いわゆる異世界転移

夏炉冬扇

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668:高貴

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「わかっていないのはお前だ、パーニュ。
この方は高貴なる方だぞ?
この2人はそれに群がる虫だ。
どうして一緒に連れてきたんだ?
ここにいるだけでも汚らわしい。排除したほうがいい。」


おお!そういうのあるのね。
しかし、それを本人を前にして言うのか?
虫と称されたわたしたちの前ではいいのか?
では、高貴なる方の前では?
んー?高貴なる方だからいいのか?
ん?

(ニックさん?どうしました?)

かなり険しい顔をしてらっしゃる。渋い!

(ここでこの考え方はおかしい)
(そうか、ここでは金が正義だ。マティス?匂いか糸?)
(匂いも糸もない)
(例の粉か?)
(それだと防ぎようがない。媒体もキャムロンだけとは限らないから。
今調べてるけど、結果待ち)
(なんにせよ対策不足だな、撤収だ)
((応))


「ブロンサー?お前どうしたんだ?」

パーニュさんも驚いている。

「はは!そういわれるのも当然だな。ここは俺たちは合わないようだ。
金を持っていてもダメだってことだからな。
じゃ、帰るよ。」
「ええ、お帰りください。
そして、セセ殿とおっしゃいましたか?こちらへどうぞ。」

しつこいな。

「ブロンサー!お前なにを言ってるんだ?
この方たちは帰るとおっしゃってるんだ。もちろん、セセ殿もだ。
遊女のことは断っている。2度もだ。無礼にもほどがあるぞ!」
「お前は黙っていろ。
これからは金はもちろんだが、高貴な身分な方々のみ
タフト街道に来れるようになるんだよ。
客の見極めが大事なんだ。」
「見極めが大事なのはわかるが、そこに身分はいらないだろう!」
「いるんだ。これからは!まさにこの方は良い客人だ。
金もあり、身分も高い。」
「・・・この方たちは山師だ。
とあるところで大金を手に入れたそうだ。それで、こちらに一生の思い出を
買いに来てくださったんだ。
憧れのタフト街道にな!
それなのに、さっきから女、女と!
遊女目的なら最初から案内している!
しかも、こちらには伴侶殿も同席されているのに!
わかっているのか!
女性に見向きもされなければまた昔に戻るだけだ!
やっとここまで来たのに!
この方たちをお前に紹介したのは女に興味のない上客もいるということを
教えたかっただけだ!
それなのに、何を考えているんだ!!
ああ、客人よ、先に外でお待ちください。」
「何を!」
「彼らはわたしの客人だ。
案内先はわたしに権利がある!!」


パーニュさんに促され、外に連れだされた。
少しお待ちくださいと、彼だけ戻っていく。


「旦那?気を悪くしないでくれよ?
女を紹介するのはここの決まりだ。
それで成り立っているからな。
あんた達は最初に断ったし、
だけど、2度断わればそこで引くもんだが、どうしたんだろ?
それに身分なんて。」
「いや、かまわんさ。
俺はどっちかっていうとうまい酒のほうがいいからな。
こいつは奥さんだけだしな。そういう輩もいるってことさ。
宿の主が戻ってきたら、
また飲もうぜ!そっちの方が楽しいからな。」
「さすが旦那だ!」



部屋に置いてきた月無し石君と音石君が
リアルタイムで会話を届けてくれていた。


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘

「いらぬことを!
もう一押しすればあの男はここに残ったのに!
ここの遊女の良さを知らないだけだ。
それに、身分の高い、金を持っている男がいれば、女はここに来るだろ?」
「!」
「ダカルナ王妃の座を狙ってここに女どものがやってくる。
そのときここに身分の高い男、
しかも金を持っている見目のいい男がいればどうだ?
妻になれなかった女は次を狙ってここにまたやってくるだろ?
そしてそれを求める男もやってくる。
ほら?客が次々やってくる。
それは身分の高い金を持っている男女だ。
そこにザスも加わる。
ネルウカート国のものも泊まりににくるんだ。
定期的にな。
またあの時の活気が戻るんだ。」
「・・・・。
男女の駆け引きを商売にはしたくない。」
「お前は昔からそうだ。
だったら、ここから出ていけ。
どうしても宿をやりたいのなら10番門ですればいい。」
「そうさせてもらう。」
「落ちぶれたな、パーニュ。」
「何とでも。」



─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘


「どうも、お見苦しいところを。
ここはもういいですね。」
「いや、かまわんよ。
俺は酒があればいいし、こいつは奥さんがいればいい。
ひとそれぞれさ。
しかし、ザスな。俺も、ここのザスの話はしってるよ?
タトートのトラの話もな。
どっから入ってくるんだ?結局香は飛ぶんじゃないのか?」
「ああ、なんでも、、、」


戻ってきたパーニュさんをのせて、
そのまま18番門に戻る。
酒の肴のあてに今度はザスの話だ。

わたしたちはまた御者台で、
ここの建物の中に音石を派遣していく。
傍から見れば、キャッキャウフフのバカップルだ。

途中買い物もしないと砂金の話は広まらないから、
パーニュさん案内で、それなりの物を買っていく。
それなりといが、目が飛び出るほどの高額商品だ。
石鹸もあったのでそれも。
きつい匂いだった。これは単に好みの問題だろう。
が、参考のために買っていった。
先々で大金を手に入れた、場所は言えない、砂金でね、なんて話をしていく。



「ここに最近、化粧水と髪油の店ができましたよ?
そこに寄られますか?」
「それって、えーと、ダカルナの?
カメリ?」
「ええ。そうですよ。さすがご存じですね。」
「それって、アガッターって人の店ですか?」
「いえ、ミフェルの店です。アガッターとは別ですよ。」
「ん?それ、本当にカメリ?」
「ああ、なんでも、アガッターから分離したとか。
アガッターの姉ですね、ミフェルは。」
「へー。姉妹でやってるんだ。いいね。そういうの。」
「けんか別れしたらしいですよ?」
「でも、扱ってるものはいっしょ?へんなの!
作ってるところは一緒なんでしょ?
だったら、お安い方で買ったほうがいいね。
喧嘩してるんだったら、うちの方がお安いですよってそれで、
どんどんお手頃価格になるんだったら大歓迎の喧嘩だね。」
「?え?そうなりますか?
いえ、たしか、金額は同じなはずですよ?
それで、お互いが売り上げを競争しているとか。
なので、ミフィルを気に入った客はここで、
アガッター贔屓の客はアガッターの店で買ってるそうです。」
「ん?それって、客になんの徳もないね。
ああ、でも、こっちで売れれば、それを入れる化粧瓶とかが売れるか。」
「化粧瓶は密封性がいいものが出たそうですよ。
メジャートが作っています。
隠匿がかかっているので真似はできないんですが。」
「じゃ、ここで買っても、アガッターって人のところで買っても一緒?
ここで買うって利点がないからあんまり売れないね。
女の人は同じものなら、安い方に行くよ?
ここで買うのは高いけどいい品だからだ。
同じものが同じ値段で売っているなら価値はない。
同じものがここの価格帯と同じでお高くなっていたらますます買わない。
付加価値がない。
ああ、ここに来る人はそんなこと関係ないのか?
あははは!そんなこと考えるのが庶民ってとこだね。」
「・・・・。いえ、そうですね。わたしの宿でも扱うつもりだったんですが、
そう言われればそうなりますね。」
「密封性のある装飾した化粧瓶が売れればいいのにね。
それか、今の化粧に装飾するか?
だとしたら詰め替えで売ってもらったほうがいいよ?
毎回ものすごい金額を出して化粧瓶を買うのはほんの一握りだけだ。」
「そ、そうですね。」

折角なので案内してもらうことに。
ニックさんとべリンさんは留守番だ。
マティスは後ろに付いてきている。

その店にミフェルがいてもわたしたちには気付かないだろう。
服も髪も目の色も違うから。


店はさすがタフト街道といったところか。
あの化粧瓶と油瓶も並んでいた。
で、どこかで見たような、マッサージチェアも。
あとは、紅と頬紅か。鏡もある。
あれだ、百貨店の化粧品売り場のようだ。
ここで、マッサージもしてくれるのだろうか?で、メイクも?
あははは。
なんか笑ってしまった。

パーニュさんも扱うというなら、ここの店と取引の話もあるのだろう。
奥から出て来たよ、ミフェルが。

・・・。
頬紅はつけすぎないほうがいいよ?
それに、もう少し上に。
それだと、おてもやんだ。
あと、眉も揃えなさい。
・・・。
いじりたい。

『パーニュ殿?こちらがここの店主か?』
「!ええ、そうです。ソソ様?紹介させていただいても?」
『もちろんだ。』

(どうした?)
(ちょっとお姫様ごっこ?)
(?)

マティスは疑問思ったが、
わたしが楽しんでいるのでそのまま傍に控えてくれた。
パーニュさんもすぐにわたしに合わせてくれる。


「ミフェル殿。こちらはサギョウグミのソソ様だ。
いま、わたしの良き客人で案内をさせてもらっている。」
「そうですか。初めまして、ミフェルと申します。」
『ソソだ。これは我が夫で我が半身のセセ。
退屈しのぎにこちらに遊びに来たのだよ。
パーニュ殿の案内でな。』

旦那付きで女が上位なら、パーニュの宿に泊まるのも納得だろう。
しかも、パーニュは良い客人だと紹介した。
金を持っているということだ。


「ソソ様、こちらは化粧水とカメリ油を扱っております。
もちろん、お使いだとは思いますが、
いつでも購入時の鮮度が保てる瓶入りでお売りしております。
どうぞ、手に取ってごらんください。」
『なるほどな。メジャートの物だな?確か?
しかし、ふふ。ここタフトで扱うにしてはかなりさみしき物だな。
同じ商品を別で見たぞ?
アガッターの店はどこでも一緒なのだな。』

ナーチアの話では、化粧水を扱っている店に
化粧瓶が並び始めたと教えてもらった。
瓶入り、3リングだ。カメリの油も。
セットで安くなるということはないらしい。
しかも、詰め替え用や樽では売らないそうだ。
もったいない。

ここでも同じ3リング。
タフト街道最終門内では破格な値段だ。

「ええ。どこでも、同じ商品が同じ価格で買えるというのが
ミフェルの商品です。」
『ん?アガッターだろ?』
「いいえ。アガッターとは別でございます。」
『あははは!喧嘩したというのは本当の話なのか?
いま、パーニュ殿に聞いたんだ。な?』
「ソソ様!」
『内緒だったのか?すまんすまん。』
「いいえかまいませんよ。アガッターとは、
仕事を一緒にするということはないでしょうね。」
『そうなのか?いろいろあると。
が、作ってるところも一緒、商品も同じ、価格も同じなら、
ここで買う必要はないな。』
「そうではありませんよ?
向こうで、この商品をよりよく仕える方法をお教えできますし、
わたしがしております化粧方法をお教えできるのです。
これはこのミフェルの店だけですから。」
『そうか?
化粧ね。んー、それ、わたしにやらせてくれないか?』
「は?」
『うん、したいな。させてくれ。いいな?ミフェル殿?』

言霊は使っていないよ?
上客のいうことを聞いておく方が得策だと考えたミフィルは
しぶしぶだが承知した。

コットワッツのタオルが沢山置いてあった。
直接は購入していないはずだ。
していればセサミンから報告がある、
アガッターもミフィルも直接に買いにくいんだろう。
ということは、誰かに頼んで購入しているんだ、ご苦労なことだ。

店の手伝いをしているお姉さま方も
みんな同じような化粧だ。

椅子は改良してる?
いや、マティスが作った形そのままか。
タオルは?その都度湯がいているの?
はははは。蒸し器に入れとけばいいのに。
温度調節はもちろん樹石だ。

紅を買う。
紅は小さな小皿に入れているものだ。
最初に妹ちゃんズが用意してくれたものと同じ。
金額は小皿に金を掛けているのか高い。
リップパレットを知ったら驚くだろうな。
頬紅はそのまま使ってるのか?
あの陸鳥が食べていた砂を砕いたものを混ぜてみようかな?
あの陸鳥砂はほかに使い道がありそうなので、
ナルーザ側の山の砂を混ぜたのだ。

化粧水とカメリも買う。

自分で使うにはこれでいいが、
マッサージで使うのなら使いにくい。
大きめの水差しに入れ替えようか?
ん?量が少ない?
透かしも小さめで下の方にだけ。
これだとひと月も持たないだろう。
瓶も少し小さめで重いな。
で、瓶代込みで3リングか。
かなりの値上げだね。


『んじゃ、誰にしようかな?1人だけだ。
ミフェル殿か?』
「え?いいえ。
そうね、ネラル?こちらに。」

ネラルとやらがこの世の終わりのような顔をしてこっちにやって来た。
失礼な。

『ははは!じゃ始めようかな。』

わたしが化粧瓶やらいろいろ並べている最中にミフェルと
店の女の子たちは奥に引っ込んでしまった。

だって、上客じゃない。
ここでの買い物は知れている。


あのおてもやんでお金を取ってたんだろうか?
世界初の長編アニメであの主人公に
頬紅をつけて健康的に見えるようになったというのは
なにかのクイズ番組でみたな。

流行りもあるからね。
いいんだけどもね。


「あの・・・・。」
「ん?心配しないで?きっとみんな驚くよ?
ね?大丈夫。」
「はい!」

ネラルはわたしの大丈夫という言葉で安心してしまった。
もちろん、安心して寝ていたまえ。

マティスとパーニュさんはすぐそばで見学している。
ホットタオルの用意をしてもらう。
道具類はマティスの背負子に入っているということにしよう。


いざ!リカーナ婆様の時に鍛えた腕と段取りをとくとみよ!

足湯はしないから、ホットタオルをしている間、
ハンドマッサージと爪を磨いておこう。

そう言えば結婚の祝いに石鹸屋さんからもらったクリーム状の物は、
ボディクリームではなく、例のオイルに混ぜるものだった。
石鹸を香りを気に入っていたから、石鹸に香りづけした後の搾りかすを
固めたものだったらしい。
あれはもうないのかと石鹸を買った時に教えてもらった。
あれはマティスだけしか買わなかったのでもう作っていないと言われ、
その香りづけに使っていた草を引き取ったのだ。
乾燥させ、水とオイルを混ぜるとうまく乳化する。
天然の乳化剤なのだろうか?
これも実験リストの上位に鎮座したままだ。

そんなことを考えながら、
すでにリラックスしているネラル嬢をきれいにしていく。

ホットタオルを乗せ、上からツボを押す。
そのまま、指先にオイルをすり込み、マッサージと爪磨き。

トカゲの皮の裏はオイルとなじんでちょうどいい艶を出してくれる。
それが終われば、タオルで今ついている化粧を落とし、
オイルでマッサージ。
この時点で彼女は軽く寝ている。
もう一度ホットタオルを置き、また顔のツボ押しとヘッドマッサージ。
終われば、剃刀で産毛と眉を整える。
その後、化粧水を手になじませ、ハンドプレス。
しみないのがいいよね、この化粧水は。

陸鳥砂をすり鉢で細かくしたものを、フェイスパウダーのように
顔にはたく。
ちゃんと細かく、不純物は取り除いたよ?
これは、絵筆の大きなものでささっとね。
ミネラルフェイスパウダーっぽくね。
その後、紅と頬紅と。眉は整えた後、イスナペンでちょい足し。
彼女は少し濃いめの茶色なのでちょうどいい。
アイライナーに代わるものはないので、すこしだけ目じりに紅を差す。
ほんの少しだ。
あとはふわっと頬紅、チークもアイシャドウの代わりに乗せる。


随時にマティスとパーニュさんから質問が入ってくる。
パーニュさんも興味があるようだ。
メモってるもの。
イスナペンだね。


「どう?なかなかいいでしょ?」

「素晴らしい!!」
これはパーニュさんの絶賛の声だ。


『起きなさい。終わったよ。これ、鏡。見てみ?』

起されたネラル嬢は鏡をみて固まっている。
その間に髪を簡単に結い上げる。
一房、クリンと樹石で巻いてみる。
これ、流行ればいいな。

「じゃ、帰ろうか。」

奥から出てきたミフェルが未だ固まっているネラルをみて驚いていた。

「ミフェル殿。我々はこれで。」
『ミフェル殿、楽しかったぞ。ネラルといったな?つき合わせて悪かったな。
爪が少し乾燥気味だ。オイルをなじませるといいぞ?』

そういうと、爪先を見てまた驚いていた。
つやつやだからね。

「お待ちください!
この化粧法はどこ習得なさったのですか?わたしにも施してくださいませ!」
「ミフェル殿?ソソ様は一人だけだといっただろ?最初はミフェル殿にと
お声をかけていただいたのに。それを断ったのはあなただ。
いまさら何を言ってるんだ?
しかも、ソソ様の技を横で見ることもせずに。
ええ、わたしはしっかりと見せてもらいましたよ。いや、素晴らしかった。
では、これで失礼する。」
「お、お待ちください!」
『パーニュ殿?先に馬車に戻るぞ?』
「はい、申し訳ありません。
わたしもすぐに戻りますので。」


─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘─┘





「あれ?また?パーニュの旦那は?」
「なんかね、お店の人とお話。
すぐ戻ると思うよ?ササは?おお!出来上がってるね。」

ニックさんは腕を組んで目を瞑っていた。
寝てるわけではないな。
師匠たちと連絡を取っているのかな?
パーニュさんはきっと化粧水の樽での取引を交渉しているはずだ。




「お待たせしました。」
「おかえりなさい。いい話できた?」
「ええ!もう一度同じ化粧法を披露するということで、
樽での購入ができるようになりました。
ありがとうございます。」
「よかったね!」
「ええ。あの?本当にあの化粧法はどちらで?」
「デルサートル!そこの何番街だったかな?
そこの婆様たちに聞いたの!
やっぱりカメリの生産地だからかな?婆様たちみんなきれいでさ。
何か秘訣があるんですか?って聞いたのよ。
それで教えてもらったの。」

と、リカーナ婆様に聞いたことにした。
秘密にはしていないはず。娘さんやお嫁さん、お孫さんたちからも
質問攻めだったようだから。

「なるほど!あの?ソソ様は化粧は?」
「わたし?んー、たまにね。ああ、顔の産毛は剃ってるよ?
眉毛も。それだけでだいぶ違うから。
それで?いつ教えるの?」
「明日ですね。例のお嬢様方がいらっしゃるとかで。
ミフェルの妹、アガッターもです。」
「おお!なんか、怖いね。」
「ええ。それで、その、もう一度ご教授できないでしょうか?
あの化粧法を。」
「んー、今から18番門に行って、ごはんたべて、10番門で泊まるんだ。
そんな暇ないよ?」
「10番門!わたしもそちらに行きます。ご一緒させてください。
その間に是非とも!」
「そうなの?往復のできるの?
飛ばすの?じゃ、奥方か、娘さんいる?
その方々にパーニュさんがやっているのを横で見とくよ。
それで、こうしたらって言えると思う。でも、ただじゃないよ?」
「もちろん。わたしには妻2人と、娘2人おります。
あと、息子の嫁が5人、孫が6人です。」
「おお!ああ、お母上もいらっしゃるならその方も。」
「それは喜びます。」

嫁姑問題はどの時代、どの世界でもあるだろう。
喧嘩にならないようにしないとね。


「いや、するのはパーニュさんだから。
でね、化粧水を樽で買えるようになったんなら、
わたしにも卸してほしいんだ。それが条件。
ミフェルとアガッターには内緒で。」
「そんなこと!お安い御用ですよ。」
「そう?ならよかった。」

これで化粧水は確保できる。
婆様たちに結構たっぷり使ったからね。


18番門に付くとパーニュさんは10番門でお待ちしていますと別れた。
俊足馬で飛ばし、ある程度練習しておくそうだ。
一族の女性陣を集めるのだろうか?

わたしたちは買った布を引き取り、ご飯を食べるだけだ。


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