのいいものもタフト街道は入るの?どんなの?」
「東は薬やガム樹脂、石鹸の実が多いな。
昨日はザスの葉が何十年ぶりかで20番門街に入ったって話だ。」
「ザス!これまた懐かしいな!」
「ああ、あんたは知ってる口か?
わたしは苦手でね、布に匂いが付くのが許せんよ。」
「臭いんですか?」
「布に付くとな、あれはゴミの匂いだ。」
「うへー。それは嫌だな。ここのお店はいい香りしてましたもんね。」
「お!気付いたかい?香木を使ってるんだよ。」
「豪華!!」
「あははは!そこまで高くない。
ラベロっていう木だよ。それを置いてるだけなんだ。これは秘密だよ?
あんたらの振る舞いがうまかったからな。
その礼だ。」

檜、カプレのような香りだった。そこに青りんごの匂いが混ざるような。
マティスは問題ないという。
お気に召したお酒と交換ということで、その香木も分けてもらった。
やはり東から入るという。
植物群が豊富なのだな、東は。
雨の日が終わって、スパイルに行ったら、東に行こう。
予定を考えるのは本当に楽しい。

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